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疲労回復に効く「タウリン」は「とりすぎる」とどうなる?管理栄養士が解説!

 公開日:2025/10/01
疲労回復に効く「タウリン」は「とりすぎる」とどうなる?管理栄養士が解説!

タウリンをとりすぎるとどうなる?メディカルドック監修医が一日の摂取量・効果・タウリンをとりすぎると現れる副作用・不足すると現れる症状・効率的な摂取方法などを解説します。

神尾 澄恵

監修管理栄養士
神尾 澄恵(管理栄養士)

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病院、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホームにて15年にわたり給食管理業務に従事。管理栄養士取得後は病院で栄養管理業務に従事。栄養指導、特定検診保健指導、他NST、褥瘡回診など幅広く活躍中。東京都糖尿病療養指導士取得。患者さん、入居者さんが楽しめる食事提供を心がけています。

「タウリン」とは?

「タウリン」とは?

タウリンは含硫アミノ酸様化合物の一種で、イカやタコ、貝類、甲殻類に多く含まれています。 水溶性であり、肉類、乳製品、魚介類にも豊富に含まれています。 特に、牡蠣、しじみ、あさり、ホタテなどの貝類や、イカ、タコなどの軟体動物に多く含まれていることが知られています。 ヒトの体内では、胆汁の生成を促進する働きがあり、コレステロールを正常にする働きがあります。神経系の伝達、浸透圧の調整、解毒作用、細胞膜の安定化など、多岐にわたる役割を果たしています。動物実験では、タウリンが欠乏すると網膜機能に障害を起こすことも知られています。

タウリンの一日の摂取量

タウリンの一日の摂取量

タウリンはヒトにとって必要な栄養素ではないため、食事摂取基準では決められていません。栄養剤などに含まれるタウリンは100cc中に1000㎎や300mgほど配合されているものが多いですが、体内で余ったタウリンは排出されるため、摂れば摂るほど効果が得られるわけではありません。また、栄養剤は糖分の摂りすぎにも注意が必要です。

タウリンの効果

タウリンの効果

肝機能を高める

タウリンには、肝臓の解毒作用をサポートし、アルコール代謝を助ける働きがあるとされています。また、胆汁の分泌を促進することで、コレステロールの排出を助け、肝機能の維持に寄与すると考えられています。さらに、インスリンの分泌をサポートする作用があることから、糖代謝にも関与している可能性が指摘されています。これらの作用により、タウリンは肝機能の保護や修復を助ける成分として注目されています。

高血圧予防

血圧を調整しているのは、副腎から分泌されるカテコールアミン(アドレナリン・ノルアドレナリン・ドーパミン)です。この物質が交感神経を刺激して血管を収縮させます。血管が収縮すると血圧が高くなります。タウリンは、カテコールアミンの分泌を抑制すると考えられており、高血圧予防にも効果的です。

脳・目の機能維持

視力の衰えを防ぎ、新生児の脳や網膜の発育を助ける作用もあります。運動時の脂肪燃焼の効率を上げることも確認されており、体重減少を助ける効果も期待されています。

疲労回復をサポート

筋肉の疲労や摩耗の原因となる、老廃物の除去を助け、筋肉細胞へのダメージや酸化ストレスを軽減する効果が期待されています。これらの効果から、身体的な疲労感を解消する可能性があると考えられます。 タウリンのほとんどは筋肉中に含まれています。筋肉の疲労によってたまった物質を除去する効果があります。栄養ドリンクにタウリンが多く含まれているのは、疲労回復のためです。

皮膚の機能回復

タウリンは、浸透圧を調整する作用を持ち、表皮の水分保持や細胞の体積調節に関与していると考えられています。加齢や紫外線の影響により皮膚中のタウリン量が減少するという報告もあり、培養細胞や一部の研究では、タウリンの補給が皮膚機能の回復に役立つ可能性が示唆されています。ただし、ヒトにおける十分な臨床研究は限られており、効果については今後の研究によって明らかになることが期待されています。

タウリンを摂りすぎると現れる副作用

タウリンを摂りすぎると現れる副作用

糖分の過剰摂取

タウリンそのものには、副作用はありませんが、栄養ドリンクに含まれている場合には、注意が必要です。栄養ドリンクに、カフェインや糖分が含まれている場合、それらを過剰摂取すると、副作用が現れる場合があります。なるべく食事から補うようにすることで、糖分の過剰摂取を防ぐことができます。

かゆみ・熱感

タウリンを含むエナジードリンクの過剰摂取により、かゆみや局所の熱感、不快感を伴う多形紅斑が生じたとする報告があります。ただし、これらの症状がタウリン単独によるものかは明確ではなく、カフェインやその他の添加成分など、エナジードリンク全体の成分による複合的な影響である可能性も指摘されています。体質によって反応には個人差があるため、サプリメントや栄養ドリンクを利用する際は用量を守って摂取することが大切です。

魚介類アレルギー

タウリンはイカやタコ、カキなどの魚介類に多く含まれていますが、アレルギーの主な原因は魚介類に含まれるたんぱく質であり、タウリンそのものがアレルゲンとなる可能性は低いとされています。ただし、サプリメントや健康食品に使用されるタウリンが魚介由来の場合、製造過程でたんぱく質などのアレルゲンが残存している可能性がゼロとは言えません。魚介アレルギーのある方は、原材料や製造元の表示を確認し、必要に応じて医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

タウリンが不足するとどうなる?

タウリンが不足するとどうなる?

コレステロール代謝低下

コレステロールは、体内で性ホルモンの材料、また、その分解産物の胆汁酸は脂肪の消化吸収に重要な役割を果たしています。 タウリンは胆汁酸の分泌を促進するため、不足すると代謝の低下をきたします。

心筋症・腎機能障害

タウリンには抗酸化作用があるとされており、体内で活性酸素の過剰産生を抑える役割があると考えられています。一部の動物実験では、タウリンの欠乏により心筋や腎機能に障害が生じたという報告もありますが、ヒトにおいて同様の因果関係が明確に確認されているわけではありません。現在のところ、タウリン不足と心筋症・腎機能障害との関連については、可能性が指摘されている段階です。

発育不全

タウリンが枯渇した状態で生育されたマウスは、ミトコンドリアの欠乏、心筋及び骨格筋の発達不全、血管内皮厚の減少、心筋の萎縮などの症状が見られました。

網膜神経へのダメージ

タウリンは眼球、とくに網膜に高濃度で存在しており、視覚機能の維持に関与していると考えられています。動物実験では、タウリンの欠乏により網膜の変性や視力低下が見られたという報告があります。ただし、ヒトでは通常の食生活でタウリンが欠乏することはまれであり、明確な欠乏症との関連は十分に解明されていません。今後の研究が待たれる分野です。

タウリンを効率よく摂取する方法

タウリンを効率よく摂取する方法

タウリンを多く含む食品の摂取

タウリンは以下の食材に多く含まれています。 (食材100g中に含まれるタウリン含有量) カキ:1,130㎎ ほたて:769㎎ あさり:664㎎ タコ:520㎎ たら:300~450mg イカ350mg ひらめ:171mg くるまえび:150mg かつお:80mg めばる:30mg いわし:20mg

タウリンと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

タウリンは水溶性の性質を持ちます。水に溶けやすい成分ですので、調理法を工夫する必要があります。効率よく摂取したい場合には、シーフードカレー、クラムチャウダーやあさりの味噌汁など煮汁ごと摂取できる料理がおすすめです。貝類からも、うま味の効いただしが出ますので、おいしく食べられると思います。寒い季節にはお鍋の具材にカキやイワシつみれをいれてみるのもおすすめです。

タウリンの効果を高める摂取タイミング

運動機能の向上を目的としてタウリンを摂取する場合、運動の2時間前に摂るとよいという報告がイギリスの研究で示されています。 また、栄養ドリンクを飲むタイミングについては、有効成分の吸収率を高めたい場合は食後が効果的とされています。 一方で、疲労回復を目的に就寝前に摂取するケースもありますが、栄養ドリンクにはカフェインを含む商品も多いため、就寝を妨げる可能性があります。 製品の成分表示をよく確認し、特に薬を服用している方や就寝前に飲む場合には注意が必要です。

「タウリンのとりすぎ」についてよくある質問

「タウリンのとりすぎ」についてよくある質問

ここまでタウリンのとりすぎについて紹介しました。ここでは「タウリンのとりすぎ」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

タウリンは肝臓に負担をかけるのでしょうか?

神尾 澄恵神尾 澄恵

タウリンは、解毒、代謝、胆汁の生成を助ける、肝臓に蓄積した中性脂肪を体外に排出させる、血中コレステロールを下げる。以上の効果から負担は軽減され、肝機能を助ける役割をします。

まとめ

タウリンはアミノ酸様物質の一つで、体内でもある程度合成される成分です。主に疲労回復や肝機能のサポートなど、体の機能維持に関与しています。摂取の目安は食事摂取基準に定められていませんが、通常の食生活で不足することは少ないとされています。ただし、新生児や未熟児などでは合成能力が十分でない場合があるため、注意が必要です。また、栄養ドリンクやサプリメントなどで過剰に摂取すると、糖分やカフェインの摂りすぎにつながることがあります。貝類や魚介類などの食品からの摂取を基本とし、必要に応じて補助的に利用することが望ましいでしょう。

「タウリン」と関連する病気

「タウリン」と関連する病気は8個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

皮膚科の病気

  • かゆみ

眼科の病気

  • 網膜神経

「タウリン」と関連する症状

「タウリン」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • だるい
  • 動脈硬化
  • 肝機能
  • 魚介アレルギー

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