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「胆嚢がんの進行速度」はご存知ですか?初期症状や治療法も解説!【医師監修】

 公開日:2024/02/14
「胆嚢がんの進行速度」はご存知ですか?初期症状や治療法も解説!【医師監修】

「胆嚢がん」と聞いて、治療の難しさ・生存率がどれくらいか想像がつく方は少ないのではないでしょうか。胆嚢が体のどの部位にあたるのか、知らない方もいるでしょう。

胆嚢は、肝臓と十二指腸をつなぐ胆管の途中にあり、胆汁を貯蔵しておく臓器です。胆嚢がんは、初期症状が乏しいため、早期発見が難しいという特徴があります。

そのため、胆嚢がんが発見されたときには進行している可能性が高いです。本記事では、胆嚢がんの進行速度について、治療方法や胆道がんについて解説していきます。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

胆嚢がんの症状

胆嚢がんの症状は、特有の症状ではなく他の疾患でも見られるものが主です。食欲不振・腹痛・嘔気・体重減少・黄疸・腹部膨満などの症状が見られますが、これらの症状が現れたときはがんが進行していることが多く、初期は無症状で進行していきます。
ここからは、胆嚢がんで主に見られる各症状について解説していきます。

食欲不振

食欲不振は、がんのみの症状ではなく、胃炎や抑うつなどの疾患の場合でも見られることがあります。胆嚢がん特有の症状ではなく、他の疾患でも現れる症状のため、胆嚢がんの発見が遅れる可能性があります。
食欲不振が続く場合は、何らかの疾患の可能性があるため、医療機関での検査をすることが必要です。

腹痛

胆嚢がんが進行すると、腹痛の症状が現れることがあります。
肝臓は腹部の右側に位置するため、みぞおち付近右の脇腹に痛みが出現する可能性があります。

嘔気

肝臓には、代謝・解毒などの役割があり、肝機能障害では嘔気が出やすくなります。
胆嚢がんの場合でも、肝機能の低下が見られ嘔気症状がおこることがあります。嘔気が一過性でない場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

体重減少

胆嚢がんにより、食欲の低下・肝機能の低下による代謝の低下・腹痛などにより、体重が減少することがあります。
胆嚢がんだけでなく、他のがんの症状にも体重減少があります。急激な体重が減少した場合などは、病気の可能性があるため医療機関を受診するなり注意が必要です。

胆嚢がんの進行速度は?

胆嚢がんは早期発見が困難であり、周囲の組織へ転移した進行がんの状態で発見されることが多いです。進行速度は非常に早く、自覚症状がある状態で発見された場合は、肝臓・膵臓などの臓器へ転移している可能性が高くなります。
進行速度がきわめて早いため、早期発見することが非常に重要な疾患であります。胆石や胆嚢炎の診断後に偶然がんが発見されることもありますが。この場合は、自覚症状も少なく早期発見といえます。

がんが胆嚢の内壁に限定されている場合

胆嚢がんは、胆嚢の内壁の粘膜から発生し、外壁へ向かって進行していきます。
がんが内壁に限定されている場合では、初期のがんでありステージ1になります。ステージ1は早期がんであり、手術によるがん組織の摘出をするだけで根治する可能性が高いといわれてきました。
摘出は胆嚢の切除のみで済むことが多く、根治する可能性がある治療方法です。

がんが胆嚢の外壁に達している場合

胆嚢の内壁から進行したがんが外壁に達している場合、外壁を貫き周囲の組織へ浸潤していく可能性があります。手術の際には、胆嚢のみならず胆管・肝葉などの組織を切除するなど、進行状態に応じて組織の切除が行われます。
手術により、胆嚢がんを取り除くことができれば、胆嚢がんが内壁に限定される場合と同様に根治する可能性が高いです。

がんが周囲の組織に広がっている場合

胆嚢がんが周囲の組織に浸潤している場合、病期分類はステージ3です。リンパ節への転移がない場合はステージ3A、リンパ節への転移が見られる場合はステージ3Bとなり、手術で胆嚢や周囲の組織の切除を行います。
胆嚢がんが広がり、進行がんとして治療が行われます。

遠隔転移している場合

胆嚢がんの中で多いのは肝臓への転移ですが、肺・膵臓への転移も多く見られます。胆嚢がんが、隣接する組織ではなく遠く離れた組織へがんが転移した遠隔転移の場合、病期分類はステージ4となります。
胆嚢がんが進行し、ステージ4では手術による切除が難しいことが多く、放射線治療・抗がん剤治療が行われることが多いです。

胆嚢がんの治療方法

胆嚢がんの治療方法は、進行状況により異なりますが、手術化学療法を用いた治療方法になります。
胆嚢がんの進行度合いと一緒に治療方法について解説していきます。

手術

胆嚢がんの第一の治療方法は手術であり、がんが根治する可能性のある唯一の治療方法です。手術によりがんを取り除くことが根本的な解決となり、周囲の組織への転移を防ぐことになります。
周囲の組織に浸潤が見られる進行がんの場合であっても、胆嚢がんと同時に切除を行いますが、進行がんの場合は胆嚢だけでなく肝臓や十二指腸なども同時に切除が行われます。

化学療法

胆嚢がんが進行し、遠隔転移が見られる場合などで手術による切除が難しい場合は、抗がん剤治療・放射線治療といった化学療法を用いた治療方法となります。
また手術と併用して化学療法治療を行うこともあります。

胆嚢がんのステージ別症状・治療法

ここまでは、胆嚢がんの症状・治療法について解説しました。
次に、ステージ別の症状・治療法について解説します。

ステージ別症状

症状は、胆嚢がんの初期では無症状のことが多いです。
がんが進行し、多臓器への浸潤が進むと、ステージが進み腹痛・発熱などの症状が現れます。また、肝胆への胆汁の流れが制限されると黄疸が見られます。
体重減少・かゆみ・白色便など、がんの進行によりさまざまな症状が現れることが少なくありません。

治療法

治療法の基本は手術によるがんの切除です。
ステージ1〜2までは切除可能なことが多く、治療は切除のみで完了することがあります。ステージ3〜4になるとがんの切除が可能か不可能かにより治療法が異なります。
手術での治療法は、胆嚢の摘出だけではなく、がんの浸潤の範囲により肝臓・膵臓・十二指腸や他の臓器を切除する方法です。
手術が困難な場合の治療法は、抗がん剤治療・放射線治療です。抗がん剤治療は、1週間に1回・2〜3週間行い、1週間休薬を繰り返し点滴により投薬します。
放射線治療は、胆嚢がんへの有効性についてエビデンスが十分ではないため、疼痛の緩和・コントロールを目的とし行うことがあります。

胆道がんにおける手術方法の特徴について

胆道がんにより、胆汁の流れが悪くなると黄疸が見られる可能性があります。
黄疸になると、手術や化学療法を行うことが難しくなるため、胆汁の流れを改善し黄疸の症状を改善する必要があります。胆汁の流れを良くする処置として、手術や化学療法の前に胆道ドレナージが行われることが特徴です。
手術では胆嚢がんと同様に、周囲の臓器を含めたがんが浸潤している組織の切除を行います。

胆嚢がんの進行速度についてよくある質問

ここまで胆嚢がんについての進行度による特徴・症状などをご紹介しました。ここでは、「胆嚢がんの進行度」についてのよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

胆嚢がんの初期症状について教えてください

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

胆嚢がんの初期症状は、無症状なことが多いです。そのため症状が現れたときには、胆嚢がんが進行しているケースがほとんどです。
胆嚢がんの初期で早期発見できる場合は、胆石胆嚢炎の診断後に摘出手術を行った際にがんと診断されることもあります。

胆嚢がんの進行速度と自覚症状の関係について教えてください

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

胆嚢がんは自覚症状が現れた場合、がんが進行している可能性が高いです。自覚症状には、食欲不振・腹痛・嘔気・体重減少などがあり、胆嚢がんが進行するにつれ症状が現れます。
体の状態が悪くなると治療を行う体力がないことから、進行速度が速くなる可能性もあります。

胆嚢がんの余命について教えてください

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

胆嚢がんの一般的な予後について解説します。
ステージ1では、胆嚢がんの切除後5年生存率は90%以上です。ステージが進むにつれて、5年生存率は低下します。ステージ2では切除後40%前後・ステージ3では切除後20%前後・ステージ4では5%前後です。

まとめ

今回は胆嚢がんの進行速度をはじめとする病態について解説しました。胆嚢がんは初期症状が無症状なことが多く、発見が遅くなってしまう可能性があります。しかし、手術により胆嚢がん病変そのものや周囲の組織を摘出することで根治の可能性があり、希望を持てた方もいるでしょう。

医師とともに治療を進め、病期・体の状態に合わせた治療を選択していくことが大切です。また、食欲不振・腹痛などの症状が続く場合は、放っておくことなく医療機関を受診することが大切です。

ご自身・ご家族で気になる症状があるという方は、1人で悩まずになるべく早く医療機関を受診するようにしましょう。

胆嚢がんと関連する病気

「胆嚢がん」と関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

胆石症などの手術を行ったときに、偶然がんが発見されることがあります。胆石症や胆嚢炎とあまく考えずきちんと手術等の治療を受けましょう。隠れた病気の早期発見ができ、早期に治療を受けられる可能性が高くなります。

胆嚢がんと関連する症状

「胆嚢がん」と関連している症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 食欲不振
  • 黄疸
  • 体重減少
  • 嘔気

腹痛・食欲不振は、一時的な体調不良と勘違いすることもあり、見過ごされやすいものです。黄疸・体重減少がある場合は、体の異変を感じ医療機関を受診する方も多いように感じます。
しかし、腹痛・食欲不振といった症状が慢性化している場合も早めに医療機関を受診するようにしましょう。

この記事の監修医師