「カルシウム」は血圧にも良い「効果」がある?管理栄養士が解説!
公開日:2025/10/03

カルシウムの効果とは?メディカルドック監修管理栄養士がカルシウムの効果・一日の摂取量・不足すると現れる症状・不足しやすい人の特徴・過剰摂取すると現れる症状・多く含む食品・効果的な摂取方法などを解説します。

監修管理栄養士:
荒井 佳奈恵(管理栄養士)
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委託給食会社勤務、栄養教諭、フィットネスジム栄養指導などを経て、現在は特定保健指導やスポーツ栄養、コラム執筆などに従事。予防栄養に関心が深くその分野を中心に活動範囲を広げている。食アスリート協会認定講師、健康食育シニアインストラクター。
目次 -INDEX-
「カルシウム」とは?

カルシウムの一日の摂取量

カルシウムの効果

骨折予防
カルシウムは骨の主要成分であり、骨密度を維持・向上させることで骨折リスクを軽減します。特に高齢者や閉経後の女性では、カルシウムを適切に摂取することで骨の脆弱化を防ぎ、股関節や脊椎などの骨折を予防する効果があります。高血圧予防と改善
カルシウムは血管の収縮を調整する作用があり、十分な摂取により高血圧の予防・改善が期待されます。ただし、カルシウム摂取が直接的に高血圧を改善するかどうかについては、さらなる研究が必要とされています。筋肉機能の改善
筋肉の収縮は、カルシウムイオンが筋繊維に取り込まれることによって引き起こされます。研究結果ではカルシウムの適切な摂取が筋肉機能の維持・改善に寄与すると示しています。特に高齢者においては、カルシウム摂取が筋力の低下を防ぐために重要です。体重管理への影響
カルシウムは体脂肪の蓄積を抑制する可能性があり、体重管理に影響を与えるとされています。例えば、カルシウム摂取が体脂肪の減少を促進する可能性や、短期間の高カルシウム摂取が24時間のエネルギー消費量や脂肪酸化を増加させる可能性が示されていますが、明確な効果を示すにはさらなる研究が必要です。心血管疾患予防
カルシウムは特に乳製品からの摂取が、脳卒中の予防に寄与する可能性が示されました。研究結果からも脳卒中の予防に有益とされましたが、サプリメントからのカルシウム摂取については、効果が確認されていないため、食事からの摂取が推奨されます。カルシウムが不足すると現れる症状

骨粗しょう症
カルシウム不足などで骨密度が低下し、骨がもろくなって骨折しやすくなる病気です。主な症状は背中や腰の痛み、身長の縮小、骨折などです。 カルシウムとビタミンDを意識した食事を心がけ、転倒予防のための適度な運動や生活環境を見直します。症状が進行した場合、整形外科や内分泌内科を受診し、医師には食生活、運動習慣を詳しく伝えます。骨軟化症(くる病)
カルシウムやビタミンDの不足により骨の石灰化が不十分になり、骨の変形、成長障害、筋力低下などが起こります。 カルシウムとビタミンDの補給が重要です。症状が進行した場合は小児科(子ども)や内分泌内科(成人)を受診し、医師には食事内容、日光浴の有無を詳しく伝えます。テタニー
カルシウム不足により神経や筋肉が過敏になり、手足のしびれ、けいれん、筋肉のけい縮などが起こります。 原因がカルシウム不足であれば、速やかにカルシウムを補います。症状が進行した場合、内科または神経内科を受診し、医師には服薬歴、持病(特に副甲状腺機能低下症など)を詳しく伝えます。カルシウムが不足しやすい人の特徴

若年成人(特に20代女性)
過度なダイエットや乳製品の摂取不足、外食中心の食生活などによりカルシウム摂取量が少なく、骨量形成期であるにもかかわらず栄養が不足しやすいです。高齢者(特に60代以上の女性)
閉経後の女性ホルモン減少により骨密度が低下しやすく、カルシウム不足が骨粗しょう症のリスクを高めます。また、食事の偏りや運動不足、日光浴の機会減少もカルシウム摂取に影響を与えます。偏食傾向のある人
特定の食品に偏ることでカルシウムをはじめとする栄養素の摂取が不足します。例えば、揚げ物や加工食品を多く摂取し、野菜や乳製品の摂取が少ない場合、カルシウムやビタミンD、ミネラルが不足する可能性があります。一般的にリン(多い食品:加工食品、インスタント食品など)はカルシウムの吸収を阻害するリスクがあります。また、不規則な食事時間や、食事を抜くことも同様です。カルシウムを過剰摂取すると現れる症状

軟組織の石灰化
カルシウムの過剰蓄積により関節や軟骨が石灰化し、関節のこわばりや炎症、運動時の痛みます。 まずカルシウムを多く含む食品やサプリを控えること。症状がひどくなる前に整形外科を受診し、医師にカルシウム代謝異常の有無やサプリの使用歴、既往症を詳しく伝えます。泌尿器系結石
尿路にカルシウムや尿酸などが結晶化してできる疾患で、突然の激しい脇腹や背中の痛み(疝痛)、血尿、吐き気、頻尿などが特徴です。 まずは水分を多く摂り、排尿を促します。カルシウム結石では、カルシウムを含むサプリは避け、痛みが強い場合は泌尿器科を受診し、医師にサプリや食事内容、水分摂取量を伝えます。ミルクアルカリ症候群
カルシウムを多く含むサプリメントや乳製品の過剰摂取によって引き起こされ、吐き気、嘔吐、意識障害、脱水、腎機能低下などがあります。 まずカルシウムとアルカリ摂取の中止が最優先。水分はしっかりとって脱水を防ぎます。症状悪化の場合は、内科または腎臓内科を受診し、医師にはサプリや服薬歴、乳製品の摂取量を正確に伝えます。鉄や亜鉛の吸収障害
カルシウムの過剰摂取は鉄・亜鉛の吸収を妨げ、貧血や味覚異常、免疫低下などを引き起こします。 対策はサプリ併用の見直しとバランスの取れた食事です。症状が進行した場合は内科や栄養科を受診し、診療時は摂取サプリや食生活を正確に伝えます。カルシウムを多く含む食品

乳製品
1日数回に分けて摂ることがポイントです。牛乳、ヨーグルト、チーズ、ウエハースなどを朝食や間食に取り入れると手軽に摂取できます。低脂肪乳やスキムミルクを使えば、カロリーを抑え効率よく補えます。小魚
骨ごと食べられるもの(ししゃも、煮干し、ちりめんじゃこなど)を選びます。炒め物やサラダ、ふりかけなどに加えると手軽に摂取できます。毎日の食事に少量ずつ取り入れるのが効果的です。大豆製品
特に豆腐(特ににがり使用の木綿豆腐)や高野豆腐にカルシウムが多く含まれています。味噌汁や煮物、炒め物に取り入れると無理なく継続できます。緑黄色野菜
特に小松菜、モロヘイヤ、チンゲンサイなどの葉物野菜にはカルシウムが多いです。加熱することで量多く食べられ、吸収も良くなります。炒め物やスープ、和え物にして毎日取り入れるのが理想的です。カルシウムの効果的な摂取方法

カルシウムを多く含む食品の摂取
★食品1日の摂取目安および、カルシウム含量を示しています。 ・牛乳は、コップ1杯(200㏄)あたり、約220mg含有 ・プロセスチーズは、1枚(20g)あたり、約125mg含有 ・木綿豆腐は、100~150gあたり、約120~180mg含有 ・高野豆腐は、1~2枚(16.5~33g)あたり、約75~145mg含有 ・小松菜は、150g(1日の緑黄色野菜摂取目安として)あたり、約210mg含有 ・しらす干しは、大さじ1杯(10g)あたり、約50mg含有 ・ひじき(乾燥)は、小鉢1つ分(3g)あたり、約40mg含有カルシウムと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
・ビタミンDは、鮭、サンマ、イワシ、干ししいたけ、卵黄などに多く、小松菜のしらす炒めや、チンゲンサイときのこの卵スープなどがお勧めです。カルシウムの吸収を助け骨の健康維持に役立ちます。 ・マグネシウムは、納豆、アーモンド、ほうれん草などに多く、納豆ご飯と豆腐のわかめの味噌汁などを組み合わせてもいいでしょう。マグネシウムはカルシウムとバランスよく摂取すると骨や歯の形成をサポートし、筋肉や神経の正常な働きを維持します。 ・ビタミンKは、納豆、小松菜、ブロッコリーなどに多く、副菜として小松菜のお浸しを追加するといいですね。ビタミンKは骨にカルシウムを定着させる働きがあり、骨密度の維持・骨粗しょう症の予防に有効です。 ・たんぱく質は、卵、乳製品、肉、魚、大豆製品などに多く、ゆで卵+ヨーグルトなどが手軽です。カルシウムは骨の材料として重要ですが、たんぱく質はその土台を作る成分。両方を一緒に摂ることで、骨や筋肉の強化、成長、維持に効果的です。カルシウムの効果を高める摂取タイミング
カルシウムの効果を最大限に引き出すためには、食後の摂取が重要です。逆に摂取を避ける時間帯について明確な指針はありませんが、リンや鉄分、一部の食物繊維、フィチン酸を含む食品との同時摂取は、カルシウム吸収を妨げる可能性があり、それらの栄養素が多い食品は、避けることを推奨します。 また、ドリンク・粉末などに関わらず、特にサプリで摂取する場合も、空腹時よりも食事中や食後に摂ることを推奨します。「カルシウムの効果」についてよくある質問

ここまでカルシウムの効果を紹介しました。ここでは「カルシウムの効果」についてよくある質問に、メディカルドック監修管理栄養士がお答えします。
カルシウムを摂取するメリットについて教えてください。
荒井 佳奈恵
カルシウムは骨だけでなく、健康的な筋肉や体重の管理に役立ち、病気の予防になると研究結果で出ています。成長期からカルシウム摂取や運動によって骨密度を高めておくことが重要です。また、大人になってからの定期的な適量摂取が骨密度の維持に繋がります。
まとめ
カルシウムは骨や筋肉、神経の健康を守るのに不可欠です。食事からビタミンDやたんぱく質とともにバランスよく摂り、無理なく継続することが健康維持の鍵です。食事で得られにくい場合は、医師や管理栄養士に相談しサプリの活用も検討してみましょう。「カルシウム」と関連する病気
「カルシウム」と関連する病気は、記事内で列挙したもの以外に5個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。内分泌・代謝内科系の病気
- 副甲状腺機能亢進症
- 副甲状腺機能低下症
- 悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症
内科・栄養科の病気
- カルシウム過剰症
- カルシウム欠乏症
「カルシウム」と関連する症状
「カルシウム」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。関連する症状
- 手足や顔面のしびれ
- 筋肉のけいれんや疲労感、だるさ
- 骨の痛み
- 精神的な不調
- 吐き気、便秘、下痢



