「PRP療法」「PFC-FD療法」の効果の持続期間は? 繰り返し治療しても大丈夫?

宇南山先生

再生医療の一種で、みなさんの血液に含まれる「血小板」が持っている「組織を治癒させる能力」を活用する治療法です。患者さん自身の血液を採取して血液を遠心分離することで、血小板を多く含んだ「血漿」という部分を分離します。そして患部へ注射し、疾患の治癒・症状の軽減を目指します。

宇南山先生

大まかな流れはそれで合っています。入院や麻酔の必要はありません。来院していただき、まずは医師の診察によって症状などを確認します。その後、採血をして血漿を分離するプロセスを経て（約3週間）、再度来院していただき、患部に注入するだけです。注入にかかる所要時間は5～10分程度で、当日は歩いて帰宅できます。

宇南山先生

PRP療法の技術を応用した治療法が、PFC-FD療法です。「患者自身の血小板の治癒力で治療を図る」という点では同じですが、細かなプロセスが若干異なります。

宇南山先生

PFC-FDとは、血小板由来因子濃縮物のフリーズドライ加工の略称です。PRP療法は血小板を多く含んだ血漿を患部へ注射しますが、PFC-FD療法ではPRP（多血小板血漿）を活性化させ、PFC（血小板由来因子濃縮物）を作成します。このPFCを無細胞化した上で、フリーズドライ加工したものがPFC-FDです。PFC-FDは、血小板を高濃度で濃縮しているため、組織の修復を促す成長因子がPRPの約2倍含まれていることがわかっています。

宇南山先生

膝関節や股関節などの変形性関節症、膝蓋腱炎や膝窩筋腱炎などの腱の痛み、腱鞘炎や靭帯損傷、肉離れなどに対して効果が期待できます。

宇南山先生

それだけではありません。成長因子が多いという以外にも、例えば「注射後の痛みがPRP療法よりも少ない」「フリーズドライ加工がされているので、成長因子の濃度が経時的に低下しない」などのメリットが挙げられます。

宇南山先生

PFC-FD療法に限ったデメリットではないのですが、「自己治癒力を活性化するため、注射後数日は腫れや痛みが出現する場合がある」「治療効果には個人差がある」「ステロイド治療をしている人をはじめとする、一部の人にはおこなうことができない」などが挙げられます。

宇南山先生

「血小板が機能不全を起こしていたり、血小板が減少したりしている人」「抗凝固剤などを服用している人」「感染しやすい人やすでに感染兆候がある人」などには使えません。

宇南山先生

はい。人によって、高い効果が出る場合とそこまで効果が感じられない場合があります。また、効果の程度だけでなく、効果が出るまでの期間や効果の持続期間にも個人差があります。

宇南山先生

効果は約半年～2年持続すると言われています。また、効果が出るまでの期間は、組織の修復がはじまる1週間～6カ月と幅があります。

宇南山先生

少しでも効果がある場合は、半年くらい空けてから再度治療しても問題はありません。ただし、この半年間の期間を設けるというのも絶対ではないので、「一度治療を受けて楽になったので、またやりたい」という人は、担当医に相談してみることをおすすめします。

宇南山先生

保険が適用されず自費診療となるため、費用は医療機関によって異なります。当院の場合、1部位につき約17万円です。血液検査料、治療後1回分の診察、リハビリの費用も含まれます。

宇南山先生

たしかに、少し不安になりますよね。しかし、PFC-FD療法は自身の血液を採取後、清潔な状態で「セルソース再生医療センター」に搬送され、PFC-FDを作成しますので、安全であると考えます。セルソース再生医療センターは、「特定細胞加工物製造許可施設」として、厚生労働省からの認可も受けていますので、安心して治療を受けていただきたいと思います。

宇南山先生

PFC-FD療法は、入院や麻酔の必要がなく、疾患の治癒や痛みの軽減が期待できる優れた治療法です。しかし、例えば変形性関節症の場合、末期になればなるほど、残された軟骨が少なくなっていくので、期待できる効果も少ないと考えられます。軟骨が残っているうちに治療するのがおすすめなので、痛みに悩んでいる人は先延ばしせず、できるだけ早く医療機関に相談してみましょう。PFC-FD療法は高額療養費制度の対象にもなっているので、ぜひご活用ください。