「春の鯛(桜鯛)」は真鯛と何が違う?栄養や食べる時の注意点も管理栄養士が解説!

春の鯛は普通の鯛とどう違う?メディカルドック監修管理栄養士が栄養素・健康効果・保存方法について解説します。

監修管理栄養士:
流田 春菜(管理栄養士)
目次 -INDEX-
鯛とは?

鯛について
鯛は、スズキ目タイ科に属する魚で、北海道以南~南シナ海北部、朝鮮半島南部、台湾などの温暖な海域を好み、沿岸部から水深100メートルを超える深場まで広く分布しています。天然の鯛は長崎県や福岡県、愛媛県など西日本で多く水揚げされ、養殖は愛媛県、熊本県、高知県などで盛んにおこなわれています。
ぷりぷりとした食感と甘みが特徴の刺身、脂と旨味が引き立つ塩焼き、甘辛い味でふっくらしっとり食感の煮付け、などさまざまな調理法で食べられています。
また、昔から鯛は「めでたい」という言葉にかけられ、お祝い事に欠かせない魚としても親しまれてきました。赤い体色が紅白を連想させることも、鯛が縁起物とされる理由の一つです。結婚式やお食い初めなど「ハレの日」に供される代表的な魚として日本人に愛されています。
桜鯛について
鯛は春から夏の暖かい季節に産卵期を迎え、産卵前の3月から5月頃に水揚げされる真鯛を「桜鯛」と呼びます。この時期の真鯛は体色が赤からピンク色に変化し、オスは顔の周りに白い斑点が現れます。桜の時期に水揚げされること、ピンク色や白い斑点模様から桜を連想することなどが名前の由来です。
鯛に含まれる栄養素

たんぱく質
日本食品成分表(八訂)増補2023年によると、真鯛(養殖・生)100g当たりのたんぱく質は20.9gです。たんぱく質は筋肉や臓器、髪や爪などをつくる元になる栄養素で、ホルモンや免疫物質の材料にもなります。たんぱく質の推奨量は日本人の食事摂取基準(2025年版)
によると以下の通りに設定されています。
・成人男性(18~64歳) 65g/日
・成人女性(18~64歳)50g/日
・妊婦(初期)50g/日(中期)55g/日(後期)75g/日 授乳婦70g/日
ビタミンD
日本食品成分表(八訂)増補2023年によると、真鯛(養殖・生)100g当たりのビタミンDは7.0㎍です。ビタミンDは脂溶性ビタミンのひとつで、骨や歯をつくることを助ける働きのある栄養素です。日本人の食事摂取基準(2025年版)によると一日の摂取目安量は18歳以上9.0㎍とされています。
カリウム
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年によると、真鯛(養殖・生)100g当たりのカリウムは450mgです。カリウムは体内の浸透圧を調整し、摂り過ぎたナトリウムの排出を促す働きがあるため、血圧の維持にも関与しています。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、18歳以上の目安量は男性2500mg、女性2000mgとされており、生活習慣病予防の観点からはより多い摂取が望ましい目標量(男性3000mg、女性2600mg)も示されています。なお、腎機能が低下している方などカリウム制限が必要な場合は、医師や管理栄養士に相談しましょう。
脂質
日本食品成分表(八訂)増補2023年によると、真鯛(養殖・生)100g当たりの脂質は9.4gです。脂質はエネルギー源であり、脂溶性ビタミンの吸収を助ける働きがあります。また、青魚に多く含まれることで有名なDHAやEPAといった多価不飽和脂肪酸が鯛にも含まれています。DHAやEPAはn-3系多価不飽和脂肪酸の一種で、中性脂肪の低下に関与することが報告されています。LDLコレステロールやHDLコレステロールへの影響については個人差や摂取量によって異なりますが、血小板の凝集を抑える作用などを通じて血栓形成の抑制に関与するとされています。そのため、動脈硬化や心血管疾患リスクの低減との関連が示唆されています。なお、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年によると、真鯛(養殖・生)100g当たりのDHAは780mg、EPAは520mgです。
セレン
日本食品成分表(八訂)増補2023年によると、真鯛(養殖・生)100g当たりのセレンは36㎍です。セレンは微量ミネラルで、グルタチオンペルオキシダーゼという酵素を構成する成分の一つです。抗酸化作用があり、皮膚の状態を健康に保つ働きがあります。日本人の食事摂取基準(2025年版)によると、一日の摂取推奨量は18歳以上の男性で30~35㎍、女性で25㎍(妊婦+5㎍・授乳婦+20㎍)です。
| 栄養素 | 含有量(100gあたり) | 主な働き |
|---|---|---|
| たんぱく質 | 20.9g | 筋肉、皮膚、免疫物質の材料 |
| カリウム | 450mg | 塩分排出、血圧の維持 |
| ビタミンD | 7.0㎍ | 骨や歯の形成を助ける |
| セレン | 36㎍ | 抗酸化作用、皮膚の健康維持 |
| n-3系不飽和脂肪酸 | DHA 780mg / EPA 520mg | 中性脂肪低下、血栓予防 |
春の鯛(桜鯛)は鯛(真鯛)に比べ何の栄養が豊富?

季節によって特定の栄養素が有意に増えるという科学的データはありません。ただし、桜鯛は産卵前で栄養を蓄えていると考えられ、身が引き締まり味がいいとされています。
春の鯛(桜鯛)の健康効果

筋肉づくり
たんぱく質は鶏むね肉(100g当たり20.6g)と同程度の量含まれています。また、アミノ酸の組成も見てもBCAAと言われるバリン・ロイシン・イソロイシンが含まれており、筋肉づくりに効果を発揮します。
抗酸化作用
活性酸素分解酵素の構成成分であるセレンや、抗酸化作用のあるビタミンが含まれており、老化予防が期待できます。
血栓形成抑制作用
DHAやEPAなどのn-3系多価不飽和脂肪酸は、血小板の凝集を抑える作用が報告されており、血栓形成の抑制に関与するとされています。
骨を丈夫に
ビタミンDには、カルシウムが骨や歯を形成するのを助ける働きがあります。
春の鯛(桜鯛)を食べる時の注意点

骨が刺さらないように注意
骨が喉に刺さることがあります。大きな骨の場合は病院で処置してもらう必要があります。特に子どもや高齢者が食べる時には骨の処理を丁寧におこない、口に入れる大きさを小さくし、よく噛んで食べるようにしましょう。
寄生虫に注意
魚にはアニサキスなどの寄生虫が存在することがあり、鯛も例外ではありません。寄生虫は主に内臓に多いものの、時間の経過とともに筋肉部分へ移動することもあるため注意が必要です。白子を含む内臓を生で食べることは避け、十分な加熱または適切な冷凍処理を行いましょう。なお、酢やワサビでは寄生虫は死滅しません。加熱する場合は中心部が60℃以上で1分以上となるようしっかり火を通すことが大切です。
プリン体の過剰摂取に注意
プリン体は細胞の核酸に含まれる成分で、体内で分解されると尿酸になります。通常量の摂取であれば過度に心配する必要はありませんが、高プリン体食品を大量に摂取すると尿酸値の上昇につながり、痛風発作の誘因となることがあります。真鯛のプリン体は100g当たり128.9mgとされており、痛風予防の観点からは1日のプリン体摂取量を400mg以下に抑えることが目安とされています。特に高尿酸血症や痛風の既往がある方は、量や頻度に注意しましょう。
春の鯛(桜鯛)の栄養素を効率的に摂取する方法

生
刺身は加熱による栄養素の損失が少なく、鯛本来の風味や食感を楽しめる食べ方です。ただし、たんぱく質は加熱によって変性することで消化酵素が作用しやすくなるため消化機能が低下している方や子ども、高齢者は体調に合わせて加熱調理も選びましょう。昆布締めにすると、鯛に含まれるイノシン酸と昆布のグルタミン酸の相乗効果で旨みが高まり、水分が適度に抜けて味が凝縮されるため、より美味しく食べることができます。
焼く
DHAやEPAのような多価不飽和脂肪酸は脂なので、目の周りのドロッとした部分や皮の近くなどに多く含まれています。焼き魚で食べる際には、うろこをしっかりと取り、皮ごと食べると効率的にDHAやEPAを摂取することができます。
煮る・蒸す
カリウムには加熱すると溶け出す性質がありますが、スープや鯛めし、煮魚といった調理法では溶けだした栄養素も一緒に摂取することができるのでおすすめです。ただし、カリウム制限がある方は医師や栄養士にご相談ください。
春の鯛(桜鯛)の保存方法や期間

冷蔵・冷凍保存
購入後すぐに10度以下で冷蔵保存することで鮮度を保つことができます。短期保存の場合は冷蔵庫のチルド室で1~2日、長期保存の場合は内臓と鱗を取り除きラップや保存袋で密閉して冷凍し2週間以内に消費するようにしましょう。また、調理時には流水で丁寧に洗い血合いを落とし、調理直前に塩を振って余分な水分をキッチンペーパーで拭き取ることで臭みを取ることができます。
昆布締め
切り身にし、酒で湿らせた昆布で挟むことで昆布締めとして2日ほど冷蔵保存することができます。鯛のイノシン酸、昆布のグルタミン酸、旨味の相乗効果でおいしくなります。
| 保存方法 | 期間の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 冷蔵(チルド室) | 1 〜 2日 | 購入後すぐに10度以下で保存。 |
| 昆布締め | 約 2日 | 酒で湿らせた昆布で挟む。旨味が増す。 |
| 冷凍 | 約 2週間 | 内臓と鱗を除き、密封して保存。 |
「春の鯛」についてよくある質問

ここまで鯛について紹介しました。ここでは「春の鯛」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
鯛の旬は春でしょうか?
流田 春菜
春と秋に旬を迎えます。産卵を終え、また脂がのってくる秋の鯛はもみじ鯛と呼ばれます。どちらも同じ真鯛ですが季節によって桜鯛、もみじ鯛と呼び名が変わります。
まとめ
高たんぱくで栄養価も高く、離乳食初期からお年寄りまで召し上がっていただける魚です。名前もめでたく、お祝いにぴったりな桜鯛。和風の料理だけでなく、カルパッチョやアクアパッツァなどもおすすめです。ぜひ美味しく召し上がってください。
「鯛」と関連する病気
「鯛」と関連する病気は3個ほどあります。
各病気の詳細などはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
内科・消化器内科系の病気
- 腸炎ビブリオ
耳鼻咽喉科・頭頸部外科の病気
- 魚骨異物
整形外科の病気
「鯛」と関連する症状
「鯛」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状の原因などはリンクから詳細記事をご覧ください。
鯛に関連する症状
- 消化不良
- 下痢
- 痛風



