「もやし」は何を改善する『効果』があるかご存じですか?注意点も管理栄養士が解説!

もやしの効果とは?メディカルドック監修医がもやしや豆もやしの健康効果・含まれる栄養素・効率的な摂取方法・保存方法・摂取する際の注意点などを解説します。

監修管理栄養士:
中岡 紀恵(管理栄養士)
目次 -INDEX-
「もやし」とは?

もやしは緑豆・ブラックマッペ・大豆などの豆類を発芽させたスプラウトのひとつです。
固有の植物名ではなく、「芽を出させる(萌やす)」という意味から来た総称と言われています。日本国内で流通しているもやしの主原料は「緑豆」もやしが約9割以上を占めています。クセがなく、みずみずしくシャキシャキとした食感で、和食や中華、東南アジアなどのさまざまな料理に利用されています。
もやしに含まれる栄養素

「緑豆もやし」「豆もやし」ともに、100gあたりの含有量とします。
カリウム
緑豆もやしには79mg、豆もやしには160mgのカリウムが含まれています。塩分(ナトリウム)の排出を助け、高血圧やむくみ予防の効果が期待できるとされています。
葉酸
緑豆もやしには36㎍、豆もやしには44㎍の葉酸が含まれています。貧血の予防や、胎児の発育に大事な栄養素です。
食物繊維
食物繊維は緑豆もやしに1.3g、豆もやしに2.3g含まれています。腸内環境を整え、便秘予防に有効とされています。また食事の最初に食べることで、血糖値の上昇を緩やかにする働きもあると言われています。
ビタミンC
緑豆もやしには7mg、豆もやしには4mgのビタミンCが含まれています。ビタミンCには抗酸化作用があり、免疫強化や美肌効果も期待できるとされています。しかし熱に弱く、水に溶けやすいので調理するときには、注意が必要です。電子レンジ加熱や、強火で短時間炒める、スープや鍋料理などで汁ごと食べることをおすすめします。
アスパラギン酸
新陳代謝促進や疲労回復に効果があるとされている、アスパラギン酸が緑豆もやしに500mg、豆もやしには870mg含まれています。アミノ酸の一種でエネルギーの代謝にも関わっています。
もやしの健康効果

抗酸化作用・免疫強化
ビタミンCが多く含まれることから、抗酸化作用(体内で過剰に生成された活性酸素による酸化反応を抑制する働き)、免疫強化(細菌やウイルスなどの病原体や、がん細胞から体を守る防衛能力である免疫力を高めること)に役立つとされています。
ダイエットや体調管理のサポート
もやしはエネルギーが低く、水分量が多いため、カロリーを抑えながら満腹感を得やすい食材です。食物繊維も含まれているため、腸内環境を整え、便通の改善にも役立ちます。これらの特徴から、体重管理やむくみの予防など、健康的なダイエットをサポートする食品としておすすめです。
生活習慣病予防
もやしには、水溶性・不溶性の両方の食物繊維が含まれており、腸内環境を整えて便通を改善する働きがあります。水溶性食物繊維は血糖値の上昇をゆるやかにし、不溶性食物繊維は腸のぜん動運動を促すため、糖尿病や便秘の予防に役立ちます。また、カリウムによる余分なナトリウムの排出作用も、高血圧の予防に効果的とされています。
豆もやしの健康効果

更年期にみられる不調の緩和
豆もやしは大豆を発芽させて作られるため、大豆由来の栄養素を多く含んでいます。中でも大豆イソフラボンは、女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きを持つとされ、更年期にみられる不調の緩和や骨の健康維持に役立つ可能性があります。 また、豆もやしにはGABA(γ-アミノ酪酸)も含まれており、リラックス効果やストレス軽減に関与することが報告されています。こうした成分を活かし、「骨の健康維持」などを目的とした機能性表示食品として販売されている製品もあります。
疲労回復・睡眠改善
リジン、トリプトファン、アスパラギン酸など必須アミノ酸が豊富で、疲労回復、不眠改善にも効果が期待できます。
骨の健康
骨折、骨密度、骨質など骨の健康に関与するとされているビタミンKが含まれています。
もやしの栄養素を効率的に摂取する方法

もやしと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
もやしの健康効果を高めたい時は、もやしに不足しがちな栄養素(たんぱく質・ビタミンD・鉄分・β-カロテンなど)を一緒に摂ると効果的です。もやしのカルシウムの吸収をサポートするビタミンDを含む鮭と椎茸をもやしとともにホイル焼きにしたり、ビタミンB1やたんぱく質を含む豚肉ともやしをβ-カロテンや鉄分豊富なほうれん草やにんじんをプラスしてサッと強火で炒めるとエネルギー代謝を高め、スタミナアップになりおすすめです。
もやしの栄養効果を高める摂取タイミング
もやしは食物繊維が豊富で血糖値の上昇を緩やかにする作用があるため、主食のご飯や麺の前に食べると食後血糖値の急上昇を抑え、肥満や糖尿病予防につながる可能性があります。シャキシャキした食感で満腹感も得やすく、食べ過ぎ防止にも役立ちます。また塩分が気になる食事や外食の際は、積極的にもやしをプラスするとカリウムの効果で、余分なナトリウムを排泄しやすくなります。
もやしを食べる際の注意点

ヒゲ根も食べる
もやしは、「白い軸・根元の細いひげ根・薄黄色の子葉と豆」で構成されています。
栄養素が多く集まっていると言われるのは「子葉と豆」の部分であり、ヒゲ根をとる処理をした「根切りもやし」として食べることもあります。もやしの根の食感が嫌いな方は、根を取り除いてしまっているかもしれません。
しかし、ヒゲ根には食物繊維が豊富に含まれていますので、ヒゲ根も食べることをおすすめします。
洗いすぎに注意する
もやしは衛生的な環境で栽培されていますが、袋詰めや流通の過程で雑菌が付着することがあります。調理前には軽く水洗いするのがおすすめです。
ただし、もやしにはビタミンCや葉酸など水に溶けやすい栄養素が含まれているため、長時間水にさらしたり、洗いすぎたりすると栄養が流出してしまいます。
そのため、さっと短時間で洗う程度にとどめるとよいでしょう。
生食は避ける
もやしは発芽時に温かく湿った環境で育つため、細菌が繁殖しやすい食品です。市販されている多くのもやしは加熱用として販売されているため、生で食べるのは食中毒の原因となるおそれがあります。調理の際は、中心までしっかりと火を通してから食べるようにしましょう。
もやしの保存方法や期間

もやしの鮮度を保つ保存方法
もやしは、鮮度が落ちやすく、保存性の悪い食材です。
買ってきたらすぐに冷蔵庫に入れることで、劣化を防ぐことができます。野菜室よりも温度が低い「チルドルーム」で保存することをおすすめします。冷凍することでより長く保存することができますが、栄養素が壊れやすく、食感も変わってきます。チルドルームで保存して、早めに使った方が良いでしょう。
もやしの保存期間
もやしの保存期間は保存方法によって異なります。
購入後、袋のまま冷蔵保存で2~3日、水に浸して冷蔵保存すると3~7日(ただし水は2日に1回交換すること)、冷凍保存では2~3週間とされていますが、食感がやや変化します。加熱後、冷まして保存容器に入れ、冷蔵保存で約1週間です。保存状態によっては早めに傷む場合もありますので、状態をよく確認しながら使うことが重要です。
「もやしの効果」についてよくある質問

ここまでもやしの効果を紹介しました。ここでは「もやしの効果」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
もやしのメリット・デメリットを教えてください。
中岡 紀恵
エネルギーが低く、ダイエット向きなもやしには、食物繊維やカリウム、ビタミンCなど、健康維持に役立つ栄養素や疲労回復や免疫力アップ、美容効果につながる成分(アスパラギン酸、ビタミンC等)を含んでいます。満腹感を得やすく、便秘やむくみの改善、高血圧予防の効果が期待出来るメリットがあります。価格が一年中安定し、家計にやさしいのも嬉しいことです。一方で、95%以上が水分なので、調理の仕方によっては栄養素の流出が多くなることや、傷みが早く、保存期間が比較的短いなどのデメリットもあります。鮮度管理と調理方法に注意すればより安心して使える食材です。
もやしを毎日食べるとどんな効果がありますか?
中岡 紀恵
美肌やアンチエイジング効果、疲労回復やストレス軽減、腸内環境改善や便秘予防、生活習慣病予防などたくさんの効果が期待できます。1日に1袋(約200g)程度なら毎日食べても大丈夫ですが、食物繊維の摂り過ぎでお腹の調子が悪くなることもありますので、注意が必要です。
まとめ
もやしは見た目や「もやしっ子」という言葉から、細くて弱々しいといったイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?しかし、もやしにはたくさんの栄養素が含まれており、様々な健康効果が期待できます。味も主張しすぎないことから、多様な料理に使える万能野菜です。しかも安価で手軽に購入できるのでお財布にも優しい食材で、庶民の味方と言えるでしょう。バランスの良い食事を心がけて、栄養価の高いもやしを食卓に取り入れてみてはいかがでしょう。
「もやし」と関連する病気
「もやし」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
消化器内科の病気
- 腹痛
- 下痢
- 嘔吐
「もやし」と関連する症状
「もやし」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- かゆみ
- 口唇や口腔の腫れ
- お腹の張り
- 消化不良
