「女性の薄毛治療は病院の何科」に行けばいいかご存知ですか?医師が監修!
薄毛になると、見た目が気になっている女性は多いものです。すぐに病院にいって薄毛治療を始めたいと考える方も少なくないでしょう。
しかし、そこで気になるのが何科に行けばいいのかという点です。薄毛の原因によって治療を受ける科目が変わるのかなど気になる方もいるでしょう。
そこで本記事では、女性の薄毛治療は病院の何科に行けばいいのかをご紹介します。
薄毛の原因・治療法・病院選びの注意点について詳しく解説するので参考にしてください。
監修医師:
五藤 良将(医師)
目次 -INDEX-
女性の薄毛治療は病院の何科に行くべき?
女性の薄毛は見た目にも影響するため、気になる方は多いでしょう。しかし、治療を始めたいと考えた際に気になるのが、病院の何科にかかればいいのかという点です。
薄毛にもさまざまな種類があり、どのような症状なのか分からない方も多いです。そのような中で、何科にかかればいいのか判断が難しいと感じている方も少なくありません。結論からいうと、実は女性の薄毛治療はさまざまな科目で治療が可能です。
内科・皮膚科・産婦人科・薄毛治療専門のクリニックなどが挙げられます。しかし、薄毛の症状によって受診するべき科目も変わります。症状をしっかりと把握したうえで正しい病院選びができるようになりましょう。
女性の薄毛の原因とは?
女性の薄毛の原因としては、生活習慣の乱れが挙げられます。生活習慣が乱れる要因としては、次のようなものが代表的です。
- 睡眠不足
- 暴飲暴食
- 過度なダイエット
- 食事の偏り
睡眠不足・暴飲暴食・過度なダイエットなどは生活習慣の乱れの大きな要因として挙げられ、これらを続けていると体が弱っていき女性ホルモンが十分に作られなくなっていきます。
通常、女性ホルモンは髪の毛の発達をサポートする働きが備わっています。そのため、生活習慣が乱れて女性ホルモンが減少すると、正常な髪の毛の発達が行われないために薄毛となってしまうのです。
また、食事の偏りも生活習慣の乱れを引き起こす大きな要因です。特に、油分が多く含まれている甘いデザートやファストフードなどの食べ物を多く摂取していると、過剰に分泌された皮脂が毛穴を塞いでしまいます。すると油分が頭皮に付着した状態が続いてしまうため、薄毛を引き起こしてしまうのです。油分の多い食べ物は食べ過ぎないようにして、薄毛を引き起こさないようにしましょう。
加齢・更年期
加齢や更年期も薄毛に大きく関係します。年齢を重ねていくと、次第に髪の毛が細く柔らかくなる傾向があります。そして、毛量は減少する傾向があるのです。
そのため、柔らかい髪の毛が増えてしまったことにより抜け毛が多くなる一方で、発毛量は減っていくために薄毛が進行していきます。また、更年期になるとホルモンバランスが崩れてしまいます。
特に40代~50代にかけては閉経を迎える方が増えるため、この時期のホルモンバランスは閉経前と変わってしまうのです。その結果、先述したような髪の毛の発達をサポートする女性ホルモンが少なくなり、薄毛につながってしまいます。
女性の薄毛の種類とは?
女性の薄毛の原因をご紹介しましたが、薄毛はいくつか種類があります。薄毛の種類によって、受診するべき診療科目も異なるため、ご自身の薄毛がどの種類に当てはまっているかを把握することも大切です。ここでは、女性の薄毛の種類についてご紹介します。
びまん性脱毛症
女性の薄毛の種類のひとつとして、びまん性脱毛症が挙げられます。
びまんとは「広がる」や「はびこる」などの意味があり、その言葉通り頭皮全体の髪の毛が薄くなるようなケースです。原因には、先述したような加齢や生活習慣の乱れなどによる女性ホルモンの減少などが挙げられます。また、この脱毛症の特徴は次のようなものが代表的です。
- つむじや分け目が目立ち始める
- 抜け毛が増える
- 頭皮が透けて見える
髪の毛全体が細くなることで髪の密度が低下します。そのため、つむじや分け目が目立ち始めるのです。そして、分け目が広がることで、割れ目のようになって目立つためにヘアスタイルが決まらない原因にもなります。
また、抜け毛が増える点も大きな特徴です。ブラッシングやシャンプーの際に抜ける毛髪量が増えたように感じたり、枕に抜け毛が大量に落ちたりといった違和感を覚えた場合には、びまん性脱毛症が疑われるでしょう。
通常、健康な方の抜け毛は1日100本程度といわれています。明らかにその本数以上抜けていると感じた場合には、注意が必要です。抜け毛が増えてくると、頭皮が透けて見えるといった特徴も現れます。
円形脱毛症
円形脱毛症も女性の薄毛のひとつです。この脱毛症は、髪の毛全体ではなく、一部分が抜け落ちるような症状が現れます。そして、他の薄毛の症状との大きな違いとして、急に発症する点が挙げられます。
他の薄毛の場合は徐々に薄くなっていきますが、円形脱毛症の場合には、気づいた時には脱毛斑が現れているということも少なくありません。主な原因としては、次のようなものが代表的です。
- ストレス
- 自己免疫疾患
主な原因にはストレスが挙げられます。しかし、近年ではストレスは発症のきっかけにすぎず、自己免疫疾患が起きていることによって円形脱毛症を発症するといわれています。通常、自己免疫反応は体内に入ったウイルスや細菌などの異物に対して攻撃するものです。
しかし、何らかの異常によって正常な細胞まで攻撃してしまうことがあります。円形脱毛症においては、毛根に対して自己免疫反応が起こってしまっているため、毛根がダメージを受けて脱毛症が発症するのです。
脂漏性脱毛症
脂漏性脱毛症は、頭皮の皮脂が多くなりすぎることで発症する脱毛症です。頭皮がべたつくだけでなく、湿疹やニキビを発症することもあります。
主な症状としては、頭皮の赤み・フケ・かゆみ・抜け毛の増加などです。この脱毛症の原因としては、先述したような油分の多い食事以外にも次のようなものが挙げられます。
- 飲酒
- 喫煙
- ストレス
- 睡眠不足
- 頭皮の洗い残し
飲酒・喫煙・ストレス・睡眠不足などの条件が重なると、生活習慣の乱れを引き起こします。すると、ホルモンバランスの乱れにもつながるため、この脱毛症を発症してしまうのです。
また、頭皮の洗い残しも原因のひとつです。十分に髪の毛が洗えていない場合、頭皮に常在するマラセチアと呼ばれるカビが皮脂や汗を食べて増殖します。すると、頭皮の炎症を引き起こすことになり、脂漏性脱毛症の発症につながるのです。
女性の薄毛の治療法
女性の薄毛の種類をご紹介しましたが、もちろん治療法もあります。症状に合わせて治療を進めるためにも、どういった治療法があるのかを知ることは大切です。ここでは、具体的な女性の薄毛の治療法をご紹介します。
内服薬
女性の薄毛の治療法としては、内服薬が挙げられます。主な薬としてはミノキシジルとスピロノラクトンなどが代表的です。ミノキシジルは男性のAGA治療でも使用される薬であり、発毛と抜け毛の進行防止の効果が期待できる薬です。
スピロノラクトンは、ジヒドロテストテロンと呼ばれる男性ホルモンを抑制する効果が期待できます。皮膚科の分野ではニキビ治療などにも使われている薬です。先述したように、加齢などによって女性ホルモンが少なくなり、ホルモンバランスが乱れることで薄毛は発症することがあります。そのため、男性ホルモン優位のホルモンバランスを整えるために、この薬を使用するのです。
外用薬
外用薬としてよく使われる薬はミノキシジルです。内服薬でもご紹介しましたが、皮膚に直接塗るタイプもあるのです。ミノキシジルを頭皮に塗布すると、頭皮の血行改善や発毛因子の産生を促進する効果が期待できます。
この薬には、血管を拡張する作用があり、頭皮の血行を促進してくれるのです。また、発毛因子であるインスリン様成長因子や血管内皮細胞成長因子などの産生を促す作用もあります。そのため、抜け毛を減らして発毛を促進することができるのです。
メソセラピー
メソセラピーとは、薄毛や抜け毛治療に有効な成分を配合した薬を、頭皮に直接注入する方法です。有効な主な成分としては、ミノキシジル・ケラチノサイト成長因子・インスリン様成長因子・血管内皮細胞成長因子・線維芽細胞成長因子・銅ペプチドが挙げられます。
これらの成分をブレンドした薬を直接注入するのですが、注入方法にはいくつかあります。注射器を使って頭皮に直接注入する方法や、肌に微細な穴を開けて成長因子を浸透させる方法、電気パルスを頭皮表面に与える方法などさまざまです。また、メソセラピーは、効果が表れるまでの期間において内服薬や外用薬とは異なる特徴をもちます。内服薬や外用薬は、効果が表れるまで半年程度かかります。
しかし、メソセラピーは効果が出始めるまでの期間が短いのです。そのため、内服薬や外用薬との併用により、3ヶ月~4ヶ月程度の期間で効果を得られることもあります。
女性の薄毛治療の病院選びの注意点
女性の薄毛の治療法をいくつかご紹介しましたが、これらの治療はどの診療科目で受けることができるのかと疑問に思っている方は多いでしょう。ご自身がどの診療科目を受診するべきなのかは、治療を進めるうえで非常に重要です。ここでは、女性の薄毛治療の病院選びの注意点をご紹介します。
頭皮の異常は皮膚科
女性の薄毛治療の病院選びは、薄毛や脱毛の症状などと併せて他にどのような症状が表れているかによって選ぶことが大切です。脱毛と合わせて、頭皮にかゆみやフケなどの異常がみられる場合には皮膚科を受診しましょう。
例えば、先述した薄毛の種類の中では、脂漏性脱毛症や円形脱毛症が該当します。脂っぽいフケ・頭皮の赤み・かゆみ・脱毛斑などの頭皮の異常が現れるため、皮膚科が適切な診療科目です。
産後の産毛は婦人科
妊娠や出産後に抜け毛や産毛が増えたと感じた場合には、産婦人科や婦人科を受診しましょう。出産後にこれらの症状がみられる場合、産後脱毛症の可能性があります。
産後脱毛症とは、妊娠や出産後のホルモンバランスの影響で髪の毛が抜けやすくなる脱毛症です。おおよそ産後3ヶ月~6ヶ月で症状を実感する方が多く、6ヶ月~12ヶ月頃に徐々に髪の毛が増えて、生え際に産毛が目立つようになるのが特徴です。
病院での女性の薄毛治療について気になったら
女性の薄毛は、見た目にも気になる方は多く、早く治したいと考える方が少なくありません。しかし、実際に治療を始めるとなると、どの診療科目を受診していいのか分からない方も多いでしょう。
適切な病院選びを行うためには、まずはご自身の症状を把握して、どの脱毛症なのかを把握することが大切です。そして、症状や薄毛の種類に合わせて適切な病院を選ぶようにしましょう。
編集部まとめ
女性の薄毛には、さまざまな種類があります。そして、脱毛症の原因もひとつではありません。
さまざまな原因によって、ホルモンバランスの乱れが起こり髪の成長が止まったり抜け毛が生じたりします。
早期に治療を進めるためにも、ご自身の薄毛の症状や頭皮の状態などをしっかり把握して、適切な診療科目を選べるようになりましょう。
参考文献