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「ビタミンCの一日の摂取量」はご存知ですか?不足すると現れる症状も解説!

 公開日:2025/01/17
「ビタミンCの一日の摂取量」はご存知ですか?不足すると現れる症状も解説!

ビタミンCの一日の摂取量とは?Medical DOC監修医がビタミンCの一日の摂取量・男女別の摂取量・不足すると現れる症状・過剰摂取すると現れる症状・多く含む食品・効率的な摂取方法などを解説します。

武井 香七

監修管理栄養士
武井 香七(管理栄養士)

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帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科卒業 横浜未来ヘルスケアシステム、戸塚共立第一病院3年7ヶ月勤務 株式会社コノヒカラ、障がい者グループホーム半年勤務 その後フリーランスを経て株式会社Wellness leadを設立。栄養士事業と健康事業を行なっている。

保有免許・資格
管理栄養士資格

「ビタミンC」とは?

「ビタミンC」とは?

ビタミンCは、アスコルビン酸とも呼ばれる水溶性ビタミンです。水に溶けやすく、熱で分解されやすい性質があり、体内では還元型と酸化型として存在しています。

コラーゲンの合成には、ビタミンCの存在が欠かせません。ビタミンCはコラーゲンの合成を助け、血管・筋肉・皮膚を丈夫にするサポートをします。

また、ビタミンCは、活性酸素を除去する抗酸化作用をもつビタミンです。体内で生成できないビタミンCは、食物からこまめに摂取する必要があります。

ビタミンCの一日の摂取量

ビタミンCの一日の摂取量

ビタミンCの一日の推奨量は、成人で男女ともに100mgとされています。妊娠中の女性の一日推奨量は110mg、授乳中の女性は140mgです。なお、喫煙者と受動喫煙者は、ビタミンCを多く消費することがわかっています。米国の栄養ガイドライン(RDA, Recommended Dietary Allowance)では、喫煙者や受動喫煙者は成人の推奨量に加えて1日35mgを追加で摂取することが推奨されています。1日20本以上の喫煙者ではさらにビタミンCの消費量が増えるため、意識的な摂取が重要です。

ビタミンCを過剰摂取すると現れる症状

ビタミンCを過剰摂取すると現れる症状

下痢

通常、余分なビタミンCは尿として排出されます。そのため、通常の食品を摂取している方の過剰摂取による健康障害の報告はありません。しかし、一日に3〜4gのビタミンCを摂取した場合、下痢・腹痛・吐き気などの胃腸症状が報告されています。複数の研究結果に基づき、現段階ではビタミンCの摂取は食事からの摂取を基本として、一日1g以上のサプリメント類から摂取は推奨されていません。

ビタミンCが不足すると現れる症状

ビタミンCが不足すると現れる症状

全身の点状・斑状出血

ビタミンCが欠乏し、コラーゲンが合成できなくなると、血管がもろくなってしまいます。主に毛細血管から出血して、全身に赤や紫色の点状・斑状出血が起こります。毛細血管が破れていたり、血小板が少なくなっていたりする可能性があるため、皮膚科・血液内科・内科を受診しましょう。

歯肉の腫脹・出血

歯肉の組織や歯根膜の主な線維成分は、コラーゲンです。ビタミンCが不足してコラーゲンが合成できなくなると、歯肉の腫脹・出血が起こりやすくなります。歯茎が腫れたり、出血が続いたりする場合は歯科を受診しましょう。なお、ビタミンCの摂取不足により、歯周病のリスクが高まるとも報告されています。

壊血病

壊血病は、ビタミンCの欠乏によって引き起こされる病気です。壊血病になると、皮下や歯茎からの出血のみならず、以下のような症状を呈します。

  • 貧血
  • 筋肉の減少
  • 心臓障害
  • 呼吸困難

大航海時代は航海の船中で発症し、死にいたることもありました。1900年代前半に壊血病とビタミンCの関係が明らかとなり、壊血病が疑われる場合はビタミンCを与える治療を行います。小児では穀物のみの人工栄養や過度の偏食によって、壊血病を発症するケースがあります。特に、生後6〜12ヶ月の小児に発症するものはメレル・バロウ病と呼び、症状は以下のとおりです。

  • 軟骨や骨境界部の出血・血腫
  • 骨組織の形成不全
  • 骨折
  • 骨の変性・壊死
  • 歯の発生障害

現代の日本でも、極端な偏食を続けた結果、壊血病を発症する方はいらっしゃいます。

ビタミンCの多い食品

ビタミンCの多い食品

アセロラ

アセロラには酸味種と甘味種があります。生のアセロラの100gあたりのビタミンC含有量は、酸味種で1700mg、甘味種で800mgです。アセロラの多くは、冷凍果実やピューレが輸入されています。生の果実が手に入らない場合は、ビタミンCが含まれているアセロラ飲料もおすすめです。10%果汁入りアセロラ飲料の100gあたりのビタミンC含有量は、120mgです。

キウイフルーツ

果肉が黄色いキウイフルーツは黄肉種、通称ゴールドキウイと呼ばれます。黄肉種100gあたりのビタミンC含有量は、140mgです。果肉が緑色のグリーンキウイには、100gあたり71mgのビタミンCが含まれます。一般的にキウイフルーツは、生で食べる果物です。キウイフルーツは、熱に弱いビタミンCを効率的に摂取できる食品だといえるでしょう。

ピーマン

ピーマンには一般的な青ピーマンのほかに、赤ピーマン・オレンジピーマン・黄ピーマンが流通しています。一般的にピーマンは、生で食べるよりも加熱調理して食べる野菜です。水に溶けやすく、熱に弱いビタミンCは、加熱調理によって失われやすくなります。ビタミンCの損失が少なくなるのは、炒めによる加熱調理です。ゆで調理や煮込み調理よりも、炒め調理であれば水を使わず、加熱時間も短縮できます。油炒めにした場合、100gあたりのビタミンC含有量は、赤ピーマンが180mg・オレンジピーマンが170mg・黄ピーマンが160mgです。油炒めにした青ピーマンには、100gあたり79mgのビタミンCが含まれています。

ブロッコリー

ブロッコリーは、ビタミンCが豊富な野菜です。特に花序にはビタミンCが豊富に含まれています。私たちが普段食べているのは、主にブロッコリーの花序のつぼみと茎の部分です。
おすすめの調理方法は焼く・炒める・電子レンジによる加熱です。焼いたブロッコリーの花序には、100gあたり150mgのビタミンCが含まれます。100gあたりのビタミンC含有量は、電子レンジ調理では140mg、油いためでは130mgです。

柑橘系の果物にはビタミンCが豊富に含まれていますが、柑橘類の酸味が苦手な方も少なくありません。生の甘柿には、100gあたり70mgのビタミンCが含まれています。柿の1個あたりの質量は、150〜200g程度です。つまり、半分の大きさにした柿を食べれば、50mg〜70mg程度のビタミンCが摂取できます。

ビタミンCの効率的な摂取方法

ビタミンCの効率的な摂取方法

ビタミンCと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

ビタミンCと鉄分を一緒に摂取すると、ビタミンCが鉄分の吸収を高めます。貧血の患者さんには、鉄分とビタミンCを同時に摂取できるメニューがおすすめです。また、抗酸化作用があるビタミンCは、同じく抗酸化作用を持つビタミンEと協力して活性酸素を消去し、細胞を保護しているとされています。

ビタミンCと一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品

以前は、にんじんやきゅうりに含まれる酵素のアスコルビナーゼが、ビタミンCを破壊するとされていた時期もありました。しかし、その後の研究により、アスコルビナーゼは還元型ビタミンCを酸化型ビタミンCに酸化させるだけであり、ビタミンCを破壊しない酵素であるとされています。還元型ビタミンCと酸化型ビタミンCは、体内での効力はほぼ同じです。日本食品標準成分表には、還元型ビタミンCと酸化型ビタミンCを合わせた合計値が総ビタミンC量として掲載されています。

ビタミンCの効果を高める摂取タイミング

ビタミンCの効果を高めるタイミングについては、現時点で完全には解明されていません。水溶性ビタミンの多くが体内に吸収される場所は、十二指腸です。空腹時に水のみでビタミン剤を服用した場合、ビタミン剤は胃から小腸へ速やかに移行し、十二指腸を通過する時間が短くなります。ビタミンCを摂取するタイミングとしては、体内に吸収される量が少なくなると考えられる空腹時よりも、食事中もしくは食後がおすすめです。こまめに摂取する必要があるビタミンCは、できれば毎日、一日2〜3回程度に分けて摂取するのがよいでしょう。

「ビタミンCの一日の摂取量」についてよくある質問

「ビタミンCの一日の摂取量」についてよくある質問

ここまでビタミンCの一日の摂取量を紹介しました。ここでは「ビタミンCの一日の摂取量」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

ビタミンCの一日の摂取量の上限はどれくらいでしょうか?

武井 香七武井 香七 医師

ビタミンCは、過剰に摂取した場合でも尿から排泄されるため、過剰摂取の弊害はないとされています。ただし、腎機能障害の患者さんが過剰にビタミンCを摂取した場合に、シュウ酸結石のリスクが高まる可能性があるとの報告があり、注意が必要です。また、一日に3〜4gのビタミンC摂取により、下痢を認めた症例があります。現段階では上限量を決定するためのデータが十分ではなく、ビタミンCの一日の上限量は規定されていません。

編集部まとめ

今回は、ビタミンCの一日の摂取量や多く含まれる食品について解説しました。

ビタミンCは抗酸化作用を持ち、コラーゲンの合成を助けて血管や皮膚を丈夫にします。鉄分と一緒に摂取すると、鉄分の吸収を高めます。

ビタミンCは水に溶けやすく、熱に弱い成分です。できるだけ生のまま摂取するか、調理する際には炒めたり焼いたりする調理方法をおすすめします。

食事の栄養バランスを整え、ビタミンCの豊富な野菜類や果物類を積極的に摂取しましょう。

「ビタミンC」と関連する病気

「ビタミンC」と関連する病気は2個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

皮膚科・血液内科の病気

  • 壊血病

小児科の病気

  • メレル・バロウ病

「ビタミンC」と関連する症状

「ビタミンC」と関連している、似ている症状は3個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 全身の点状・斑状出血
  • 歯肉の腫脹
  • 歯肉の出血

この記事の監修管理栄養士