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【NEWS】姿勢の悪さは生産性低下につながる? 「デスクワークの実態と健康意識」コクヨ調査(医師コメント4件)

 更新日:2023/03/27

コクヨは3月25日、20~60代のオフィスワーカーを対象に行った「デスクワークの実態と健康意識」に関する調査報告を発表した。

この調査によると、勤務時間中にいすに座っているときの自身の姿勢がよいと思うかどうかの質問では、「やや悪い方(悪い時が多い)」と「かなり悪い方(常に悪い)」への回答が計76%を占めたという。また、勤務時間中に「肩こり」や「首こり」など身体の不調を感じたことがある人は86%を占め、姿勢が悪いと自覚している人ほど不調を感じている割合が高かったという。

次に不調感を感じたことがある人にその不調感による仕事への影響を質問したところ「影響がある」と回答したのは87%を占めた。また、「集中力の低下」「作業効率の低下」「意欲の低下」の質問について、いずれも「(姿勢が)かなり悪い」と自覚している人は全体と比べて影響を感じている割合が高かった。

これらのことから、勤務時間中にいすに座っているときの姿勢が悪いと自覚している人ほど生産性の低下を感じていることがわかった。

医師のコメント

  • 眞鍋 憲正(整形外科医・スポーツ医学担当)

現代社会において、自分の姿勢が良いと思う人はそもそもかなり少ないと思います。すると、このように不調や疲れの訴えが多い結果になって当たり前なのではないでしょうか。また、姿勢が悪くなるというのは大抵、その姿勢が本人にとって作業をするのに楽だからです。ですから、作業時間の長さや無理な体勢にしてしまう作業環境といったものを無視して、作業効率の低下をすべて姿勢のせいにするような調査は疑問を感じます。

  • 藤野 智哉(精神科医)

医者の中でも他科と比べ手技が少なく座っての診察が多くなる精神科医としては非常に興味を惹かれる記事です。
こういった記事を読むと職業病で批判的吟味をしたくなります。こじつけのようなことを言わせていただくと、姿勢の悪い人が肩こりや集中力の低下を感じているのではなく、肩こりや集中力の低下を自覚している人が原因を探し、姿勢のせいにしているという無意識下のバイアスが加わっている可能性もゼロではないと考えられます。
ただし、姿勢が悪い猫背代表の私からいわせてもらうと、肩こりのひどさが集中力の低下をもたらしていることを、そのバイアスを帳消しにするくらいの実感を持っているので、この記事を支持しています。

  • 保坂 里奈(一般歯科医・矯正歯科医)
    アカザデンタルクリニック

姿勢の悪さやデスクワーク等の長時間の同じ姿勢での作業は顎に負担がかかり、顎関節症の原因となります。
「口が開きづらい」「口を開けたり閉じたりする時に音がする」「顎が痛い」等の症状はもちろん、頭痛やめまい、肩こり、腰痛等、症状は全身への不調へとつながります。そういった要因から生産性低下という結果を招くと考えられます。

  • 加藤 智子(産婦人科医)

デスクワークは同じ姿勢を続けることで、首や肩の凝り、目の疲れなどをもたらします。また、何よりも長時間の座位が問題であるといえます。こちらが頭痛やめまい、腰痛、骨盤のゆがみなどを招くため、生産性と集中力の低下をおこすのでしょう。企業によっては、限られた作業以外は立位で作業をおこなうことを取り入れているところも増えています。1時間に1度は立ち上がり、筋肉の凝りをほぐし、全身の血流を改善したり、目の疲労をやわらげたりして、集中力と生産性の低下を回避すべきだと思います。