1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 栄養素
  4. 「亜鉛サプリ」の選び方はご存知ですか?服用の際の注意点・服用に向いている人も解説!

「亜鉛サプリ」の選び方はご存知ですか?服用の際の注意点・服用に向いている人も解説!

 公開日:2025/03/18
「亜鉛サプリ」の選び方はご存知ですか?服用の際の注意点・服用に向いている人も解説!

亜鉛のサプリとは?Medical DOC監修医が亜鉛サプリの選び方・服用する際の注意点・服用に向いている人などを解説します。

西岡 佳余子

監修管理栄養士
西岡 佳余子(管理栄養士)

プロフィールをもっと見る
短大卒業後27年以上、医院、保育園で栄養士として、給食管理、調理、食育の経験を積み、保育園勤務中に管理栄養士資格を取得しました。今後は今までの経験を活かし管理栄養士として、特定保健指導や栄養相談など幅広く活動をしていきたいと思っています。

「亜鉛」とは?

「亜鉛」とは?

亜鉛は、体内で合成できない「必須ミネラル」と呼ばれる生命活動に必要なミネラルの一つです。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、鉄・銅・マンガン・ヨウ素・セレン・クロム・モリブデン・亜鉛は微量ミネラルに設定されています。
亜鉛は炭水化物やアルコールの代謝に関与する酵素(例:アルコール脱水素酵素)の補因子として重要です。成人の体内におよそ2000mg(2g)存在し、体内の器官(骨格筋、骨、皮膚、肝臓、脳、腎臓など)に分布しています。亜鉛は味覚を感じる味蕾の正常な機能を維持する働きがあります。細胞分裂を正常に行い、発育や新陳代謝を助ける、皮膚や髪の毛、粘膜の健康を保つ、生殖機能を維持するなどが挙げられています。子どもや胎児の成長、傷の修復にも欠かせません。また、免疫機能を正常に働かせるためにも重要で、亜鉛が不足すると、かぜなどの感染症にかかりやすくなります。
カルシウムと並んで日本人で最も不足しやすい栄養素の一つとされています。

亜鉛の一日の摂取量

厚生労働省「日本食事摂取基準(2025年版)」亜鉛の摂取基準
(推奨量)
・男性:18~74歳で11mg、75歳以上で10mg
・女性:18歳以上で8mg
 妊婦(付加量):+2mg
 授乳婦(付加量):+4mg

(耐容上限量)
・男性:18~29歳で40mg、30~64歳で45mg、65歳以上で40mg
・女性:18~74歳で35mg、75歳以上で30mg

【男性】亜鉛の効果

・前立腺や精子に多く存在し、精子の形成に必須とされています。
・生殖機能の改善に役立ちます。
・薄毛や抜け毛の進行を抑制する効果が期待できる。

【女性】亜鉛の効果

・女性ホルモンを調整してくれる亜鉛はエストロゲンの生成を助け、女性ホルモンのバラン スを保つ重要な役割を果たします。
・生理不順の改善につながります。
・白髪予防や改善に効果的です。
・更年期症状が悪化しないよう緩和させてくれます。

亜鉛が不足すると現れる症状

皮膚炎・脱毛・爪の変形

・皮膚のターンオーバーがうまくいかず、皮膚炎が発症します。目や口の周り、手足の指先 に生じやすいのが特徴です。
・薄毛や抜け毛に関しては亜鉛不足が原因となる可能性があるため、予防の一助となる可能 性があります。
・爪がかけやすくもろくなる爪の変形も皮膚症状として特徴です。
 栄養バランスの取れた食事を心がけ、サプリメントで補うのも効果的です。早めに医師へ 相談してください。

傷の治りが遅くなる

炎症が長引いたり、傷の修復するのに必要な繊維芽細胞(肌のハリや弾力)を保つために重要な役割を担っている機能が低下します。栄養バランスの取れた食事を心がけ、サプリメントで補うのも効果的です。早めに医師へ相談してください。

味覚障害

食事の味がわからなくなったり、鈍くなったり、人よりも薄味に感じやすく、何も食べてなくても口の中が渋く苦い感じになります。舌の付け根、上あごの表面(軟口蓋)などに存在する味覚を感じる味蕾の障害で起こります。栄養バランスの取れた食事を心がけ、サプリメントで補うのも効果的です。早めに医療機関で検査を受けることが大切です。

子供の成長に欠かせない

成長期に亜鉛が不足すると、成長障害により身長の伸びが悪くなるなどの症状があります。成長期の子どもにとって重要な役割を果たしています。
体内では生成できないため、食品やサプリメント、薬から摂取する方法をおすすめします。
早めに医療機関で検査を受けることが大切です。

亜鉛を過剰摂取すると現れる症状

頭痛がする

亜鉛が銅や鉄の吸収を阻害し体内のミネラルバランスが崩れるからです。
例えば、鉄が不足すると貧血が起こり、酸素が体内に行き渡らなくなるため、頭痛症状が現れます。栄養バランスの取れた食事を心がけ、早めに医療機関で検査を受けることが大切です。

銅の減少・免疫の低下

亜鉛を過剰に摂取すると、銅の吸収を阻害し、体内の銅が不足するからです。銅の不足を補うには、銅を多く含む食品(例:レバー、ナッツ類など)を取り入れることが有効です。栄養バランスの取れた食事を心がけ、早めに医療機関で検査を受けることが大切です。早めに医師へ相談してください。

下痢

亜鉛を過剰に摂取すると下痢などの消化器症状を引き起こす可能性があります。 
体が過剰な亜鉛を体外へ排出しようとする反応です。早めに医療機関で検査を受けることが大切です。早めに医師へ相談してください。

亜鉛サプリの選び方

亜鉛サプリの選び方

亜鉛の含有量をチェックする

含有量を確認することが重要です。適切な摂取量は、年齢、性別、体調によって異なります。食事摂取基準における推奨量を参考に選ぶとよいです。亜鉛は銅の吸収を阻害しますので、銅も入ったサプリメントを選ぶとバランスが良くなります。

体質や生活に合ったもの

亜鉛以外の栄養成分や添加物が入っている場合が多く、体質に合う、合わないなどもありますので、少量から初めて自分の体に合っているかを確認することをおすすめします。
また、生活習慣も考慮する必要があります。菜食主義の方などは、植物性食品に含まれるフィチン酸が亜鉛の吸収を阻害するため、吸収率の高い形態の亜鉛サプリメントを選ぶことが推奨されます。

医療機関で購入

・医療機関で処方されるサプリメントは、含有成分や品質管理が厳しく、信頼性が高い点が特徴です。
・サプリメントは食事の置き換えではなく、食事の補助として利用してください。

亜鉛サプリを服用する際の注意点

亜鉛サプリを服用する際の注意点

アルコール

吸収を阻害するわけではありませんが、アルコールの過剰摂取により亜鉛が消費され尿中への排泄を促してしまいます。食事中の飲み物は水かお茶にし、加工食品はなるべく控えるようにするなど、工夫が必要です。

カルシウム

カルシウムは亜鉛の吸収を阻害するミネラルです。牛乳、チーズ、骨ごと食べられる魚は一緒に摂るのは控えましょう。

フィチン酸

野菜やきのこに多く含まれる食物繊維や穀類、豆類に多い「フィチン酸」は腸管で亜鉛と合わさると吸収を妨げます。過剰摂取に注意が必要です。

鉄分

亜鉛と鉄分は、食事と一緒に摂取すると亜鉛の吸収が阻害される心配は少ないですが、鉄分をサプリメントとして大量に摂取すると亜鉛の吸収が阻害されます。

亜鉛サプリの服用に向いている人

亜鉛サプリの服用に向いている人

妊娠中や授乳中の方

妊娠初期のお腹の胎児は、細胞分裂を繰り返しながら成長をします。妊娠後期に亜鉛が不足すると低身長、体重、皮膚に影響する場合があります。不足しないためにも、サプリメントに頼るのも有効です。

運動・スポーツをされている方

激しい運動を行っていると、筋肉などで亜鉛の必要量が多くなります。汗や尿からも排泄されるため、発汗しやすい方も亜鉛不足を起こしやすいとされています。食事バランスを整え、不足を補うためにサプリメントに頼るのも有効です。

菜食主義者の方

亜鉛を多く含む肉類を摂らないことや、亜鉛を阻害する栄養素の多い豆類や穀類を多く摂ることから注意が必要です。これらは、亜鉛が十分に吸収されるのを妨げる化合物が含まれているため、菜食主義者の方は推奨量より多くの亜鉛を摂取する必要があります。

「亜鉛のサプリ」についてよくある質問

「亜鉛のサプリ」についてよくある質問

ここまで亜鉛のサプリについて紹介しました。ここでは「亜鉛のサプリ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

亜鉛サプリのデメリットについて教えてください。

西岡 佳余子西岡 佳余子

厚生労働省の定める「耐容上限量」を超えて亜鉛のサプリメントを長期間大量摂取すると、過剰摂取となる恐れがあります。亜鉛のサプリメントを長期間摂取すると「銅欠乏性」などの症状を引き起こしてしまう危険性があります。亜鉛を摂取する際は、耐容上限量を超えないように、推奨量を守りましょう。※厚生労働省「日本食事摂取基準(2025年版)」亜鉛の摂取基準を参照してください。

亜鉛サプリの服用で薄毛や抜け毛が増えることはありますか?

西岡 佳余子西岡 佳余子

亜鉛を摂取することで、薄毛を予防できる可能性がありますが、新たに髪の毛を生やす効果は期待できません。亜鉛にはケラチンを生成する役割があるものの、たんぱく質やビタミン、アミノ酸などが不足していれば、ケラチン生成の妨げになります。髪の毛の主成分であるケラチンは、数種類のアミノ酸によって構成されています。メチオニンと呼ばれる必須アミノ酸は、体の中では生成することができず、食事などから摂取が必要です。亜鉛だけではなく、その他の栄養素もバランス良く摂取してください。専門のクリニックや病院に相談することをおすすめします。

編集部まとめ

亜鉛は体の臓器(骨格筋、骨、皮膚、肝臓、脳、腎臓)などの細胞内のあらゆるところに存在する重要なミネラルです。充分に食事から摂れない場合は亜鉛サプリメントを活用し、補うことが大切です。亜鉛は細胞生成や免疫機能の維持に役立つ成分、味覚障害、成長や発育、老化や生活習慣病のリスク軽減、予防などに効果が期待できます。また、体内の老廃物である活性酵素の除去にも関与しています。しかし、亜鉛は過剰に摂ってしまうと、嘔吐や下痢、尿や汗と一緒に体外に排出されるなどの副作用が出てしまいます。亜鉛不足が気になる方は、必要に応じて自分に合ったサプリメントを選ぶようにしましょう。一度に大量を摂取しても、銅の吸収が低下してしまい貧血を起こしてしまいます。体の免疫システムが崩れてしまう原因となるので注意してください。また、マカは亜鉛と一緒に摂取することができます。マカは疲労回復やスタミナアップ、男性の滋養強壮や精力アップ、女性の更年期障害やホルモンバランスの調整、髪や肌の健康維持などの効果が期待できます。専門家のアドバイスを受けながら、医療機関で処方される亜鉛サプリメントを選ぶ早めの医療機関受診をおすすめします。

「亜鉛」と関連する病気

「亜鉛」と関連する病気は19個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

  • 皮膚炎、脱毛、爪の変形、味覚障害、口内炎、下痢、嘔吐、胃の不快感、性腺機能不全、神経障害、免疫機能障害、成長遅延

婦人科の病気

  • 女性ホルモン低下、月経異常、性腺機能不全(卵巣)、貧血、不妊症、更年期、甲状腺

「亜鉛」と関連する症状

「亜鉛」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • インフルエンザ
  • 新型コロナ
  • 肺炎
  • ヘルペス

この記事の監修管理栄養士

S