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「肉離れ」を引き起こした際の応急処置・完治するまでの期間はご存知ですか?

 更新日:2023/03/27
「肉離れ」を引き起こした際の応急処置・完治するまでの期間はご存知ですか?

肉離れはスポーツ時に起こることが多い怪我です。脚の大腿部・ふくらはぎの筋肉が断裂し、強い痛みを伴います。

一度肉離れを起こすと再発率が高く、生活上の障害となってしまう場合もあるでしょう。そのため、怪我の発生や再発を防止することが大切です。

本記事では、肉離れの基本情報に加え、予防方法・治療方法についても紹介しています。怪我の予防や再発の防止に参考になるでしょう。

肉離れの心配がある方はぜひこの記事をチェックして、問題の解消に役立ててください。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

肉離れの症状と原因

脛をおさえる男性

肉離れはどのような怪我ですか?

肉離れは、太ももやふくらはぎの筋肉に生じる怪我です。通常束になっている筋繊維が、部分的あるいは完全に断裂してしまった場合に生じます。スポーツをしている際に発生することが多いでしょう。特に陸上競技においてよくみられ、短距離走選手に起きやすい怪我です。
症状としては、肉離れが起きている部位に強い痛みが生じることです。断裂している部位は、触るとへこみが確認できる場合もあるでしょう。動かしたり体重をかけたりすると痛むため、普通に歩くことも難しくなります。

具体的な原因を教えてください。

痛みが生じる原因は、筋繊維の断裂です。筋繊維はそれぞれが噛み合うようにして束になっており、それが収縮することで筋力となります。
筋肉が伸ばされて強く収縮すると強い筋力が発生し、強い筋力に筋繊維が耐えられなくなることがあります。その際に起きるのが肉離れです。そのため、強い力が入りやすいスポーツをしていると発生する可能性が高くなります。
特に走行時の脚を前に振り出す際や、走行スタート時の脚を振り出す際に生じやすいです。脚を振り出す動作は大腿部の後面であるハムストリングスの筋肉が伸ばされるため、そこに怪我が起きやすいでしょう。ハムストリングスだけでなく、大腿部の前面である大腿四頭筋や、ふくらはぎの下腿二頭筋に生じる場合もあります。

年齢を重ねるごとにリスクが高まるのですね…。

肉離れは、筋に柔軟性がないことで生じやすくなります。逆にいえば、筋が柔らかいと怪我が起こりにくくなるのです。
一般的に、子どもは柔軟性が高く、年齢を重ねるごとに柔軟性は低下すると考えられています。つまり、子どもは肉離れのリスクが低く、加齢とともにリスクは高まっていくといえるでしょう。
ただし、肉離れを起こす原因はほとんどの場合がスポーツであるため、スポーツをしていれば子どもであっても生じる怪我です。そのため、どの年齢層の方でも、予防には積極的に取り組むようにしましょう。

スポーツをしていない方にも起こる怪我なのですか?

ほとんどの場合はスポーツ中に発生します。それは、筋肉に強い負荷がかかりやすいためです。ただし、スポーツ時以外にも怪我が起きることはあります。
例えば、強い力が入っている部位を強くぶつけたりすると、肉離れが生じるでしょう。また、普段運動をしない人が急に運動をすることで筋肉断裂が起きる場合もあります。

肉離れの応急処置方法と治療方法

ふくらはぎの治療

応急処置の方法を教えてください。

肉離れが起きたら、すぐに応急処置を施すことが大切です。応急処置をすることで症状の軽減や早期回復が期待できます。
主な方法は安静・圧迫・拳上です。まずは安静にし、怪我の悪化を防ぎます。患部は包帯で圧迫し、断裂した筋繊維が離れないようにしましょう。患部は心臓より高い位置に固定し、腫れを引かせます。
これらの応急処置に加えて、アイシングが行われる場合もあるでしょう。しかし、重篤な損傷の場合、アイシングによって回復が遅くなってしまう可能性もあります。アイシングには炎症や痛みを抑える効果がありますが、怪我の程度によっては控えた方が良いでしょう。

診断後の治療方法を教えてください。

行われる主な治療方法は、安静・湿布・塗り薬・内服薬などです。治療方法は怪我の重症度によって異なるため、担当医の指示に従って行いましょう。
また、リハビリを行うことも大切です。肉離れは再発する危険性が高い怪我ですが、リハビリをすることで再発防止の効果が期待できます。主なリハビリはストレッチ・マッサージ・軽い筋力トレーニングなどです。
これらの方法は肉離れの予防にも効果的であるため、完治後も積極的に行いましょう。

完治するのにどのくらいかかりますか?

完治するまでには4週間ほど必要です。ただし、期間が経過したからといって無理に運動を行えば、再発してしまう可能性があります。
この怪我は再発が起こりやすく、ハムストリングス肉離れを起こしたスポーツ選手の3分の1ほどが再発しているといわれます。完璧に治すためには、損傷が問題ない状態になるまで安静にすることが大切です。

肉離れの予防方法と注意点

ふくらはぎを触る女性

完治していない状態で動くとより悪化する可能性があるのですね…。

損傷が十分に回復していなければ、悪化や再発を引き起こしてしまいます。ストレッチを行っても痛みがなく、筋肉が伸びているような感覚もないことを確認しましょう。ただし、自己判断では完治を見極めることは難しいため、医師の診断を受けてください。
また、損傷が治っても筋繊維の柔軟性が低いことや、筋力が回復していないことによって再発してしまう場合もあります。それらはリハビリに取り組むことで改善できるため、治療中はリハビリをしっかりと行い、万全な状態での完治を目指しましょう。
スポーツをしている方は、完治しても急に本格的な運動をすることは避けてください。すぐに元の運動量に戻らず、徐々に強度を上げたり量を増やしたりすることが予防につながります。
また脚全体の筋肉量がアンバランスであると再発する可能性が高くなるため、復帰前には筋力や脚の太さなどを測定し、バランスを整えておきましょう。

肉離れを予防する方法を教えてください。

予防には、ストレッチやマッサージが効果的です。肉離れの発生には、筋の柔軟性が関係しています。ストレッチやマッサージで筋を柔らかくすることで、筋肉の断裂が予防できるでしょう。
また、軽い筋力トレーニングにも取り組むようにしましょう。特に普段運動をしていない方の場合、急な運動が肉離れの原因になるため、日ごろから軽く運動をしておくことが大切です。
スポーツをする人は怪我の発生率が高いため、積極的に予防するようにしましょう。本格的な運動の前にはウォーミングアップをし、筋肉をほぐすことが有効です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

肉離れは発生や再発を防止することが重要な怪我になります。特にスポーツを行っている方は怪我をする可能性が高く、再発率も高いです。
肉離れを起こすとスポーツが行えず、焦ってしまう方もいるでしょう。そうならないために、事前に予防をすることが大切です。ストレッチやマッサージは欠かさず行い、普段から筋肉を柔らかくするよう心がけましょう。
また、怪我が起きてしまっても、焦って早く復帰しようとしてはいけません。完治しないままに運動をすれば症状が悪化し、却って復帰が遅くなってしまうリスクもあります。怪我を負ったら安静にし、できる治療に取り組みましょう。
困ったことや悩みがあれば担当医に相談してください。適切な治療や対策を行い、肉離れに関する問題や心配を解消・軽減させましょう。

編集部まとめ

スポーツウェアを着た男性
肉離れはスポーツ時に多く発生する怪我です。収縮している筋繊維に強い力が加わることにより、筋肉が断裂します。

損傷が起きると痛みが生じ、通常の歩行さえも難しくなります。多くのスポーツ選手が悩まされている怪我です。

肉離れは適切な予防法に取り組むことで、発生を防げます。筋繊維を柔らかくするストレッチやマッサージが効果的でしょう。

再発率が高い特徴があります。肉離れが起きたら完治するまで治療に専念しましょう。

完治しないままに運動をすると、高確率で症状が悪化・再発してしまいます。医師と相談しながら治療を行い、万全の状態になったら運動を再開するようにしてください。

この記事の監修医師