「脂質制限中に食べてはいけないもの」はご存知ですか?脂質制限に向いていない人も解説!

脂質制限中に食べてはいけないものとは?Medical DOC監修医が脂質制限中の一日の摂取量・脂質の多い食品・少ない食品・脂質制限のメリット・デメリット・脂質制限に向いている人や注意点などを解説します。

監修管理栄養士:
田中 純子(管理栄養士)
目次 -INDEX-
「脂質」とは?

脂質制限中の1日の摂取量

脂質制限中に食べてはいけないもの

脂身の多い肉類
牛や豚のバラ肉やロース肉など、脂質が多く含まれる部位は避けるべきです。特に飽和脂肪酸が多く含まれるため、脂質制限中には不向きです。代わりに鶏むね肉やささみなど脂質の少ない部位を選びましょう。揚げ物や炒め物
鶏の唐揚げ(100g)は約10gの脂質を含み、これは蒸し鶏(むね肉皮無し・100g)の約5倍です。揚げ物は食材自体の脂質が少なくても、素揚げ<唐揚げ<フライ<天ぷらと衣が付くほど、吸油率は高くなります。揚げる場合は、出来るだけ油をきるように心がけて下さい。炒め物の油は食材に対して5%が目安です。脂質は、気づかないうちに摂取してしまいがちなので、毎食の脂質量に注意すると良いです。インスタント食品・加工食品・ファーストフード
カップ麺・冷凍ピザ・ベーコンなどは、添加物が多いだけではなく飽和脂肪酸も多いです。仮に摂り過ぎた場合は、翌日には少なめの食事にするなど、調節をすると良いです。洋菓子
ケーキやドーナツ、クッキーなどの洋菓子やスナック菓子には、トランス脂肪酸や飽和脂肪酸が多く含まれています。これらは過剰に摂取すると心血管疾患のリスクを高める可能性があります。甘いものが食べたい場合は、フルーツや低脂肪ヨーグルトなどの代替品を選びましょう。アルコール
アルコールは直接脂質を含むわけではありませんが、多量摂取は肝臓への負担が増えるだけでなく、代謝を妨げて脂肪の蓄積を促進する可能性があります。脂質制限中は適量を守るか、控えることが推奨されます。脂質の多い食品

鯵・鰯・鯖・鰤・秋刀魚
青魚には、DHAやEPA(多価不飽和脂肪酸)が多く含まれており、LDLコレステロールを減らす効果があります。脂質の多い魚は、その脂が胃の粘膜を覆い、胃もたれを起こすこともあります。大根おろしと合わせると、でんぷん消化酵素が働いて、消化を促進し不快感を和らげるように作用します。ヘーゼルナッツ・アーモンド・くるみ
ヘーゼルナッツ・アーモンドはオレイン酸(一価不飽和脂肪酸)が多く、くるみはn‐3系脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)が豊富に含まれています。1回に7~10粒(25~30g)が適量です。油
燃焼効率が良いMCTオイル(飽和脂肪酸)、抗酸化力が高いオリーブオイル(一価不飽和脂肪酸)、血栓の予防・血圧低下効果があるアマニ油(多価不飽和脂肪酸)など、良質な油を選択すると良いです。脂質の少ない食品

野菜・きのこ・海藻
食物繊維が多く含まれ脂質が0gに近い食材が多くお勧めです。食物繊維は便の排泄を増加させ、コレステロールの低下に効果があります。生活習慣病の重症化予防には 食物繊維を概ね 25 g/日以上摂取することをお勧めします。貝・甲殻類
あさり(100gあたり脂質0.3g)・しばエビ(0.4g)・まだこ(0.7g)など貝・甲殻類を使用した地中海食は健康寿命を伸ばす効果があると言われています。鶏肉
むね肉皮無し(100gあたり脂質1.9g)やささみ(0.8g)などは、牛もも脂肪無し(6.7g)や豚もも脂肪無し(6.0g)と比べて脂質の少ない部位が多いので使いやすい食材です。皮は除いて調理をすると更にヘルシーになります。ヨーグルト
普通牛乳(100gあたり脂質3.8g)と無糖ヨーグルト(0.3g)を比較するとたんぱく質はほとんど変わらないのに対し、無糖ヨーグルトの方が脂質は低いです。赤身や白身魚
マグロ(100gあたり脂質0.4g)や真鱈(0.2g)など赤身や白身魚は脂肪分が少ないため減量にも適しています。お刺身・はんぺんなど手軽に摂り入れることが出来ます。脂質制限のデメリット

満足度減少
脂質は制限し過ぎると空腹を感じてストレスになったり、食事の満足度が下がります。外食が多い人
外食は、味を良くするために油を多く使用する傾向があります。外食する際は、蕎麦やお寿司などの脂質が少なめの食事を提供しているお店を利用してみて下さい。コンビニなどで食事を済ませる場合は、栄養成分表示を確認し、脂質(飽和脂肪酸)の少ない食品を選ぶようにすると良いです。肌荒れ・便秘
脂質摂取量が少ないと脂溶性ビタミン(特にA・E)の吸収率が下がります。皮膚や粘膜の機能を正常に保つビタミンAが不足しやすくなるため、肌や髪が乾燥し、便秘にもなりやすくなります。脂質制限のメリット

炭水化物が好きな方
ご飯やパンなどの摂取制限がないため、主食が欠かせない人は実践しやすいです。主食はおかずよりも価格が抑え気味のため、経済的に減量したい方にも向いています。エネルギーをカットしやすい
脂質は1gあたり9kcalとエネルギーが高いので、脂質を抑えることで自然とエネルギー摂取量を抑えられます。結果として血中の中性脂肪やコレステロール値も減少します。リバウンドが起きにくい
緩やかに減量することができ、体重減少の停滞やリバウンドが起きにくいです。脂質制限に向いている人

生活習慣病の方
内臓脂肪が蓄積していると、インスリン抵抗性が高まり、糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病を引き起こしやすくなります。肥満がある場合は、まず体重の3%減少を目標に、BMIが22~25の範囲内になるように体重調整を行うと良いでしょう。 また、食事から摂取したコレステロールの全てが血中コレステロール値に直接影響するわけではありませんが、脂質異常症を予防するためには、コレステロールの摂取量を1日200mg未満に抑えることが推奨されます。例えば、コレステロール含有量の目安として、ベーコン2枚で約20mg、マヨネーズ大さじ2で約33.6mg、6Pチーズ1個で約15.6mgとなります。これらを参考に、摂取量を意識しながら食事を管理してください。肝臓・胆のう・膵臓疾患の方
脂質による消化管への刺激を抑えるとともに、消化酵素の分泌を抑制することにより、炎症を抑えることができます。自炊が多い方
様々な味付けができる自炊は食事に飽きることなく、ご自分で食材を選択し、ご自分で脂質 の摂取量を調整することができます。間食の多い方
お食事を摂る回数や量が少なく、スナック菓子・チョコレートなど脂肪やエネルギーが高い物を摂取することにより、体重増加に繋がります。常に血糖値が高くなり、体内リズムも崩れがちです。召し上がる際は1日200kcalを目安に初めに取り分けて置くなどしてみて下さい。脂質制限に向いていない人

子供
子供は身体の大きさに対してたくさんのエネルギーが必要なため、毎日適量を摂取することが大切です。しかし、小児期の食習慣が成人期に引き継がれやすいため、標準体重を大きく上回っている子供は注意が必要です。妊婦
脂質は胎児の脳や目の発達に不可欠です。特により多くのn‐3系脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)の摂取が必要です。高齢者
動物性たんぱく質が多く含まれる食品に含まれるため、脂質制限するとたんぱく質不足も生じ、低栄養を招きやすいため注意が必要です。筋肉増量を目指している方
極端なエネルギー制限を行うと摂取エネルギ―不足になり、筋肉内のたんぱく質がエネルギー源として消費されるようになります。そのため、筋肉量が減少します。脂質制限の注意点

調理法を意識する
茹でる<網焼き<蒸す<生<煮る<炒める<揚げるの順番でエネルギーが多くなります。調味料に気を付ける
マヨネーズは大匙1杯に脂質が9g、胡麻ドレッシングやサウザンアイランドは大匙1杯に6gの脂質が含まれているので要注意です。ドレッシングなら、ノンオイルのものを選択したり、オリーブオイルと塩で味付けするのもお勧めです。「脂質制限中に食べてはいけないもの」についてよくある質問

ここまで脂質制限中に食べてはいけないものなどを紹介しました。ここでは「脂質制限中に食べてはいけないもの」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
脂質を摂取することで太りやすい人の特徴について教えてください。
田中 純子
基礎代謝は10代がピークで年齢を重ねる毎に減っていきます。基礎代謝が低下すると内臓脂肪は蓄積しやすくなります。また脂肪が多い方は、食欲を抑えるホルモン(レプチン)の働きが弱りがちのため、食欲コントロールが悪く太りやすくなります。1日20分のウォーキングを行うなど生活に運動を取り入れることで、太りにくい身体を作り、基礎代謝の低下を抑制することが望ましいです。
脂質と炭水化物ではどちらが太りやすいのでしょうか?
田中 純子
脂質(1gあたり9kcal)はエネルギー密度が高く、炭水化物(1gあたり4kcal)よりも少量で多くのカロリーを摂取しやすいという特徴があります。しかし、実際に太るかどうかは、脂質と炭水化物のどちらを過剰に摂取しているかによると言えます。 脂質はエネルギー源としてだけでなく、ホルモンの材料や体温調整の役割を果たす大切な栄養素です。一方、炭水化物は身体にとって主要なエネルギー源であり、脳や筋肉を動かすために欠かせません。ただし、どちらも必要以上に摂取すると、余剰分は脂肪として体内に蓄積されます。 つまり、脂質も炭水化物も適切な量を守ることが重要であり、極端に制限するのではなく、バランスの取れた食事を心がけることが太りにくい身体を作る鍵となります。
編集部まとめ
食品や料理を見ただけで、脂質がどのくらい含まれているのかを把握するのは簡単ではありません。脂質は、「量」だけではなく「質」にも注意を払うことが大切です。動物・植物・魚にはそれぞれ異なる種類の脂肪が含まれています。極端に脂質の摂取量を減らすのではなく、これらの食品を食事の中でバランスよく摂り入れ、正しい知識の基で脂質制限を行うと良いです。「脂質」と関連する病気
「脂質」と関連する病気は13個ほどあります。「脂質」と関連する症状
「脂質」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。関連する症状
- まぶたや膝・手の甲に黄色い膨らみ
- アキレス腱が厚くなる
- しびれ
