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妊娠初期の流産の原因や兆候を産婦人科医が解説 早期流産の確率はどれくらい?

 更新日:2024/01/05
妊娠初期の流産の原因や兆候を産婦人科医が解説 早期流産の確率はどれくらい?

妊娠の喜びと同時にやってくるのが「無事に生まれてくれるだろうか?」という不安です。そして残念ながら、初期に流産してしまうことはあります。今回は、妊娠初期の流産の原因や兆候、早期流産の確率について、「折野産婦人科」の折野先生に解説していただきました。

折野 一郎

監修医師
折野 一郎(折野産婦人科)

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大阪医科大学(現・大阪医科薬科大学)卒業。その後、大阪医科大学附属病院(現・大阪医科薬科大学病院)、市立ひらかた病院、高槻赤十字病院などで勤務医として経験を積む。2011年、大阪府枚方市に位置する「折野産婦人科」の院長に就任する。日本産科婦人科学会専門医。母体保護法指定医。

妊娠初期は流産が起こりやすい? 原因や兆候は? 妊娠10週までの妊婦はどれくらいの確率で早期流産になる?

妊娠初期は流産が起こりやすい? 原因や兆候は? 妊娠10週までの妊婦はどれくらいの確率で早期流産になる?

編集部編集部

「妊娠初期は流産しやすい」というのは本当ですか?

折野 一郎先生折野先生

そうですね。そもそも、「妊娠初期」や「安定期」という言葉の定義は曖昧です。そのうえで「初期流産」という点では、妊娠10週まではまだ不安定で流産しやすいと言えます。

編集部編集部

初期の流産の原因はなんですか?

折野 一郎先生折野先生

妊娠初期の流産の最も多い原因は、「胎児の染色体異常」です。実際に流産したとき、責任を感じてしまう妊婦さんも多いのですが、あまりご自身を責めないでいただきたいですね。

編集部編集部

どのくらいの確率で流産になるのですか?

折野 一郎先生折野先生

ご自身で妊娠と気づく前に流産しているケースもあるので、正式なデータは不明ですが、全体の約15%と言われています。

編集部編集部

初期に流産する場合、兆候はありますか?

折野 一郎先生折野先生

性器から少量の出血」と「子宮収縮によって起こる腹痛」が流産の兆候として挙げられます。出血は鮮血の場合もあれば、暗赤色の場合もあります。腹痛はギューッと収縮するような、重い生理痛のような痛みであることが多いようです。その一方、兆候が全く感じられない場合もあります。

産婦人科に聞く流産の種類 自然流産・稽留流産・切迫流産など原因・症状・進行別の分類 流産になったときの対処法も

産婦人科に聞く流産の種類 自然流産・稽留流産・切迫流産など原因・症状・進行別の分類 流産になったときの対処法も

編集部編集部

流産にも種類があるのですか?

折野 一郎先生折野先生

そうですね。例えば、原因による分類としては「人工流産」や「自然流産」などがあります。人工流産は、いわゆる人工妊娠中絶のことです。また、妊娠検査薬で陽性が出たのにも関わらず、エコーなどで確認する前に流産してしまった状態を「化学流産」と言います。

編集部編集部

症状によっても分類されると聞きました。

折野 一郎先生折野先生

はい。最近増えているのは、妊娠が確認できた後、成長が止まってしまう「稽留(けいりゅう)流産」という状態です。先述した流産の兆候がなく、妊婦健診の際に指摘されて初めて気づくケースが多いですね。稽留流産ではなく、出血や腹痛から始まり、子宮内のものが外に出てきてしまうのは「進行流産」と呼ばれています。

編集部編集部

では、切迫流産とはなんですか?

折野 一郎先生折野先生

切迫流産は、厳密には流産ではなく「流産しかかった状態」を言います。妊娠22週未満で、出血などの症状がみられた場合などに切迫流産と診断されます。

編集部編集部

切迫流産となった場合、どうしたらいいのですか?

折野 一郎先生折野先生

切迫流産に対してはっきりと有効性が確認されている薬剤はないので、安静にしているのが一番の対処法です。切迫流産の状態などによって、止血剤や子宮収縮抑制剤、ホルモン剤などが処方されることもありますが、これも絶対ではありません。

初期の流産を防ぐためには 飲酒や喫煙など日常生活で妊婦が気をつけるべき行動と生活習慣

初期の流産を防ぐためには 飲酒や喫煙など日常生活で妊婦が気をつけるべき行動と生活習慣

編集部編集部

初期の流産を防ぐためには、どうしたらいいのでしょうか?

折野 一郎先生折野先生

初期の流産の原因は胎児側にあることがほとんどで、妊婦さんの生活習慣が流産を引き起こすことは基本的にありません。しかし、強いて言うなら「ストレスを溜めない」「激しい運動を避ける」「重いものを持たない」などが対策として挙げられます。ただし、必要以上に安静にする必要はなく、むしろ適度な運動は必要です。

編集部編集部

ほかには何かありますか?

折野 一郎先生折野先生

妊娠初期に限らず、妊娠期間を通して言えることですが、喫煙や飲酒は避け、カフェインや香辛料などの過剰摂取も控えましょう。また、下半身を冷やさないことも大事です。加えて、葉酸のサプリメントの摂取も推奨しています。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

折野 一郎先生折野先生

妊娠年齢の高齢化に伴い、初期流産の割合は上がっていると言われています。しかし、過度に心配すると、かえって母体にストレスがかかります。できるだけ不安にならず、リラックスした状態で妊娠期間を過ごしましょう。ただし、繰り返し流産になる場合は「不育症」など母体側に原因があることも考えられます。不育症の場合は検査をする必要があるので、医師に相談してください。

編集部まとめ

妊娠初期の流産の原因や兆候などについて解説していただきました。「初期の流産は、ほとんどが胎児の染色体異常が原因です。あまりご自身を責めないでください」という言葉が印象的でした。過度に心配せず、リラックスして過ごせたらいいですね。

医院情報

折野産婦人科

折野産婦人科
所在地 〒573-1111 大阪府枚方市楠葉朝日3丁目6-28
アクセス 京阪電気鉄道京阪本線「樟葉駅」 徒歩10分
診療科目 産科、婦人科

この記事の監修医師