「むずむず脚症候群」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!
更新日:2023/03/27

「ベッドに横になったら急に脚がムズムズしだす」「じっとしていられない」 このような夜間の異常な感覚に見舞われた経験に、身に覚えのある方は決して少なくないでしょう。 実際、数値的にも100人に2人から5人はこのような症状に悩まされていると考えられています。 しかし、ほとんどの方は病院を受診することなく過ごし、翌日に不眠になっていても仕方のないことだと流してしまっています。 これらの症状はむずむず脚症候群と呼ばれ、れっきとした病気です。 専門機関を受診し、適切な治療を受ける必要があります。 今回はむずむず脚症候群について解説しますので、お悩みの方はぜひ参考にしてください。

監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
プロフィールをもっと見る
名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。
目次 -INDEX-
むずむず脚症候群の症状と原因
むずむず脚症候群はどのような病気でしょうか?
むずむず脚症候群は、夕方から深夜の安静にしている時に起きる、下肢を中心とした異常感覚が引き起こす睡眠障害のことです。正式名称はレストレッグス症候群(RLS)ですが、多くの場合はむずむず脚症候群と呼ばれています。この異常な感覚は人によって様々ですが、じっとしていると再び異常感覚に襲われるという点では共通しています。
安静時に発症することが多く、じっとしていたくてもしていられない非常に不快な病気です。むずむず脚症候群の方の多くは、周期性四肢運動障害と呼ばれる病気を併発しています。周期性四肢運動障害とは、睡眠中に20秒〜40秒ごとに無意識に脚や腕がピクピクしたり、素早く飛び跳ねたりする病気です。
本人が四肢の動きに気づいていなくても睡眠の質が低下しているため、日中に眠気を訴える方が多くいらっしゃいます。
安静時に発症することが多く、じっとしていたくてもしていられない非常に不快な病気です。むずむず脚症候群の方の多くは、周期性四肢運動障害と呼ばれる病気を併発しています。周期性四肢運動障害とは、睡眠中に20秒〜40秒ごとに無意識に脚や腕がピクピクしたり、素早く飛び跳ねたりする病気です。
本人が四肢の動きに気づいていなくても睡眠の質が低下しているため、日中に眠気を訴える方が多くいらっしゃいます。
どのような症状が現れますか?
下肢を中心に以下のような症状が現れます。
そのため、眠ろうとしている時でも足をバタバタ動かしたりマッサージをしたり、歩き回ったりせざるを得ない状況に陥ります。不幸にもむずむず脚症候群は夜間に発症することが多いため、多くの患者さんが不眠に悩まされているのが現状です。
重症になると日中にも症状が現れることがありますが、やはり安静時や夜間にピークに達する部分が指摘できます。
- ムズムズする
- 脚の中を虫が這うような感覚がする
- 熱く火照った感覚がある
- ピリピリとする
- 痛みがある
- 冷えを感じる
そのため、眠ろうとしている時でも足をバタバタ動かしたりマッサージをしたり、歩き回ったりせざるを得ない状況に陥ります。不幸にもむずむず脚症候群は夜間に発症することが多いため、多くの患者さんが不眠に悩まされているのが現状です。
重症になると日中にも症状が現れることがありますが、やはり安静時や夜間にピークに達する部分が指摘できます。
発症する原因を教えてください。
むずむず脚症候群を発症する原因は、突発性と二次性に分けられます。多くの患者さんは突発性のむずむず脚症候群ですが、その原因は未だに明らかになっていません。ただ、現状ではドパミン神経系の異常や遺伝的な要因が想定されています。ドパミン神経系とは神経伝達物質の1つで、脳が心地よさを感じるために必要な神経です。
ドパミン神経系というとパーキンソン病を疑う方がいらっしゃいますが、むずむず脚症候群とパーキンソン病は異なる病態のため安心してください。二次性のむずむず脚症候群は他の病気が原因となって起こるもので、鉄欠乏・腎不全・妊娠などにより引き起こされます。
ドパミン神経系というとパーキンソン病を疑う方がいらっしゃいますが、むずむず脚症候群とパーキンソン病は異なる病態のため安心してください。二次性のむずむず脚症候群は他の病気が原因となって起こるもので、鉄欠乏・腎不全・妊娠などにより引き起こされます。
なりやすい人の特徴を教えてください。
むずむず脚症候群は、女性や60歳から70歳の高齢者が発症しやすい傾向にあります。また、若くして発症した方ほど家族にも同じようにむずむず脚症候群の方がいることが多いのも特徴的です。これにより、むずむず脚症候群と遺伝的な要因は密接な関係にあることが想定できます。また、鉄分が不足しがちな方もむずむず脚症候群になりやすいですね。
むずむず脚症候群を発症するもう1つの原因に、ドパミン神経系の異常があると先述しました。このドパミン神経系は、鉄部が不足していると神経伝達物質の受け渡しが上手にできなくなってしまいます。そうして刺激に対して異常に敏感になることで、むずむず脚症候群を発症すると想定できます。
むずむず脚症候群を発症するもう1つの原因に、ドパミン神経系の異常があると先述しました。このドパミン神経系は、鉄部が不足していると神経伝達物質の受け渡しが上手にできなくなってしまいます。そうして刺激に対して異常に敏感になることで、むずむず脚症候群を発症すると想定できます。
むずむず脚症候群の検査と治療
何科を受診すれば良いでしょうか?
むずむず脚症候群は神経的な疾患のため、むずむず脚症候群を疑う場合は精神科や神経内科の専門医を受診しましょう。「むずむず脚症候群かは分からないが日中の不眠が辛い」という場合には睡眠専門医や精神科への受診でも構いません。
むずむず脚症候群を発症して辛い思いをしていても、何もせず放置してしまう方が多いのが現状です。我慢せず、適切な処置を行うことを強くおすすめします。
むずむず脚症候群を発症して辛い思いをしていても、何もせず放置してしまう方が多いのが現状です。我慢せず、適切な処置を行うことを強くおすすめします。
どのような検査を行いますか?
むずむず脚症候群の診断では、問診・血液検査・睡眠ポリグラフィの検査を行うのが主流です。それぞれの検査の詳細については以下の通りです。
血液検査で血清フェリチン値が一定数以下だと認められると、むずむず脚症候群が疑われることが多いです。
- 問診
- 脚を動かしたいという強い欲求が存在し,また通常その欲求が,不快な下肢の異常感覚に伴って生じる
- 静かに横になったり座ったりしている状態で出現,増悪する
- 歩いたり下肢を伸ばしたりするなどの運動によって改善する
- 日中より夕方・夜間に増強する
- 血液検査
血液検査で血清フェリチン値が一定数以下だと認められると、むずむず脚症候群が疑われることが多いです。
- 睡眠ポリグラフィ
治療方法を教えてください。
むずむず脚症候群の治療には、薬物療法と非薬物療法の2種類があります。どちらの治療法にするかは担当の医師としっかり相談した上で決めましょう。薬物療法では、クロナゼパム・パーキンソン病の治療薬・抗てんかん薬・オピオイドなどを使用します。非薬物療法では、食事や生活習慣の改善を行うことが一般的です。
特にアルコールやカフェインは、むずむず脚症候群を悪化させる原因となるため、飲みすぎに注意しなければなりません。鉄分が不足していることが指摘できる場合には、鉄分を多く含む食事の推奨や鉄剤の処方が行われます。二次性のむずむず脚症候群の場合は、原因となっている病気に合わせて治療が行われます。
特にアルコールやカフェインは、むずむず脚症候群を悪化させる原因となるため、飲みすぎに注意しなければなりません。鉄分が不足していることが指摘できる場合には、鉄分を多く含む食事の推奨や鉄剤の処方が行われます。二次性のむずむず脚症候群の場合は、原因となっている病気に合わせて治療が行われます。
むずむず脚症候群の治療薬について教えてください。
むずむず脚症候群の主な治療薬には、クロナゼパム・パーキンソン病の治療薬・抗てんかん薬・オピオイドなどがあります。それぞれの治療薬については以下の通りです。
周期性四肢運動障害は減少させやすいですが、むずむず脚症候群への直接的な効果は少ないことに注意が必要です。重度のむずむず脚症候群の場合は別の治療薬が処方されます。
吐き気・起立性低血圧・不眠症といった副作用を引き起こすことがあるため、服用には十分注意しましょう。
ガバペンチンには睡眠を深くする働きがあるため、むずむず脚症候群による睡眠の質低下や睡眠不足が辛い場合にも作用します。
- クロナゼパム
周期性四肢運動障害は減少させやすいですが、むずむず脚症候群への直接的な効果は少ないことに注意が必要です。重度のむずむず脚症候群の場合は別の治療薬が処方されます。
- パーキンソン病の治療薬
吐き気・起立性低血圧・不眠症といった副作用を引き起こすことがあるため、服用には十分注意しましょう。
- 抗てんかん薬
ガバペンチンには睡眠を深くする働きがあるため、むずむず脚症候群による睡眠の質低下や睡眠不足が辛い場合にも作用します。
- オピオイド
むずむず脚症候群の予防
むずむず脚症候群は治りますか?
むずむず脚症候群は、適切な治療を受けることで症状を大幅に改善することが可能です。むずむず脚症候群は誰でもかかるものであり、完治したと思っても再発してしまうことがあります。そこで放置することなく専門医を受診し、適切な治療を受ければ、むずむず脚症候群に悩まされることは大幅に軽減できるものです。
むずむず脚症候群の疑いがある場合は、我慢することなく受診しましょう。
むずむず脚症候群の疑いがある場合は、我慢することなく受診しましょう。
予防する方法を教えてください。
むずむず脚症候群を予防する上で最も大切なのは、健康的な生活習慣を心がけることです。カフェインやアルコールの過剰摂取は避け、栄養バランスの良い食事を取りましょう。特に鉄分不足には気をつけておくと安心です。鉄分は小松菜・ひじき・プルーン・レバー・赤身魚に多く含まれています。
一緒にビタミンCを摂取して体に吸収されやすいようにしましょう。適度に運動することも忘れないでください。
一緒にビタミンCを摂取して体に吸収されやすいようにしましょう。適度に運動することも忘れないでください。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
100人に2人から5人という数字のように、むずむず脚症候群に悩まされている方は決して少なくありません。しかし、不眠に悩まされていても、病院を受診することなく放っておいてしまう方が本当に多くいらっしゃいます。二次性の脚むずむず症候群のように、裏に大きな病気が隠れている可能性も否定できません。
むずむず脚症候群に限った話ではありませんが、体の異常を感じたら躊躇することなく専門機関を受診してください。
むずむず脚症候群に限った話ではありませんが、体の異常を感じたら躊躇することなく専門機関を受診してください。
編集部まとめ
むずむず脚症候群は、安静時に異常な感覚でじっとしていられなくなるという非常に不快な病気です。
生活習慣を改めることで改善されることもありますが、薬物療法によってより効果的に症状を改善できる場合もあります。
お一人で悩まず、気軽に医療機関を受診するようにしましょう。
もしもパートナーや周りの方がむずむず脚症候群に悩まされているようであれば、病院に行くことをおすすめしてください。
適切な治療を受けて改善しましょう。




