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「感染性心内膜炎」を発症すると”爪にも症状”が現れる?死亡率や治療法も医師が解説!

 公開日:2026/04/07
「感染性心内膜炎」を発症すると”爪に症状”が現れる?死亡率や治療法も医師が解説!

感染性心内膜炎とは?メディカルドック監修医が感染性心内膜炎の症状・原因・なりやすい人の特徴・治療法などを解説します。

藤井 弘敦

監修医師
藤井 弘敦(医師)

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三重大学医学部卒業。沖縄県立中部病院で初期研修、河北総合病院で外科研修を経て現在は菊名記念病院で心臓血管外科医として日々手術・重症者管理を行っている。医療用アプリの開発や在宅診療、海外で医療ボランティアを行うなど幅広く活動している。外科専門医、腹部ステントグラフト実施医/指導医、胸部ステントグラフト実施医、米国心臓病学会ACLSプロバイダー、日本救急医学会JATECプロバイダーの資格を有する。

「感染性心内膜炎」とは?

感染性心内膜炎とは、血液中に侵入した細菌が心臓の弁に付着して引き起こされる感染症です。細菌が弁の表面で増殖して塊(疣腫:ゆうしゅ)を形成し、弁を破壊することで血液の正常な流れが妨げられ、心臓のポンプ機能が低下します。さらに進行すると心不全や脳梗塞、腎不全などの全身合併症を起こし、命に関わることもある非常に危険な病気です。比較的まれな病気ではありますが、歯科治療や医療処置などをきっかけとして発症することもあり、誰にでも起こり得る疾患です。発症すると重症化しやすいため、疑わしい症状があれば放置せず、早期に医療機関を受診して適切な治療を受けることが極めて重要です。

感染性心内膜炎の代表的な症状

感染性心内膜炎の症状は発熱や倦怠感から始まり、進行すると心不全や脳梗塞を起こすこともあります。初期症状を見逃さず、早めに気づき受診することが何より大切です。

発熱や倦怠感

最も多く見られる症状は発熱と倦怠感で、38℃程度の熱が数日間続くことが多いです。風邪やインフルエンザと間違えられやすいのですが、解熱剤が効きにくいのが特徴です。数日たっても解熱しない場合は、早めに内科や循環器内科を受診してください。

息切れや心雑音

感染によって心臓の弁が障害されると、聴診で「心雑音」が聞こえるほか、動悸や息切れが出てきます。これは心不全が進行しているサインで、放置すると急速に悪化する可能性があります。特に呼吸が苦しく横になれない状態の場合は、心臓への負担が限界に達している可能性が高いため、早急に循環器内科を受診するか、緊急性が高い場合は救急搬送が必要です。

手足の麻痺

心臓の弁の上に形成された細菌の塊(疣腫)が、血流に乗って飛んでいき脳の血管を詰まらせる恐れがあります。このような状況になると、脳梗塞が引き起こされ、手足の麻痺や言葉が出にくいなどの神経症状が現れることがあります。これを、感染性心内膜炎に伴う脳塞栓症と呼びます。脳梗塞は一度発症すると後遺症を残すことも多いため、救急科や脳神経外科等での早期の正確な診断と治療が欠かせません。

皮膚や爪の異常

感染性心内膜炎でできた疣腫が手足などの末梢血管に飛ぶことで、皮膚や爪に特徴的な異常が出ます。代表的なのは、指先の小さな赤い斑点(点状出血)や痛みを伴うしこり(オスラー結節)です。これらは対症療法で治るものではありません。感染性心内膜炎そのものに対する、根本的な治療が必要です。

感染性心内膜炎の主な原因

感染性心内膜炎は血液に細菌が入ること、そしてそれが弁に付着して増殖することで発症します。日常生活の中にもさまざまなリスク要因が潜んでいます。ここでは、感染性心内膜炎の主な原因について解説します。

虫歯や歯周病

虫歯や歯周病、歯科治療で歯ぐきから出血するとそこから細菌が血流に入り、心臓の弁に細菌が付着して感染を起こすことがあります。特に、もともと心臓に病気がある人や人工弁を入れている人は、歯科治療や日常の口腔ケアが極めて重要です。定期的な歯科検診も欠かせません。

血管内治療やカテーテル処置などの医療処置

点滴や透析、カテーテル治療など血管に医療機器を入れる行為でも菌が血液内に侵入することがあります。医療現場では感染予防対策が徹底されていますが、処置後に発熱や倦怠感が続く場合は施術を受けた病院に連絡し、必要に応じて感染症科や循環器内科を受診しましょう。

免疫力の低下

糖尿病やがん治療中の人、ステロイド薬を長期間使用中の人は免疫力が弱まっているケースがあります。そのような場合、通常なら問題にならない程度の菌でも、免疫の力で身体から排除できず、心臓で感染を起こすことがあります。高齢者や慢性疾患を持つ人も同様にリスクが高まるため、内科等で定期的な全身状態の管理を受けることが重要です。

感染性心内膜炎になりやすい人の特徴

感染性心内膜炎には発症しやすい基礎疾患や生活習慣があります。

心疾患の既往がある方

先天性心疾患や弁膜症がある方、人工弁の手術を受けた方は、そうでない方に比べて心臓の内膜や弁に細菌が付着し、増殖しやすい状態です。そのため、抜歯などの歯科治療を行う際は、予防的に抗菌薬を投与するなどの対策が必要となります。

中高年男性

感染性心内膜炎は特に50〜70代の男性に多くみられます。実際、男女比では男性の方が約2倍多く発症し、加齢とともに発症率・死亡率ともに上昇することが報告されています。中高年男性では動脈硬化症や高血圧など生活習慣病を抱えていることが多く、喫煙や過度の飲酒などは免疫機能の低下を招き、発症リスクを押し上げることになります。

医療機器の治療を受けている方

透析を受けている方や医療機関でカテーテルを長期間留置している方は、医療器具を介して細菌が体内に侵入しやすくなります。また、ペースメーカーを埋め込んでいる方は、体内の人工物に免疫が直接働きにくいため、細菌が付着すると除去が困難となり、感染を起こしやすくなります。

感染性心内膜炎の治療法

感染性心内膜炎の治療は、入院の上、抗菌薬(抗生物質)による薬物療法を行います。必要時には、外科手術も行われます。

抗菌薬治療

感染性心内膜炎が疑われる場合、入院して血液培養検査を行い、感染の原因菌を特定しつつ、点滴による抗菌薬治療を開始します。抗菌薬治療は通常4〜6週間という長期の継続が必要であり、副作用や治療効果を確認しながら進めていきます。症状や全身状態が安定してきたら、低下した体力を戻すためのリハビリテーションを開始します。

外科手術

弁の破壊が著しく心不全症状がコントロールできない場合や、抗菌薬のみでは感染が制御できない場合などは、心臓血管外科で人工弁置換術などの手術が必要になります。術後は引き続き抗菌薬を使用しながら、専門スタッフの指導のもと心臓リハビリテーションを行い、再感染予防のための生活指導なども実施していきます。通常、手術を含めた入院期間は1〜2ヶ月程度を要することが一般的です。

基礎疾患の管理

糖尿病や歯周病などの基礎疾患を放置すると再発のリスクが高まります。心臓血管外科や循環器内科だけでなく、内科や歯科とも連携した全身管理が必要となります。退院後も定期的な通院による経過観察が欠かせません。

「感染性心内膜炎」についてよくある質問

ここまで感染性心内膜炎について紹介しました。ここでは「感染性心内膜炎」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

感染性心内膜炎の死亡率はどれくらいでしょうか?

藤井 弘敦医師藤井 弘敦(医師)

治療しなければ、感染性心内膜炎はほとんどの場合致命的となります。治療を行った場合の死亡リスクは、年齢、感染期間、人工弁の有無、病原菌の種類などの要因によって異なります。抗菌薬による治療や手術を行っても入院中の死亡率は15〜30%程度とされています。発熱や息切れが続く場合は、自己判断せずに早めに医療機関を受診しましょう。

まとめ

感染性心内膜炎は、心臓の弁に細菌が感染して起こる生命に関わる重篤な疾患です。主な症状は発熱、息切れ、皮膚や爪の出血斑、麻痺症状などで、特に心疾患のある方や人工弁・透析などの医療機器を使用している方は注意が必要です。治療は数週間にわたる抗菌薬の点滴投与や外科手術が中心となり、日常的な口腔ケアや生活習慣の改善が予防につながります。
ただし、この疾患は診断が困難で、発熱や倦怠感で受診されても診断確定まで数週間を要することがあります。健康に問題のない方でも熱が1〜2週間続く場合や、人工弁のある方で38℃以上の発熱が数日続く場合には、早期の受診が重要です。発熱以外のわずかな体調変化も医師に伝えることが、診断の重要な手がかりとなります。「いつもと違う」と感じられた際は、早めに医療機関を受診することが、命を守る第一歩となります。

「感染性心内膜炎」に関連する病気

「感染性心内膜炎」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器内科系の病気

脳神経内科の病気

内科の病気

歯科口腔外科の病気

  • う蝕

一言:感染性心内膜炎は、心臓だけの病気にとどまらず、全身の臓器へ波及してさまざまな合併症を引き起こします。

「感染性心内膜炎」と関連する症状

「感染性心内膜炎」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

一言:感染性心内膜炎は発熱から手足の麻痺まで多彩な症状を呈するため、診断が遅れることも少なくありません。重篤化すると脳梗塞や心不全などの生命に関わる合併症を引き起こす可能性があります。

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