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「皮膚がんの見分け方」はご存知ですか?症状やセルフチェック法も解説!

 更新日:2024/05/02
「皮膚がんの見分け方」はご存知ですか?症状やセルフチェック法も解説!

皮膚がんは白人の症例が多く日本人では希少ながんの部類です。しかし皮膚がんは紫外線も発症に大きく関与するといわれているため、紫外線を浴びる以上気を付けなければなりません。

また皮膚がんはほくろやシミと似ているため、進行するまで気が付くことができないこともあります。

では、皮膚がんを早期発見するにはどうすればよいのでしょうか。

本記事では皮膚がんとほくろの見分け方について解説します。また皮膚がんの症状・治療方法・早期発見方法についてもご紹介しますので参考にしてください。

高藤 円香

監修医師
高藤 円香(医師)

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防衛医科大学校卒業 / 現在は自衛隊阪神病院勤務 / 専門は皮膚科

皮膚がんとほくろの見分け方

皮膚がんのなかにはほくろのがんと呼ばれる別名をもつ種類もあり、皮膚がんとほくろの見分けは簡単ではありません。しかし皮膚がんとほくろは似て非なるもので違いがあります。
皮膚がんとは皮膚にできる悪性腫瘍であり、皮膚の組織細胞ががん化することで生じます。一方、ほくろは色素性母斑・母斑細胞母斑と呼ばれる、良性である母斑細胞の集まりです。
どちらも皮膚に現れる症状で見た目ではわからないことも珍しくありません。そこで皮膚がんとほくろを見分けるときに重要なポイントを解説します。

皮膚がんは成長が早い

皮膚がんにも種類があるため一概には言えませんが、皮膚がんはほくろに比べ成長が早い傾向にあります。いきなり大きくなるほくろがあった場合は、皮膚がんである可能性もあるため受診しましょう。
またがんの進行とともに腫瘍が悪化していき、出血・潰瘍・皮膚の隆起など目に見える症状が出てくることが多いです。

左右非対称の形状

一般的にほくろは左右対称な形であることが多い一方で皮膚がんは形が左右非対称であり、腫瘍の周りがぎざぎざであったりいびつであったりすることが多いです。また腫瘍の色にむらがあり濃淡があります。

皮膚がんの症状

皮膚がんの特徴的な症状は2つあります。

  • ホクロが大きくなった
  • ほくろから出血した

上記のいずれかの症状が現れた場合は、医療機関へ受診する必要があります。皮膚がんは肉眼で見える位置に発症しますが、シミやほくろと似ているために放置されがちな症状が多いです。では皮膚がんの症状について解説していきます。

ほくろが大きくなった

ほくろの中でも後天性色素性母斑は、6mm以上の大きさになるとメラノーマである可能性が考えられます。先天性色素性母斑は生まれつきあるほくろです。後天性色素性母斑に比べると大きく形がいびつな傾向がみられます。
一方後天性色素性母斑は小さく形が整っていることが多く、急激に大きくなる・形がいびつである場合には皮膚がんの疑いがあります。

ほくろから出血した

通常ほくろは微かな刺激では出血することがないため、軽い刺激で出血する場合、皮膚がんの疑いがあります。

皮膚がんの治療方法

皮膚がんの治療方法として、薬物療法手術があります。皮膚がんの種類により手術で根治が可能な場合もある一方で、薬物療法により治療を行う疾患もあります。
このほかにも放射線治療もあり、メルケル細胞がんなどは放射線治療がベストです。ここでは薬物療法と手術について解説しましょう。

薬物療法

薬物療法は抗がん剤を使用する治療です。一般的に手術で腫瘍を取り除いた後に、再発や転移を防ぐ目的で行われます。
また手術で取り除くことができなかった場合や転移が認められた場合も、薬物療法での治療が行われることがあります。

手術

ほかの臓器へ転移がない場合に病変部を切除する治療です。皮膚がんの治療方法で切除は信頼性が高く、病変周辺を広範囲にわたり切除することで再発の可能性が減少します。
病状によって手術後に薬物療法・放射線治療を行うこともあります。

早期発見のための方法とは?

皮膚がんを早期発見するためには、日頃のセルフチェックが重要です。皮膚・爪・手をよく観察して、わずかな変化でも見逃さないようにしましょう。
できものが増えた・色が黒くなった・赤くなった・触ると硬い・触ると痛いなど、小さな変化でも皮膚科専門の医師へ相談してください。またほくろが左右非対称・形がいびつ・シミの色がまだら・シミが6mm以上ある場合は、早めに医療機関へ受診しましょう。

皮膚がんの種類

皮膚がんとは皮膚にできる悪性腫瘍で、皮膚の細胞が悪性化したものです。皮膚がんにはメルケル細胞がん・血管肉腫・脂腺がん・皮膚リンパ腫などさまざまな種類あり、悪性化した細胞の存在する場所や悪性化した細胞の種類によってがんの名称が異なります。
ここでは以下の5つの皮膚がんについて解説します。

  • 有棘細胞がん
  • 悪性黒色腫
  • 基底細胞がん
  • 乳房外パジェット病
  • ボーエン病

皮膚の構成は表面から順に、表皮・真皮・皮下組織の3層からなります。そのうち表皮は表面から順に、角質層・顆粒層・有棘層・基底層の5層で構成される薄い組織です。
一方真皮は細胞が少なく大部分がコラーゲンやエラスチンなどの線維組織で構成されており、毛根・立毛筋・汗腺・皮脂腺・毛細血管・リンパ管・神経末端部も存在しています。真皮に存在する細胞はコラーゲンやエラスチンのもととなる線維芽細胞です。
また皮下組織はほとんどが脂肪細胞で構成されています。上記のとおり皮膚は多数の細胞により構成されており、すべての細胞が悪性化する可能性があります。では皮膚がんの種類について解説しましょう。

有棘細胞がん

有棘細胞がんは、表皮の有棘層に存在する細胞が悪性化し腫瘍となったものです。日光がよくあたる頭皮や顔面に見られることが多いですが、やけどの跡・放射線照射後の皮膚炎による発症も見られます。
上記により紫外線・慢性炎症・慢性刺激・放射線・ウイルス・化学物質が起因となり発生するといわれていますが、はっきりとした原因はわかっていません。
また有棘細胞がんは皮膚から盛り上がり紅色で硬くかさつきのある腫瘤が生じます。表面はいぼ状・びらん状で、腫瘤は潰瘍状やただれている場合もあります。

悪性黒色腫

悪性黒色腫はメラノーマとも呼ばれ、皮膚や粘膜へ生じるがんです。そのうち皮膚へ生じた腫瘤を皮膚メラノーマと呼び、別名ほくろのがんといわれます。
外的刺激や紫外線が原因で発生することがありますが、はっきりとした原因はわかっていません。また悪性黒色腫は発生する部分によって4つのタイプがあり、末端黒子型・表在拡大型・結節型・悪性黒子型の分類でそれぞれのできやすい部分は以下です。

  • 末端黒子型:足の裏や手のひら
  • 表在拡大型:身体の中心部(腹・背中・胸)、手足の付け根
  • 結節型:全身に発生する
  • 悪性黒子型:顔面

色素細胞であるメラノサイトが悪性化し腫瘍となったもので、皮膚の表面に褐色や黒色の腫瘤として生じます。腫瘤の色はメラニン色素の量によって変化するため、ほくろと区別がつかない腫瘤が生じることも少なくありません。
悪性黒色腫は、隆起している・形が左右非対称・輪郭がギザギザなど不規則な形・色むらや濃淡がある・大きさが6mm以上と大きい・大きさや色が変化するといった特徴があげられます。

基底細胞がん

基底細胞がんは、基底層に存在する基底細胞や毛包を構成する細胞が悪性化したがんです。原因はわかっていませんが、紫外線・やけどの跡・放射線・傷が関係している可能性が高いといわれています。
全身の皮膚の表面にできる可能性がありますが、顔面に発生することが多く転移する症例はです。基底細胞がんは皮膚の表面に、ほくろに似た直径1~2mm程度の盛り上がりがある黒い点が生じます。
黒い点は次第に集まり、表面に光沢をもち中央が潰瘍状の硬い腫瘤となります。

乳房外パジェット病

乳房外パジェット病は、アポクリン汗腺が悪性化することで生じるがんです。アポクリン汗腺が多い部分に発生しやすく、外陰部・尿道・脇・肛門周辺に生じます。
赤みを帯びジクジクしており、湿疹・インキンタムシのような見た目です。ときにかさぶたができたり痒みを生じたりすることがあります。
また表皮の浅いところで発生し見た目ではわかりやすいですが、腫瘤を作らないためがんと確定診断がつくまでに時間がかかることも珍しくありません。

ボーエン病

有棘層内部にある細胞が悪性化し、表皮の中で増殖するがんです。湿疹に似た見た目であることが多く、表面がかさぶたのように赤くざらざらしておりいびつな形をしています。
まれに隆起していることもありますがほとんどの場合平らな腫瘤で、サイズも米粒程度から手のひらより大きなものまでそれぞれです。紫外線やヒトパピローマウイルスが起因となり、発症する可能性があるといわれています。

皮膚がんの見分け方についてよくある質問

ここまで皮膚がんとほくろの見分け方・皮膚がんの症状・治療方法・早期発見などを紹介しました。ここでは「皮膚がんの見分け方」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

皮膚がんのセルフチェック方法はありますか?

高藤 円香医師

皮膚がんのセルフチェックは主に見た目や触ったときの違和感に頼ることとなります。ここまでお伝えしてきたとおり、次第に大きくなる・新たに出現する・血がにじむなど、通常のほくろやシミとは違う症状が見られた場合は疑ってかかるようにしましょう。触るとしこりがある・盛り上がりがあるなどもチェックすべき症状ですので、見逃さないようにしましょう。

皮膚がんは進行するとどうなりますか?

高藤 円香医師

皮膚がんが進行すると皮膚以外の部分に転移する可能性が高いです。皮膚以外の臓器へ転移が見られると、全身の痛みやそれぞれのがん特有の症状がでてきます。また転移までいかない場合でもがん細胞が内部へ浸透することで、骨や筋肉の細胞を破壊し強い痛みを生じます。

編集部まとめ

本記事では皮膚がんとほくろの見分け方や治療方法・早期発見方法について解説しました。

早期発見方法や治療方法がわかり、今後の動向について理解が深まった方も多いのではないでしょうか。

皮膚がんは種類によりますが早期発見により、根治も不可能ではありません。しかし根治するには早期発見・早期治療が重要になります。

日頃から自分の皮膚を観察し、目が届かない部分は家族に見てもらうことで早期発見につながるため、セルフチェックを行うようにしましょう。

疑わしい症状があった場合は、放置せず早めに医療機関へ受診することが大切です。

皮膚がんと関連する病気

「皮膚がん」と関連する病気は5個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

  • 皮膚血管肉腫
  • 隆起性皮膚線維肉腫
  • 皮膚のリンパ腫
  • メルケル細胞がん
  • 皮膚付属器がん

皮膚がんには多数の種類があり、悪性化する細胞の種類や腫瘍の存在する場所によって分類されます。中でも悪性黒色腫(メラノーマ)はほくろのがんの異名をもち、見過ごされて発見が遅れることも珍しくありません。大きくなるほくろはメラノーマになる可能性が高いため、定期的に医療機関へ受診して早期発見を目指しましょう。

皮膚がんと関連する症状

「皮膚がん」と関連している、似ている症状は5個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • ほくろからの出血
  • 紅色
  • ただれ
  • かさぶた
  • 隆起

皮膚がんは肉眼で見える部分に症状がでてきますが、ほくろや湿疹と見分けがつかないため放置されることも珍しくありません。しかし皮膚がんは早期発見し治療をすることで、転移せず根治する可能性が高いです。皮膚がんと一致する症状が一つでもあれば、早期受診・早期治療をして根治を目指しましょう。

この記事の監修医師