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フィナステリド(プロペシア)の初期脱毛はいつまで続く?薬効や注意点も解説

 公開日:2024/08/30
フィナステリド(プロペシア)の初期脱毛はいつまで続く?薬効や注意点も解説

髪の毛の発毛効果がある治療薬、フィナステリド(プロペシア)を服用すると初期に脱毛が起こるといわれています。発毛効果がある薬を服用して、抜け毛が起こると驚きとともに不安になることでしょう。

フィナステリドの初期脱毛はいつまで続くのか、薬の効果や発毛メカニズムとともにご紹介します。この薬の服用には、知っておきたい注意点・リスクがあります。

体に合った治療薬を使ってAGAの悩みから解放され、自信を持てる生活を送りましょう。

監修

フィナステリド(プロペシア)の初期脱毛はいつまで続く?

疑問を持つ男性
フィナステリドの初期脱毛の期間は、個人差があります。そのため、いつからいつまで続くか、についての明確な報告はありません。また、どの程度脱毛するのかについても、人によって異なります。
しかし、服用を6ヵ月程度続けると発毛の効果が出てくるという報告はあります。フィナステリドを3年程服用すると98%の患者さんが改善したようです。
服用を中断すると初期脱毛はなくなりますが、同時に発毛効果を感じられません。初期脱毛が起こって心配な場合は、主治医に相談するとよいでしょう。

フィナステリド(プロペシア)の薬効について

指示する笑顔の女医
フィナステリドは日本人のAGA患者さんに対する効果が高いという報告があります。男性脱毛診療ガイドラインによると、AGAの男性に対してのフィナステリド内服は推奨度A(行うよう強く勧められる)です。
この薬がどのような作用機序でAGAの改善に役立つのか、初期脱毛のメカニズムとともに解説します。

作用機序

AGA男性の頭皮では、DHT(ジビドロテストステロン)の濃度が増加するといわれています。DHTは髭に作用すると、細胞を成長させます。しかし、前頭部や頭頂部でDHTの濃度が増加すると、毛根を生成する毛包が小さくなり、髪の毛が細く短い軟毛に変化するのです。
さらに、髪の毛が長く・太くなる成長期も短縮されます。その結果、薄毛の状態となってしまうのです。フィナステリドはDHTの生成を阻害する効果があり、頭部の発毛を促進するため、AGAの治療に使われています。

5α-還元酵素阻害作用

DHTは男性ホルモンであるテストステロンが、5α-還元酵素II型により代謝されると生成されます。フィナステリドの作用は頭皮において、5α-還元酵素II型を選択的に阻害し、テストステロンからDHTへの変換を防ぐことです。
前述しましたが、DHTは髪の毛の成長期を短縮し、細く短い髪の毛を生成します。そのため、DHTの生成が阻害されると髪の毛の成長期が長くなり、長い髪の毛への成長が促されるのです。
DHTがAGAを引き起こす物質だと考えられている根拠として、5α-還元酵素II型が遺伝的に欠損している患者さんの例が挙げられます。5α-還元酵素II型欠損症の方は、AGAが起きないと報告されているのです。

発毛作用

フィナステリドによって、ヘアサイクルの成長期が回復するという報告があります。成長期の毛包が増加することで、強く長い髪の毛が生えてくるのです。
ところで、発毛作用がある一方で、なぜ初期脱毛が起こるのでしょうか。フィナステリドは今生えている髪の毛を強くする作用がないからです。
そのため、フィナステリドを服用しても、これまで生えていた短く細い髪の毛は抜け落ちてしまいます。薬を服用してもすぐに効果が出ないのは、正常な髪の毛の成長期が2〜7年といわれているためです。
フィナステリドには毛包を増加させる効果があるため、AGAが進みすぎないうちに治療を開始できると、より実感が早いでしょう。

ステロイドホルモン受容体に対する作用

フィナステリドは男性ホルモンのテストステロンがDHTに変換されるのを阻害する薬です。
ホルモンに影響を与える薬を服用する場合、ほかのホルモンに影響がないか心配になるかもしれません。フィナステリドは、以下のステロイドホルモン受容体に対して拮抗する作用がないと報告されています。

  • アンドロゲン
  • エストロゲン
  • プロゲステロン
  • グルココルチコイド
  • ミネラルコルチコイド

つまり、フィナステリドの5α-還元酵素阻害作用は選択的に行われ、ほかのステロイドホルモンには影響を及ぼさないといえます。

ホルモン様作用

薬によっては、ホルモンに似た作用があり、目的ではない効果が出てしまう場合があります。
例えば、発毛作用を目的とする男性が飲んだ薬が女性ホルモン様の作用を示し、体が女性化するというようなものです。
フィナステリドは、以下のような作用をしないと報告されています。

  • エストロゲン様作用
  • 抗エストロゲン様作用
  • ゴナドトロピン分泌抑制作用
  • アンドロゲン様作用
  • プロゲスチン様作用

例えば、エストロゲンとは女性ホルモンですが、フィナステリドはエストロゲンと同様の作用を示さなかったということです。
つまり、ホルモンに対して特定の影響を持たないといえます。

フィナステリド(プロペシア)のリスク・注意点とは?

間違いやすいポイント
フィナステリドの服用にあたって、初期脱毛が心配な方は多いでしょう。初期脱毛はいずれ落ち着くといわれていますが、ほかのリスクや注意点があります。
AGAに対してどのような治療を行うか決める際の参考にしてください。

男性乳がんのリスク

フィナステリドを使用した患者さんのなかには男性乳がんを発症したという報告があります。しかし、これはフィナステリドを5mg投与した場合であり、1mgの投与では男性乳がんを発症した報告はありません。
国内で販売されているフィナステリドは、0.2mgと1mgの錠剤です。用法・用量は、通常0.2mgを1日1回服用します。医師の判断により増量できますが、1日1mgが上限です。医師の処方に基づいて服用しましょう。

前立腺がんのリスク

世界的に見ると、フィナステリドは前立腺がんの予防薬として注目されています。しかし、前立腺がんが発症した場合、悪性度が高いと報告されているのです。悪性度が高いがんは、予後が不良なため、さまざまな議論が沸きました。
フィナステリドによって前立腺から分泌されるタンパク質(PSA)が低下した影響だと考えられています。この報告だけを見ると服用するのが怖くなるかもしれません。
しかし、この報告に用いられている研究ではフィナステリドを5mg服用しています。前述しましたが、AGA治療でのフィナステリドの最大量は1日1mgです。心配な場合は主治医に副作用について、相談してみましょう。

前立腺容積の減少

フィナステリドの5α-還元酵素阻害作用は頭皮と前立腺におよびます。そのため、前立腺容積が減少することも覚えておきましょう。前立腺容積の縮小によって、前立腺がんのPSA検査値が低くなる場合があります。
本当は前立腺がんのリスクが高まっているのに、フィナステリドの服用で実際のPSA値よりも低くなっていて、がんの発見が遅れてしまうかもしれません。
検査値の補正が必要なので、前立腺がん検査を受ける際にはフィナステリドを使っていることを伝えてください。

妊婦の使用は禁忌

男性型脱毛診療ガイドラインによると、DHTの低下により、男子胎児の生殖器官などの正常発育に影響を及ぼす恐れがあるといわれています。
そのため、妊婦・妊娠の可能性がある女性・授乳中の女性への使用は禁止です。
パートナーがフィナステリドを服用していても、妊娠や胎児への影響はありません。

他剤との併用に注意

フィナステリドとほかの薬を併用しても、特に重大な薬物相互作用は認められていません。
しかし、フィナステリドとミノキシジルを併用した若年男性が出血性脳梗塞を発症した1例が報告されています。この2剤の併用が脳梗塞を引き起こすと断定されているわけではなく、あくまでも可能性としての報告です。
現在使用している薬がある場合は、主治医または薬剤師に相談してから服用するとよいでしょう。

まとめ

手鏡を持つ男性フィナステリドの初期脱毛について、薬効や注意点とともにご紹介しました。初期脱毛が起こるかどうかは個人差があり、期間も人それぞれです。

フィナステリドは髪の毛の成長期を長くし、長く強い髪が生えるのを促す作用があります。しかし、現在生えている髪の毛を強くする作用はないため、細く短い髪の毛は抜けてしまうのです。

フィナステリドは、AGAの患者さんによく使用されており、6ヵ月以上継続することで効果がみられます。不安なことは医師に相談しながら、治療を続けてみてください。