「アミノ酸の多い飲み物」は何かご存じですか?不足すると現れる症状も管理栄養士が解説!

アミノ酸の多い飲み物とは?メディカルドック監修医がアミノ酸の多い飲み物・一日の摂取量・不足すると現れる症状・過剰摂取すると現れる症状・効率的な摂取方法などを解説します。

監修管理栄養士:
鈴木 友美(管理栄養士)
健診センターでの特定保健指導・栄養相談の経験を生かして、より多くの方々の健康をサポートできるように知識を深めています。
目次 -INDEX-
「アミノ酸」とは?

アミノ酸は、たんぱく質を構成する最小単位のことで、肉や魚、ごはんなどから取り入れています。
アミノ酸は、たんぱく質の原料となる他、ホルモンや酵素、抗体となって体の維持・調節に関わっています。
体内の状況によってはエネルギーとなり、身体を動かす源になることもあります。
また、アミノ酸には体の中で合成できないため食事から摂取する必要がある「必須アミノ酸」と、体の中で合成することができる「非必須アミノ酸」に分類されます。
アミノ酸の一日の摂取量

アミノ酸は、たんぱく質を多く含む食品に多く含まれています。日本人の食事摂取基準(2025年度版)では、たんぱく質の必要量を以下のように記載されています。
(推奨量)
成人男性(18~64歳):65g/日
成人女性(18~64歳):50g/日
(目標量)
成人男性(18~64歳):13~20%
成人女性(18~64歳):13~20%
アミノ酸の多い飲み物

アミノ酸飲料
アミノ酸の形で含まれているので、分解・消化する必要がなく体内に吸収されやすくなっています。
運動時に飲むことで、アミノ酸が傷んだ筋肉の修復や、疲労物質である乳酸の生成を抑えて疲れにくくする働きが期待できます。
豆乳
豆乳は、アミノ酸スコア(食品に含まれる必須アミノ酸のバランスを評価する指標)が100となっており、体に必要な必須アミノ酸がバランスよく含まれています。
肉や乳製品に比べて、低脂肪で日々の食事に取り入れやすいのもポイントです。
牛乳
牛乳も豆乳と同じく、アミノ酸スコアが100で、必須アミノ酸をバランスよく含んでおり、身体の成長や修復に役立ちます。
特にホエイは吸収率が高く、筋肉の合成を促進する「ロイシン」を豊富に含んでいるので筋肉の合成促進や筋肉を壊れにくくする効果があります。
プロテインドリンク
プロテインドリンクは、牛乳や豆乳などを原料にしパウダー状に加工したもので、アミノ酸も豊富に含まれています。
それぞれ吸収の速度が違うため、目的に合わせて選ぶようにしましょう。
プロテインの中でも、ホエイプロテインは吸収が早く、筋肉の成長・回復効果が期待できます。
高たんぱくヨーグルトドリンク
通常のヨーグルトよりも、たんぱく質量が強化されていて1本あたり10g前後のたんぱく質を手軽に摂取できる製品が多くあります。
ホエイやカゼインなど乳由来のタンパク質を主成分として消化吸収が早いのが特徴です。
アミノ酸が不足すると現れる症状

肌荒れ
角層の中で潤いを保つ成分である「天然保湿因子(NMF)」の約半分はアミノ酸から構成されていることから、不足すると乾燥の原因になることがあります。
また、アミノ酸は肌の新陳代謝(ターンオーバー)にも関わっていて、不足することで古い角質が溜まり、ニキビやくすみなどの原因となります。
必要に応じてスキンケアを行うと同時に、肉や魚、大豆製品、卵、乳製品などたんぱく質を含む食品を意識して摂取するとよいでしょう。
疲労感
アミノ酸は、筋肉の材料となる他に、エネルギー代謝や脳の働き、免疫機能にも関わっています。
たんぱく質が不足すると、体内のアミノ酸が低下し、筋肉や血管、皮膚などの修復が遅れ、回復力が低下し疲労につながります。
また、ドーパミンやセロトニンなどの脳内物質が不足することで気分の落ち込みや、集中力の低下など、メンタル面にも影響が出ることがあります。
サルコペニア
サルコペニアは、加齢や栄養不足、活動量の低下などによって筋肉量と筋力が減少する状態を指します。
特に高齢者の方は、食が細くなりやすく、食事から十分なたんぱく質量を補うことが難しい場合があるため注意が必要です。
サルコペニアの予防・改善には、筋力や運動能力に応じた定期的な運動や筋トレを行うことや動物性たんぱく質の積極的な摂取が推奨されています。
アミノ酸を過剰摂取すると現れる症状

肝機能・腎機能障害
体内でアミノ酸が分解される過程で、有毒なアンモニアが発生します。
アミノ酸を過剰摂取すると、アンモニアの処理量が増えて肝臓と腎臓への負担が大きくなります。
便秘・下痢
アミノ酸のように消化・吸収が早いかたちで過剰摂取をすると、腸管内のアミノ酸濃度が変化してしまい、浸透圧性下痢の原因となることがあります。
大量に摂取することで起こるため、体調をみながら1回に飲む量を調節することをおすすめします。
腸内環境の乱れ
アミノ酸の過剰摂取は、腸内に体に悪影響を及ぼす悪玉菌が増殖しやすくなるため、便通が悪くなったり、匂いが強くなる原因となる場合があります。このように過剰なアミノ酸摂取により腸内環境へ影響を与える可能性が示唆されていますが、ヒトでの明確な因果関係はまだ十分に確立されていません。
アミノ酸の効率的な摂取方法

食事から摂取する
アミノ酸は、様々な栄養素と一緒に偏らないように取り入れることがポイントです。
食品の種類によってアミノ酸のバランスが異なるので、肉や魚、卵、乳製品、豆製品といった食材を取り入れてみましょう。
また、アミノ酸だけでなくビタミンやミネラルも一緒に摂取することでより効果的に利用されます。
空腹時・運動後に摂取する
空腹時はアミノ酸が吸収されやすく、運動後は大量にエネルギーや栄養素を消費しており、栄養素の吸収が高まっています。
糖質も一緒に摂取することでインスリン分泌を促し、より効率的に筋肉の回復を助けて、筋肉の増強に役立つとされています。
アミノ酸は、消化する必要がないためおよそ30分で効率よく体内へ吸収されます。
ビタミンB6と一緒に摂取する
アミノ酸の代謝には、補酵素として働くビタミンB6が重要な役割を果たしています。ビタミンB6が不足すると、アミノ酸を効率よく体内で利用することが難しくなるため、肉、魚、バナナなどビタミンB6を多く含む食品も合わせて摂取することをおすすめします。
「アミノ酸の多い飲み物」についてよくある質問

ここまでアミノ酸の多い飲み物などを紹介しました。ここでは「アミノ酸の多い飲み物」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
アミノ酸飲料を飲むとどんな効果が期待できますか?
鈴木 友美
アミノ酸飲料で、BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)やEAA(必須アミノ酸)が入っているものは、筋肉の修復が早まり回復をサポートする働きが期待できたり、運動でたまった疲労物質の分解を助けてくれます。そのほかにも、グルタミンやアルギニンなどが含まれているものは免疫機能の維持やエネルギー代謝を助ける働きがあります。コラーゲン生成に関わるアミノ酸が含まれていると、肌のハリやうるおい維持に期待されています。
まとめ
アミノ酸を多く含む飲み物には、牛乳や豆乳、アミノ酸飲料、プロテインドリンク、高たんぱくヨーグルトドリンクなどさまざまなものがあります。アミノ酸が不足すると、肌荒れや疲労感などの不調につながることがあるため日々の食事や飲み物から補うことが大切です。一方で、過剰に摂取すると下痢や便秘といった消化器系のトラブルや、腸内環境の乱れを引き起こすことがあります。また、肝機能や腎機能に負担がかかる可能性があるため、適量を守ることが大切です。
「アミノ酸」と関連する病気
「アミノ酸」と関連する病気は9個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
泌尿器科の病気
内科の病気
- 肝機能障害
- 腎機能障害
「アミノ酸」と関連する症状
「アミノ酸」と関連している、似ている症状は12個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
