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「ビタミンCが不足すると現れる症状」はご存じですか?解消法も管理栄養士が解説!

 更新日:2025/12/12
「ビタミンCが不足すると現れる症状」はご存じですか?解消法も管理栄養士が解説!

ビタミンCが不足すると現れる症状とは?メディカルドック監修医がビタミンCが不足すると現れる症状・一日の摂取量・効果・不足する原因とその解消法などを解説します。

山口 恵里

監修管理栄養士
山口 恵里(管理栄養士)

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病院や高齢者施設で5年、給食管理、栄養管理業務に従事しました。その後、管理栄養士の資格を取得し、現在は育児をしながらフリーランスとして地域の方の家事・育児サポートをさせていただいています。日々の生活を楽しんでいただけるよう、心を込めてサポートしています。

「ビタミンC」とは?

「ビタミンC」とは?

ビタミンCには、還元型(アスコルビン酸)と酸化型(デヒドロアスコルビン酸)があります。還元型は抗酸化作用をもっていて、細胞を酸化ストレスから守ります。酸化型は活性酸素などを還元することで自身が酸化されて変化した形です。再び還元されることで酸化型が還元型となり抗酸化サイクルが維持されます。
ヒトはビタミンCを合成する酵素の遺伝子が欠損しているため、食べ物から摂取する事が必要です。ビタミンCは水に溶け出しやすく、酸化しやすいという特性があります。
また、ビタミンCはコラーゲンの合成、鉄の吸収促進などに関与します。ビタミンCの抗酸化作用は体内で発揮され、活性酸素を除去します。

ビタミンCの一日の摂取量

ビタミンCの一日の摂取量

ヒトはビタミンCを体内で作れないため、健康な成人では1日の推奨量が100mg/日と設定されています。また、通常の食事による過剰摂取や健康被害の報告はないため、耐容上限量は定められていません。
妊婦や授乳婦の付加量に関する明確なデータはありませんが、新生児の壊血病を防ぐことができると考えられていることから付加量が設定されています。妊婦は10mg/日、授乳婦は45mg/日の付加量が設定されています。

ビタミンCの効果

ビタミンCの効果

抗酸化作用

ビタミンCは活性酸素を除去し、細胞のダメージを防ぎます。活性酸素を除去することで、肌のシミやシワなどの加齢減少を遅らせるという作用が期待できます。また、免疫力も安定し感染症にかかりにくくなります。

コラーゲンの合成に関与

ビタミンCはコラーゲン合成において補因子として水酸化反応に関与します。コラーゲンは美容成分だけではなく体を構成する重要なたんぱく質の一種のため、肌や骨、血管や腸など全身の健康を支えることにつながります。

鉄の吸収促進

鉄イオンには2価鉄(Fe²⁺)と3価鉄(Fe³⁺)があります。3価鉄は2価鉄に比べ吸収が悪いという性質があります。ビタミンCは還元作用により、吸収されにくい3価鉄から2価鉄へと還元します。そのためビタミンCは鉄の吸収を促進すると考えられています。

ホルモンの合成に関与

アドレナリンは身体的・精神的な危険に遭遇した時、腎臓の上にある小さな副腎の髄質より瞬時に分泌されるホルモンです。アドレナリンはカテコールアミンのひとつで、アミノ酸のチロシンから生合成されます。この生合成経路の中でビタミンCは補因子として働きます。

還元反応による機能回復

ビタミンCは酸化されたビタミンE(ビタミンEラジカル)を、ビタミンEに変換(還元型に戻る)します。還元型ビタミンEは細胞膜の酸化を抑えて有害な過酸化脂質から細胞を守ります。過酸化脂質は肌や血管の老化を促進するため、これを防ぐことで肌荒れや動脈硬化の予防につながります。

ビタミンCが不足すると現れる症状

ビタミンCが不足すると現れる症状

ビタミンCが不足すると壊血病という栄養欠乏症になり様々な症状が現れます。現代の日本では壊血病は非常にまれですが、極端な偏食や吸収障害などで発症することがあります。
下記に症状の例を記載しましたので、気になる症状がある場合は、医師に相談すると安心です。

疲労感や倦怠感

体内のたんぱく質のうち約3分の1は細胞と細胞をつなぐコラーゲンで、ビタミンCはこのコラーゲンの合成に関与しています。コラーゲンが不足すると、細胞同士の結びつきが弱くなって血管がもろくなります。また、ビタミンCの不足は鉄の吸収も妨げるため貧血状態となり、疲労感や倦怠感といった症状がみられるようになります。症状が続く場合は内科を受診しましょう。

皮下や歯茎からの出血

ビタミンCが欠乏すると、コラーゲン合成が抑制されるため、血管がもろくなり出血傾向となり、皮下や歯茎からの出血がみられるようになります。出血がみられる場合は、ビタミンC不足以外の疾患の可能性もあるため、早めに医療機関を受診しましょう。

免疫力の低下

ビタミンCの不足により活性酸素を除去する力が弱まり、細胞や組織が傷つきやすくなります。免疫細胞もうまく働かなくなり、機能が低下します。その結果、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。風邪の症状が続く場合は内科を受診しましょう。

筋肉量の減少

一部の研究では、ビタミンC摂取量が少ない人で筋肉量や身体機能の低下がみられたという報告もあります。ただし、直接的な因果関係は明らかではありません。また、男女ともに影響を受けますが、女性の方が早期に筋肉量・身体能力の低下が見られるという報告もあります。

骨や歯の発育不全

特に乳幼児期にビタミンCが不足することで骨組織の形成不全や骨折・骨の変形や壊死、歯の発生障害などの症状がみられます。
乳幼児期の病気は早期発見と適切な処置が大事になります。機嫌が悪い、手足を動かしたがらない、歯茎が腫れているなどの症状がでたら、すぐに小児科を受診しましょう。

ビタミンCが不足する原因

ビタミンCが不足する原因

喫煙による必要量の増加

タバコの煙にはニコチンやタール、一酸化炭素などの有害物質が含まれており、これらが体内に入ると活性酸素が大量に発生します。ビタミンCは強力な抗酸化物質であり、活性酸素を除去するために大量に消費され、不足する原因となります。

慢性的なストレス

ストレスがかかると副腎が活性化し、コルチゾールの分泌が増加します。
コルチゾールの合成にはビタミンCが必要です。慢性的なストレスによりビタミンCの必要量が増えるため、ビタミンCが不足します。

食事量の減少

加齢によって食事量の減少や吸収力の低下により、ビタミンCが不足します。

食材のまとめ買い

ビタミンCは光に弱く、酸化しやすいため購入してから保存中に成分が失われやすく、野菜や果物は新鮮なものを購入しても、長く保存することで不足しやすくなります。

調理方法

ビタミンCは水溶性のため、茹でや煮る調理法により損失が大きくなります。
また、ビタミンCは熱に弱いため長時間の加熱により損失し、生で食べるよりも不足しやすくなります。

ビタミンCが不足しやすい人の特徴

ビタミンCが不足しやすい人の特徴

野菜や果物の摂取量が少ない人

ビタミンCは主に野菜や果物に含まれているため、食事量が少ない方や、食生活が偏っている方は不足しやすくなります。

喫煙者

喫煙によって体内のビタミンCが大量に消費されるため、喫煙者はより多くのビタミンCが必要になります。

ストレスの多い人

ストレスがかかると抗酸化作用をもつビタミンCの消費が増えるため、慢性的なストレス状態の方は不足しやすいです。

ビタミンCを多く含む食品

ビタミンCを多く含む食品

野菜

赤ピーマンには170mg/100gのビタミンCが含まれ、油炒めにすることでビタミンCの溶出を防ぎ、効率よく摂取できます。また、ブロッコリーには140mg/100gのビタミンCが含まれており、焼いたり、電子レンジによる短時間の調理によってビタミンCの溶出を防ぐことができます。

果物

キウイフルーツの黄色には140mg/100gのビタミンCが含まれ、緑色のものでも71mg/100gのビタミンCが含まれます。他にも、甘柿には70mg/100g、いちごにも62mg/100gのビタミンCが含まれます。果物は鮮度の良い物を新鮮なうちに購入し、長く保存せず食べることで効率よくビタミンCを摂取することができます。

いも類

「じゃがいも」や「さつまいも」に含まれるでんぷんはビタミンCを守るため、調理による損失が少なく、カレーや肉じゃがにしても効率よくビタミンCが摂れます。
じゃがいもには28mg/100gのビタミンCが、さつまいもには29mg/100gのビタミンCが含まれています。

ビタミンC不足を解消する方法

ビタミンC不足を解消する方法

ビタミンCを多く含む食品の摂取

ビタミンCは加熱により分解するため、緑茶を高温・短時間で抽出したり、キウイフルーツやいちご、海藻ののりは加熱せず、そのまま食べることをおすすめします。
ビタミンCはブロッコリーや赤ピーマンにも多く含まれますが、水溶性のため、電子レンジ調理がおすすめです。

ビタミンCと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

ビタミンCは酸化したビタミンEを再生し、抗酸化力を強化させます。
ビタミンEはひまわり油や綿実油、アーモンドやピーナッツなどに多く含まれます。生野菜のサラダに植物油の手作りドレッシングをかけたり、ナッツをトッピングしたりすることでビタミンCとビタミンEを一緒に摂取でき、効果を高めることができます。

ビタミンCの効果を高める摂取タイミング

一度に大量に摂取すると排泄されやすいため、こまめに摂ることで血中濃度を安定させることができます。

「ビタミンCが不足すると現れる症状」についてよくある質問

「ビタミンCが不足すると現れる症状」についてよくある質問

ここまでビタミンCが不足すると現れる症状を紹介しました。ここでは「ビタミンCが不足すると現れる症状」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

ビタミンCサプリを飲み続けるとどうなりますか?

山口 恵里山口 恵里

ビタミンCサプリメントを飲み続けることで疲労回復や老化の予防などの効果が期待できます。健康な方がビタミンCを過剰に摂取しても、消化管からの吸収率が低下するため、通常、過剰分は尿中に排泄されますが、1日2,000mgを超える大量摂取では下痢などの消化器症状が現れることがあります。

まとめ

ビタミンCが不足することで疲労感や倦怠感、歯茎の腫れや出血、傷の治りが遅く成ったり、貧血や感染症への抵抗力の低下など、様々な症状が現れます。現代の日本人ではほとんど見られませんが、偏った食生活やライフスタイルによっては発症する可能性もあります。
野菜や果物をはじめとするビタミンCを多く含む食品を積極的に摂取したり、保存方法や調理法などを工夫して不足しないようにしましょう。

「ビタミンC」と関連する病気

「ビタミンC」と関連する病気は2個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

全身性疾患(栄養欠乏症)

  • 壊血病
  • メレルバロウ病(乳幼児期の壊血病)

血液・造血器系疾患

循環器系疾患

「ビタミンC」と関連する症状

「ビタミンC」と関連している、似ている症状は16個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 疲労感
  • イライラ
  • うつ症状
  • ふらつき
  • 息切れ
  • 肌荒れ
  • 皮下出血
  • 歯茎の出血
  • 傷が治りにくい
  • 出血が止まりにくい
  • 関節痛
  • 子供の成長障害
  • 心臓障害
  • 呼吸困難

この記事の監修管理栄養士