「眼精疲労」の症状・セルフチェック法はご存知ですか?医師が監修!
時代とともにITへの進歩が進み、私たち現代人の生活にスマートフォンをはじめとした電子機器は欠かせない存在です。
多くの方は日頃からスマートフォンやパソコンを使う機会が多く、目を酷使する生活が多いでしょう。
目を酷使しすぎると「目が疲れた・重い」などという、感覚を感じたことがある方もいるのではないでしょうか。その状態は一時的な疲れではなく、眼精疲労かもしれません。
この記事では眼精疲労の症状をはじめ、原因・なりやすい方・予防などについてご紹介します。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
目次 -INDEX-
眼精疲労の症状
眼精疲労とはどのような状態を指すのでしょうか?
目の構造は、カメラと同じ構造をしているといわれています。目で見た光は角膜・瞳孔・水晶体・硝子体などを通り、フィルムの役割をしている網膜に到達します。その後、視神経を通じて脳に伝えられ、普段私たちが見ている景色を認識している状態となるのです。しかし、角膜・水晶体・視神経などが異常をきたし、正常な働きが困難になった場合に「目の疲れ」などを感じる眼精疲労となって現れてきます。
眼精疲労は目の状態悪化だけではなく、頭痛・吐き気・肩こりなど全身の状態にも悪影響を及ぼす可能性が高いです。
具体的な症状を教えてください。
- 疲れ
- 痛み
- 重さを感じる
- かすむ
- 乾く
- チカチカする
これらの症状を感じる場合、眼精疲労が起こっているかもしれません。また目のピントは目の構造の中にある、毛様体筋が収縮することでピントが合わさります。目が疲れたり重かったりする状態で光を見ようとすると、毛様体筋は糸を張ったような状態となり緊張状態が続きます。
その状態で光を見続けることで筋緊張性頭痛(頭蓋骨の周りの筋肉が持続的に収縮を起こす頭痛)が起こる可能性や、光をよく見ようと姿勢が悪くなることで、肩こりの症状を引き起こすことにも繋がるのです。
片目だけの場合もありますか?
目のレンズ部分の厚みが異なることで左右差が生まれ、その左右差のことを不等像視と呼ぶのです。左右の視力差が大きい場合メガネで無理に矯正することで、片目だけに負荷がかかりやすくなるため、眼精疲労は避けられないでしょう。
また、片目だけにコンタクトレンズを入れ視力の左右差を緩和する場合、涙分泌機能が低下しドライアイを発症してしまう可能性もあります。このように、眼精疲労は両目だけではなく、片目だけに起こる事態が十分に考えられます。
放置するリスクはありますか?
眼精疲労は目を休めたり、目薬を指したりなどして一時的に症状がよくなったと感じても、根本的な改善を行わなければ解消されません。
放置することで症状が軽くなることは考えにくいので、目に何かしらの異常をきたしたのなら、まずは眼科などの専門機関を受診しましょう。
眼精疲労の原因と対処方法
どのようなことが原因になりますか?
- 何かしらの病気の場合
- 器質的眼疾患のない場合
- 目に影響を与える環境
- 心理的影響
まず目に関する多くの病気の症状として、緑内障・白内障・ドライアイなどがあり、これらの病気は眼精疲労と大きく関係があります。緑内障とは、眼圧が高くなり視神経の圧迫を起こす状態です。白内障は、加齢とともに誰にでも現れやすい病気として知られています。
年々悩みを抱える方が多いドライアイは、現代にとって深刻な病気です。日常から目を酷使することで瞬きの回数が減り、角膜上の涙が蒸発しドライアイを引き起こします。器質的眼疾患のない場合とは、近視・遠視・乱視・老眼などで目に屈折異常があるとピントが合わず、毛様体など目の周囲の筋肉は緊張状態が続きます。屈折異常を補うためにメガネやコンタクトレンズを使用していても、度数が合っていないとピントは合わず緊張状態は改善されず、あまり意味がないでしょう。原因に伴い、屈折性眼精疲労や不等像性眼精疲労などに分類されます。
目に悪影響を与えることでいえば、近年深刻な問題になっている、VDT症候群が眼精疲労を引き起こす要因として挙げられます。VDT症候群とは、パソコンやスマートフォンなどの電子機器を長時間使用することで引き起こされる目の症状です。画面の明るさや使うときの姿勢なども関係しています。VDT作業の目の疲れは、テレビなどの映像をただ見ているときとは比べ物にならないくらい、極端に瞬きの回数が減りドライアイも引き起こされやすい事態です。
心理的影響では、私たち人間は内分泌系・自律神経系(神経系)・免疫系のバランスを保とうとするホメオスタシスの機能が備わっています。目の疲れなどを放置することで眼精疲労となり、次第に頭痛・高血圧・血行不良などの全身疾患に結びつきます。そして生活に支障をきたし始め、ストレスを感じやすくなり精神的にも影響が出てくる可能性が高いです。
眼精疲労にはさまざまな原因が考えられますが、1つのことが要因となり引き起こされるわけではなく、いくつもの要因が重なることで引き起こされることも考えられます。
眼精疲労になりやすいのはどんな人ですか?
受診の目安を教えてください。
- 目が疲れやすい
- 目に痛みを感じる
- 目が見えにくい
- 充血が起こっている
上記のように目に何らかの異常を感じている・起きている場合は、すみやかに眼科などの専門機関を受診することをおすすめいたします。視力検査をはじめ、眼圧や眼底などの検査を行うことで、眼精疲労に繋がる原因が発見されるでしょう。
早期受診により適切な治療が受けられ、目の健康を守ることにも繋がります。どんなに些細な目の症状でも違和感を感じていたら、決して放置せずに専門機関を受診しましょう。
眼精疲労の予防方法と注意点
予防のポイントはありますか?
VDT機器を使用したあとなどに、ビタミン剤が配合された点眼薬の使用をすることで眼精疲労の緩和に有効である場合もあります。
また、冷暖房が目に当たらない・ストレスを溜めない・睡眠をしっかりとるなど、生活習慣の改善も眼精疲労を予防するポイントの1つです。目周りを温め筋肉をほぐしたり、マッサージ行ったりなども効果的となりますので、目を多く使った日はしっかり労わりましょう。
目の健康は普段の食事からも予防が可能です。目の働きによいとされている、アントシアニン・ルテイン・DAD/EPAを含む食材を取ることもおすすめです。
セルフチェックの方法はありますか?
- いつもより目が疲れる
- 目が乾燥したり痛みを感じたりする
- 物が見えづらい
- VDT機器をよく使用する
- 目を使うと頭痛や吐き気が起こる
- 緑内障や白内障がある
上記の項目が1つでも当てはまる場合、眼精疲労が起こっている可能性は高いでしょう。気のせいとは考えずに、まずは専門機関にて検査や医師に相談をし、早期治療にのぞみましょう。
眼精疲労を感じたときの注意点を教えてください。
眼精疲労は自然には回復しません。目の異常から全身の疾患を引き起こしたあとに治療を行うと、回復するまで長引く恐れがあります。
また、度数の合わないメガネやコンタクトレンズを使い続けている方も注意が必要です。目の異常を自覚し、早期の対処を行うことで眼精疲労を防ぐことになるでしょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします
些細な目の症状でも軽視せず、異常を感じたら眼科などの専門機関へ受診しましょう。初めは軽い症状でも、放置してしまうことで悪影響が積み重なり、取り返しのつかないことが起こるかもしれません。
目の健康を守れるのはご自身だけです。日頃から目を労わり、目の健康を守っていきましょう。
編集部まとめ
眼精疲労は始めは軽い目の疲れからはじまるかもしれませんが、放置してしまうことで事態は悪化します。
眼精疲労の原因をしっかりと把握し、対処を行いましょう。また、眼精疲労にならないためにも日頃から予防が重要となります。
日々の目によいことの積み重ねが、未来の目の健康に繋がります。目は一生を共にする大切な身体の一部です。
未来のためにも今一度、ご自身の目について考えてみてはいかがでしょうか。