「10代でAGAになる確率」はご存知ですか?原因や予防法も解説!【医師監修】
高校生や大学生など10代後半の方でも薄毛が気になり、もしかしたらAGA(男性型脱毛症)ではないかと心配になる方もいるでしょう。
しかしながら、10代でもAGAになる方は本当にいるのでしょうか。本記事では、10代でAGAになる確率はどのくらいあるのかについてご紹介します。
また、10代でAGAになる原因・予防法・治療法についても詳しく解説します。10代でAGAではないかと気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
10代でAGAになる確率はどのくらい?
10代でAGAになる確率について、はっきりとした統計的なデータはありません。ただし、日本皮膚科学会のデータ(男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン)によれば20代でAGAになる方の割合は、約10%とされています。それ以降は、30代で20%、40代で30%と増えていく傾向です。
そのため、10代でAGAになるのは、10%以下の確率だと考えられます。10代以降の年代と比べると確率は低いものの、10代でもAGAを発症する可能性はあるでしょう。毎日100本以上の抜け毛がある・毛髪が細く短い・額や頭頂部の髪が薄くなった気がするなどの徴候がある方は、クリニックに相談してみましょう。
10代でAGAになる原因
10代でAGAになる原因には次のようなものがあります。
- 男性ホルモンの影響
- 遺伝
- 生活習慣の乱れ
- ストレス
- 頭皮への負担
それぞれの原因を詳しく解説します。
男性ホルモンの影響
10代でAGAになる原因の一つに男性ホルモンの影響が考えられるでしょう。思春期以降、テストステロンと呼ばれる男性ホルモンが多く分泌されます。
テストステロンが前頭部や頭頂部で分泌される5αリダクターゼという酵素と結合すると、ジヒドロテストステロン(DHT)という別のホルモンに変換されます。DHTは髪の毛が生え変わるサイクルを短くし、抜け毛が増えたり髪の毛が細くなったりしてAGAの原因になるでしょう。
遺伝
別の原因としては遺伝も挙げられるでしょう。男性ホルモンの影響について述べましたが、AGAには5αリダクターゼという体内にある酵素や、DHTという男性ホルモンに大きな関係があります。こうした酵素や男性ホルモンの受容体は遺伝の影響を受けやすいです。
具体的には、5αリダクターゼを生まれつき多く持っている方がいます。また、脱毛を引き起こすDHTに受容体が結びつきやすい傾向を持つ方もいます。したがって、こうした特徴を持つ方は遺伝的にAGAを発症しやすいといえるでしょう。
生活習慣の乱れ
10代の方がAGAになる原因の一つとしては、生活習慣の乱れも考えられます。睡眠不足や運動不足などによって生活習慣が乱れていると、頭皮環境や血液の循環が悪くなるでしょう。頭皮や髪の毛への栄養が行き届かなくなり、薄毛の原因になりかねません。
とくに睡眠については、発毛や髪の毛の成長が睡眠中に行われる点にも注意が必要です。そのため、睡眠が不足していると薄毛を引き起こす可能性があるでしょう。
食生活の乱れ
食生活の乱れも、10代のAGAになる原因の一つに挙げられるでしょう。タンパク質や亜鉛といったミネラル成分が不足していると、髪の毛が成長するのを妨げてしまいます。髪の毛は食事に含まれている栄養によってできているからです。
また、コレステロールや中性脂肪が多い食事ばかりとっていると血行不良になり、髪の毛が生える土台となる頭皮の状態を悪化させてしまうでしょう。無理なダイエットも栄養が足りなくなってしまうので注意が必要です。
ストレス
ストレスも10代のAGAになる原因の一つと考えられます。ストレスがあると自律神経が乱れて、頭皮の血行が悪くなり、髪に栄養がうまく運ばれなくなるでしょう。そうなると発毛や髪の毛の成長にとってマイナスになります。
女性の場合であれば、ストレスによりホルモンバランスが乱れるケースもあります。ホルモンは髪の毛と関係があるため、ホルモンバランスの乱れが薄毛の原因になる場合があるでしょう。
10代後半はとくに、学校・バイト・受験・友達関係などストレスが溜まりやすい時期ですので、ストレスにも注意しましょう。
頭皮への負担
頭皮に負担をかけることも薄毛の原因になる場合があります。例えば、シャンプーは頭皮の環境を清潔にするために大切ですが、洗髪方法を間違えると逆に頭皮に負担をかけることになります。1日に何度もシャンプーをする・力を入れて頭を擦る・熱いお湯で流すといった方法は注意が必要です。
また、カラー・パーマ・ヘアワックスなども頻度や使い方に注意をしないと頭皮に負担をかけ、薄毛の原因になるでしょう。
10代のAGAの予防法
10代でAGAにならないための予防法としては、次のようなものが挙げられます。
- 生活習慣や食生活を見直す
- 睡眠時間を確保する
- ストレス発散法を見つける
- 洗髪方法を見直す
それぞれの予防法について詳しく解説します。
生活習慣や食生活を見直す
一つ目の方法は、生活習慣や食生活を見直すことです。高校生の場合、外で買い食いしたり、友達と外食したりしてジャンクフードや油物が増えてしまう方も多いでしょう。しかしながら、糖分や脂肪は血液の流れを悪くし、栄養が髪の毛に届くのを妨げます。
油物はできるだけ控えるようにし、栄養バランスのとれた食事を3食しっかり摂りましょう。また、とくに髪の毛の成長に必要な栄養素を摂ることも大切です。具体的には、植物性タンパク質や亜鉛を摂るよう心掛けると良いでしょう。
植物性タンパク質は、納豆・豆腐・鶏肉(むね肉・ささみ)・牛もも肉・マグロ赤身などから摂取できます。亜鉛は、牡蠣・魚介類・鶏レバー・プロセスチーズ・卵などから摂取できるでしょう。同じ食材ばかりを食べるのではなく、さまざまな種類の食材をバランス良く摂るのが重要です。
睡眠時間を確保する
睡眠不足もAGAの原因になる場合があるため、睡眠時間を確保するのも予防になります。厚生労働省の調査では、12〜19歳の睡眠時間でもっとも多いのは約6時間以上〜7時間未満となっています。しかしながら、必要な睡眠時間は人によって異なるため、自分がすっきり目覚められる睡眠時間を確保するのが重要です。
また、良質な睡眠をとるようにしましょう。就寝の3時間前には食事を終わらせ、お風呂も就寝の1〜2時間前には入っておきます。寝る前に軽くストレッチや運動をするのもおすすめです。
とくにスマートフォンのブルーライトは睡眠の質を低下させるといわれています。就寝の1時間前までにはスマートフォンの使用をやめるようにしましょう。
ストレス発散法を見つける
ストレスもAGAの原因になりかねないため、自分なりのストレス発散方法を見つけるようにしましょう。例えば、次のようなストレス発散方法があります。
- 適度な運動をする
- 仲の良い友達と会話する
- おいしいものを食べる
- 趣味に没頭する
- 好きな動画を見る
適度に運動することはセロトニンの分泌を促し、ストレスの軽減に役立ちます。また、適度な運動は質の良い睡眠にもつながります。自分にとってストレス解消になる方法を見つけて実践しましょう。
洗髪方法を見直す
頭皮に対する負担もAGAの原因になるため、洗髪方法を見直すことも予防になるでしょう。頭皮を清潔に保つのも重要ですが、何回も洗髪をすると逆に頭皮に負担をかけるため、1日1回にしましょう。簡単にできる頭髪ケアの方法として、シャンプーをアミノ酸系の育毛シャンプーに変える方法があります。
アミノ酸系のシャンプーは頭皮への負担が少ないほか、育毛効果も期待できるでしょう。また、シャンプーをする前にブラッシングをしておけば、皮脂やフケなどの汚れが落ちやすくなります。
シャンプー液を直接頭に付けると負担になるので、手で十分に泡立ててから洗髪しましょう。ポイントは頭を洗う際には爪ではなく、指の腹を使って頭皮をもみほぐすように洗います。また、シャンプーをした後のすすぎもしっかり行いましょう。
10代でAGAを発症した場合の治療法
もし10代でAGAを発症した場合はどのように治療したら良いのでしょうか。基本的にAGAの治療は20歳以上からとなっているため、10代の方は治療が受けられません。そのため、クリニックに行って相談してみるのがおすすめです。10代でAGAを発症した場合の治療法について詳しく解説します。
基本的に10代ではAGA治療ができない
まず、基本的には10代でのAGA治療は行われていません。これはAGA治療で男性ホルモンに作用する薬を使用しますが、未成年者は体が成長過程にあるため、使用できないからです。
クリニックによっては10代でも処方可能な薬を処方してくれるところもありますが、男性ホルモンに作用する薬や血管拡張作用のある薬などは処方してもらえません。
とはいえ、AGAの治療を行っているクリニックに行くこと自体はおすすめです。次にその理由を説明します。
クリニックに相談してアドバイスをもらう
10代でAGAを発症した場合、基本的には薬を処方してもらえませんが、アドバイスをもらうことは可能です。最近ではオンライン診療に対応しているクリニックもありますので、遠方に住んでいる方や接触をできるだけ避けたい方にもおすすめです。
クリニックによっては18歳以上から診察を受け付けていたり、高校在学中の方は診療してもらえなかったりするなど条件付きの場合もあります。事前に確認してから診察を受けましょう。
編集部まとめ
本記事では、10代でAGAになる確率について詳しく解説してきました。確率は低いですが、10代でもAGAになる可能性はあります。
原因としては、男性ホルモンの影響・遺伝・生活習慣の乱れ・食生活の乱れ・ストレス・頭皮への負担などが考えられるでしょう。
遺伝の場合は自分ではどうしようもありませんが、生活習慣の乱れなど予防できる分野もあります。食生活・睡眠・ストレス・洗髪方法なども見直してみましょう。
また10代でAGAを発症した場合、基本的に投薬による治療は行われていませんが、クリニックに相談してアドバイスをもらうことは可能です。
薄毛が気になる方や、AGAではないかと不安な10代の方は、ぜひ気軽にクリニックに相談してみてください。