「アミノ酸の効果」はご存知ですか?効率的な摂取方法も解説!【管理栄養士監修】
アミノ酸の効果とは?Medical DOC監修医がアミノ酸の効果・種類・効果的な摂取方法などを解説します。
監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
目次 -INDEX-
「アミノ酸」とは?
アミノ酸は、タンパク質を構成する分子です。
人間の体の約20%はタンパク質でできており、そのタンパク質は、20種類のアミノ酸がペプチド結合によって数珠状につながってできています。
つまり、体はアミノ酸でできているといえるほど、健康に欠かせません。タンパク質を構成するアミノ酸をバランスよく摂取することは、生きていくうえでとても重要です。
また、アミノ酸は筋肉の増強に役立つだけではなく、普段の生活においてもうれしい効果があるのをご存じでしょうか。
今回は、アミノ酸の種類や効果・摂取方法について順番にご紹介します。
アミノ酸の種類
必須アミノ酸(EAA)
アミノ酸の種類は全部で20種類あります。このうち、ロイシン・バリン・イソロイシン・トリプトファン・リシン・トレオニン・フェニルアラニン・メチオニン・ヒスチジンの9種類の必須アミノ酸は、体内で合成できません。そのため、食べ物から摂る必要があります。
分岐鎖アミノ酸(BCAA)
筋肉をつくるのに大切なロイシン・バリン・イソロイシンの必須アミノ酸3種類を分岐鎖アミノ酸と呼びます。BCAAサプリメントは、筋肉トレーニング中や運動前後に摂取するためご存じの方もいるかもしれません。筋肉維持に必要な必須アミノ酸で、筋肉の合成やエネルギーになるほか、筋肉分解の抑制・筋肉疲労の回復に役立ちます。
非必須アミノ酸
アミノ酸20種類のうち、アラニン・アルギニン・アスパラギン・アスパラギン酸・システイン・グルタミン・グルタミン酸・グリシン・ブロリン・セリン・チロシンの11種類を非必須アミノ酸と呼びます。非必須アミノ酸は、体内で食べ物から合成できます。
準必須アミノ酸
グルタミンは免疫細胞のエネルギー源であるほか、筋肉の分解抑制・疲労の回復などさまざまな働きがあり、激しい運動や手術後・風邪のときなど体にストレスがかかる条件下では、必須アミノ酸の扱いになります。アルギニンは、成長期にその合成能力が足りないため、小児には必須アミノ酸となります。
アミノ酸の効果
睡眠の質向上
グリシンという必須アミノ酸は、体の深部体温を下げる働きがあり、入眠を促し睡眠の質を改善します。また、お肌にハリや弾力をもたせる美容成分であるコラーゲンにも、このグリシンが33%も含まれています。うなぎ・エビ・大豆などの食品に含まれているので、質のよい眠りと美肌づくりのために積極的に摂取してみてはいかがでしょうか。また、グリシンのように特定のアミノ酸を効率よく摂取したいときは、サプリメントを活用するのも有効でしょう。
体調管理・免疫力アップ
シスチン・テアニンというアミノ酸は、体調を管理する機能に関係しており、体内の免疫・抵抗活力を高める効果があります。シスチンは鶏肉など肉類に多く含まれるアミノ酸ですが、魚や大豆などの豆類もバランスよく食べてください。また、テアニンはお茶の葉に多く含まれるうまみ成分で、脳のα波を上昇させてリラックス効果をもたらします。お茶を飲むことで気持ちが穏やかに和らぐのはそのためと考えられます。
筋肉の維持・増強
必須アミノ酸のBCAAは、筋肉の維持・増強に役立つことがわかっています。グリコーゲンが不足する運動前のタイミングにBCAAを補給することで、筋肉内のBCAAがエネルギー源として消費されるのを回避し、結果として筋肉の疲労も回復させてくれる効果もあるでしょう。ご高齢の方は、加齢による筋力低下を防ぐために、日常から適度な運動とBCAAを積極的に食生活に取り入れるようにしてください。
アミノ酸の効果的な摂取方法
アミノ酸をバランスよく含む食品の摂取
アミノ酸の効果を高めるためにはアミノ酸スコアの高い食品を同時にバランスよく摂取することが大切です。そこで、アミノ酸スコアを目安に食品を選んでみてはいかがでしょうか。アミノ酸スコアとは、食べ物に含まれる9種類の必須アミノ酸の量とバランスを数値化した栄養素の指標となるものです。アミノ酸スコア100の食品の一例は、以下のとおりです。
- 牛・豚ひき肉
- 真アジ(皮付き)
- 玄米
- ヨーグルト(全脂無糖)
- 鶏卵
アミノ酸スコア100の食品には、動物由来・植物由来がありますが、できるだけ両方バランスよく摂りましょう。
アミノ酸と一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
アミノ酸で構成されているタンパク質の代謝を促進するには、ビタミンB6が必要です。また、ビタミンA・C・Eを一緒に摂取すると、アミノ酸の栄養吸収を助け、相乗効果が期待できます。特に、ビタミンCはコラーゲンの生成にも必要な栄養素なので積極的に摂取してください。
以下は、ビタミンB6・A・C・Eが多く含まれる食品の一例です。
- ビタミンB6:鶏ささみ・マグロ
- ビタミンA:うなぎ・ほうれん草
- ビタミンC:赤パプリカ・キウイ
- ビタミンE:オリーブ・かぼちゃ
熱を加えるとビタミンC量が減少する場合があるので、なるべく生のまま食べるようにしましょう。
アミノ酸の効果を高める摂取タイミング
アミノ酸は、不足すると老化や病気につながる大事な栄養素です。バランスの取れた食事と運動を基礎に、サプリメントも上手に活用しながら効果的に摂取してください。普通の食事では体内にタンパク質が分解・吸収されるまで約2〜4時間かかりますが、アミノ酸は約15〜20分で吸収されて血液中に届きます。素早く筋肉にアミノ酸を届けたいとき・血液中のアミノ酸濃度を一気に高めたいときは、アミノ酸のサプリメントで補給するのが効果的でしょう。摂取のタイミングとしては、空腹時・起床時・運動30分前~運動中が効果的です。
「アミノ酸の効果」についてよくある質問
ここまでアミノ酸の効果を紹介しました。ここでは「アミノ酸の効果」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
プロテインとアミノ酸の違いは何ですか?
武井 香七 医師
プロテインはタンパク質のサプリメントで、胃腸で分解されて初めてアミノ酸になります。体内で筋合成をする際は、アミノ酸の状態になっている必要があるため、最初からアミノ酸の状態であるEAAやBCAAと比べ、吸収速度が緩やかでしょう。20種類のアミノ酸をバランスよく摂取でき、腹持ちがよいためダイエットには向いているかもしれません。一方、アミノ酸はタンパク質の最小単位なので、プロティントと比べて即効性があり、ピンポイントで必要な栄養素を摂取するのに向いています。
アミノ酸のEAAとBCAAは、どちらが効果的なのでしょうか?
武井 香七 医師
アミノ酸による効果は、使用目的・含有アミノ酸の種類・摂取するタイミングによって変わってきます。運動前後の効果的な摂取方法としては、素早く吸収できるBCAAサプリメントでの補給がおすすめです。運動中に消費されるバリン・ロイシン・イソロイシン3種類の分岐鎖アミノ酸を含有しているので、より速く筋肉の維持・回復を助ける効果があるでしょう。EAAには9種類の必須アミノ酸が配合されており、BCAAも含まれているので併用する必要はありません。
アミノ酸は1日どれくらいの量を摂取すればいいですか?
武井 香七 医師
アミノ酸を必要とする量は、年齢や運動量によって変わってきます。厚生労働省がまとめた日本人の食事摂取基準では、タンパク質の1日の目標量は、体に必要なカロリーの13~20%です。18~64歳の男性で65g・女性で50gが目安なので、参考にしてください。食事からの栄養摂取を基本にタンパク質の推奨量を満たしつつ、体の大きさや活動量に合わせて調整していくことがおすすめです。また、食事でアミノ酸を摂るのは難しい方は、サプリメントや栄養補助食品を活用しましょう。
編集部まとめ
この記事では、アミノ酸の種類や効果・摂取方法などについてお伝えしました。
アミノ酸の働きは筋力維持だけでなく、スポーツ選手やアスリート以外にも必要な栄養素です。ほかにも、成長促進・疲労回復・免疫力強化・安眠など健康効果も期待されています。
また、アミノ酸にはさまざまな種類があり、骨や血管・肌・髪などのタンパク質を構成する成分として欠かせません。どの食品にどの必須アミノ酸が含まれ、どのように摂取したら効果的かしっかり理解していただけましたでしょうか。
また、質のよい睡眠と運動は体づくりの基本です。アミノ酸をはじめとする栄養素の正しい知識に基づいたバランスのよい食生活を送ることで、いくつになっても健康で元気に過ごせる体づくりにお役立てください。
「アミノ酸」と関連する病気
「アミノ酸」と関連する病気は3個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
遺伝子の病気
- グルタル酸血症1型
- リジン尿性蛋白不耐症
循環器科の病気
- アミノ酸代謝異常症
「アミノ酸」と関連する症状
「アミノ酸」と関連している、似ている症状は4個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 筋力の低下(筋肉量の減少)
- 免疫力の低下(皮膚トラブル・アレルギー・アトピー症)
- 睡眠の質の低下(不眠症)
- 基礎代謝の低下(肥満)