「ビタミンB12の効果」とは?”不足”すると現れる症状も管理栄養士が解説!

ビタミンB12の効果とは?メディカルドック監修医がビタミンB12の効果・一日の摂取量・不足すると現れる症状・不足しやすい人の特徴・過剰摂取すると現れる症状・多く含む食品・効果的な摂取方法などを解説します。

監修管理栄養士:
長井 彩子(管理栄養士)
目次 -INDEX-
「ビタミンB12」とは?

ビタミンB12活性を有する化合物を総称してビタミンB12という。
ビタミンB12はコバルトを含有する化合物(コバミド)であり、アデノシルコバラミン、メチルコバラミン、スルフィドコバラミン、ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミンがあります。
アデノシルコバラミン及びメチルコバラミンが補酵素として機能します。
アミノ酸代謝に関与します。
ビタミンB12の一日の摂取量

ビタミンB12の食事摂取基準
目安量(男女同じ)
0〜5ヶ月:0.4μg/日
6〜11ヶ月:0.9μg/日
1〜5歳:1.5μg/日
6〜7歳:2.0μg/日
8〜9歳:2.5μg/日
10〜11歳:3.0μg/日
12歳以上:4.0μg/日
妊婦・授乳婦:4.0μg/日
※シアノコバラミン(分子量=1355.4)相当量として示した
ビタミンB12の効果

血行促進作用
ビタミンB12は血液の形成に関与するため、毛細血管の血流改善にも役立ちます。
その結果、肌のすみずみまで酸素や栄養が行き渡りやすくなり、くすみやクマ、顔色の改善が期待できます。
末梢神経の回復機能
神経細胞の機能を正常に保つ働きがあります。
肌の細胞を回復・再生させる
ビタミンB12は、DNAの合成を行うため、肌細胞の回復・再生を促進します。
つまり、肌荒れを整え、ターンオーバーを正常化する働きがあります。
精神的なメリット
神経細胞の機能を正常に保つ働きがあるため、セロトニンの合成にも関与します。
セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれているため、鬱症状の緩和や認知機能のサポートに効果があります。
炎症との関わり
ビタミンB12は主にDNA合成や神経機能の維持に関与する栄養素です。直接的な抗炎症作用があるとまでは確認されていませんが、外用薬としてビタミンB12を配合した製剤がアトピー性皮膚炎などの研究に使われた例はあります。ただし、通常の食事から摂取した場合に炎症を抑える効果があるという十分な科学的根拠は現時点ではありません。
ビタミンB12が不足すると現れる症状

巨赤芽球性貧血
胃粘膜の萎縮による内因子の低下によりビタミンB12を吸収できず欠乏することで生じる貧血です。
ビタミンB12の欠乏が要因である場合、筋肉注射か経口投与が必要となります。
症状がある場合は、内科に受診します。
脊髄及び脳の白質障害
運動機能の低下(麻痺、歩行障害、ふらつき)や、感覚の異常(しびれ、感覚鈍麻)、言語障害、認知機能の低下(物忘れ、意識障害)、排泄機能の障害(頻尿、尿失禁、便秘)などがあげられます。
症状が悪化した場合は、脳神経外科、神経内科、または整形外科に受診する必要があります。
末梢神経障害
しびれ、痛み、筋力低下、筋萎縮、深部腱反射の低下などが起こります。
糖尿病やビタミン欠乏が原因となるため、そのための治療が必要となります。
症状が悪化した場合は神経内科を受診する必要があります。
肌荒れ
ビタミンB12欠乏による代表的な症状は巨赤芽球性貧血や神経障害ですが、肌荒れそのものが典型的な症状として挙げられるわけではありません。ただし、貧血や全身の不調が皮膚の健康に影響を及ぼし、間接的に肌トラブルを招く可能性はあります。
炎症
欠乏により、ニキビやアトピー性皮膚炎などの炎症が起こりやすくなります。
食事による摂取が望ましいが、難しい場合はサプリメントの経口投与がよいです。
皮膚科に受診する必要があります。
ビタミンB12が不足しやすい人の特徴

高齢者
高齢者には萎縮性胃炎などで胃酸分泌の低い人が多く、食品中に含まれるタンパク質と結合したビタミンB12の吸収率が減少しているため、不足しやすいです。
しかし、高齢者のビタミンB12の吸収率に関するデータがないことから、目安量は成人と同じ値です。
胃酸の分泌が少ない人
ビタミンB12は食品中でタンパク質に結合した状態で存在しています。通常は胃酸や消化酵素によってタンパク質から切り離され、遊離したビタミンB12が小腸で内因子と結合し、吸収されます。胃酸の分泌が少ないとこの切り離しが十分に行われず、ビタミンB12が吸収されにくくなるため、不足しやすくなります。
ベジタリアンやビーガンなど菜食主義の人
基本的にビタミンB12は動物性の食品にのみ含まれています。そのため、厳格に「動物性食品を食べない生活」を続けているとビタミンB12が不足してしまいます。
ビタミンB12を過剰摂取すると現れる症状

通常の食品を摂取している人で、過剰摂取による健康障害が発現したとの報告は見当たりません。それは、胃から分泌される内因子によって小腸からの吸収量が調節されているためと考えられています。
また、サプリメント等による摂取においても、特殊な吸収機構を有し、体内への吸収量が厳密に調節されているため、健康障害の報告はありません。
また、ビタミンB12は、胃から分泌される内因子を介した吸収機構が飽和すれば食事中から過剰に摂取しても吸収されません。また、大量(500μg/日以上)のシアノコバラミンを経口投与した場合でも、内因子非依存的に投与量の1%程度が吸収されるのみです。
さらに、非経口的に大量(2.5mg/日)のシアノコバラミンを投与しても、過剰症は認められていません。このように、現時点でビタミンB12の過剰摂取が健康障害を示す科学的根拠がないため、過剰摂取によって見られる症状はないと考えます。
ビタミンB12を多く含む食品

しじみ、アサリ
しじみ100gあたり68.0μg
あさり100gあたり44.8μg
クラムチャウダーやアサリの酒蒸しなど、ビタミンB12は水溶性ビタミンであるため、スープなどにすることで、溶け出たビタミンB12も共に摂取することができる調理法が望ましいです。
魚
まいわし100gあたり16.0μg
まさば100gあたり13.0μg
魚の中でも特に青魚に多く含まれます。
卵
うずら卵全卵100gあたり4.7μg
鶏卵卵黄100gあたり3.5μg
鶏卵全卵100gあたり1.1μg
卵はどんな食材にも合わせやすいです。
そのまま食べても大丈夫であり、また様々な料理に活用しても良いです。
鶏・豚・牛のレバー
牛のレバー100gあたり53.0μg
ニワトリのレバー100gあたり44.0μg
豚のレバー100gあたり25.0μg
レバーの唐揚げやレバーを使用したカレーなど、レバーは臭みがあり苦手な人も多いため、揚げ物やスパイスで臭みを軽減すると食べやすくなります。
のりなどの海藻類
あまのり(焼きのり)100gあたり56.7μg
魚にも多くビタミンB12が含まれるため、巻き寿司などにして食べるといいです。
ビタミンB12の効果的な摂取方法

ビタミンB12を多く含む食品の摂取
ビタミンB12は水溶性ビタミンであるため、煮汁やスープで煮込み、具材と共に摂取することで効率的に摂取できます。
ビタミンB12と一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
貧血の改善のため、ビタミンB12を摂るときは、葉酸も共に摂取するといいです。
葉酸を多く含む食材としては、ほうれん草やレバーがあります。
ビタミンB12の効果を高める摂取タイミング
タンパク質と結合して吸収されるため、食後に摂取するのが望ましいです。
また、水溶性ビタミンは体内に蓄えられないため、朝昼夜と複数回に分けて、こまめに摂取することが効率的で、特に朝食後に摂取することで、1日の活動に必要なエネルギー生成をサポートすると考えられています。
「ビタミンB12の効果」についてよくある質問

ここまでビタミンB12の効果を紹介しました。ここでは「ビタミンB12の効果」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
ビタミンB12は白髪に効果的なのでしょうか?
長井 彩子
現時点で、ビタミンB12が白髪の予防や改善に直接効果があるという科学的根拠は十分ではありません。ただし、ビタミンB12が不足すると巨赤芽球性貧血や神経障害が起こるほか、全身の代謝や細胞機能に影響を及ぼすため、間接的に髪や皮膚の健康に関わる可能性はあります。偏食や胃腸障害がある人は不足しやすいため、魚介類やレバーなどビタミンB12を含む食品を意識して摂取し、不足を防ぐことが大切です。
まとめ
ビタミンB12の効果として、抗炎症作用、血行促進作用、細胞再生のサポート、ストレスや月経周期による肌トラブルの緩和などがあり、肌に関わりが深いことがわかりました。
食品としては、魚介類やレバーなどに多く含まれ、特にレバーは葉酸も含まれるため、ビタミンB12の摂取をよりよく吸収できます。
過剰摂取においては、現在症状が出た形跡はありません。
特に不足しがちな、高齢者やヴィーガンの方は食事からの摂取が通常望ましいが、サプリメントの経口投与が必要である場合、使用すべきです。
「ビタミンB12」と関連する病気
「ビタミンB12」と関連する病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
「ビタミンB12」と関連する症状
「ビタミンB12」と関連している、似ている症状は14個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
参考文献

