「汗腺がん」を発症すると現れる症状・原因・予防法はご存知ですか?医師が監修!
汗腺がんとは、皮膚がんの一種であり、非常に稀な病気です。症例も少なく、見た目だけで診断することが難しい病気ともいわれています。
通常のがんと同様に転移などの危険もあるため、早期の発見と治療が求められます。早期に発見するためにも、正しい知識を把握しておくことは重要です。
そこで本記事では、汗腺がんの症状を詳しく解説します。汗腺がんの特徴・検査方法・治療方法なども併せてご紹介するので、参考にしてください。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
汗腺がんとは?
そもそも汗腺とは?
- エクリン腺
- アポクリン腺
エクリン腺には、気温や運動時の体温を調節するために汗を分泌する役割があります。緊張した時や興奮した時に汗を出したり、辛いものなどの刺激物を食べた際に汗を出したりするのもエクリン腺です。
ほぼ全身の皮膚に存在しており、約200~500万個程分布しています。一方、アポクリン腺は、脇・陰部・外耳道といった特定の部位にしか存在しない汗腺です。思春期以降に発達して分泌されるようになります。
汗腺がんではどのような症状がみられますか?
- しこり
- かゆみ
- 出血や化膿
- 皮膚の変色
- 悪臭
症例が少ないため、症状もはっきりしたものは分かっていません。主な症状の1つがしこりです。皮膚の下にがんが発生する場合があるため、腫れやしこりが現れることがあります。かゆみも主な症状に挙げられます。がんとなった患部に虫刺されのような発疹などが現れることがあり、かゆみを伴うことがあるのです。
また、出血や化膿が伴う場合もあります。皮膚表面から盛り上がった患部の表面が崩れて膿を出したり出血したりするのです。皮膚の変色も見られます。白色・茶色・黒色などの斑点が現れたり、混在するような色に変化したりします。悪臭も症状の1つであり、症状が悪化するとひどい臭いを放つことがあるのです。
汗腺がんは皮膚がんの種類のひとつなのですね。
そのため、汗腺がんは皮膚付属器がんの1つなのです。その他の皮膚付属器がんとしては、脂腺がんや毛包がんなどが挙げられます。これらのがんは症例が比較的少なく、中でも汗腺がんは特に少ない病気です。
汗腺がんは何が原因なのでしょうか?
その他にも慢性刺激による影響で汗腺がんを発症する可能性もあります。慢性刺激は大量に放射線を浴びてしまうことの他に、ヤケドやキズ跡からなることもあります。
汗腺がんの特徴や検査方法
汗腺がんの特徴を教えてください。
- 非常に稀である
- 進行が早い
- 場所にはよっては気づきにくい
- 汗腺が発達する部位に発生しやすい
- 治療方法は主に手術
この病気は、先述したように皮膚がんに分類される皮膚付属器がんの1つであり、その中でも非常に稀な病気です。全ての皮膚がんの中でも1%以下の割合といわれており、症例が非常に少ないです。
また、進行が早い点も特徴に挙げられます。皮膚がんは病気の進行が極めて速い特徴を持っており、汗腺がんにも進行の速さは共通しています。次に場所によっては気づきにくい点も特徴の1つです。皮膚がんの1つであるため、皮膚表面にできて発見しやすいと感じる方も多いかもしれません。しかし、皮膚下に形成されたりご自分からは見えづらい場所へ発症したりすることも少なくありません。
そのため、場所によっては気づきにくいのです。さらに、汗腺が発達する部位に発生しやすい点も特徴に挙げられます。汗腺の発達部位としては、顔・手のひら・足裏などです。最後に、治療方法は主に手術である点も大きな特徴です。
これまでの症例が少ないことから、手術以外の治療の効果がはっきりと分かっていません。そのため、主に手術による治療が行われるのです。手術で対応できない場合や限られた転移巣に対しては、放射線治療が行われることもあります。
汗腺がんを放置するリスクを教えてください。
- がんの転移
- 治療の困難化
- 予後の悪化
この病気の放置によって考えられるリスクとして、まず1つ目ががんの転移です。治療を行わずに放置しておくと、どのようながんの場合でも転移します。特にこの病気は、先述したように進行が早い点が特徴です。そのため、短期間のうちに他の臓器などに転移するリスクがあります。
2つ目のリスクが治療が困難化する点です。放置すると悪化するため、治療が難しくなっていきます。最悪の場合は命にかかわる可能性があるため、早めの治療が非常に重要です。次に予後の悪化もリスクに挙げられます。放置によって悪化し治療が十分にできなかったり遅れたりした場合、普段の生活に戻れない可能性も高くなります。何度も手術を繰り返すこととなったり、余命が短くなったりといった影響も出るため、早めに治療を行いましょう。
汗腺がんの検査方法を知りたいです。
- 細胞採取
- 超音波検査
- CT検査
- MRI検査
- PET検査
この病気が疑われる場合は、細胞を採取して顕微鏡による観察を行いがんの有無を確定させます。また、超音波検査により転移状況・がんの大きさ・形状などを調べます。
CT検査・MRI検査・PET検査による画像検査も主な検査方法です。がんの有無や転移状況などを、それぞれの検査方法を組み合わせて調べます。
汗腺がんの治療方法や予防方法
汗腺がんの治療方法について詳しく教えてください。
手術による欠損部位が大きい場合にはそのまま縫合できないため、他の部位から皮膚を移植するなどの対応が行われます。また、リンパ節に転移が認められた場合には、リンパ節を広く切除するなどの対応も必要です。しかし、手術が行えない場合や転移の状況によっては、次のような治療も行います。
- 放射線治療
- 化学療法
放射線治療は、放射線を照射することでがん細胞を破壊する方法です。化学療法とは、おもに抗がん剤を投与する方法です。放射線治療と化学療法を併用して行うケースもあります。
汗腺がんの治療期間はどのくらいですか?
しかし、進行している場合は、手術だけでなく放射線治療や化学療法などを併用しながら治療を進めなければならないこともあります。この場合は、治療期間は長期に及ぶこともあるでしょう。
汗腺がんの治療中、もしくは治療後に注意することはありますか?
- 定期的な受診を受ける
- 体調管理を行う
- 症状の変化がある場合にはすぐに医師に相談する
治療中と治療後のどちらの場合であっても、決められた定期検診は必ず受けましょう。定期検査や診断によって、症状の悪化や改善具合を判断します。受診を怠ると、転移や再発などを引き起こす可能性もあるため危険です。また、体調管理もしっかりと行いましょう。
バランスの取れた食事や十分な睡眠によって、免疫力の低下を防げます。症状の変化がある場合には、すぐに医師に相談することも大切です。治療後も再発や転移などのリスクはあります。症状の悪化など異変を感じた場合には、すぐに受診して相談しましょう。
汗腺がんを予防する方法を教えてください。
- 紫外線対策をする
- 喫煙を控える
- 早期発見と早期治療
予防方法の1つが、紫外線対策です。紫外線は皮膚がん発症の原因に挙げられ、汗腺がんとも無関係ではありません。そのため、帽子や日焼け止めなどで肌を保護し、長時間の外出を避けるなどの対策を行いましょう。また、喫煙を控えることも予防方法の1つです。
喫煙はがんの原因に大きくかかわります。少しでも発症リスクを下げるためにも、副流煙も含めて吸わないようにしましょう。早期発見と早期治療も効果的な予防法の1つです。早期発見ができれば、進行を防ぎ転移のリスクも下げられます。少しでも違和感を覚えた場合には、すぐに受診をする方法は非常に効果があるでしょう。
編集部まとめ
汗腺がんは皮膚がんの1つであり、発症すると非常に早く悪化する可能性がある病気です。症例は少ないですが、原因や効果的な治療方法は確立されていません。
普段からできる予防や早期発見と早期治療が非常に重要です。そのためにも、病気についての正しい情報を把握しておきましょう。
症状や予防方法で不安な場合や、少しでも皮膚の異変を感じた場合には、専門の医療機関を受診しましょう。
参考文献