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「乳がんの前兆となる4つの初期症状」はご存知ですか?早期発見法も医師が解説!

 公開日:2023/12/22
「乳がんの前兆となる4つの初期症状」はご存知ですか?早期発見法も医師が解説!

乳がんの初期症状とは?Medical DOC監修医が乳がんの初期症状・なりやすい人の特徴・検査や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

寺田 満雄

監修医師
寺田 満雄(名古屋市立大学病院乳腺外科)

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2013年名古屋市立大学医学部卒。2017年愛知県がんセンター乳腺科部を経て、2019年より名古屋市立大学乳腺外科および名古屋大学分子細胞免疫学に所属。2020年より、より正確でわかりやすい乳がん情報を発信するために、「一般社団法人BC Tube」の立ち上げに携わり、同法人の理事となる。SNSを中心に乳がんに関する動画情報発信や乳がん啓発活動を行う。日本外科学会専門医、乳腺専門医。

「乳がん」とは?

乳がんは、日本では戦後急激に増加し、日本人女性が発症するがんの中では罹患率が第1位で、死亡率は第4位となっています(2021年厚生労働省)。年々増加がみられていることから、今後しばらくは罹患率、死亡率ともに上昇が続くと予測されています。有名人が乳がんを発症し、ブログなどで体験談をつづっているのを見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。
乳がんが進行すると、がん細胞は血液やリンパ液の流れに乗って転移することがあります。転移しやすい場所は乳房の近くのリンパ節、骨、肝臓、肺、脳などです。その中で最も多いとされているのが乳房の近くのリンパ節とされています。

乳がんの前兆となる初期症状

乳房のしこり、皮膚の陥没

自覚症状の約83%が「しこりが触れる」といわれています。しこりは皮膚面に突出し、硬く、境界が不明瞭なことが多いです。皮膚の陥没を生じるほどのがんは、その直下にしこりを触れます。無症状でも超音波やマンモグラフィで小さなしこりや石灰化などを指摘され、発見される乳がんもあります。乳房の異常に気付いた場合や検診で異常を指摘された場合は、乳腺外科で診察を受け、早期発見につなげましょう。

乳頭からの分泌液

自覚症状の約5%が「乳頭からの分泌物」です。これは授乳期以外に見られる乳頭からの分泌物のことをいいます。乳頭からの分泌物が血性であったり、常に片側乳頭の1か所の乳管から分泌物が出たりする場合は、がんの可能性があります。気になる症状がある時には早めに乳腺外科を受診しましょう。

乳頭のただれ、かゆみ

乳頭や乳輪にただれやかゆみがある場合、パジェット病という乳がんの可能性があります。ただれたところから出血することもあります。皮膚炎や虫刺されだろうと自己判断せず、早めに乳腺外科を受診しましょう。

乳房の痛み

自覚症状の約2%が「乳房の痛み」です。乳房の痛みはホルモンの影響によるものがほとんどですが、痛みがあるからがんではないという考えは正しくありません。他の病気が隠れている可能性もあるので乳房の痛みを感じた時は自己判断せず、早めに乳腺外科を受診しましょう。

乳がんになりやすい人の特徴

40歳以上の女性

日本においては、40~50歳代で乳がんを発症する人が多いです。40代では性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減少してきます。そのためより多くのエストロゲンを受け止めようと、エストロゲン受容体が増殖することががんの発症に関係していると言われています。40歳になったら2年に1回乳がん検診を受けることが推奨されています。

高齢初産の人(出産をしていない人)

乳がん発症には妊娠・出産に伴う性ホルモンの変化が関与しており、授乳中の無月経による低エストロゲン状態は発症リスク減少の1つの理由と考えられています。そのため、高齢初産や出産をしていない人は乳がんの発症リスクが高くなると言われています。

初潮年齢が早く、閉経年齢が遅い人

乳がんの発生には、女性ホルモンのエストロゲンとの関係が深いことがわかっています。「初潮が早い」「閉経年齢が遅い」人は月経周期に伴うエストロゲンにさらされる期間が長くなるため、乳がんの発生リスクが高くなると考えられています。

肥満の人(閉経後)

閉経後はエストロゲンが脂肪細胞で作られるため、閉経後に肥満している女性では乳がんのリスクが高くなることは確実と言われています。

乳がんの家族歴がある

乳がんの5~10%が遺伝性であるといわれています。乳がんの発症には遺伝子や環境要因が関与しているため、乳がんの家族歴はリスク因子として指摘されています。そしてその家族が遺伝的に近いほど、また人数が多いほど発症のリスクは増大すると言われています。

乳がんの検査法

乳がんの検査法

マンモグラフィ

乳房専用のレントゲン撮影で、乳房を圧迫するので痛みを感じる人もいます。皮膚を透過した画像により乳腺の腫瘤、石灰化、非対称性陰影などの所見を発見します。簡易な検査であるため検診で大人数をまとめて検査できるメリットがありますが、高濃度乳房(乳腺が多く脂肪が少ない乳房)の人の場合、乳がんなどの病変が乳腺に隠れて見つけにくい点がデメリットです。乳がん検診で行われるマンモグラフィは、乳腺外科でも受けることができ、入院は必要ありません。

超音波検査

マンモグラフィで見えない乳腺の小さなしこりの多くは、超音波検査で発見することが可能です。外来で検査ができ、検査に痛みは伴いません。マンモグラフィと併用して行うことで早期診断につながります。乳腺外科で受けることができます。

穿刺吸引細胞診

マンモグラフィや超音波で腫瘍の存在を疑われたら、穿刺吸引細胞診を行うことがあります。病変部に直接細い針を刺して、注射器で吸い出した細胞を顕微鏡で観察するもので、体への負担が少ない検査法です。乳腺外科で受けることができ、入院の必要はありません。

すぐに病院へ行くべき「乳がんの初期症状」

ここまでは乳がんの初期症状を紹介してきました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

しこりなど何らかの乳房に変化が現れた場合は、乳腺外科へ

乳がんの初期に自覚する症状は多くありません。乳房の見た目や触った感触に違和感を覚えたら早めに受診することが勧められます。多くの方がしこりをきっかけに受診されますが、コリコリと硬く、痛みはほとんどないということが特徴です。症状がない場合でも検診によって乳がんを指摘されることもあるので、何らかの乳房の異常に気付いた場合には、早めに乳腺外科を受診するようにしてください。

受診の目安となる「乳がん」のセルフチェック法

  • ・乳房にしこりや変形、陥没、色調の変化などがある場合
  • ・乳頭から血性の分泌物が出たり、常に片側の1か所の乳管から分泌物があったりする場合
  • ・乳頭にただれやかゆみの症状がある場合

乳がんを早期発見する方法

自己触診

日常生活の中で自分の乳房の状態(大きさ、硬さ、月経の周期に連動した変化)を知っておくことが大切です。自己触診では、乳房の変化に気づくことが重要となります。乳房の変化として注目するポイントとしては、しこり、乳頭からの分泌物、皮膚の陥没などがあります。

  • ① 鏡の前で腕を上げ下げして、ひきつりや皮膚の陥没などの異常がないかチェックします。
  • ② 仰向けに寝て、4本の指をそろえて指の腹で軽く圧すようにして、しこりがないかどうかまんべんなく触れます。乳房から脇の下まで行います。
  • ③ 乳首をつまみ、分泌物がないかチェックします。

変化に気が付いたら、すぐに医療機関を受診しましょう。自己判断で先延ばしにせず早期に受診することが、早期診断及び早期治療につながります。

40歳になったら2年に1回乳がん検診を受ける

ここまで乳がんの症状について言及してきましたが、自覚症状がない場合もよくあります。そのような乳がんを発見するためには、乳がん検診を受け、さらに検診で異常を指摘された際には確実に精密検査を受けることが重要です。乳がんでは、たった1つのがん細胞が1㎝になるのに15年以上もかかりますが、1㎝のがんが2㎝になるのには2年もかかりません。早期発見のためには2年に1回は検診を受けることが大切です。
乳がん検診では、①問診、②視触診、③マンモグラフィ検査を行います。

「乳がんの初期症状」についてよくある質問

ここまで乳がんの初期症状などを紹介しました。ここでは「乳がんの初期症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

乳がんの初期症状として乳房にはどんな特徴が現れますか?

寺田 満雄寺田 満雄 医師

乳房にしこりや変形、陥没が見られることがあります。また、乳頭から分泌物が出ることがあります。乳頭からの分泌物が血性だったり、常に片側乳頭の1か所の乳管から分泌物が出たりする場合は、がんの可能性も考えられます。ただし、症状がまったく何もない乳がんも多くあることは忘れてはいけません。40歳になったら2年に1回乳がん検診を受けることや、気になる症状がある時には早めに乳腺外科を受診することが重要です。

乳がんを疑う初期症状に疲れやすさはありますか?

寺田 満雄寺田 満雄 医師

乳がんは、初期には疲れやすさや体調不良などの全身症状はほとんどありません。十分な休息をとるなど、生活習慣を見直しても疲れが続くようなら、まずは内科をしてみましょう。

脇や胸がチクチク痛むのは乳がんの症状でしょうか?

寺田 満雄寺田 満雄 医師

脇や胸がチクチクと痛むのは、ホルモンの影響によることが多く、様子を見て消えるようであればあまり心配はいりません。痛みが長く続く時や、他にも気になる症状がある時は医療機関を受診しましょう。

編集部まとめ

乳がんの初期症状には乳房の変化(しこりや変形、陥没など)、乳頭から分泌物が出る、乳房の痛み、乳頭のただれやかゆみなどがあります。乳がんは、早期に発見すればほぼ治ると言われています。気になる症状がある時は早めに受診することが、早期診断、早期治療につながりますので、迷わず専門医の診察を受けましょう。

「乳がんの初期症状」と関連する病気

「乳がんの初期症状」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

婦人科の病気

これらの病気は悪性ではありませんが、症状によって検査や治療が必要となることがあります。気になる症状がある時は早めに受診しましょう。

「乳がんの初期症状」と関連する症状

「乳がんの初期症状」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 乳房のしこり
  • 乳房のくぼみ
  • 乳房のひきつれ
  • 左右非対称の乳房
  • 乳房からの出血や異常な分泌物

これらの症状がある場合は乳がんや乳腺症、線維腺腫、乳腺炎などの可能性があります。胸に何らかの違和感を自覚した時には一度乳腺外科を受診しましょう。

この記事の監修医師