「葉酸の多い食べ物」はご存じですか?過剰摂取すると現れる症状も管理栄養士が解説!

葉酸の多い食べ物とは?メディカルドック監修管理栄養士が一日の摂取量・効果・不足すると現れる症状・過剰摂取すると現れる症状・効率的な摂取方法などを解説します。

監修黒瀬 彩加
目次 -INDEX-
「葉酸」とは?

葉酸活性をもつ化合物の総称を葉酸と呼びます。水溶性ビタミンでビタミンB群に属し、必須栄養素になります。食べ物から葉酸を必要量摂らないと不足し、やがて欠乏状態になってしまいます。
葉酸の一日の摂取量

葉酸の1日の摂取推奨量は、成人男性・女性ともに240μgです。ただし、妊娠を計画している女性や妊娠初期の女性は、通常の食事からの摂取に加え、サプリメントなどで1日400μgの葉酸を追加摂取することが推奨されています。
妊娠前、妊娠初期の妊婦の摂取量
推奨量240μg/日+付加量400μg/日
妊娠中期・妊娠後期の女性
推奨量240μg/日+付加量240μg/日
授乳期
推奨量240μg/日+付加量100μg/日
耐容上限量はサプリなどの合成葉酸のみに設定されており、食品中の葉酸は対象外です。男女ともに18~29歳で900㎍、30~64歳で1000㎍、65歳以上で900㎍の耐容上限量が設定されています。
葉酸の効果

葉酸は、ビタミンB12とともに赤血球の生産を助けるビタミンです。また、代謝に関与しており、DNAやRNAなどの核酸やたんぱく質の生合成を促進し、細胞の生産や再生を助けることから、体の発育にも重要なビタミンです。
細胞の成長と再生を促進
胎児の発育をサポート妊娠初期の葉酸摂取は、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを軽減します。
貧血予防
葉酸はビタミンB12や鉄分と一緒に摂取することで、より効果的に貧血を予防できます。
美肌効果
細胞の再生やターンオーバーを促進し、肌荒れや肌のくすみを改善する可能性があります。
動脈硬化予防
葉酸は、ビタミンB6、ビタミンB12と共に、ホモシステインというアミノ酸の代謝に関わっています。ホモシステインは、血液中で増えすぎると、血管の内皮細胞を傷つけたり、血栓をできやすくしたりすることで、動脈硬化を促進する可能性があります。
葉酸の多い食品

焼き海苔
焼き海苔は特に葉酸が豊富で、100gあたり1900μgも含まれています
いちご
葉酸は100gあたり90µgとなっていますが、一個あたり15gとして、6〜7個で90µg摂取できるということになります。
レバー系
他の肉類が100gでも10µg以下がほとんどなのに比べ、鶏レバー1300µg/100g、牛レバー1000µg/100g、豚レバー810µg/100gとなっています。
ドライマンゴー
間食として取り入れやすいですが、果糖が多いので、過剰摂取にご注意ください。
ブロッコリー
ブロッコリーは葉酸を多く含む野菜のひとつです。葉酸は水に溶けやすく熱にも弱いため、調理法には工夫が必要です。スープにして汁ごと食べたり、電子レンジで加熱したり、蒸し調理にすることで、葉酸の損失を抑えやすくなります。焼くよりも、短時間で加熱できる方法がおすすめです。
葉酸が不足すると現れる症状

神経管閉鎖障害
神経管閉鎖障害は妊娠初期(4週~7週頃)に発症する先天異常で、脳や脊髄の神経組織の発達に影響を及ぼし、知的障害や発達障害、運動障害の原因となります。神経管閉鎖障害のリスクを軽減するには、妊娠前から妊娠初期にかけて十分な葉酸を摂取することが良いとされています。
葉酸欠乏症
葉酸が不足することで、血液細胞の核にあるDNAが十分に作れず、貧血をきたす病気です。症状は息切れ、めまい、ふらつき、動悸、疲労感、顔色が悪くなる、耳鳴り、頭痛などがあります。治療は経口または注射による葉酸の補充療法が行われます。症状が悪化した場合、内科で詳しい検査や治療を受けることができます. 必要に応じて、血液内科や消化器科など、専門の診療科に紹介されることもあります。
巨赤芽球性貧血
ビタミンB12もしくは葉酸(ビタミンの一種)が不足することで生じる貧血です。これらのビタミンは赤血球の細胞骨格を維持するのに必要な物質で、欠乏すると体内で新たに血液を造ることができなくなります。症状として、動悸や息切れ、疲労感といった貧血の症状が現れます。治療法としては、葉酸欠乏の場合は葉酸製剤の内服で対応できることがほとんどです。
葉酸を過剰摂取すると現れる症状

亜鉛の吸収障害
葉酸を過剰に摂取すると、亜鉛の吸収が阻害される可能性があります.
アレルギー症状
過剰摂取により、かゆみや蕁麻疹などのアレルギー症状が現れることがあります.
自閉症スペクトラム障害(ASD)のリスク増加
一部の疫学研究において、母親の葉酸やビタミンB12の血中濃度が非常に高い場合、出生児のASD(自閉症スペクトラム障害)リスクとの関連が示唆された報告があります。ただし、これらの研究結果は観察的なものであり、葉酸やビタミンB12の摂取とASDとの因果関係は現時点で明確に証明されていません。過剰摂取を避けるためにも、摂取量は推奨量を守ることが大切です。
葉酸の効率的な摂取方法

炒めたり、蒸し料理で食べよう
葉酸は、光に対して不安定で、また水溶性ビタミンであるため、水にさらすと失われやすいという特徴があります。対策として、明るい場所で保存する場合には、新聞紙などにくるんでおくとよいでしょう。また、調理の際に食材から葉酸を効率的に摂りたい場合は、なるべくゆでたりせず、炒めるなど、水を使わずにできる調理法をとるようにしましょう。
レバーを食べる
レバーにも葉酸が豊富に含まれています。また、レバーには、葉酸とともに摂取することで貧血予防などに働く、ビタミンB12も豊富です。
葉酸の効果を高める摂取タイミング
葉酸は水溶性ビタミンであり、基本的には食前でも食後でも吸収されます。吸収率に大きな違いはありませんが、胃腸が弱い方は食後に摂取することで胃への負担を抑えられることがあります。サプリメントの摂取タイミングについては、商品ごとの推奨方法に従うのが安心です。
「葉酸の食べ物」についてよくある質問

ここまで葉酸の食べ物などを紹介しました。ここでは「葉酸の食べ物」についてよくある質問に、メディカルドック管理栄養士がお答えします。
葉酸の多い果物について教えてください。
黒瀬 彩加
葉酸の多い果物を紹介します。なお、ドライフルーツは水分が抜けて栄養素が濃縮されているため、果物同士の比較には注意が必要です。ここでは、生の果物に限定してご紹介します。
葉酸が多い果物(生の状態・可食部100gあたり)
1位 ライチ 約100μg
2位 アボカド 約84μg
3位 マンゴー 約84μg
※日本食品標準成分表2020年版(八訂)を参考にしています。
まとめ
葉酸は水溶性でビタミンB群の一種です。細胞の成長やDNAの合成に不可欠な栄養素です。特に妊娠初期の胎児の神経管閉鎖障害のリスクを減らすために重要で、妊娠前から摂取が推奨されています。妊娠前や妊娠初期はサプリメントで葉酸の摂取が推奨されています。過剰摂取はアレルギー症状が出る場合がありますので、容量を守って、正しく摂取しましょう。
「葉酸」と関連する病気
「葉酸」と関連する病気は2個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する病気
- 巨赤芽球性貧血
- 神経管閉鎖障害
「葉酸」と関連する症状
「葉酸」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。




