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「心筋梗塞」発症後の「寿命」はどれくらいかご存知ですか?発症後の注意点も解説!

 公開日:2025/09/20
「心筋梗塞」発症後の「寿命」はどれくらいかご存知ですか?発症後の注意点も解説!
心筋梗塞発症後の寿命とは?メディカルドック監修医が症状・原因・なりやすい人の特徴・検査・治療法などを解説します。
佐藤 浩樹

監修医師
佐藤 浩樹(医師)

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北海道大学医学部卒業。北海道大学大学院医学研究科(循環病態内科学)卒業。循環器専門医・総合内科専門医として各地の総合病院にて臨床経験を積み、現在は大学で臨床医学を教えている。大学では保健センター長を兼務。医学博士。日本内科学会総合専門医、日本循環器学会専門医、産業医、労働衛生コンサルタントの資格を有する。

「心筋梗塞」とは?

急性心筋梗塞とは、心臓の筋肉(心筋)に栄養や酸素を送る冠動脈が閉塞し、心筋に血液が途絶える疾患です。そのため、心筋が壊死してさまざまな合併症を起こします。死に至ることもある危険な病気です。

心筋梗塞後の寿命

心筋梗塞の寿命は、重症度、初期治療、合併症の有無によって左右されるため、一概に回答はできません。急性心筋梗塞患者患者さんは心不全や不整脈の合併症を抱えやすいため、寿命は一般集団より不良であるといえるでしょう。

心筋梗塞発症後の注意点

心筋梗塞の再発を防ぐためには、生活習慣の見直しが最も大切です。禁煙、減塩、バランスのとれた食事、適度な運動、ストレス管理などが重要です。加えて、処方された薬をきちんと継続することが大切です。気をつける点について、3つご紹介いたします。

生活習慣の改善

禁煙や節酒を徹底し、食事は塩分や脂質を控えたバランスのよいものを心がけましょう。有酸素運動も無理のない範囲で取り入れて継続しましょう。健康診断結果を参考に、血圧、血糖、脂質などの生活習慣病因子が適切に管理されているか確認することも大事です。

処方された薬は必ず継続

心筋梗塞後の薬物治療は再発を防ぐ大切な柱です。特に、抗血小板薬、高脂血症薬(スタチンなど)、降圧薬などが重要です。自己判断で中止すると再発のリスクが高まります。医師のアドバイスに従い、指示通りに薬を飲み続けましょう。

運動の実践

心筋梗塞後の運動療法は心臓の機能回復と再発予防に有効です。ただし、過度の運動は危険です。医師や専門スタッフから提示される適切な運動メニューを守り行いましょう。

食生活の見直し

塩分や脂質の過剰摂取は動脈硬化の進行を招き、心筋梗塞の再発リスクを高めます。野菜や魚を中心とした食事は、心血管疾患の予防に効果的です。外食時は塩分や脂質に注意し、成分表示を確認する習慣を身につけことが大切です。

禁煙

喫煙は、心筋梗塞をはじめとする血管疾患の大きなリスク要因です。心筋梗塞を起こした患者さんにとって、再発を防ぐために禁煙は絶対条件です。本数を減らしても、リスクは完全にはなくなりません。禁煙が必須です。しかし、禁煙はなかなか難しいこともあります。必要に応じて、禁煙補助薬の使用や禁煙外来の受診などを検討しましょう。

心筋梗塞の代表的な症状や特徴

緊急性の高い疾患のため、症状を早期発見することは極めて重要です。代表的な症状や特徴を3つあげて詳しく説明いたします。

胸痛や胸部圧迫感

前胸部に締め付けられるような痛みや圧迫感が起こります。安静にしても改善しないことが特徴です。痛みは胸部が中心ですが、腕、首、顎に広がることもあります。こういった症状が起きた場合は、早急に救急車を呼び、循環器科や救急科を受診してください。

冷や汗

誘因も無く突然出る場合や、胸痛や胸部圧迫感などの症状に合併する場合は要注意です。すぐに安静にしてください。心臓の負荷を軽減するためです。これらの症状は急性心筋梗塞の初発症状である可能性が極めて高いため、早急に救急車を呼び、循環器科や救急科を受診して下さい。

歯の痛み

心筋梗塞は胸の痛みが典型ですが、歯の痛みで起こる場合があります。放散痛といいます。 心臓に関連した症状とは考えにくいため見逃されることも多いです。継続する場合は、循環器科を受診して下さい。

心筋梗塞の主な原因

主な原因は動脈硬化によるものです。動脈硬化が進む代表的な要因を3つあげて、詳しく説明いたします。

高血圧

高血圧が長期間継続すると、血管の壁が傷むため、血管が固くなったり、プラークとよばれるかたまりができやすくなったりします。また、血のかたまりである血栓ができやすくなります。これらが誘因となり、心筋梗塞が発症します。高血圧の管理は最も重要です。しかし、自覚症状を伴う高血圧のケースは少ないため、放置している方が多いです。血圧が高い場合は、内科や循環器科を受診して適切な指示を受けましょう。

高LDL-コレステロール血症

過剰なLDL-コレステロールは、血管の内側の壁に溜まり、プラークというかたまりを作ります。心筋梗塞はこのプラークが破れることが原因です。したがって、LDLコレステロールの適切な管理が重要です。高い場合は、内科や循環器を受診しましょう。食事指導とともに内服治療の有無について相談ができます。

喫煙

喫煙は、血管を収縮させ、血圧を上昇させます。また、タバコに含まれている有害物質は、血管の壁を傷つけるため、動脈硬化を早めます。そのため、喫煙は心筋梗塞のリスクを高めます。喫煙は百害あって一利なしです。禁煙しましょう。禁煙を自分で達成することはなかなか難しいです。禁煙外来を利用することも効果的です。

心筋梗塞になりやすい人の特徴

心筋梗塞は命に関わる疾患であり、高血圧、喫煙、糖尿病、ストレスなどの生活習慣が大きく影響します。これらのリスク因子を理解し、日常生活の中で予防に取り組むことが重要です。以下に、特に心筋梗塞になりやすい人の特徴として注意すべき4つの特徴を紹介いたします。

高血圧の放置

高血圧は心筋梗塞の最も重要な危険因子の一つです。血圧が高い状態が続くと、血管が傷むため、動脈硬化が進行します。これにより、冠動脈が狭くなり、血栓が詰まりやすくなります。症状がないまま進行することが多いため、気づかぬうちに心筋梗塞のリスクが高まります。

ストレスと不眠

過剰なストレスや不眠も心筋梗塞のリスクを高めます。交感神経が優位となり、血圧や心拍数が上昇するためです。精神的な負担を常に抱えている人は要注意です。

喫煙の習慣

喫煙は動脈硬化を早める最大の生活習慣リスクです。タバコに含まれる有害物質は、血管を収縮させて血圧を上げ、血液を固まりやすくするため、心筋梗塞のリスクを上げます。心筋梗塞の予防には禁煙が不可欠です。

心筋梗塞の検査法

心筋梗塞の診断には迅速かつ的確な検査が求められます。ここでは代表的な3つをご紹介いたします。

血液検査

心筋梗塞になると、心臓の筋肉が壊れるため、血液中に異常所見を認めます。これを調べることで、心臓にどの程度のダメージがあるかがわかります。発症からの経過時間によって数値の変化があるのが心筋梗塞の特徴で、何度か採血して確認する必要があります。また、早期発見のためにも役立ちます。

心電図検査

心電図は、胸に電極をつけて心臓の電気の動きを記録する検査です。心筋梗塞になると、心臓の一部が傷むため、電気の流れが乱れ、その変化が異常所見として現れます。特に「ST部分」という波が上がっているかどうかが重要な所見です。

心臓カテーテル検査

心臓カテーテル検査は、細い管を手首や足の血管から入れて、心臓の冠動脈に造影剤という薬を流し、血管の詰まった場所を調べる検査です。詰まっている部分が見つかれば、その場で風船や金属性の網目状の筒(ステント)を使って広げる治療を追加することが多いです。診断と治療を同時に行える重要な検査です。

心筋梗塞の治療法

治療法として内科的治療と外科的治療があります。以下に代表的な治療を3つあげ、各々について詳しく説明いたします。

薬物(血栓溶解)

心筋梗塞は、心臓を栄養する冠動脈に血のかたまり(血栓)が詰まることで起こります。そのため、血栓を溶かす薬を点滴で投与して、血流回復を目指します。カテーテル治療がすぐにできない地域や施設で使われることが多いです。

PCI(経皮的冠動脈インターベンション)

PCI(経皮的冠動脈インターベンション)は、現在、第一選択となる治療です。カテーテル治療の一つです。手首や足の血管から細い管を入れ、冠動脈内の詰まった部分まで挿入し、冠動脈内の病変部位をバルーンで広げたり、ステントという金属の網目状の筒を入れたりする治療です。入院のうえ、主に循環器内科医が担当します。

CABG(冠動脈バイパス術)

この治療は、カテーテル治療だけでは対応できない場合に行われる外科手術です。自分の脚や胸の血管を使って、詰まった部分を迂回する「バイパス路」を作ることで血流を回復させる治療です。入院のうえ、心臓血管外科医が担当します。

心筋梗塞を予防する方法

心筋梗塞は突然発症することが多い疾患ですが、日常生活を見直すことで予防が可能です。以下に重要なポイントをご紹介いたします。

生活習慣の改善

バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけ、肥満、高血圧、脂質異常、糖尿病を防ぐことが基本です。禁煙と節酒も重要です。バランスの良い食事とは、主食・主菜・副菜をそろえ、野菜・魚・大豆製品を中心に、塩分や脂肪、糖分を控えめにすることです。

ストレスとうまく付き合う

過度なストレスや不眠は血圧や心拍数を上げ、心臓に負担をかけます。リラックスできる時間を作り、趣味や軽い運動などで自律神経のバランスを整えることが重要です。

定期的な健康診断

高血圧、脂質異常、糖尿病などは心筋梗塞発症の大きなリスク因子です。これらはあっても自覚症状が乏しいため、発見が遅れることがたびたびあります。そのため、定期的に検査を受けて早期発見につとめ、必要に応じて治療を開始することが予防につながります。

「心筋梗塞後の寿命」についてよくある質問

ここまで心筋梗塞後の寿命などを紹介しました。ここでは「心筋梗塞後の寿命」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

心筋梗塞の10年生存率はどれくらいでしょうか?

佐藤 浩樹佐藤 浩樹 医師

患者さんの重症度や合併症の有無によって異なるため、一概に回答はできません。ある報告では、心筋梗塞後10年での累積死亡率は46.8%と報告されています。つまり、10年後にも約半数の方は生存していたということになります。

心筋梗塞のカテーテル治療後の生存率はどれくらいでしょうか?

佐藤 浩樹佐藤 浩樹 医師

心筋梗塞の重症度によって違いがあり、統一的な回答はできません。一方で、カテーテル治療施行後の3年生存率は約89.6% であり、治療成績は良好であるという報告もあります。

編集部まとめ

急性心筋梗塞は、心臓を栄養する冠動脈が突然つまる病気です。結果、心臓の筋肉が壊死を起こし動かなくなるため、命に関わることも多々あります。発症から治療までの時間が短いほど心臓の筋肉のダメージが少なくなり、予後が良くなります。心筋梗塞を疑う兆候を認めた場合は、できるだけ速やかに医療機関を受診してください。

「心筋梗塞」と関連する病気

「心筋梗塞」と関連する病気は6個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

  • 解離性大動脈瘤
  • 急性心外膜炎

呼吸器科の病気

消化器科の病気

その他の病気

心筋梗塞のように胸の痛みを起こす疾患は多く、命に関わる疾患もあります。早期に医療機関を受診して診断とともに適切な治療を受けることが重要です。

「心筋梗塞」と関連する症状

「心筋梗塞」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 胸部圧迫感
  • 息切れ
  • 冷や汗
  • 胃痛
  • 歯の痛み
心筋梗塞は胸の痛みを伴う代表的な疾患です。でも、胸の痛み以外の症状もあります。こういった症状が続く時は、早めに医療機関を受診してください。

この記事の監修医師