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「糖質をとりすぎる」と何が早まる?5つのリスクを管理栄養士が徹底解説!

 公開日:2025/09/03
「糖質をとりすぎる」と何が早まる?5つのリスクを管理栄養士が徹底解説!

糖質をとりすぎるとどうなる?メディカルドック監修管理栄養士が糖質をとりすぎると起こる問題・不足するとどうなるか・一日の摂取量・効率的な摂取方法などを解説します。

神尾 澄恵

監修管理栄養士
神尾 澄恵(管理栄養士)

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病院、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホームにて15年にわたり給食管理業務に従事。管理栄養士取得後は病院で栄養管理業務に従事。栄養指導、特定検診保健指導、他NST、褥瘡回診など幅広く活躍中。東京都糖尿病療養指導士取得。患者さん、入居者さんが楽しめる食事提供を心がけています。

「糖質」とは?

「糖質」とは?

糖質は炭水化物から食物繊維を取り除いた部分のことで、単糖類、少糖類、多糖類に分類されます。単糖類はブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトースがあります。少糖類は単糖が2つ以上結びついたもので、ショ糖(ブドウ糖+果糖)、麦芽糖(ブドウ糖+ブドウ糖)、乳糖(ブドウ糖+ガラクトース)などがあります。多糖類は消化性多糖類と難消化性多糖類に分かれます。難消化性多糖類は食物繊維の仲間となります。炭水化物は「糖質」と「食物繊維」に分けられ、一般的には両者を区別して用いる場面もあります。特に、血糖値に影響するのは糖質であるため、健康管理の観点では区別が重要です。 糖質は約4kcal/gのエネルギーを産生し、主な役割は骨格筋、神経組織、精巣、ブドウ糖を主なエネルギー源とする組織(脳、赤血球、腎尿細管など)にブドウ糖を供給することが糖質の大きな役割です。

糖質をとりすぎるとどうなる?

糖質をとりすぎるとどうなる?

むし歯

むし歯は細菌が糖質をもとに作り出す酸が歯を溶かすことで生じます。成人以降、歯の喪失原因は歯周病が多くを占めますが、むし歯も依然として注意が必要な疾患です。成人期には歯周病対策だけでなく、むし歯への対策も重要です。

肥満

糖質を摂りすぎ、エネルギー摂取過剰になると、消費しきれなかったエネルギーが中性脂肪として蓄積され、肥満を招く原因となります。 体内に吸収された糖質は、分解されてブドウ糖が作られます。ブドウ糖が過剰になるとインスリンによって中性脂肪に変換され、脂肪細胞に貯蔵されます。

糖尿病

糖尿病は、膵臓から分泌される「インスリン」の作用不足により、慢性の高血糖状態が続く代謝性症候群です。インスリンの作用不足の原因として、遺伝因子や環境因子があります。環境因子のなかで、糖質の過剰摂取により、インスリンが効きにくくなり発症に至るケースがあります。口渇、多飲、多尿、体重減少などが典型的な症状です。 糖尿病が進行すると、動脈硬化によって「心筋梗塞」「脳梗塞」「足の壊疽」を引き起こすことがあります。

老化が早まる

糖質を過剰に摂取すると、余分な糖質と体内のタンパク質が結びつき、「AGEs」(最終糖化生成物)が増加します。このAGEsが多く蓄積されると、体の老化が早くなると考えられています。さらに取り込まれると、細胞を正常に維持できなくなり、免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなります。

認知症発症リスクが高まる

糖質の過剰摂取によってインスリンが多く使われると、体の酵素がたくさん使われることになります。一部の研究では、糖質の過剰摂取によりインスリン抵抗性が進行すると、アミロイドβの代謝に影響を与える可能性が指摘されています。脳で「アミロイドβ」と呼ばれる特殊なたんぱく質がたまり神経細胞が破壊されることが認知症発症の一因と考えられています。

糖質が不足するとどうなる?

糖質が不足するとどうなる?

集中力の低下

糖質は、摂取した後、最も素早くエネルギーに変換される栄養素です。脳のエネルギー源はブドウ糖で、脳は1日中ブドウ糖を使用しているといわれているため、糖質の摂取量が不足すると脳への栄養が十分に行き渡らず、思考力の低下につながります。

筋肉量の低下

体は食べ物から得た糖質をブドウ糖へ変換しエネルギー源として使用します。ブドウ糖が不足すると、筋肉や肝臓に貯蔵されたタンパク質を分解してブドウ糖を作り出し、それがエネルギー源として使用されます。そのため筋肉量が低下する恐れがあります。

疲れやすくなる

糖質は主に血液中のグルコースや、肝臓・筋肉にグリコーゲンとして蓄えられています。これらの貯蔵量が限られているため、不足すると疲れやすさにつながることがあります。 血液中のブドウ糖をエネルギーとして使用すると、筋肉や肝臓に蓄えられたグリコーゲンを分解してエネルギー源に変換します。しかし、このグリコーゲンは多くはないためエネルギー不足となり、だるさを感じ疲れやすい状態になります。

肝臓に負担がかかる

糖質が不足すると、肝臓でタンパク質が糖質に変換されますが、その際には「アンモニア」という物質も生成されます。この物質は体に有害なため、無毒な「尿素」へ変換しなければなりません。また、糖質が不足している状態でタンパク質を多く摂ると、この変換を多く行うため、肝臓への負担が増える恐れがあります。

低血糖

低血糖は体に必要な糖質が不足することで心身に不調が起こる状態です。汗をかく、動悸、顔色が青白くなる、頭痛、生あくびなどです。ひどくなると、けいれんや意識障害も伴うことがあります。極端な糖質制限を繰り返すと、インスリンの分泌や血糖の調整に影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。 低血糖かな?と感じたら、消化吸収が速いラムネ、ゼリー飲料などを摂取することがお勧めです。 自己判断して、低血糖ではなかったケースもありますので、早めに受診し、医師の診断を仰ぎましょう。

ケトアシドーシス

糖質が不足すると、ブドウ糖をエネルギー源として使用することができない代わりに脂肪がエネルギー源として使われることになります。その際に、脂肪が分解され「ケトン体」という物質が体内にたまります。この状態を「ケトーシス」と呼びます。さらにケトン体が増え、血液が酸性に傾くと「ケトアシドーシス」と呼ばれる状態になります。 呼吸困難や、悪心、嘔吐、意識障害がおこることもあり、すぐに治療が必要な危険な状態に陥ることもあります。

糖質の一日の摂取量

糖質の一日の摂取量

・一日の摂取量について
糖質の1日の摂取基準量は、男女ともに1日の食事から摂取するエネルギー(kcal)の50~65%に相当する量になります。
例)
1日に摂取するエネルギーが2000kcalの場合
2000kcal×0.5~0.65=1000kcal~1300kcal。
炭水化物は1g約4kcalですから、1000kcal~1300kcal÷4kcal=250g~325g。
すなわち250g~325gの摂取が望ましいということになります。

糖質を効率よく摂取する方法

糖質を効率よく摂取する方法

糖質を多く含む食品の摂取

糖質を多く含む主な食品(100g)は、コーンフレーク、食パン、白米(うるち米)、スパゲッティ、そば、そうめん、はるさめ、さつまいも、じゃがいも、砂糖、甘味料などがあります。

糖質と一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

・ビタミンB1 ブドウ糖の効果を高めるためには、肉類や緑黄色食材に含まれるビタミンB1を一緒に摂取することをお勧めします。ビタミンB1はグルコースの代謝やエネルギー産生に重要な栄養素です。 ビタミンB1を多く含む主な食品は、豚肉、うなぎ、玄米、全粒穀物、シリアル、ナッツ類、豆類、ジャガイモなどです。

糖質の効果を高める摂取タイミング

朝は糖質を摂るのにお勧めの時間帯です。朝にインスリンを分泌させる糖質を含む食事を摂ると、体内時計に朝を知らせる合図になります。 夜21時以降は控えるよう心がけましょう。インスリンの分泌量が少なく、効きもよくない時間帯でもあるため、高血糖になりやすく、体に脂肪が蓄積されやすくなっています。

「糖質のとりすぎ」についてよくある質問

「糖質のとりすぎ」についてよくある質問

ここまで糖質のとりすぎについて紹介しました。ここでは「糖質のとりすぎ」についてよくある質問に、メディカルドック監修管理栄養士がお答えします。

糖質のとりすぎとなる症状について教えて下さい。

神尾 澄恵神尾 澄恵

糖質を過剰に摂りすぎた際に起こりやすい症状は、下記の通りです。空腹感、倦怠感、だるさ集中力・思考力の低下、眠気、不安感、イライラ過剰摂取により急激に血糖値が上がると、血糖値を下げる過程で上記のような症状が起こりやすくなります。とくに食後に強く症状が出ている場合には、糖質を過剰に摂取している可能性が高いです。

まとめ

糖質は脳をはじめ体に必要な、大切な栄養素です。摂りすぎても不足しても体には悪い影響があります。菓子類やジュース以外にもあらゆるところに糖質が含まれているため、摂りすぎる可能性があります。食習慣を見直し、食事にビタミンやミネラルを取り入れ、偏った食事にならないようバランスを意識して摂取しましょう。

「糖質」と関連する病気

「糖質」と関連する病気は8個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

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「糖質」と関連する症状

「糖質」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

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