「ダンピング症候群」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!
ダンピング症候群とは主に食後に発症する病気で、体に不調を与えます。
食後に「クラクラする」「低血糖のような症状になる」といった症状が現れた人は、ダンピング症候群になっている可能性も考えられるでしょう。
ではダンピング症候群とは一体何が原因で発症するのでしょうか。
今回はダンピング症候群の早期・後期の違いや原因・症状を解説していきます。食事をとった後、体調不良になりやすい人や、胃の手術を行った後の人はぜひご覧ください。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
ダンピング症候群とは
ダンピング症候群とはどのような病気でしょうか?
発症の多くは食事をとったあとですが、食後すぐに症状が現れるケースもあれば、食後何時間か経過したあとに症状が現れるケースもあり、人によっては食後すぐに現れない人もいるでしょう。症状は軽度な場合や、症状が重くなってしまう場合もあります。
そのため少しでも異変を感じた場合は医師に相談してみましょう。
早期と後期の2種類あると聞きましたが違いを教えてください。
たとえば、「早期ダンピング症候群」であれば、食べ物を胃に貯めておけなくなることが原因で発症します。胃に食べ物が貯めておけなくなると、胃で消化されきっていない食べ物がそのまま腸に流れ込んでしまうと同時に、血中の水分が腸内へ移動する現象も起こってしまうのです。このことにより、水分不足と同じような状態になり、体の不調を感じる人もいるでしょう。
また「早期ダンピング症候群」よりも遅く症状が現れるのが「後期ダンピング症候群」です。「後期ダンピング症候群」は胃の中に蓄えられていた食べ物が急に排出されたことで、血糖値が上昇し、体の不調へとつながります。それぞれ発生原因が異なることはもちろん、発生する症状・時間も異なる病気です。
症状を教えてください。
一方で「後期ダンピング症候群」はだるさやめまいなどの低血糖症状が現れます。万が一体に異変を感じた場合は、ダンピング症候群を引き起こしている可能性も考えられますので、我慢せずに早めに医師に相談をしてみることも考えてみましょう。
何が原因で起こるのでしょうか?
食べ物が胃に蓄えられなくなると、胃で消化され切っていない食べ物がそのまま腸へ流れ込んでしまうのです。そうなると血液の水分が腸内に移動してしまい、栄養素を吸収する空腸が大きくなったり、循環血漿量(じゅんかんけっしょうりょう)が減ったりして体に不調を与えます。
一方で「後期ダンピング症候群」はインスリンの分泌が大きく関係しています。胃に溜まった食べ物が急に排出されることで、一気に炭水化物が吸収されてインスリンの分泌が増えてしまうのです。このことで低血糖になり「後期ダンピング症候群」を引き起こす原因になります。
対処法を教えてください。
「後期ダンピング症候群」の場合は、インスリンの過剰分泌が原因で発症するため、低血糖にならないようにする必要があります。
たとえば出かける際はアメや角砂糖などの甘いものを持ち歩いたり、食事する際は甘いものを身近に備えておいたりすると、異変を感じた場合すぐに対処できるでしょう。また人によっては頻繁に症状が起こる人もいます。その場合は間食を取ることも1つの手です。
ダンピング症候群はいつからいつまで続く?
手術後、どのくらいでダンピング症候群が起こりますか?
胃の手術を行った場合は、今までのコンディションとは違うため、無理をせずに体調を気にしながら食事をとってみましょう。
ダンピング症候群はいつまで続くのでしょうか?
しかし場合によっては長期的に症状が長引くケースもあり、ダンピング症候群とともに生活しなければいけない場合もあります。体の負担にもなるためあまりにも症状が良くならずに長引くようでしたら、医師に相談してみましょう。
ダンピング症候群の食事について
注意が必要な食べ物はありますか?
しかし「後期ダンピング症候群」の場合はインスリンの過剰分泌が原因で低血糖になります。「早期ダンピング症候群」は甘いものを控えた方がいい一方で、「後期ダンピング症候群」はアメ・角砂糖などの甘い食べ物の摂取は問題ありません。
ほかにも、「早期ダンピング症候群」の場合は浸透圧の高い食べ物も避けた方がいいとされており、なるべく浸透圧の低い食事を心がけましょう。たとえば浸透圧の高い食べ物はかぼちゃ・リンゴが挙げられます。
ダンピング症候群を引き起こさないようにするには浸透圧の高い食べ物は避け、浸透圧の低い食べ物の摂取が望ましいです。
おすすめの食事はありますか?
食べ物の含有量を確認しながら、どの食べ物にはどのくらい含まれているのか確認してみましょう。ほかにも食事のとり方もダンピング症候群防止につながります。
飲むように食べてしまったり、早食いをしてしまったりするとダンピング症候群を引き起こす可能性が高くなる場合もあるでしょう。ゆっくりと噛んでから飲み込むようにすることも防止策の1つです。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
また人によっては発症期間が異なるため、あまりにも症状が長引く場合は医師への相談をおすすめします。
編集部まとめ
ダンピング症候群は胃の切除などによって、胃から腸へと食べ物が流れ込む症状で、胃の切除などの手術を行った人は、ダンピング症候群を発症する可能性が高いでしょう。
そのため胃の手術を行った人はダンピング症候群の症状を理解し、発症しないために予防しておく必要があります。
個人差はありますが、横になったり、糖分を摂取したりなどの行動で予防できたり症状を落ち着けたりすることも可能です。
あまりにも症状が長引く場合は症状を放置せずに、医師に相談してみましょう。
参考文献