「女性の薄毛を改善する食べ物」はご存知ですか?食品や栄養素についても解説!
「いろいろなシャンプーを試したけど薄毛が治らない」「加齢のせいだからあきらめるしかない…」年齢やライフステージの変化にともない薄毛に悩む女性は増えますが、薄毛の改善に毎日の食事が関係していることをご存じでしょうか。
髪に必要な栄養素を摂ることで、薄毛は改善できる可能性があります。
女性の薄毛を改善する食べ物と、その効果的な摂り方について解説いたします。内側からのケアで健康な髪づくりをめざしましょう。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
女性の薄毛が改善した食べ物は?
薄毛に悩む女性100名を対象にしたインターネット調査によると、約30%の女性が食事を見直したことによって薄毛が改善したという報告があげられました。特に効果があった食べ物は以下のとおりです。
- 豆類(納豆・豆腐・ナッツ類)
- 海藻類(わかめ・ひじき・昆布・海苔)
- 動物性たんぱく質(鶏肉・牛肉・魚・卵・プロテイン・チーズ)
- 良質な油(ゴマを含む)
豆類と肉・乳製品はたんぱく質、海藻はミネラルを多く含んでいます。いずれも健康によいとされる食べ物が髪にも有効だということが分かるでしょう。
食事改善による変化は緩やかに表れるため、焦らずに長く続けることが大切です。
女性の薄毛改善におすすめの食品
上記の結果から、たんぱく質を多く含む食品によって、薄毛改善の効果が期待できると分かりました。
たんぱく質を構成するアミノ酸には2種類あり、そのうちの1つは体内でつくることのできない必須アミノ酸です。食品における必須アミノ酸の含有率を表したものが「アミノ酸スコア」です。
たんぱく質を含む食品を選ぶ際は、卵・牛乳・豚肉などアミノ酸スコアが高いものを選ぶとよいでしょう。良質なたんぱく質が毛髪に栄養を与え、健康な髪をつくります。
女性の薄毛改善におすすめの栄養素は?
健康な毛髪をつくり維持するためには、たんぱく質・ビタミン類・ミネラル類・イソフラボン・コラーゲンなどの栄養素が必要です。
特に女性は、男性に比べてミネラルの一つである鉄分が不足しがちです。鉄の不足は「鉄欠乏性貧血」などの症状を引き起こすことが知られていますが、毛髪にも悪影響を与えます。
女性の薄毛改善におすすめの栄養素について、具体的に見ていきましょう。
たんぱく質
たんぱく質は毛髪のほか、筋肉・臓器・皮膚・爪など私たちの体をつくる大事な栄養素です。たんぱく質が不足すると体力や免疫機能の低下など、健康に大きな影響を与えます。
毛髪に関しては、抜け毛や枝毛、切れ毛など髪質の劣化を引き起こします。たんぱく質は種類が多く、いずれも20種類のアミノ酸が50~1,000ほど結合したものです。
食品に含まれるたんぱく質は、そのアミノ酸の構成により栄養価が異なるため、たんぱく質含有量が多い卵類・肉類・豆類を摂取するのが効率的でしょう。
ビタミン類
ビタミンは、体温を調節して体内に必要な物質をつくるなど、身体の状態を調整・維持するために働く栄養素です。たんぱく質などの栄養素を細胞まで届ける役割を担っています。ビタミンは体内ではほとんどつくられないため、食べ物から摂取する必要があります。
水に溶ける性質を持つ水溶性ビタミン(ビタミンB群・ビタミンC)は、体内で余分になると尿として排出されるため、適量を毎日摂取することが望ましいでしょう。ビタミンA・D・E・Kは、水に溶けない脂溶性ビタミンです。こちらは摂り過ぎると頭痛や嘔吐などの過剰症を起こすことがあるため注意しましょう。
ミネラル類
ミネラルはビタミンと同様に、体の調子を整える役割をします。ミネラルも体内ではつくることができないため、食事で摂らなければいけません。
ミネラルが不足すると、欠乏症などさまざまな不調が発生しますが、摂り過ぎても中毒を起こしてしまうため摂取には注意が必要です。ミネラル類の中で、女性の薄毛改善に必要な栄養素を2種類ご紹介します。
- 鉄:女性に必要な鉄の量は、月経の有無や妊娠・授乳期にあるかどうかによって左右します。サプリメントなどで大量に摂取すると、過剰症を起こす恐れがあるため注意しましょう。
鉄には、肉や魚に含まれるヘム鉄と、野菜などに含まれる非ヘム鉄があります。動物性たんぱく質やビタミンCを一緒に摂ると吸収しやすくなります。(鉄を含む食材:レバー・貝類・卵黄・緑黄色野菜・ひじき) - 亜鉛:亜鉛が不足すると、髪が抜け変わる周期である毛周期の乱れが起こりやすくなります。また、抜け毛や白髪の増加にも繋がるため積極的に摂りましょう。(亜鉛を含む食材:牡蠣・肉類・小麦胚芽)
イソフラボン
閉経後、骨芽細胞を活発にする女性ホルモンである「エストロゲン」が激減すると、骨とともに毛髪ももろくなり、ハリ・コシ・つやなどがなくなります。
大豆に含まれるイソフラボンは、このエストロゲンに似た働きをするため、体内のエストロゲンの減少を補います。豆乳や納豆などで毎日摂るようにしましょう。
コラーゲン
皮膚や腱・軟骨などを構成するたんぱく質で、人体のたんぱく質の約30%を占めています。ゼラチンのほか、鶏の手羽・フカヒレ・牛すじ・鶏皮などがありますが、食品から十分なたんぱく質が摂れていればコラーゲンが不足することは通常ありません。
コラーゲンは肌にいいという印象がありますが、毛母細胞や毛乳頭にも作用するため、ハリやコシのある丈夫な髪をつくります。
薄毛を改善するための食事の摂り方は?
ここまで、薄毛改善に必要な栄養素を見てきました。毛髪を健康に保つためには、体の内側から頭皮に十分な栄養を届けることが必要です。
髪にとって栄養のある食べ物が基本ですが、食事を摂るときに気をつけたいポイントを2つご紹介します。
栄養バランスの取れた食事にする
髪にいいからといって特定の栄養素ばかり摂っていては栄養バランスが崩れてしまいます。食事を摂るときは、全体のバランスを考えることを心がけましょう。
栄養素の働きは以下の3種類に分類できます。
- エネルギーになるもの:主に糖質(炭水化物)と脂質です。糖質が少ない場合はたんぱく質が分解されてエネルギー源として使われます。
- からだをつくるもの:筋肉や髪や爪などをつくるたんぱく質、骨や歯をつくるミネラルのほか、細胞膜などをつくる脂質です。
- からだの調子を整えるもの:ビタミンとミネラルです。体温を調節したり、体内で必要な物質をつくったり、身体の状態を一定に保つために大事な栄養素です。
これら3つの要素を意識し、バランスのよい食事にしましょう。
朝・昼・晩の3食しっかりと摂る
「忙しくて時間がないから」と手軽な加工食品を多く摂ったり、ダイエットのために食事を抜いたりしてはいないでしょうか。体に必要な栄養素を十分に摂らないと頭皮も栄養不足になり、健康な髪が育たず抜け毛や薄毛の原因になってしまいます。
普段から朝・昼・晩と3食しっかり栄養を摂ることで、健康な頭皮を保ち続けられるでしょう。
薄毛が気になる女性が避けるべき食べ物
健康な毛髪をつくるためには、頭皮に十分な栄養を与えて清潔に整えておくことが大切です。
「シャンプーの成分にこだわっている」「きちんと髪を洗っているから大丈夫」と思われるかもしれませんが、実は食べ物が頭皮の状態に悪い影響を与えている可能性があります。薄毛が気になるときに避けたほうがよい食べ物について見ていきましょう。
刺激の強い食べ物
香辛料を使った料理や辛い食べ物は食欲を増進させる、美味しい食事の1つです。汗をかくことで血行もよくなるでしょう。
しかし唐辛子に含まれるカプサイシンなど、辛み成分の過剰摂取は健康によいとはいえません。カプサイシンを摂取したときに舌で感じる灼熱感を私たちは辛みとして認識しますが、その刺激は気管支や消化管全体にわたります。
辛み成分を過剰に摂取すると、粘膜が傷つき、のどや胃が荒れるのはこのためです。胃が荒れると、髪のためにせっかく摂った栄養素が効果的に働かなくなるでしょう。
油分の多い食べ物
脂質は炭水化物やたんぱく質と並ぶ重要なエネルギー供給源であり、細胞膜などをつくる成分にもなります。しかし、脂質の摂り過ぎは循環器疾患などの原因になるので摂取には十分注意しましょう。
脂肪酸の中には、体内でつくることができず、食事から摂らなければならない必須脂肪酸もあります。なるべく体によい油を選び、摂取量を調整するのがよいでしょう。
また、余った脂質は中性脂肪として体内に蓄えられ、肥満などの生活習慣病を招きます。頭皮にとっても、脂質が増えることで毛穴のつまりが引き起こされれば、健康な毛髪が育ちにくくなるでしょう。
糖質の多い食べ物
糖質は体内で私たちの体を動かす重要なエネルギー源となります。糖質が不足すると、エネルギー不足になって疲労感や集中力の低下に繋がります。ダイエットなどによる自己判断での極端な糖質制限は健康によくありません。
しかし、脂質と同様に糖質も過剰に摂取すると、肥満などの生活習慣病を引き起こします。体の栄養バランスが崩れるということは、髪の健康状態にも同じことが起きるといえるでしょう。
甘い物が好きな人にとっては、糖質をまったく摂らないこともストレスになります。一週間に食べる量をあらかじめ決めるなどして、適度な量を摂るようにしましょう。
塩分の多い食べ物
脂質や糖質には気をつけていても、塩分は知らず知らずのうちに摂ってしまっているという方は多いかもしれません。国の調査によると、日本人の塩分摂取量は年々減少傾向にあるものの、いまだ7割近い人が目標値よりも多く摂取しているようです。
塩分の過剰摂取は、高血圧をはじめとした生活習慣病に深く関わってきます。食材の選び方や調理法を工夫して、素材の味を楽しみ、塩分控えめでも美味しい食事を心がけましょう。
また、食塩のナトリウムはカリウムによって体外に排出されます。カリウムは、野菜・ワカメ・イモ類・リンゴ・バナナなどに多く含まれているので、副菜として毎日摂りましょう。健康にいい食事は、髪にもよい影響を与えます。
編集部まとめ
女性の薄毛は日頃の食事によって改善する可能性があることが分かりました。
5つの栄養素(たんぱく質・ビタミン類・ミネラル類・イソフラボン・コラーゲン)をバランスよく摂り、頭皮を健康かつ清潔に保つことが大切です。
反対に、油分・糖分・塩分・刺激の多い食べ物は栄養吸収を阻害してしまうので減らすようにしましょう。
食事による薄毛改善は、継続することで効果が表れます。ストレスのない範囲で楽しく続けていきましょう。