「ゆで卵」と「生卵」どっちが“たんぱく質”の吸収が良い?食べ過ぎのリスクも解説!

卵のたんぱく質量は?メディカルドック監修医が栄養素・健康効果・食べ過ぎて現れる症状・効率的な摂取方法・保存方法などについて解説します。

監修管理栄養士:
山口 恵里(管理栄養士)
目次 -INDEX-
卵とは?

鳥や虫、魚などの雌が産む、殻や膜に包まれた球形のもので孵化すると子になるものです。
食用として流通しているものは、ほとんどが「鶏卵」で、そのほか「うずら」の卵や「あひる」の卵などがあります。特に「鶏卵」はたんぱく質のアミノ酸がバランス良く含まれています。
卵1個のたんぱく質量はどれくらい?

鶏卵の100gあたりのたんぱく質は12.2g、また、うずらの卵は100gあたり12.6gのたんぱく質を含んでいます。一方で「あひる」の卵を草木灰でおおい、数か月かけてアルカリを卵の中に浸透させて作る中国料理の「ピータン」は100gあたり13.7gたんぱく質が含まれています。
| 卵の種類 | たんぱく質量(100gあたり) |
|---|---|
| ピータン(あひる) | 13.7g |
| うずらの卵 | 12.6g |
| 鶏卵(生) | 12.2g |
ゆで卵1個・温泉卵(半熟卵)のたんぱく質量は?

日本食品成分表(八訂)増補2023年によると、鶏卵(ゆで)100gあたりのたんぱく質は12.5gです。ゆで卵1個のたんぱく質量は、卵のサイズによって変わりますが、一般的には以下の通りです。温泉卵1個のたんぱく質量は約6.3gです。
| 卵のサイズ(重量) | たんぱく質量(ゆで卵1個あたり) |
|---|---|
| Lサイズ(約70g) | 約8.0~8.8g |
| Mサイズ(約60g) | 約7.3~8.0g |
| Sサイズ(約50g) | 約5.8~6.5g |
うずらの卵のたんぱく質量はどれくらい?

うずらの卵は1個10g前後で鶏卵の約4分の1の大きさです。うずらの卵は生の状態のものを蕎麦やとろろに落として食べたり、ゆで卵として煮物や炒め物にいれて食べることが多いです。生のうずらの卵1個にはたんぱく質が約1.26gのたんぱく質が含まれています。また、うずらの卵の水煮缶詰には1個約1.1gのたんぱく質が含まれています。
卵に含まれる栄養素

卵に含まれる栄養素では、生産・消費ともに最も一般的とされている鶏卵の栄養素を紹介します。また、卵黄と卵白では栄養成分が大きく異なります。
たんぱく質
たんぱく質は20種類のアミノ酸からできており、そのうち9種類は「必須アミノ酸」と呼ばれるもので体内で作ることができません。そのため食事から摂る必要があります。食品に含まれるたんぱく質がこの9種類の必須アミノ酸をどれだけバランス良く含んでいるかの評価基準として「アミノ酸スコア」という指標があります。スコアが100点に近いほど「良質なたんぱく質」とされています。
鶏卵はこの「アミノ酸スコア」が100点のため、バランスよく「必須アミノ酸」を含んでいるということになります。また、鶏卵のたんぱく質は脂質と結合した「リポたんぱく質」として存在しています。
脂質
鶏卵に含まれる脂質量は、全卵で100gあたり約10g前後です。脂質のほとんどは卵黄に含まれており、卵黄100gあたりでは約33?36g程度の脂質を含んでいます。一方、卵白には脂質はほとんど含まれていません。
卵黄に多く含まれる脂質には、コレステロールやレシチン(リン脂質の一種)があります。コレステロールは卵黄100gあたり約1,200mg含まれており、細胞膜の構成成分となるほか、ホルモンや胆汁酸の材料として体内で重要な役割を果たしています。
また、レシチンは脂質代謝に関与する成分として知られており、血中コレステロールのバランスを整える働きがあると考えられています。これらの成分は、適量を摂取することで健康維持に役立つとされています。
ミネラル
卵黄に含まれる主なミネラルにはセレンや鉄、カルシウムがあります。卵白にもセレンや鉄、カルシウムは含まれておりますが、その量はごくわずかです。セレンは抗酸化作用のある酵素の成分として注目されており、免疫機能の維持に関与しています。
ビタミン(脂溶性)
脂溶性ビタミンは油に溶けやすく、体内に蓄積されやすいビタミンです。
視力、皮膚粘膜の健康に関わるビタミンAやカルシウムの吸収に関わるビタミンD、抗酸化作用のあるビタミンEなど、特に卵黄に多く含まれています。
ビタミン(水溶性)
水溶性ビタミンは水に溶けやすく、体内に蓄積されにくい性質があるため、尿中に排出されやすく、毎日こまめに摂取することが大切です。
卵には、糖質の代謝に関わるビタミンB1、脂質やたんぱく質の代謝を助けるビタミンB2、補酵素として代謝全般に関与するパントテン酸、皮膚や粘膜の健康維持に関わるビオチンなど、ビタミンCを除く多くの水溶性ビタミンが含まれています。ただし、含有量は野菜や豆類などの食品と比べると多いわけではありません。
水溶性ビタミンは加熱や調理過程で水に溶け出しやすいため、ゆで汁ごと食べられる料理や、電子レンジ調理などを活用することで、栄養素の損失を抑えることができます。
卵の健康効果

卵の健康効果では、生産・消費ともに最も一般的とされている鶏卵を食べることによる健康効果を紹介します。
筋肉や免疫力のサポート
卵は良質なたんぱく質がバランス良く含まれており、筋肉の維持や修復、免疫細胞の生成、ホルモンや酵素の材料として重要な役割を担っています。
骨や歯の健康をサポート
卵は数少ないビタミンDを含む食品の1つです。ビタミンDはカルシウムやリンの吸収に必要なたんぱく質の合成を活性化することで、カルシウムの吸収を助ける働きがあります。また、カルシウムの骨への沈着を助ける作用もあるため丈夫な骨や歯をつくります。そのため、骨粗鬆症予防にも効果が期待できます。
目の健康を守る
卵黄には抗酸化作用のあるカロテノイド(ルテイン・ゼアキサンチン)が含まれており、加齢黄斑変性などの目の病気予防に役立つとされています。
脳の働きをサポート
卵黄に含まれる脂質のうち30%は複合脂質で、その主なものは「リン脂質」と呼ばれる脂質の一種です。この「リン脂質」は認知症や老化などを防止するという研究が進み、注目されています。さらに「リン脂質」の80%がホスファチジルコリン(レシチン)で水と油を混ぜる性質があり、乳化剤として知られています。
ホスファチジルコリンに含まれる「コリン」は神経伝達物質の1つの「アセチルコリン」の材料となり、脳や神経などの情報伝達に不可欠です。
皮膚や髪の健康維持
卵に含まれるビタミンB2はエネルギー代謝の補酵素として重要です。さらに、発育に関わるビタミンとしてたんぱく質の合成を助け細胞の再生や新生を促します。また、皮膚や粘膜を守る働きもあります。さらに、水溶性ビタミンのビオチンも卵に豊富に含まれる栄養素で、皮膚を健康に保つ働きがあるとされており、アトピー性皮膚炎などの改善効果が期待されています。
卵を食べ過ぎて現れる症状

卵を食べ過ぎて現れる症状では、生産・消費ともに最も一般的とされている鶏卵を食べ過ぎることによる症状を紹介します。
動脈硬化
卵にはコレステロールが多く含まれているため、極端に大量摂取を続けた場合、食事全体でコレステロールや脂質の摂取量が過剰となり、LDL(悪玉)コレステロールが増加する可能性があります。その結果、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞などの生活習慣病のリスクが高まることが考えられます。
ただし、近年の研究では、食事から摂取するコレステロールが血中コレステロール値に与える影響は個人差が大きく、卵そのものが直接的に動脈硬化の原因になるとは限らないことも分かってきています。そのため、卵だけを制限するのではなく、食事全体の脂質量やバランスを意識することが重要です。
健康な人であれば、1日に卵1~2個程度であれば、過度に心配する必要はないとされています。
体重増加・肥満
卵のエネルギーは100gあたり142kcalです。1個にすると約70kcalです。
1個あたりのカロリーは高くなくても、1日3個以上プラス他の高脂質食品と組み合わせることでエネルギー過多となってしまいます。余剰なエネルギーが脂肪として蓄積され、体重が増え肥満に繋がります。
皮膚炎や疲労感
ビオチンというビタミンが不足することによって皮膚炎や疲労感を引き起こす可能性があります。卵白に含まれるたんぱく質の1種であるアビジンはビオチンと結合する性質を持っているため、ビオチンの吸収を妨げてしまいます。しかし、アビジンは熱に弱く、加熱することで活性化を防ぐことができます。よって、大量の生卵を長期にわたって食べることが無ければ健康障害はないとされています。
卵の栄養素を効率的に摂取する方法

加熱して食べる
生卵はアビジンの影響でビオチンの吸収が妨げられることがあるため、加熱することで効率的にビオチンが吸収されます。また、生卵より温泉卵や茹で卵のほうがたんぱく質の吸収率が高くなります。
油と一緒に摂取する
ビタミンDを含む食品はそれほど多くはありません。卵黄に含まれるビタミンDは脂溶性のため、油と一緒に摂取することで吸収率がアップします。また、卵黄に含まれる黄色い色素成分のルテインも脂溶性のため、油と組み合わせることで吸収率がアップします。
野菜や海藻と組み合わせる
食物繊維とビタミンCは卵に唯一含まれていない栄養素です。野菜や海藻に含まれる食物繊維やビタミンCを組み合わせることで、脂質の吸収バランスを整えたり、抗酸化力を高める効果が期待できます。
卵の保存方法や期間

卵の保存方法
生卵の保存温度は10℃以下が理想です。卵に含まれるサルモネラ菌などの増殖を抑えるため、購入後すぐに冷蔵庫へいれましょう。庫内奥の方がドアポケットより温度が安定しているためおすすめです。また、尖った方を下にして保存すると、気室が安定して鮮度が保たれやすいです。殻をむいた茹で卵は乾燥しやすいのでラップや密閉容器に入れましょう。
卵の保存期間
生食なら表示された賞味期限内に食べ、割った卵はすぐ使うか、冷蔵庫で保存して当日中に使用しましょう。また、ひび割れた卵は菌が中に入りやすくなるため早めに加熱調理をしましょう。ゆで卵や温泉卵は冷蔵庫で保存し、2〜3日以内に食べ切りましょう。
「卵のたんぱく質量」についてよくある質問

ここまで卵について紹介しました。ここでは「卵のたんぱく質量」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
卵を何個食べれば1日分のたんぱく質量を補えますか?
山口 恵里
年齢や性別、活動量などによってたんぱく質の必要量が変わるため、一般的な目安として18歳以上の男女が1日に必要なたんぱく質量は約50〜60gです。また、卵1個あたりのたんぱく質量は約6.2〜6.5gです。卵だけでたんぱく質を補おうとすると1日に約8〜10個食べると良いことになります。しかし、卵だけでたんぱく質を補おうとすると脂質やコレステロールが過剰になる可能性があるため、納豆や豆腐、肉や魚、乳製品などからバランス良く補うことが大切になります。
ゆで卵1個でプロテイン1杯の代わりになりますか?
山口 恵里
プロテインに含まれるたんぱく質量は製品によって差がありますが、一般的には1杯あたり約10〜25g程度です。一方、ゆで卵1個(Mサイズ)に含まれるたんぱく質量は約7g前後であるため、たんぱく質量だけで比較すると、ゆで卵1個でプロテイン1杯分を補うことは難しいと言えます。
たんぱく質量をプロテイン1杯分に近づけるには、ゆで卵を2個以上摂取する必要があります。ただし、卵はたんぱく質だけでなく脂質やビタミン、ミネラルも含む食品である一方、プロテインは効率的にたんぱく質を補給することを目的とした食品です。そのため、目的や生活スタイルに応じて使い分けることが大切です。
まとめ
卵は栄養価が高く、特にたんぱく質はアミノ酸スコアが100で良質なたんぱく質を含んでいます。さらに、脂質やミネラル、ビタミンも含まれており、筋肉や免疫の維持や骨の健康、抗酸化作用など健康効果も様々なものがあります。食べ過ぎることで動脈硬化や体重増加、肥満などの症状がでることもありますので、食べ過ぎに気を付けて効率的に卵を摂取し健康効果を高めましょう。
「卵」と関連する病気
「卵」と関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
循環器系の病気
内分泌・代謝系の病気
- 肥満
- ビオチン欠乏症
「卵」と関連する症状
「卵」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
卵に関連する症状
- 動脈硬化
- 体重増加
- 肥満
- 皮膚炎
- 疲労感
参考文献



