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「女性の薄毛治療は保険適用」されるの?適用されるケースや薄毛治療の薬についても解説

 更新日:2024/07/10
「女性の薄毛治療は保険適用」されるの?適用されるケースや薄毛治療の薬についても解説

女性の薄毛治療には、薬を使用することが一般的です。
しかし、女性の薄毛治療には保険が適用されない場合とされる場合があります。

保険が適用されないと、自己負担で治療を行うことになるため治療費が高額になることがあります。
どんな時に保険が適用されるか知っておきたいという方がいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、女性の薄毛治療の保険適用などについて詳しく解説します。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

女性の薄毛治療に保険は適用されないの?

腕を組む女性
女性の薄毛治療は保険診療ではなく自由診療で行われるため一般的には保険適用となりません。保険診療とは、健康保険に加入している人が病気や怪我で病院にかかったときに、1~3割の自己負担のみで医療サービスを受けられる制度です。
一方、自由診療とは保険診療と異なり公的な医療保険の対象とはならず、全額自己負担になる診療です。自由診療の例として、美容に関する治療・視力矯正のためのレーシック手術やヒアルロン酸注入などの美容整形手術があります。女性の薄毛治療は病気や怪我ではなく、美容に関する治療と判断されるため保険適用とはなりません。
ただし、円形脱毛症・自己免疫疾患・梅毒性脱毛症など病気を原因とした薄毛治療には保険が適用される場合があります。

保険が適用されるケース

円形脱毛症の症例
薄毛の原因が医学的な要因と認められる場合には、保険が適用されることがあります。例えば、円形脱毛症・自己免疫疾患による脱毛・梅毒性脱毛症・抗がん剤治療の副作用によって引き起こされる脱毛です。
しかし円形脱毛症など一部の治療には自由診療となるものもあるので、まずは医師に相談することをおすすめします。

円形脱毛症

円形脱毛症は、どの年代でも起こる可能性のある脱毛症のひとつです。円形に広がる脱毛のイメージが強いかと思いますが、円形の脱毛が頭皮に複数できたり、頭部全体に広がったりすることもあります。症状は一部に脱毛班ができる軽症から、頭部全体に及ぶ重症まで幅広くあります。数週間で自然に治ることもあれば、治療を行っても効果が得られず一生涯脱毛が続く場合もあります。
ストレス神経障害自己免疫疾患などが原因となりやすいです。円形脱毛症の治療は、育毛剤や炎症を抑える薬を頭皮に塗布します。通常円形脱毛症は自由診療となりますが、原則保険適用となる場合もあります。その場合は、医師から円形脱毛症と診断され、治療が必要と判断される時です。

自己免疫疾患による脱毛

自己免疫疾患が原因で脱毛症となった場合、保険が適用されることがあります。
自己免疫疾患とは、本来細菌やウイルスを攻撃する役割をもつリンパ球が免疫システムの異常により自分自身を攻撃してしまう病気です。
この攻撃対象が何らかの原因で毛根になると、脱毛症を発症します。自己免疫疾患は家族内で多発することも多く、遺伝的要因があると考えられています。

梅毒性脱毛症

梅毒に感染し病期が進行すると、梅毒性脱毛症を発症することがあります。
梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌に感染することが発症の原因です。性行為により粘膜や皮膚に小さな傷ができ、そこから感染することが原因です。梅毒に感染すると性器にしこりができたり、口角炎ができたりします。このような症状は自然に消失することが多いため、梅毒に感染したことに気づかず発見が遅れる危険性が高いです。
早期に梅毒の治療を行わず、症状が進行すると脱毛症を発症してしまいます。梅毒性脱毛症はまだら状や虫食い状の脱毛パターンを発症することが多くいことで知られています。ですが、現れる症状は様々で男性型脱毛症や女性型脱毛症に類似しているケースもあります。
そのため、知識のある医師でないと診断をすることが難しい疾患です。

女性の薄毛治療の薬の種類

錠剤と水
女性の薄毛治療には次の方法があります。

  • 薬物療法
  • 薄毛治療の薬としてよく使用されるのはパントガールミノキシジルです。パントガールは女性専用の薄毛治療の薬で、比較的短期間で治療効果が実感できることが特徴です。ミノキシジルは男性にも女性にも使用される薄毛治療の薬で、治療効果を実感するのに1年単位で時間がかかります。

  • 手術
  • 手術としては、植毛術があります。ですが、女性の薄毛治療に対する植毛術の有用性はあまり高くありません。特に、人工毛植毛術は自毛植毛術と比べ術後に脱落しやすく、脱毛症診療ガイドラインにおいても人工毛植毛術は原則行うべきではないと記載されています。

  • 光療法
  • 光療法としては、LED照射低出力レーザー照射です。LEDや低出力レーザーを照射することで発毛効果が期待できます。レーザーを照射することで、照射部の皮膚の乾燥・かゆみ・ひりつきなどの副作用がでることがありますが出現率は低く、副作用が出ても比較的軽度ですむのが特徴です。

パントガール

パントガールとは、女性専用の薄毛治療の薬です。
パントガールには、髪を作る主成分であるケラチン・L-シスチン・パンテトン酸カルシウム・ビタミンB1・パラアミノ安息香酸などが含まれています。女性の薄毛症状の中でもメジャーな「びまん性脱毛症」という治療によく活用される薄毛治療薬でもあります。
パントガールを3か月使用することで約7割の抜け毛が減少し、使用した方の約2割は抜け毛がほとんどない状態まで症状が改善する効果が確認されています。副作用もほとんどなく安全に使用できるため、長い期間使用することが可能です。

ミノキシジル

ミノキシジルとは、男性にも女性にも使用される薄毛治療の薬です。
ミノキシジルは元々アメリカで高血圧治療薬として承認された薬剤でした。薬剤を使用した方の多くが副作用として多毛を挙げていたことから、ミノキシジルが薄毛治療薬として使用されるようになりました。ミノキシジルには、発毛や髪の成長を促したりする効果があります。
ミノキシジルの使用初期は休止期脱毛といって短期間で髪が抜けていく症状がみられることがあります。ですが、これは新しい髪に生え変わる準備のサインですので薄毛の悪化を心配する必要はありません。ですが、長期間にわたって脱毛が続く場合には、別の要因が考えられるため皮膚科や専門のクリニックを受診するようにしましょう。
ミノキシジルは効果を実感するまでに、時間がかかる薬です。効果を実感するまでには、1年単位の期間がかかることも多いため、中々効果がでないからといって自己判断で勝手に使用を中断しないようにしましょう。
ミノキシジルには内服薬と外用薬がありますが、内服薬より外用薬にて使用することがほとんどです。副作用として、かゆみ・頭皮の赤み・乾燥などの症状がでることがあります。なお、男女ともに使用できる薬剤ではあるものの、成分濃度が異なり男性は5%・女性1%となっています。

女性の薄毛治療の薬の副作用

頭を抱える女性
女性の薄毛治療薬の副作用として次のようなものがあります。

  • 皮膚のアレルギー反応
  • 皮膚の痒み赤み・乾燥により頭皮がふけのようにはがれおちるなどの皮膚のアレルギー症状があらわれることがあります。薬の濃度が高いほど皮膚のアレルギー反応はあらわれやすいです。そのため、アレルギー反応が少ないよう濃度の低いものから使用するとよいでしょう。それでもアレルギー反応が酷い場合には医師に相談するとよいでしょう。

  • 気分の落ち込み
  • 薄毛治療薬の服用により、不安うつ病などの症状があらわれることがあります。これは、一部の薄毛治療薬が、体内でプロスタグランジンという物質の産生を促すためです。このプロスタグランジンはうつ病と関連が指摘されており、体内にプロスタグランジンが増えることでうつ病の症状を引き起こします。

  • 胎児の発育不全
  • 一部の薄毛治療薬は妊婦が服用すると、薬の影響で男性ホルモンが低下するため男の子を妊娠している場合、生殖器官などが正常に発達しない可能性があります。なので、妊婦や妊娠している可能性のある女性への服用が禁止されている薬があるため、妊娠中の方や妊娠している可能性がある方は医師へ相談しましょう。

動悸

薄毛治療薬として使用されるミノキシジルは、血管を広げ血流を改善する効果があります。
血流が改善されることで髪の組織に十分に栄養が行き渡り発毛が促されますが、ときに副作用として動悸めまいを感じることがあります。

頭痛

薄毛治療薬として使用されるミノキシジルは、体内でプロスタグランジンという物質の産生を促す効果があります。
プロスタグランジンが細胞内に働きかけることで、育毛効果を得ることが期待できます。ですが、プロスタグランジンは頭痛発熱といった症状を引き起こすことがあるのです。そのためミノキシジルを服用し、体内でプロスタグランジンの産生が促されると頭痛の症状が出ることがあります。

女性の薄毛治療の保険適用について気になったら

薬を処方する医者
女性の薄毛治療は美容に関する治療と判断されるため自由診療となり、一般的には保険適用となりません。
ただし、薄毛の原因が自己免疫疾患・梅毒などの医学的な要因と考えられる場合には保険が適用されることがあります。
この場合、薬物療法や手術療法を1~3割の自己負担で受けられます。ですが、円形脱毛症は一部自由診療となるものもあるため医師への確認が必要です。
保険適用外となる場合には、自己負担で治療を行わなければならない可能性があるため、自己負担額や治療費について事前に調べておくとよいでしょう。

編集部まとめ

笑顔の医者
女性の薄毛治療は一般的には、保険適用とはなりません。ですが、円形脱毛症や自己免疫疾患による脱毛など医学的な要因が薄毛の原因と考えられる場合には保険が適用されることがあります。

保険が適用されない場合には、自己負担で治療を行わなければならないため自己負担額や治療費について事前に調べておくとよいでしょう。

薄毛治療は薬物療法手術光療法が行われます。薬物療法は副作用があるものがあるため、専門医に相談しましょう。

参考文献

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