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「カルシウムの多い食品」はご存知ですか?効率的な摂取方法も解説!【管理栄養士監修】

 公開日:2024/12/08
「カルシウムの多い食品」はご存知ですか?効率的な摂取方法も解説!【管理栄養士監修】

カルシウムの多い食品とは?Medical DOC監修医がカルシウムの多い食品・効果的な摂取方法などを解説します。

西澤 奈純

監修管理栄養士
西澤 奈純(管理栄養士)

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経歴
2017年至学館大学卒業 学生時代もスポーツ栄養の研究室でアスリートへの食事提供、実業団チームへの栄養サポート補助、大学生アスリートへの栄養アセスメント、スポーツジムでの健康栄養セミナー講師などを経験してまいりました。/ 2017年~2019年まで給食委託会社勤務 実業団陸上部スポーツ寮、特別養護老人ホームなどで給食管理、栄養管理業務に従事しました。 アスリートへの栄養サポートとして合宿帯同なども経験させていただきました。 / 2019年~管理栄養士として大学勤務 本格的にスポーツ栄養に携わるために転職いたしました。研究員としてスポーツ寮での食事提供、アスリートへの個別指導、集団セミナーなどに従事しました。 / 現在は食品メーカーにて調乳指導に従事し、月50名以上のお母様に指導をしております。また、料理専門の家事代行サービスでもお仕事しております。その他単発で業務委託でお仕事させていただいております。
主な研究内容・論文
大学女子体操競技選手に対する減量のための栄養サポート
保有免許・資格
管理栄養士
栄養士
普通自動車運転免許

「カルシウム」とは?

「カルシウム」とは?

人体に含まれるミネラルで、骨や歯に多く存在している栄養素です。体重の1〜2%を占め、99%は骨や歯に存在しているのが特徴です。

残り1%は血液・筋肉・神経などの軟組織に存在しており、身体のさまざまな機能を調節する働きをしています。

血液中のカルシウムの濃度が低下すると副甲状腺ホルモンの分泌が増え、骨からカルシウムが溶けだし、血液中のカルシウムの濃度をもとに戻します。

副甲状腺ホルモンの分泌量が高値で続くと、骨から溶けるカルシウムが増えるため、結果的に骨粗鬆症などを引き起こすでしょう。

吸収と形成を繰り返して成り立っているのが骨です。成長期には形成が吸収を上回るため骨量は増加します。20歳くらいが人間の体の骨量のピークです。

その後は、吸収と形成はほぼ平衡状態を保ち、加齢とともに徐々に骨量も減少していくでしょう。

カルシウムの効果

カルシウムの効果

糖尿病の発症リスクの低減

乳製品の摂取量をもとに糖尿病の発症リスクを調べた研究では、女性では乳製品の摂取量が多いグループは少ないグループに比べて、糖尿病を発症するリスクが30%程低下するのがわかっています。ビタミンDの摂取量も糖尿病の発症リスクに関係していて、男女ともにビタミンDも乳製品の摂取量も多いグループで糖尿病の発症リスクが低減しています。

骨折の予防

男性を対象に行われた研究では、カルシウムとビタミンDを併用した際に、骨折のリスクの低下と全身の骨量の減少が抑制されました。その結果をもとに成人男性では、骨折の予防のために1日750〜800mg以上のカルシウムの摂取が推奨されています。

血圧の安定

牛乳に含まれるホエイタンパク質とカゼインには、分解時に作られるペプチドに血圧を下げる作用があります。ヨーグルトにもペプチドとして含まれているものもあるようです。これらのペプチドが血圧の低下や安定に作用していると考えられています。

脳卒中の発症リスクの低減

乳製品でのカルシウム摂取によって脳卒中の発症リスクが低減します。乳製品以外でのカルシウム摂取では有意な結果は得られていません。カルシウム摂取量が多い人では、血圧が低く安定していることもあり、脳卒中の発症リスクの低減につながっていると考えられます。

カルシウムの多い食品

カルシウムの多い食品

乳製品

乳製品は、カルシウムの含有量が多く、吸収率が高いのも特徴です。牛乳で40%程の吸収率といわれています。

牛乳

普通牛乳の場合、100gで110mgのカルシウムを含んでいます。カルシウム以外にたんぱく質やリン、ビタミンなどの含有量は多いですが、鉄や食物繊維は少ないのが特徴です。値が高いほど良質なたんぱく質とされているのがアミノ酸スコアです。牛乳の場合、アミノ酸スコアは100になり、良質なたんぱく質を摂取することができます。

ヨーグルト

原料の乳を加熱してビフィズス菌や乳酸菌を加えて、発酵させたものになります。ヨーグルトの種類で異なりますが、100gで120mgのカルシウムを含んでいます。乳酸発酵によりたんぱく質や乳糖が分解されるため、牛乳でお腹がごろごろする方などでも摂取しやすい食品です。

プロセスチーズ

ナチュラルチーズを粉砕し、加熱溶融し、乳化したものをプロセスチーズといいます。20gにカルシウムを126mg含んでいます。さまざまな形状にカットされ、食べやすい大きさ・風味で販売されています。

大豆食品

厚揚げや豆腐などの大豆食品は、乳製品の次にカルシウムの吸収率が高い食品です。大豆イソフラボンを含むため、乳がんや骨粗鬆症などの予防効果が期待されます。大豆は、畑の肉と呼ばれるようにたんぱく質を多く含んでいます。カルシウムも多く含んでいるため、牛乳が苦手な方や肥満が気になる方におすすめです。

厚揚げ

豆腐の外側を揚げた食べ物です。100gに240mgのカルシウムが含まれています。厚揚げ半丁程でコップ1杯の牛乳に匹敵するカルシウム量です。

木綿豆腐

半丁(150g)程に135mgのカルシウムを含んでいます。木綿豆腐は、水分を搾るため絹ごし豆腐に比べて栄養成分が凝縮されているのが特徴です。特にカルシウムやたんぱく質、鉄分が多く含まれています。

納豆

納豆菌を利用して大豆を発酵させた食品です。発酵させることで大豆よりも栄養価が高くなり、消化吸収もよくなります。納豆には、1パック(50g)に45mg程のカルシウムが含まれています。また、納豆はビタミンKも多く含んでいます。ビタミンKは骨へのカルシウムの取り込みを助けてくれるため、骨粗鬆所の予防のために積極的に摂取したい栄養素です。

野菜類

野菜類のカルシウム吸収率は19%と言われており、あまり高くありません。小松菜や水菜などのカルシウムを多く含んでいる野菜もありますが、野菜だけで必要なカルシウムを摂取するのは難しいでしょう。

小松菜

アブラナ科アブラナ属の野菜で、旬は冬場の12~2月です。小松菜は、カルシウムや鉄分、ビタミンが豊富に含まれています。1/4束(70g)に含まれるカルシウムは119mg程です。ビタミンDが多く含まれているお魚などの付け合わせにすることで、小松菜のカルシウムの吸収率も上がります。小松菜は炒めたり茹でたりとさまざまな調理法に対応可能です。

水菜

京野菜の代表格で、冬が旬です。畑の畝と畝の間に水を引いて栽培するため水菜と呼ばれています。1/4束(50g)に含まれるカルシウムは105mg程です。水菜はサラダや鍋、パスタなどで楽しめます。

菜の花

アブラナ属の植物全般の花を指し、カブや白菜、キャベツなども菜の花の仲間です。菜の花は花や葉、茎などを食べることができます。1/4束(50g)に含まれるカルシウムは80mg程です。おいしい食べ方には和え物やおひたし、漬け物などがあります。

魚介類

魚介類は肉類に比べてカルシウムの含有量が多いですが、魚種によってカルシウムの含有量が異なります。ししゃもやわかさぎなどの骨ごと食べる魚はカルシウムが豊富です。はまぐりやかきなどの貝類にもカルシウムは多いですが、切り身の魚では骨を食べないため、カルシウムをあまり多く摂取できないでしょう。

ししゃも

ししゃもは日本だけに存在している日本固有の魚です。北海道の太平洋岸だけに生息します。名前は柳の葉の魚を意味するアイヌ語が由来です。ししゃも3尾(45g)で149mgのカルシウムが含まれています。一般的に塩焼きや唐揚げ、天ぷらなどで楽しめます。子持ちししゃもは、外国から輸入されたカラフトシシャモでししゃもではありません。

いわし(丸干し)

いわし1尾(85g)で374mgのカルシウムが含まれています。吸収率は33%程です。いわしには生活習慣病予防が期待できるDHAやEPAが豊富に含まれています。おすすめの食べ方はいわしの梅煮です。

わかさぎ

川で孵化後にすみかを海にかえて成長し、産卵のために川に上る習性があるのがわかさぎです。小8尾(65g)に293mgのカルシウムが含まれています。煮物や揚げ物などの料理でおいしく食べることができます。

カルシウムの効率的な摂取方法

カルシウムの効率的な摂取方法

カルシウムと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

ビタミンDは、小腸でのカルシウムの吸収や腎臓でのカルシウムの再吸収を促進します。ビタミンDは、きのこ類や魚に豊富に含まれています。魚料理やきのこ類、卵を使用した料理を食べることで、ビタミンDを十分に摂取できるでしょう。

カルシウムと一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品

ほうれん草・コラードの若葉・サツマイモなどに含まれているフィチン酸およびシュウ酸は、カルシウムの吸収を阻害すると言われています。さまざまな食物を摂取していれば相互作用によって栄養上の悪影響がほとんど、またはまったく生じないものと考えられているので、多くの食品を適量かつバランスよく食べることが大切です。

カルシウムの効果を高める摂取タイミング

腸管での吸収は夕方がよいと言われています。そのためカルシウムを夕方に摂取するのを推奨している研究もあります。年齢・体格・活動量などによって個人で必要なカルシウム量は異なりますが、不足しないためにも毎食カルシウムを意識して摂取するとよいでしょう。

「カルシウムの多い食品」についてよくある質問

「カルシウムの多い食品」についてよくある質問

ここまでカルシウムの多い食品を紹介しました。ここでは「カルシウムの多い食品」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

カルシウムが不足すると体にどんな症状が現れますか?

西澤 奈純西澤 奈純 医師

軽症の場合、筋肉のこわばり程度です。しかし、カルシウムが不足する状態が続くと、骨量や骨密度が低下し、骨粗鬆症を引き起こす可能性があります。ほかにも神経や筋肉の興奮が高まり、テタニー(筋肉の痙攣)やてんかん(全身の痙攣)が起こります。抑うつや不安などの精神症状をきたすこともあり、血液検査で気付かれることも多いでしょう。

カルシウムの多い食品を使ったレシピを教えて下さい。

西澤 奈純西澤 奈純 医師

しらす小松菜おにぎりや桜えびおにぎりなどがおすすめです。しらす小松菜おにぎりは、茹でた小松菜を1cm程に切り水気を絞ります。ご飯に小松菜としらす、白ごまを混ぜて塩で味を整えたら完成です。小松菜もしらすもカルシウムが豊富な食品です。また、カルシウム量が多い桜えびを使った桜えびおにぎりはおにぎりを作り、おにぎりの表面に桜えびをつけてできあがります。両方とも手軽に作れるため忙しいときにも作りやすいでしょう。もう1つ、小さく切ったプロセスチーズと塩昆布を白ご飯にまぜておにぎりにするのもおすすめです。少しごま油をいれてもおいしいです。

編集部まとめ

編集部まとめ

カルシウムは99%が骨・歯に存在し、残り1%は血液・筋肉・神経などの軟組織に存在し、身体の機能調整を行っている栄養素です。

カルシウムと一緒にビタミンDを摂取すると吸収率があがります。そのため、カルシウムと一緒に魚やきのこなどを摂取するようにしましょう。

「カルシウムの多い食品」と関連する病気

「カルシウムの多い食品」と関連する病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内分泌科の病気

  • 原発性副甲状腺機能亢進症
  • 悪性腫瘍随伴症候群

原発性副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺ホルモンの分泌が過剰になることで高カルシウム血症が生じます。悪性腫瘍随伴症候群は、がんの体液性高カルシウム血症とも呼ばれる病気です。

「カルシウムの多い食品」と関連する症状

「カルシウムの多い食品」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

上記は、高カルシウム血症の主な症状です。尿中のカルシウムが増えると尿路結石症の原因にもなります。多尿や口渇から糖尿病を疑われる方もいます。気になる症状がある際には医療機関を受診しましょう。

この記事の監修管理栄養士