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「敏感肌」の原因・予防法はご存知ですか?正しいスキンケア法についても解説!

 更新日:2023/06/27
「敏感肌」の原因・予防法はご存知ですか?正しいスキンケア法についても解説!

近年、敏感肌と自覚する方が増えています。20~50代の8割の女性が敏感肌の自覚があると答えているのです。

敏感肌とはそもそもどのような肌状態なのでしょうか。現在においてその定義は確立されていませんが、肌荒れなどの症状に悩む方は少なくありません。

どのような方でも敏感肌になる可能性があり、普段のスキンケアや食べ物でも予防ができます。原因や正しいスキンケア方法を解説していきますので、是非参考にして頂けましたら幸いです。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

敏感肌の原因や症状

肌トラブルに悩む男

敏感肌の原因は?

角質層のバリア機能の低下が主な原因と考えられます。バリア機能は外部からの刺激や化学物質・細菌などが皮膚内に侵入するのを防ぐ働きがあります。この機能が低下し異物が侵入すると皮膚内の免疫細胞が感知し、炎症を起こす物質を放出することでかゆみや湿疹の症状が現われるのです。
また、バリア機能の低下により肌内部の水分も必要以上に外へ出ていきやすくなります。そのため乾燥してカサカサしてしまうのです。特に女性の場合、化粧品・季節の変わり目・生理周期といった体調の変化などあらゆる要因が複雑に関係していると考えられています。

どのような症状がありますか?

敏感肌の中にも様々な症状があり、主に次の5つに分類しています。

  • 化粧品がしみてヒリヒリ・チクチクする過敏肌
  • 吹き出物などニキビ肌
  • 白い粉が拭くなどカサつく乾燥肌
  • 炎症によるかぶれ・湿疹の炎症肌
  • アトピー肌

上記以外にも、かゆみが出てきた・皮むけし始めた・赤みが出やすい・つっぱり始めたなど敏感肌といわれる肌状態には様々あります。いずれも、肌のバリア機能の低下が関係しています。

敏感肌に注意すべき季節(時期)はありますか?

注意すべきなのは乾燥する季節です。特に冬場は湿度が低く、室内をエアコンなどで温めることでカラカラになりかゆみを誘因し肌が敏感になります。加湿器や洗濯物を部屋干しにするなどして室内の加湿を行うことが大切です。目安として55〜65%の湿度がよいと考えられています。
また、汗をかく季節にも気を付けましょう。汗には塩分・乳酸・尿素といった成分が含まれており、これらが皮膚表面の刺激となりかゆみや炎症を起こすと考えられています。
中には自分の汗に対してアレルギー反応を起こすアトピー性皮膚炎の方もいらっしゃいます。夏は金属アレルギーをお持ちの方にとっても肌が敏感になる季節です。金属と汗が接触することで金属がイオン化し、肌がかぶれやすくなります。
花粉アレルギーの方は、対象のアレルギー物質が飛び交う時期に注意を払う必要があります。

敏感肌の受診や治療方法

塗り薬イメージ

皮膚科を受診したほうがよいですか?

ご自身が悩まれている肌症状には、保湿などの乾燥対策ではよくならない場合もあり他の原因が関わっているかもしれませんので、一度皮膚科を受診しましょう。
アトピー性皮膚炎の場合、皮膚のバリア機能が低下したまま乾燥状態にしておくと症状の悪化や、他のアレルギー疾患へと発展していく恐れもあるからです。対処が遅くなると、治りにくくなります。

どのような治療が行われますか?

まずは原因を調べる検査と正しいスキンケアを行うことが基本になり、必要に応じて薬物療法による治療を行います。皮膚の保湿を目的とした外用剤として、白色ワセリン・ヘパリン類似物質などを含有した軟膏があげられます。
アトピー性皮膚炎は皮膚の症状に合わせて外用薬を塗布し、皮膚の炎症が軽度の部位は保湿剤を、炎症が強い場合はステロイド外用薬を使用することが多いです。保湿のみで改善することもありますが、スキンケアの改善や原因を除いても変わらない場合は、ステロイド外用薬と必要に応じて抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬の投薬が薬物療法の基本となっています。
ステロイド外用薬を使用して症状が緩和され始めたら、ステロイド含有量を減らした外用薬または、ステロイドを含まない外用薬に切り替えます。また、ステロイド外用薬の副作用や効果が不十分な場合に、タクロリムス軟膏外用薬もアトピー性皮膚炎の治療に使用されるようになりました。

敏感肌の対策と予防

日傘を差す女性

敏感肌を予防する方法はありますか?

敏感肌はバリア機能の低下が原因であるとお伝えしました。バリア機能を損なう行為を避けることで予防につながります。
紫外線が肌に悪影響であることはご存知の方も多いと思いますが、実は日焼けをすることでも肌のバリア機能が低下し、外部からの様々な刺激に弱くなってしまいます。紫外線は1年中降り注がれていますので、特に外出時は日焼け止めを必ず塗るなど紫外線対策を心掛けましょう。敏感肌の方はノンケミカルタイプで紫外線吸収剤を含まないものを選ぶとよいです。
また、急な気温差も肌が敏感になる原因になりますので、例えば暑い屋外からエアコンのきいた室内への移動時など、体温調節の対策をするとよいでしょう。

正しいスキンケア方法を教えてください。

まずは角質層に負担をかけない洗浄方法が大切です。硬い素材でこすること・ゴシゴシ洗い・高温のお湯で洗うことは避けましょう。洗浄料が肌に残ると負担になりますので、しっかりすすぎます。
洗浄後は肌の水分が蒸発しやすいため、時間を置かずに保湿ケアをしましょう。化粧品はご自身の肌に合う低刺激のものを使用し、外出の際は日焼け止めや日傘など紫外線対策を行います。
直接肌に触れる衣類も気を遣う必要があります。例えばナイロンやウール素材などの化学繊維は肌にとって刺激になりやすいです。コットンやシルクは肌にストレスを与えず優しい素材なのでおすすめです。

敏感肌におすすめの食べ物はありますか?

肌の乾燥対策に必要な栄養素はタンパク質・脂質・ビタミンAです。タンパク質と脂質は動物性・植物性・大豆製品を偏らないように摂取しましょう。
ビタミンAは皮膚免疫機能を向上させます。レバーをはじめ緑黄色野菜や卵にも含まれており、不足すると皮脂腺の機能が低下し乾燥したり、角質層が厚くなり毛穴が詰まるなど肌荒れしやすくなったりします。
また、ニキビや吹き出物に悩む方は、ビタミンB群とビタミンE・食物繊維を摂りましょう。ビタミンBは納豆やお肉・お魚・乳製品に多く含まれています。ビタミンEを含むナッツ類や、食物繊維を多く含む大豆・海藻・キノコ類・野菜をしっかり摂取すると便秘の改善により肌荒れに効果的です。
逆に、アルコールや辛い食べ物・カフェインは皮脂の分泌を招きかゆみを誘因することがありますので注意が必要です。

日常生活での注意点を教えてください。

肌の乾燥からかゆみが起きやすくなりますので、普段から保湿を意識して行うことです。特に気を付けたいのが入浴時です。シャワーや湯舟の温度が高すぎると皮脂が必要以上に奪われ乾燥します。
また、肌は摩擦に弱いためナイロンタオルなどでゴシゴシ洗ったり、体をバスタオルでこするように拭いたりといった行為は、肌表面が傷つき余計に刺激となります。さらに入浴後は急速に肌の水分が蒸発してしまうため、なるべく早く保湿することが望ましいです。
また汗の中にはかゆみ成分が含まれているため、汗をかいたらすぐにシャワーで流しましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

皮膚は0.2mmほどの非常に薄い角質でミルフィーユのように層が重なってできています。その角質細胞の間をセラミドという脂質が埋めており、皮膚の水分量を守っていますが年齢を重ねることでもセラミドが減少します。
ひざ下や腰回りなど体のあらゆる部位に乾燥を感じやすくなっていきますので、季節だけでなく年齢に合わせて保湿をする範囲も臨機応変に変えていきましょう。炎症が起きたりいつもと違う違和感を覚えたりしたら放置せず、症状は人それぞれ異なりますので自己判断することなく一度皮膚科へ相談することをおすすめします。

編集部まとめ

女性医師
敏感肌に共通していることはバリア機能の低下です。普段の洗顔や入浴時の行動も少し見直すことで肌への負担を減らし、軽快へ向かう可能性もあるのですね。

最近は体が濡れたままでも使用できるボディクリームが市販されており、皮膚が乾く前の対策として大変便利です。乾燥させないことが何より大切です。

女性だけでなく男性もスキンケアに気を遣う時代ですので、性別や年齢に関わらずご自身のお肌を優しく気遣い、正しいスキンケアを是非今日から実践していきましょう。

この記事の監修医師