「女性の前髪が薄毛」になる原因はご存知ですか?治療法も詳しく解説!
女性にとって、髪は見た目に関わる大きな要素となります。そのような重要な髪の中でも、印象を大きく左右するのが前髪です。
第一印象に大きく関わる前髪ですが、年齢やストレスなどさまざまな要素が関係し、薄くなってしまうことがあります。
そこで、本記事では女性の前髪が薄くなることについて解説します。原因・治療方法なども詳しく解説するので、参考にしてください。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
女性で前髪が薄毛になる原因
なぜ前髪が薄くなるのでしょうか。治療方法を把握するには、まず原因を知ることが大切です。そこで、ここでは前髪が薄くなる原因についてご紹介します。
ホルモンバランスが乱れている
前髪が薄くなる原因として、まずはホルモンバランスの乱れが挙げられます。通常、女性の髪は女性ホルモンと男性ホルモンのバランスによって成り立っています。バランスが整っているため、強く太い髪が生えているのです。しかし、特に出産後や生活習慣の乱れによって、女性ホルモンが減少します。すると、男性ホルモンが相対的に増えてしまうため、髪が抜けやすくなってしまうのです。生活習慣の乱れは、睡眠不足・食生活の乱れ、過度なダイエットなどが要因となって引き起こされます。
血行が悪くなっている
血行が悪くなっていることも、前髪が薄くなる原因のひとつです。髪に必要な栄養は、血液によって頭皮まで運ばれます。しかし、血行が悪くなると、必要な栄養が十分に頭皮まで届きません。その結果、強い毛が育たず抜け毛が増えてしまい、薄くなっていきます。
女性は、男性に比べて月経などもあることから、ホルモンのバランスや血行不良となる可能性が高い傾向です。月経以外の血行を悪くする要因としては、生活習慣の乱れ・ストレスなどが挙げられます。偏った食事・睡眠不足・運動不足の状態が続くと、血行を悪くさせます。また、ストレスをため過ぎると自律神経が乱れ、血行不良を引き起こすのです。
年齢によるもの
年齢を重ねると、若いころと髪質が変わります。徐々に細くなり・パサつき・痛みが気になり始め、うねったり曲がったりしやすくなるのです。そして、髪のボリュームも少なくなる傾向にあります。30代ごろからゆっくりとボリュームが減り、40代後半の更年期前になると、髪のボリュームがなくなったことに気づく方が増えます。このように、前髪が薄く感じるようになるのは、年齢による髪のボリューム・質の低下によるものがあるのです。
間違ったヘアケアを行っている
間違ったヘアケアを行っている場合も、前髪が薄くなる可能性を高めています。まず、過度なシャンプーをしているケースです。頭皮を清潔に保つことは重要ですが、過度なシャンプーは頭皮に必要な皮脂までも落としてしまいます。必要な皮脂がないと頭皮が乾燥し、炎症・かゆみなどの症状を招く可能性があります。さらに、誤ったマッサージや爪を立ててのシャンプーなどは、直接頭皮に傷をつけることもあるでしょう。こういった、誤ったヘアケアを何度も繰り返していると、抜け毛・髪質の低下を招きます。
また、自分の髪質に合ったシャンプーなどを使えていない場合も、薄毛を引き起こします。髪の乾燥が気になっているにも関わらず、さらに乾燥を招きやすい洗浄力の高いシャンプーを使っていては、髪質は低下する一方です。この場合、きちんと状況にあった保湿のためのシャンプーを使う必要があるでしょう。自分の髪・頭皮の状況に適したヘアケア用品を使えていないことで、髪質の低下を真似ている方は多いため、注意が必要です。
女性の前髪の薄毛で考えられる病気
さまざまな原因で、前髪が薄くなる可能性があることをご紹介しました。しかし、薄い前髪は病気によって引き起こされているケースもあります。正しい対処を進めるためには、これらの病気も詳しく把握しておく必要があるでしょう。ここでは薄い前髪から考えられる病気をご紹介します。
牽引性脱毛症
牽引性脱毛症とは、髪を強く引っ張る・きつめの編み込みを行うなど、ヘアアレンジを長時間続けていることで発症する脱毛症です。強く長時間引っ張られていると、その毛根部分の血流が悪くなります。これによって、その部分だけ抜け毛が進んでしまうのです。主な原因としては、ポニーテール・毛の根元に編み込むヘアエクステンションなどが挙げられます。特に、日常的にポニーテールをしている方は、前髪が薄くなりやすい傾向です。
女性型脱毛症
女性型脱毛症は、ホルモンのバランスが乱れることで起こる脱毛症です。通常は、女性ホルモンと男性ホルモンのバランスが整っているために、髪が薄くなることなく生えてきます。しかし、産後・加齢・ストレスなどが原因で女性ホルモンが減ってしまうと、相対的に男性ホルモンが増えてしまい、髪が薄くなってしまいます。これが、女性型脱毛症です。前髪だけでなく、全体的に薄くなったり、頭頂部が薄くなったりといった症状を表すこともあります。また、髪が細くもなるため、前髪のボリュームが非常に少ないように見えるのです。
休止期脱毛症
休止期脱毛症とは、出産・ストレス・内臓疾患・ダイエットなど、さまざまな原因から発症する脱毛症です。また、その中でも急性休止期脱毛症・慢性びまん性休止期脱毛症・慢性休止期脱毛症の3種類に分けられます。急性休止期脱毛は、ストレス・出産・ピルの内服などを原因として起こる病気です。数ヶ月の間で、急速に髪が薄くなっていきます。
慢性びまん性休止期脱毛症は、慢性的な全身疾患・過度なダイエット・貧血が原因となり起こります。半年以上かけて、前髪だけでなく全体の髪の密度が少なくなる症状です。慢性休止期脱毛症は、若い女性のつむじ・側頭部を中心に薄くなるもので、原因はわかっていません。
分娩後脱毛症
分娩後脱毛症は、休止期脱毛症のひとつです。出産後に、一時的に抜け毛が増える症状であり、産後3ヶ月~6ヶ月程度で症状のピークを迎えることが多いです。通常であれば、そこから徐々に改善していき髪の薄さも気にならなくなります。しかし、産後のストレス・生活習慣の乱れなどによって、症状が長引く可能性もあります。
女性の前髪の薄毛治療
前髪が薄くなる病気をご紹介しましたが、治療方法もあります。髪の治療方法と聞くと、内服薬・外服薬をイメージする方は多いでしょう。しかし、他にも注入治療・植毛などさまざまあります。そこで、ここでは前髪の薄毛治療をご紹介します。
内服薬・外服薬
内服薬としては、次のものが代表的です。
- ミノキシジルタブレット
- スピロノラクトン錠
- セファランチン錠
ミノキシジルタブレットは、毛包に直接作用する薬です。血流の改善・細胞の増殖・タンパク質の合成を促進することで発毛を促します。一般的には、約3ヶ月程度で効果を得られるといわれています。しかし、AGAガイドラインにおいては推奨されていません。
スピロノラクトン錠は、抜け毛の抑制効果がある薬です。この薬を服用すると、男性ホルモンが抑制されます。女性ホルモンが減少すると、髪が薄くなる作用がありますが、男性ホルモンを下げることでバランスを取るのです。その結果、抜け毛を防ぎ、前髪が薄くなることも防ぐという仕組みです。
セファランチン錠は、頭皮の毛細血管を拡張して、血行促進効果がある薬となります。円形脱毛症などにも使われることの多い薬です。一方で、治療には内服薬だけでなく、外服薬も使用します。外服薬としては、ミノキシジルの外服薬を処方する場合が多いです。内服薬同様に血流改善の効果を持っており、女性型脱毛症では、唯一発毛効果が認められています。
注入治療
注入治療とは、毛髪の整腸効果があるミノキシジルなどを、頭皮に直接注入する方法です。使用する薬剤には、ミノキシジルの他にも次のようなものが含まれます。
- インスリン様成長因子(IGF-1)
- 血管内皮細胞増殖因子(VEGF)
- ケラチノサイト増殖因子(KGF)
- 線維芽細胞成長因子9(FGF9)
- 線維芽細胞成長因子(bFGF)
これらの成長因子を含んだ薬剤を、2週間~4週間に1回のペースで、6ヶ月~1年ほど継続する治療が理想です。この治療期間は個人差もあるため、医師からの指示を聞きながら行いましょう。
植毛
植毛は、自分の毛・人工の毛を薄くなっている部位に移植する方法です。この方法の特徴は、自然な仕上がりと植毛した毛も成長することです。移植した先の毛の仕上がりが自然で、非常に見た目が整っています。また、植毛した毛がきちんと毛根と生着すれば、他の毛同様に成長してくれるのです。しかし、これはあくまでも自分の毛を移植してきた場合です。人工の毛を植毛したのでは、成長することはありません。また、拒絶反応が起きる場合もあるため、注意が必要です。
女性の前髪の薄毛対策
前髪が薄くならないためには、普段から対策を行い、予防する必要があります。次のような対策方法を、発症・悪化させないようにしましょう。
- 食生活を見直す
- 頭皮をマッサージする
- 規則正しい生活を送る
- ストレスを発散する
まずは、食生活を見直すことが非常に大切です。髪の成長に必要な、鉄分・亜鉛・タンパク質を含む食事を積極的にとるようにしましょう。また、食事量にも気をつける必要があります。バランスの悪い食事を大量にとると、生活習慣病にかかるリスクがあり、それらの病気が前髪の薄毛につながる可能性があります。食事量に気をつけ、食事から摂取が難しそうな栄養があれば、サプリメントなどを活用しましょう。
頭皮のマッサージも、対策として有効です。適切なマッサージを行えば、血流促進効果があります。正しい方法を把握し習慣化すれば、発症・悪化を防げるでしょう。規則正しい生活を送ることも重要です。一見すると関係なさそうに思える睡眠ですが、十分にとれていると、体調・ホルモンバランスなどが整います。
ストレスの解消にもつながるため、髪の成長環境を整えることにつながるのです。そして、ストレスをためないようにしましょう。精神的・身体的なストレスは、自律神経・ホルモンバランスを乱す要因です。髪の成長に大きく関わるため、適度な運動などを行ってストレスを発散しましょう。
女性の前髪の薄毛に関するQ&A
前髪が薄くなると見た目の印象が変わってしまうため、多くの女性が悩んでいます。また、同じような疑問・悩みを持っており、それらの情報を幅広く知っておくことは治療や予防に役立つでしょう。ここでは、女性の前髪の薄毛に関するQ&Aをご紹介します。
女性の前髪の薄毛治療にかかる期間と費用は?
治療期間と費用は、治療方法によっても異なります。先述した内服薬での治療を行う場合、1日1回の服用が基本です。服用期間は、医師との相談のうえで決まってきます。費用は、おおよそ1ヶ月当たり3,000円~20,000円です。外服薬については、毎日朝晩の2回、症状が気になる箇所に塗布します。こちらの期間も、医師との相談のうえで、症状の度合いに合わせて期間を決めます。治療費用は、おおよそ1ヶ月あたり17,000円~30,000円です。注入治療については、効果を実感するためにも、短くても2週間~4週間に1回のペースで継続します。個人差がありますが、これを6ヶ月~1年ほど繰り返し行うと、効果を得られるでしょう。費用は、薬剤の成分や注入量によって異なり、おおよそ30,000円~100,000円となります。
植毛の治療期間は、施術が行われ、問題なければ定期的な検診が行われます。万が一、拒絶反応が出た場合は、治療期間は大きく変わってくるでしょう。治療費用は、おおよそ1回あたり300,000円~1,000,000円です。植毛の範囲が広くなるほど、高額となる傾向です。
薬の副作用で危険な症状はありますか?
軽度な副作用としては、発疹・かゆみ・生理不順・頭痛・倦怠感などが挙げられます。これらは、一過性の物であり、通常は長引くことはありません。しかし、万が一長引くようであれば、医療機関を受診しましょう。また、ひどい副作用としては、急性腎不全・肝機能障害などが挙げられます。血圧低下などによって、さまざまな症状を引き起こす場合もあるので注意が必要です。
編集部まとめ
前髪の薄毛は、見た目に関わるため、特に女性にとっては大きな問題です。できるだけ、髪の悩みは抱えたくないと考えている方は多いでしょう。
さまざまな原因で髪が薄くなる可能性がありますが、きちんと対処すれば予防することが十分可能です。
また、費用や治療期間はかかりますが、治療方法も多数あります。自分の状態を把握して、適切な治療方法を選ぶためにも、幅広く知識を備えておきましょう。