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「聴器がん」を疑う初期症状・原因・生存率はご存知ですか?医師が監修!

 公開日:2023/05/01
「聴器がん」を疑う初期症状・原因・生存率はご存知ですか?医師が監修!

聴器がんとは、聴覚に関する部位に発生する悪性腫瘍のことを指します。発症率が低く、早期発見が難しいことが特徴です。

しかし、病気に関する知識を身につけていれば、早期発見や病気の治癒が望めます。知識を活かすことで、予防や再発の防止にもつながるでしょう。

本記事では、聴器がんの症状などの基礎知識をはじめ、診断・治療方法や予後についても紹介しています。

聴器がんに悩まされている方はぜひこの記事を参考にして、病気の治療や予防などに役立ててください。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

聴器がんの基礎知識

ベッドルームにいる男性(耳が痛い)

聴器がんの症状について教えてください

聴器がんとは、聴覚に関係する臓器である聴器に発生する悪性腫瘍のことです。聴器は外耳・中耳・内耳の3つに分類されます。外耳に発生するケースが最も多く、次いで中耳のがんがみられます。
内耳のがんはほとんど発症しません。主にみられる症状は、耳だれ・耳の痛み・耳からの出血などです。腫瘍ができる場所によっては、聴力低下・耳閉感・腫瘤形成といった症状がみられます。
また、腫瘍が神経に影響を及ぼす位置にできた場合には、顔面神経麻痺の症状が表れるケースもあります。

聴器がんに初期症状はありますか?

聴器がんの初期症状は、耳の違和感として表れる場合が多いです。耳だれ・痛み・聞こえにくさなどの症状があります。ただし、これらの症状が必ずしもがんであるというわけではありません。

外耳炎でも似た症状が起こり、良性の腫瘍の場合でも耳の違和感が生じるケースがあります。耳に違和感があるならば、早めに医療機関を受診して原因を特定すると良いでしょう。
がんであった場合、早期発見・早期治療をすることが大切になります。軽い症状だからと放置せず、医師に相談しましょう。

聴器がんの主な原因を教えてください

聴器がんの中で最も多いのが外耳道がんです。このがんは、耳掃除のしすぎによって発症すると考えられています。
耳かきによって外耳道に慢性的な刺激が与えられ、その刺激が悪性腫瘍の発生を引き起こします。そのため、耳かきのやりすぎには注意が必要です。

聴器がんの発症率はどのくらいですか?

聴器がんは希少がんとも呼ばれ、非常に発症例が少ないことでも知られています。発症率はおよそ100万人に1人の確率です。
聴器がんは咽頭がんや口腔がんなども含まれる頭頚部がんの一種ですが、その中でも最も発症率は低いです。頭頚部がんのうち、およそ1%〜2%の症例しかありません。
発症率が低いことと初期症状が他の病気に似ていることから、病気の発覚が遅れることがあります。最初は良性疾患と診断されたのに、後からがんだったと判明するケースも見受けられます。

聴器がん生存率はどのくらいですか?

がんは一般的に、発見・治療が遅れるほど生存率が低くなる傾向にあります。聴器がんの場合、病気の発見が難しいため発見が遅れるケースが多いことから、生存率が低めです。
5年生存率は50%程度になります。しかし、病気の早期発見・早期治療を行うことで、生存率はさらに高くなります。治療が上手くいけば、5年生存率は60〜80%程度に上昇するでしょう。
順調な予後を過ごすためには、病気を早期発見し、適切な治療を行うことが大切です。

聴器がんの診断と治療について

カウンセリングを受ける女性(耳)

聴器がんの診断方法について教えてください

聴器がんの症状はほかの病気と似ているものがあるため、症状の原因を発見する必要があります。原因の特定には、様々な検査を実施します。
がんの可能性が疑われた場合実施するのが、CT・MRI・PET-CTといった画像検査です。画像検査では、病変の広がりや大きさが確認できます。全身の画像を撮るため、他の臓器への転移に転移がみられるかどうかも確認可能です。
病変の大きさや転移などから、がんのステージが診断されます。また、悪性腫瘍の判断をするためには、生検も欠かせません。生検は細胞の一部を採取し、顕微鏡で詳しく調べる方法です。
この検査で悪性腫瘍だと分かれば、がんと診断されます。ただし、一度の生検では正しい結果が得られない場合もあります。他の疾患と診断されたとしても、症状の改善がみられない場合は複数回検査を行うことがおすすめです。以上の検査の結果から、がんやステージが診断されます。

聴器がんの治療方法について教えてください

聴器がんの治療方法は、悪性腫瘍がどの部位にあるかによって変わります。一般的に行われるのは、外科的手術で病変を除去する方法です。手術が難しい場合は、放射線治療抗がん剤治療が行われます。
また、手術療法の補助としてこれらの治療が用いられるケースもあります。がんがあまり進行しておらず、切除しやすい部位にある場合、骨の切除だけで腫瘍をすべて取り除くことが可能です。
しかし、がんが広がったり浸潤したりしていると、神経や関節を切除しなければならない場合があります。神経・関節の切除は、治療後の後遺症として後に大きな影響を与える可能性が高いです。
さらに、病気の進行状況によっては開頭手術になる場合もあります。リスクの高い手術を避けるためには、病気が進行しないうちに治療を開始することが大切です。早期に治療を開始するほどリスクが低く、治療もスムーズに行いやすくなります。

聴器がんの予防方法はありますか?

外耳道の悪性腫瘍は、耳かきによる刺激によって発生しやすくなると考えられています。そのため、過度な刺激は与えないようにしましょう。耳掃除の回数を抑え、優しく掃除をすることが大切です。
また、発症してしまった場合は、早期発見することが病気の治癒につながります。耳に異変を感じたら、すぐに医療機関を受診しましょう。日頃から病気の予防を意識し、備えておくことが重要です。

聴器がんの予後について

ベッドルームにいる女性(耳が痛い)

術後に再発する可能性はありますか?

手術で悪性腫瘍を取り除いても、がんが再発する可能性があります。腫瘍が発生している部位によってはすべてを取り除くことが難しく、関節部などに残存してしまうためです。
術後数ヶ月の間再発しなかったとしても、突然再発することもあり得ます。がんは治療後も経過観察をしっかり行い、再発を見逃さないようにすることが大切です。
術後は長期間医師のフォローアップを受けて、再発・進行の防止に努めましょう。また、手術のリスクや難易度は、がんの進行度に左右されます。がんが大きく広がり浸潤している場合は、すべて取り除くことが難しいです。
そのため、がんのステージが進まないうちに手術を行うことが再発の防止につながります。がんが疑われた場合は早期に検査を行い、治療を行うことが重要です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

聴器がんは症例が少なく、早期発見が難しい病気です。しかし、治療が遅れれば5年生存率が下がり、治療によるリスクも高くなります。そのため、できるだけ早く医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
耳に違和感があった場合は、すぐに医師に相談しましょう。病気を早期発見し、適切な治療を行うことが病気の治癒・症状の緩和につながります。
治療を行う中での不安や困ったことなども、医師に相談してみてください。希望に添って適切な治療を行いながら、病気の治癒を目指しましょう。

編集部まとめ

カウンセリングを受ける女性
聴器がんは、聴覚に関係する部位にできる悪性腫瘍です。希少がんとも呼ばれ、100万人に1人という非常に少ない確率で発症します。

みられる症状は、耳だれ・耳の痛み・耳の出血・耳閉感などです。しかし、これらの症状は他の疾患でもみられるものであるため、がんの発見は難しいといわれています。

行われる主な治療は、手術療法です。手術で悪性腫瘍を除去しますが、がんの進行度や発生した部位によっては神経などの除去が必要になり、手術のリスクも高くなります。

治療をスムーズに行い予後も良好にするためには、病気の早期発見・早期治療が大切です。耳に異常がある場合はすぐに医療機関を受診してください。

発症例が少ないことから、治療中に不安を感じることもあるでしょう。不安や悩みは担当医に相談して、解消しながら治療に取り組むようにしましょう。

この記事の監修医師