「偏頭痛(片頭痛)」を発症する原因はご存知ですか?医師が監修!
偏頭痛(片頭痛)はストレスや周囲環境の影響で頭の血管が拡張し、強い頭痛を引き起こす疾患です。
実際に患者でなければ通常の頭痛と変わらないと捉えられがちですが、痛みの他にめまいや吐き気まで併発することがあるため見た目以上の辛さを感じるでしょう。
そこでこの記事では偏頭痛(片頭痛)の概要を踏まえ、事前の予防策や発症した際の適切な対処方法をご紹介していきます。
原因を特定できれば根本の解消も目指せるので、ぜひ参考にしてみてください。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
偏頭痛(片頭痛)とは?
偏頭痛(片頭痛)とは病気なのでしょうか?
偏頭痛(片頭痛)はズキズキと脈を打つような痛みに襲われ、症状が重い方は少し歩くだけでも吐き気やめまいを起こすほど悩まされます。なかには太陽光などの強い光や、周囲の物音が苦痛だと感じる方も多く、日常生活を左右しかねない病気です。痛みそのものが非常に強く表れるので、適切な対処なしに回復していくことは困難だといえます。
発症する原因は何ですか?
- 仕事などで強いストレスを感じる
- もともと高血圧で血管への負荷が大きい
- 過度な睡眠で副交感神経が優位になる
人間はストレスを感じた際に「セロトニン」というホルモン物質が血管中に多く分泌します。このセロトニンは血管の収縮と拡張を繰り返すことが知られており、よくある発症原因のひとつとなっています。
先にご紹介した光や騒音による頭痛も、このセロトニンが関与しているためと考えていいでしょう。未確定なところが多い病気ですが、根本の原因を特定すると対処もしやすくなっていきます。
女性に多いイメージなのですが、男女で差はあるものですか?
特に深く関与しているのは、月経周期でホルモンバランスが乱れるということです。そのなかでもエストロゲンという卵巣ホルモンの一種による影響が大きく、女性の偏頭痛(片頭痛)患者の60%がこれに該当しているという結果があります。
他にも女性の方が痛みに敏感であったり、更年期でも頭痛を訴えたりと、身体の構造が大きく異なるため患者の割合に差が出ています。
偏頭痛(片頭痛)になりやすい人の特徴や年齢などあれば教えてください。
- 頻繁に飲酒や喫煙を繰り返す方
- 遺伝的に片頭痛を発症しやすい家系
- 月経周期の影響を大きく受けやすい方
- 上記に当てはまる10代から50代の方
偏頭痛(片頭痛)は比較的若い世代に多く、50代を超えてから初めて発症するケースは稀です。遺伝的に発症しやすい方もいるので、両親に偏頭痛の疑いがある場合は注意してください。
偏頭痛(片頭痛)のリスクや診断方法
偏頭痛(片頭痛)を放置するリスクを教えてください。
これは偏頭痛(片頭痛)の発症原因となるわずかな要素に触れるだけで、脳が過敏に反応し症状を引き起こしてしまうという症状です。耳鳴りやめまいなどに頻繁に悩まされるようになり、まともな生活が遅れなくなってしまいます。
そのため偏頭痛(片頭痛)をよくある症状だと軽視せず、医学的に適切な処置を行うことを推奨しています。市販薬を服用して我慢するだけでは、後々大きな障害を引き起こすリスクが非常に高いです。できるだけ早めの対応が求められます。
どのように診断されるのでしょう?
- 頭痛を感じる前に視界にキラキラした光が見えることはあるか
- 4時間から72時間頭痛が続くことはあるか
- 頭の片方だけが痛んだり、脈を打つような痛みを感じたりするか
- めまいや嘔吐に悩まされることはあるか
どのような前兆を感じるかは人それぞれといわれています。しかし一般的には「頭痛が来る」という予感を味わう方が多く、妙な脱力感に襲われるケースもよくみられます。ご自身がどのような場面で頭痛を引き起こしやすいかを明確にしておくと、正確な診断を行いやすいです。
偏頭痛(片頭痛)の治療方法や過ごし方
偏頭痛(片頭痛)の治療方法が知りたいです。
ひとつは頭痛が起こったときに長引かせないようにする治療です。偏頭痛(片頭痛)は長時間悩まされることが多いので、鎮痛成分を重視した内服薬を処方します。
もうひとつが前兆が表れた際に投与する予防的な治療です。頭痛とともに併発する症状を抑えたり、もし発症しても軽減させたりできます。
ただし、あまりに多くの薬を服用してしまうと、薬物による頭痛を引き起こしてしまうことがあります。体質に合ったものか、適切なタイミングで取り入れているかなどを確認しながら治療していきましょう。
完全に治すのは難しいのでしょうか?
ストレスから来る方はできるだけリラックスできる時間を設けること、睡眠過剰な方は決まった時間に太陽光を浴びるなど、取り組み方は様々です。遺伝的に偏頭痛(片頭痛)を発症しやすい方でも、脳の血管に負荷のかかるような行動を控えるだけで完治を目指せます。
痛みが酷いときの過ごし方を教えてください。
また医師から鎮痛薬を処方されている場合は服用しましょう。無理に身体を動かさず、可能であれば横になれる場所で頭痛が引くのを待ちます。状況によっては難しいこともあると思いますが、くれぐれも我慢し過ぎないように注意してください。
偏頭痛(片頭痛)の人を周囲でサポートするときはどんな事をしたら良いのでしょう?
少し身体を動かすだけで辛い方もいるので、無理に行動させず安静にできる環境を整えてください。患者の多くは「周囲に頭痛の痛みを共感してもらえない」というストレスを抱えています。
このためより一層偏頭痛(片頭痛)から抜け出せなくなり、深い痛みに追い込まれてしまう負のループが繰り返されてしまうのです。患者を責めることはせず、寄り添ってあげてください。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
そのため偏頭痛(片頭痛)と疑われる症状がみられた際には専門医に相談して、必ず適切な処置を施すようにしましょう。受診は内科を基本とし、脳神経外科や脳神経内科でも行っています。発生の原因を特定すれば根本から解消していくこともできるので、早めの対応を心がけてください。
編集部まとめ
偏頭痛(片頭痛)は痛みが激しいうえに、発症の原因となり得る要素は日常生活に多く存在している厄介な疾患です。
長期間市販の鎮痛剤で対処していると効き目も落ちてくるほか、慢性化の恐れもあるため危険だということが確認できました。
しかし頭痛だけで病院を受診することに抵抗があったり、痛みが激しいにもかかわらず周囲に相談できなかったりと、まだまだ一般の認識が薄いものでもあります。
ご紹介した内容を踏まえて偏頭痛(片頭痛)の疑いがあると感じた方は、迷わずに専門医を受診するようにしてください。
参考文献