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「ほうれん草を食べ過ぎると現れる症状」は?ほうれん草の効果も管理栄養士が解説!

 公開日:2025/11/06

ほうれん草を食べ過ぎると現れる症状?メディカルドック監修医がほうれん草の効果・効率的な摂取方法などを解説します。

森 絵美子

監修管理栄養士
森 絵美子(管理栄養士)

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委託給食会社に勤務後、直営での病院、保育園で栄養士として勤務し、2025年に管理栄養士免許を取得。現在はケアミックス病院で管理栄養士として勤務しており、透析クリニックや外来での栄養指導にも関わりはじめている。

ほうれん草とは?

ほうれん草とは?

ほうれん草は緑黄色野菜の一種で高い栄養価のある葉物野菜です。原産地は西アジア〜中央アジアだと言われておりそこから東西に伝わりました。ほうれん草は野菜の王様と呼ばれておりビタミンK、葉酸、鉄分、食物繊維、βカロテン、ビタミンEが豊富で11月〜1月が旬です。ほうれん草の種類は大きく分けて2つに分類されます。シルクロードを経て中国へ渡った東洋種は葉が薄くギザギザしている剣葉で葉柄が長く、えぐみやアクが少ないためお浸しなどにむいています。ヨーロッパ経由でアメリカに渡った西洋種は葉が厚くて丸い葉で葉柄が短くアクが強くエグ味や土臭さがあるため炒め物にむいています。日本には東洋種が江戸時代初期、西洋種が江戸時代末期に伝わりました。現在では東洋種と西洋種をかけ合わせた一代雑種がメジャーですが寒締めほうれん草やサラダほうれん草などもあります。関東の特産品としても有名で令和元年度の収穫量では1位が埼玉県、2位が群馬県、3位が千葉県、4位が茨城県で全国の4割を占めています。

ほうれん草をどのくらい食べると体に悪影響?

ほうれん草をどのくらい食べると体に悪影響?

ほうれん草には尿中でカルシウムと結合してできる尿路結石の原因となるシュウ酸が多量に含まれています。このシュウ酸は他の葉物野菜やお茶やコーヒーにも含まれており、具体的な摂取量の上限がありませんが尿路結石の既往歴がある方は特に注意が必要です。シュウ酸は水に溶けやすいため茹でる、冷水で冷やす、よくしぼるといった調理法で減らすことができます。またカルシウムを含む食材と一緒に食べる事で腸内でシュウ酸とカルシウムが結合し、便として排出されるので血中でのシュウ酸の吸収が抑制され、尿中に含まれるシュウ酸を減らす事ができます。

ほうれん草を食べ過ぎると現れる症状

ほうれん草を食べ過ぎると現れる症状

結石による背中から脇腹にかけての痛み、残尿感、血尿

ほうれん草には、尿路結石の原因物質の一つである「シュウ酸」が多く含まれています。通常の食事量であれば問題ありませんが、水分摂取が少ない方や動物性たんぱく質・塩分を多く摂る食生活の方、結石の既往がある方は注意が必要です。これらの要因が重なると、尿中でシュウ酸とカルシウムが結合して結晶化し、尿路結石ができやすくなります。 尿路結石の主な症状には、突然生じる背中から脇腹にかけての激しい痛み、残尿感、尿意があるのに尿が出にくい、血尿などがあります。また、腎臓内でできる結石は痛みが出にくく、気づかないうちに大きくなってしまうこともあります。

シュウ酸及び食物繊維の過剰摂取による腹痛、下痢、腹部膨満感

ほうれん草には、尿路結石の原因物質として知られるシュウ酸が含まれています。通常の食事量であれば問題ありませんが、一度に大量に食べたり、生のまま多く摂取した場合、体質によっては胃腸に負担がかかり、腹痛や下痢を起こすことがあります。 また、ほうれん草100gあたりには約2.8gの食物繊維(不溶性約2.1g、水溶性約0.7g)が含まれています。不溶性食物繊維は腸の動きを活発にしますが、消化機能が弱っているときや過敏性腸症候群の方では、腹部の張りや下痢を起こすことがあります。

ほうれん草の効果

ほうれん草の効果

抗酸化作用による皮膚や血管の健康維持

ほうれん草に含まれるビタミンEや体内でビタミンAに変換されるβカロテンには強い抗酸化作用があり、体内の脂質の酸化を防いでくれるため、動脈硬化や血栓予防、LDLコレステロールの低下、細胞を健全に保つ働きがあり皮膚や血管の健康維持を助けてくれます。

貧血予防

ほうれん草には、赤血球の材料となる鉄分や葉酸が含まれています。鉄は血液中のヘモグロビンの構成成分で、全身に酸素を運ぶ重要なミネラルです。ただし、ほうれん草に含まれる鉄は非ヘム鉄と呼ばれるもので、体への吸収率は動物性食品に含まれるヘム鉄より低めです。そのため、ビタミンCを多く含む食品(いちご・オレンジ・キウイなど)と一緒に摂ることで吸収率を高めるのがおすすめです。こうした食べ合わせを意識することで、貧血予防をサポートする働きが期待できます。

免疫機能の維持をサポート

ほうれん草に豊富に含まれるβカロテンは、体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康を保つ働きがあります。これにより、ウイルスや細菌などの外敵から体を守る免疫機能の維持をサポートします。さらに、抗酸化作用もあるため、細胞のダメージを防ぎ、体調管理にも役立ちます。

腸内環境の改善

ほうれん草に含まれる食物繊維は腸内環境を整えて、便秘の予防になります。また食物繊維には血糖値の上昇抑制、血液中のコレステロール濃度の低下などの働きもあります。摂り過ぎは下痢などの原因になるため注意が必要です。

造血作用及び胎児の神経管閉鎖障害のリスクの低下

ほうれん草に含まれる葉酸は赤血球の生成を助け、貧血を予防し、DNAやタンパク質の合成を促進します。また胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低減するため妊娠中は積極的な摂取が推奨されています。

血液凝固作用、骨の健康維持

ほうれん草に含まれるビタミンKは血液の凝固を促進し、出血した際に止血をするのに必要な栄養素です。またビタミンKは骨のカルシウム結合タンパク質を活性化させ、カルシウムの骨への沈着を促進します。

ほうれん草を効率よく摂取する方法

ほうれん草を効率よく摂取する方法

ほうれん草を多く含む献立

ほうれん草をたっぷりと摂取できるメジャーな献立は ・ほうれん草のお浸しやサラダ、煮浸し ・ほうれん草のソテー ・ほうれん草のお味噌汁やスープ ・ほうれん草カレー、ほうれん草シチュー などが挙げられます。先程述べたアクの強い品種は炒め物に、アクの少ない品種はお浸しにと献立によって使い分けるのも良いですね。

ほうれん草と一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

カルシウムはほうれん草に含まれるシュウ酸が腸で吸収、便として排出され結石になるのを防いでくれるため、ほうれん草と一緒に摂ることがおすすめです。おすすめのメニューはほうれん草のシチューやほうれん草とちりめんじゃこのお浸し等です。 また、ほうれん草に含まれる非ヘム鉄はビタミンCと摂ると吸収率を上げる事ができるのでほうれん草のお浸しにレモン汁を加えてさっぱり和えにしたり、ほうれん草を食べた時は食事のデザートにビタミンCを豊富に含む果物(いちご、オレンジ、キウイ等)を摂る事もおすすめです。

ほうれん草の効果を高める摂取タイミング

・ほうれん草は鉄分が豊富ですがコーヒーや緑茶に含まれるタンニンは鉄分の吸収を阻害するため、同時に摂取する事は避けましょう。 ・ほうれん草は食物繊維が豊富なので食事の最初に食べる事で食後の急激な血糖値の上昇を抑え、満腹感の向上や食べすぎを防止することができます。

「ほうれん草の食べ過ぎ」についてよくある質問

「ほうれん草の食べ過ぎ」についてよくある質問

ここまでほうれん草の食べ過ぎについて紹介しました。ここでは「ほうれん草の食べ過ぎ」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

ほうれん草は一日にどれくらい食べてもいいのでしょうか?

森 絵美子森 絵美子

シュウ酸の摂取量は具体的な摂取の上限が設定されていませんが、厚生労働省の提唱する健康日本21の緑黄色野菜の摂取目標値は1日120g以上です。また1日に摂ると良いとされる野菜の量は350gなので緑黄色野菜120g、淡色野菜230gが内訳の目安となり、ほうれん草は緑黄色野菜なので1日100g〜120g程度(スーパーで売られている一袋の半分程)が適量です。

まとめ

今回、ほうれん草を食べすぎるとどうなるかを中心にほうれん草の効果や効率的な食べ方についてお伝えしましたがいかがだったでしょうか?ほうれん草に含まれるシュウ酸の印象が強くなってしまったかもしれませんがほうれん草は栄養価たっぷりの食材です。今回お伝えした調理法や食べ合わせを参考にしつつバランスよく食べるようにしてください。

「ほうれん草」と関連する病気

「ほうれん草」と関連する病気は6個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

泌尿器科の病気

消化器科の病気

  • 下痢
  • 腹痛

血液系の病気

婦人科の病気

  • 胎児の神経管閉鎖障害

「ほうれん草」と関連する症状

「ほうれん草」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 背中から脇腹にかけての激しい痛み
  • 下痢
  • 腹部膨満感
  • 残尿感
  • 尿意があるのに排尿がない

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