「水痘(みずぼうそう)」とは?ワクチンや帯状疱疹との違いについて解説!
子どもの頃に経験したことがある人もいる「みずぼうそう」は、医学名で水痘といいます。全身にみられる水ぶくれを伴った発疹が特徴です。
大人になってから発症すると、症状が強く出ることがあり、重症化のリスクも高くなります。感染力が強く、重症化することもあるため、小児期のワクチン接種が推奨されています。
今回は、水痘はどのような病気か、症状や原因、治療法、受診科目などを紹介します。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
水痘とは
水痘とはどのような病気ですか?
感染力の強いウイルスで、接触感染、飛沫感染、空気感染によって広がり、園や学校では感染力のある期間は出席停止となります 。感染してから発症するまでの潜伏期間は約2週間です。 水痘ワクチンの接種により、発症および重症化の予防が可能な病気です。
帯状疱疹との違い
帯状疱疹とは違うのですか?
ウイルスは水痘の症状が治まったあとも背骨周囲の神経に潜み続けます。加齢やストレス、疲れなどによって体の抵抗力が落ちたときに、潜んでいたウイルスが再び活発になって発症するのが「帯状疱疹」です。
「水痘」も「帯状疱疹」も発疹が水ぶくれになり、一部の発疹は膿を持ってやがてはかさぶたになる経過は同じですが、発疹の現れ方に違いがあります。「水痘」は全身に発疹が現れますが「帯状疱疹」は体の左右どちらかに、神経の走行に沿って帯状に発疹が現れます。
水痘の症状
水痘の症状を教えてください
発疹の症状は、発疹が起こる部位の赤みから始まり、水ぶくれ、膿を含んだ水ぶくれを経てかさぶたと経過するのが典型例です。それぞれの段階の発疹が混ざってみられるのが特徴で、すべての発疹がかさぶたになると治癒したとみなされます。
大人の場合は、子どもに比べて発熱や倦怠感の症状が強く現れる傾向にあり、重症化すると肺炎などの合併症を伴う危険性もあります。妊娠初期に感染すると、約2%の胎児が低体重で生まれ、四肢の形成不全、小頭症、脳炎、白内障などをきたす先天性水痘症候群になることが分かっています。
水痘の原因
水痘の原因は何ですか?
空気感染
空気感染とはどのような感染ですか?
飛沫感染
飛沫感染とはどのような感染ですか?
接触感染
接触感染とはどのような感染ですか?
水痘の受診科目
水ぶくれや発熱などの症状が現れたら何科を受診すればいいですか?
子どもの場合、発熱などの全身症状が強くみられる場合や、もともと治療中の病気によって免疫力が低下している場合、1歳以下の場合は重症化のリスクがある ため、かかりつけの小児科を受診しましょう。
成人は重症化しやすいため、なるべく早くに内科、皮膚科を受診してください。水ぶくれはあとが残りやすいため、全身状態が安定している場合は皮膚科にかかるのも良いでしょう。
水痘の検査
水痘ではどのような検査を行いますか?
水痘の性差・年齢差
水痘に性差・年齢差はありますか?
水痘の治療法
水痘の場合どのような治療を行いますか?
外用薬
外用薬による治療について教えてください。
発疹から二次的な細菌感染が起こったときには抗生物質の塗り薬を用います。
内服薬
内服薬の治療について教えてください。
症状に対する治療として、高熱時に解熱薬、かゆみが強いときには抗ヒスタミン薬も使われます。子どもでは、解熱薬のアスピリンで急性脳症や肝機能障害をきたすライ症候群と呼ばれる重篤な副作用を生じるため、注意が必要です。
二次感染が起こったときには抗生物質の投与を行います。
ワクチン
水痘のワクチンについて教えてください。
2014年10月1日から定期接種の対象となりました。 1回目は生後12月から生後15月までの間に接種し、2回目は1回目の接種後3月以上たってから接種します。
編集部まとめ
水痘は水ぼうそうとも呼ばれ、全身に水ぶくれを伴った発疹ができる病気です。水痘・帯状疱疹ウイルスの感染で発症し、通常では1週間程度で発疹がかさぶたになって自然に治ります。発熱などの全身症状がみられることもあり、免疫が低下している子どもや1歳以下の乳児、大人の場合は重症化するリスクが高くなります。
子どもの場合は、かかりつけの小児科や皮膚科、大人の場合は内科や皮膚科にかかりましょう。発症から48時間以内では、症状を緩和する抗ウイルス薬の治療も可能です。
参考文献