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ED治療は保険適用される?薬の種類や保険適用の注意点も詳しく解説

 更新日:2023/03/27
ED治療は保険適用される?薬の種類や保険適用の注意点も詳しく解説

ED(男性勃起不全)治療は自由診療の一環でした。しかし、2022年4月より一部ED治療が保険適用可能となりました。

保険適用可能なのは「不妊治療目的」の場合です。また、不妊治療目的でのED治療が認められるためには、EDだと診断される以外にもいくつかの条件があるのです。

ここでは、ED治療が保険適用される条件や適用される薬の種類について紹介します。あわせて、保険適用の注意点についても詳しく解説します。

平澤 陽介

監修医師
平澤 陽介(東京医科大学病院)

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2008年3月 北海道大学医学部医学科卒業
2010年3月 横浜労災病院 初期研修修了
2011年4月 慶應大学病院 泌尿器科 助教
2014年4月 東京医科大学病院 泌尿器科 助教
2018年4月 東京医科大学病院 泌尿器科 助教・医長 医学博士取得
2019年5月 Cedars Sinai (アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス)にResearch fellowとして留学
2021年4月 東京医科大学病院 泌尿器科 講師

ED治療は保険適用される?

お薬手帳
ED治療は検査も含めて基本的には保険適用されません。自由診療(保険適用されない自費診療)の範囲内になっています。厚生労働省はこれについて「バイアグラ等のED治療に用いられる薬は『生活改善薬』である」という見解を示していました。
生活改善薬とは「病気の治療を目的としない、生活の向上や改善のための薬」です。バイアグラ等のED治療薬は、EDを根本的に治療するものではありません。あくまで性行為が満足いくように行うための薬です。そのため、厚生労働省も生活改善薬という見解を示していたようです。
しかし、2022年4月より不妊治療の目的に限り、条件適用下でのみ保険適用可能となりました。

保険適用の対象者とは

医療費領収書
では、2022年4月からの不妊治療目的での保険適用はいったいどのような方が対象になるのでしょうか?まず不妊治療は、原因を以下の3つに分けています。

  • 男性不妊
  • 女性不妊
  • 原因がわからない機能性不妊

このうち、男性不妊とはつまりEDを含む性機能障害です。EDに加えて精管閉塞・男性器の形態異常・造精機能障害が当てはまります。また、男性不妊と女性不妊の両方が認められる場合はそれぞれに不妊治療が行われます。
不妊治療が必要であることが認められる場合には、さらにEDであることを確定させなければいけません。その上で、ED治療を不妊治療として保険適用下で行うためには以下の条件すべてに当てはまることが必要です。

  • 医師は原則として泌尿器科について5年以上の経験を有すること(例外あり)
  • 他の医療機関から紹介を受けた場合は紹介元の機関と情報共有できる体制を作ること
  • EDガイドラインに沿ってEDと診断された患者であること
  • 患者またはパートナーのどちらかが、投与日6ヶ月前以内に不妊治療を受けていること
  • 1回の診療に付き投与量は4錠以下
  • 継続期間は6ヶ月を目安に、6ヶ月を超える場合は初回投与から1年以内
  • 処方箋に保険診療であることを記載

これらの条件すべてが当てはまった上で、保険適用が可能な医療機関でのみED治療の保険適用が可能になります。そのため、保険適用下でのED治療はハードルが高いといえるでしょう。

ED治療薬で保険適用される薬の種類

薬 ① 複数の錠剤とお水
ED治療ではジェネリックも含めて様々な薬が使用されます。しかし、全てのED治療薬が保険適用されるわけではありません。では、保険適用が可能なED治療薬にはどんなものがあるのでしょうか?
今回不妊治療において保険適用可能となった薬剤はバイアグラシアリスです。2種類のみですが、これから増える可能性もあります。

バイアグラ

バイアグラは代表的なED治療薬です。ED治療をしていない方でも名前は聞いたことがあるかもしれません。スタンダードなED治療薬で、満足な性行為を行える勃起の維持が可能な薬です。
青い錠剤タイプが一般的で、内服して使用します。保険適用されるのは錠剤タイプと水なし服用タイプです。持続時間は4時間~5時間ほどとされています。バイアグラは、アメリカのファイザー社が開発した世界で初めて商品化された性的不能治療薬です。現在では世界中で使用されています。
元々は狭心症発作の治療薬として開発されていたのですが、偶然にも勃起不全の症状が緩和されたことからED治療薬として開発されました。水が必要な錠剤タイプが主流でしたが、バイアグラの主要成分は水溶性です。そのことから2016年にはED治療薬唯一の水なし服用タイプが発売されました。コンパクトなため、財布にも入れられるのが特徴です。
日本国内の特許期間を2014年に満了したため、ジェネリック医薬品も発売されています。ただし、保険適用となるのはバイアグラのみです。ジェネリック医薬品は保険適用外となります。

シアリス

シアリスもED治療薬としてよく用いられる薬です。見た目はスタンダードな錠剤とは違いくすんだ黄色いフィルムコートで包まれています。バイアグラと比べると色が違うため一目瞭然です。また、シアリスは水にほとんど溶けないため、服用するために水が必要です。そのため、バイアグラのように水が不要なタイプがなく、錠剤タイプのみとなっています。
しかし、バイアグラとの最大の違いは投与後最大36時間まで持続するという点です。また、服用後2時間ほど経てば身体に吸収され、食事の心配もいりません。金曜の夜に服用すれば日曜の昼間まで効果が持続することから「ウィークエンドピル」とも呼ばれています。バイアグラに代わるED治療薬の新しい選択肢として、2013年には世界市場シェア1位となりました。
また、シアリスは国内特許を満了しているため、ジェネリック医薬品として「タダラフィル錠」も製造されています。ただし、ジェネリック医薬品は保険適用外です。

ED治療における保険適用の注意点

注意を知らせる男性医療従事者
不妊治療目的でのED治療の保険適用が可能になっても、通常のED治療は自由診療(保険適用外)のままです。そのため、保険適用をしてもらうにはまず不妊治療の判定をパートナーと共に受ける必要があります。
自分どちらにあるのかを調べるためです。パートナーに秘密で不妊治療目的のED治療はできないので注意が必要です。

不妊治療限定なの?

保険適用可能なED治療は不妊治療目的のみです。また、不妊治療だからといって必ず保険適用になるわけではありません。前述の条件全てを満たさなければ保険適用はされないため注意が必要です。
それにはパートナーの協力も必要なため、2人で診察を受ける場合もあります。パートナーともしっかり相談して治療をしましょう。また、条件には医師側も含まれているため、保険適用可能な医療機関も限られてきます。事前に不妊治療目的で保険適用可能かどうか、かかりつけの医療機関と相談する必要があります。

保険適用範囲の薬は決まっている

ED治療に使用される薬は、バイアグラとシアリスだけではありません。ステンドラ・ザイデナ・その他ジェネリックなど多岐に渡ります。しかし、保険適用できるED治療薬はバイアグラとシアリスだけです。
何故かというと、この2種類の薬は日本生殖医学会のガイドラインでED治療としての推奨レベルがAもしくはBに該当する薬だからです。バイアグラは体外受精などでも使用可能で、ED治療に推奨されるレベルAの薬とされています。シアリスは着床検査や射精障害に使用できるレベルBの薬です。現状この薬以外は保険適用外となるため、この2種類で効果がなかった場合は自費診療の範囲内で処方してもらう必要があります。
また、バイアグラとシアリスにはそれぞれジェネリック製品がありますが、これらは保険適用外です。ただし、今後対象となる薬が増える事も考えられます

保険適用内で処方できる医療機関は限られている?

医療機関で指導、教育、記録する医療従事者
不妊治療の保険適用は、前述の条件に沿うことが前提です。条件には医師も含まれているため、まず利用できる医療機関が限られることになります。保険適用での不妊治療が可能な医療機関はあまり多くありません。
保険適用して不妊治療が行える医療機関は「保険適用可能」と前もって記述がある場合が多いので、事前に保険適用できるかどうか確認しておくようにしましょう。もしすでにかかっている医療機関が不妊治療での保険適用が不可能な場合、可能な医療機関を紹介してもらえる可能性もあります。本格的に不妊治療に取り組みたい場合は、かかりつけの医師と相談してみましょう。

ED治療の保険適用に関するよくあるQ&A

リビングで考え事(喧嘩)をするカップル
ここでは、ED治療の保険適用に関してよくある質問にお答えします。

普段と別の医療機関を受診した場合でも保険適用内で薬を処方してもらえますか?

受診した目的が不妊治療目的ではない場合は、前述の条件を満たしていれば可能です。不妊治療目的であった場合は、前述の条件のうち2番目の「他の医療機関から紹介を受けた場合」に抵触するおそれがあります。その場合は、普段の医療機関と今回の医療機関で連携を取れるようにすることが必要になります。
ただし、バイアグラ等のED治療薬をすでに投与されており、なおかつ初回投与からすでに6ヶ月以上が経過していた場合は保険適用外となる可能性が非常に高いです。なぜかというと、条件の中には「初回投与から6ヶ月が目安」とあるからです。
それ以上の継続投与となると、不妊治療目的に切り替えたとしても難しいでしょう。最大でも1年までしか保険適用されません。医療機関の医師と相談のうえ、不妊治療で保険適用可能かどうか確認するようにしてください。その際は別の医療機関ですでに受診していたことも必ず申告するようにしましょう。

薬はまとめて処方してもらえますか?

薬の処方は、1回の診察につき4錠以下が原則です。そのため、数回分をまとめて処方はできません。また、投与期間は6ヶ月が目安となります。6ヶ月以上の場合は継続理由が必要です。

不妊治療で保険適用にならないケースもあるのでしょうか?

残念ながら保険適用にならないケースもあります。まずEDガイドラインに沿ったEDであることと、男性側が原因の不妊であることを認められなければいけません。不妊の原因が不明だったり、ED治療薬の処方の必要性に乏しい場合は保険適用が認められないことが多いです。
その場合は自由診療での購入となります。治療薬を処方してもらうために、パートナーと共に各種検査や診察を受ける必要があります。保険適用の対象であるバイアグラとシアリスのどちらも利用できない場合も保険適用外です。その場合は自由診療の範囲で他の治療薬を処方されます。
ただし、主要な治療薬にも比較的入手しやすい安価なジェネリック薬品があります。もし保険適用外となる場合でも医師の指導の元でジェネリック薬品など治療を続けやすい薬剤を処方してもらうと良いでしょう。

編集部まとめ

不妊治療目的であれば、ED治療に使用する薬が保険適用となりました。しかしそこには高いハードルがあります。

ただし、男性不妊で悩んでいてED治療を行いたいと考えるのであれば、保険適用でのED治療も検討して良いでしょう。

条件が認められればより不妊治療にも乗り出しやすくなります。まずは医療機関で不妊治療について相談してみてください

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