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「狭心症の治療法」はご存知ですか?治療期間・予防法も医師が徹底解説!

 更新日:2024/03/01
「狭心症の治療法」はご存知ですか?治療期間・予防法も医師が徹底解説!

狭心症の治療方法とは?Medical DOC監修医が狭心症の治療方法・治療薬・手術内容・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。

木村 眞樹子

監修医師
木村 眞樹子(医師)

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医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事。妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならない身体をつくること、予防医学の大切さを改めて感じるようになる。医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行なっている。
総合内科専門医、循環器専門医、睡眠専門医、認定産業医の資格を持つ。

「狭心症」とは?

狭心症は、心臓にある「冠動脈」が狭くなる病気です。
冠動脈は、心臓に酸素や栄養素を供給する動脈のため、冠動脈が狭くなり詰まると動悸や息苦しさなどを発症することがあります。
冠動脈が狭くなる最大の原因は「動脈硬化」です。動脈硬化とは、血管が硬くなり弾力性が失われた動脈の内側にドロドロの粥状物質(プラーク)が沈着した状態を指します。
このプラークが動脈内を狭めることで、血液の流れを悪くしてしまうこととなって狭心症を発症します。

狭心症の治療法

狭心症の代表的な治療法は3つあります。

狭心症における薬物治療の目的は、おもに以下の2つです。

  • ・保存療法を目的とした薬物治療
  • ・術後の薬物治療

狭心症を発症した場合は、ほとんどのケースで第一選択として薬物治療が用いられます。
薬物治療でも症状の改善がみられないケースや重篤化のリスクが高いケースにおいては、手術療法が用いられますが、術後にも薬を継続して服用しなければなりません。

経皮的冠動脈形成術治療(PTCA)

経皮的冠動脈形成術治療は、カテーテルという細い管を手首や鼠径の動脈から冠動脈まで通し、狭くなった部分が広がるようにステントという金属の筒を置いてくる手術です。
おもに、循環器内科で行われる手術方法で、1~2日ほどの入院が必要になります。

外科手術(冠動脈バイパス手術)

外科手術(冠動脈バイパス手術)は、詰まった冠動脈に迂回路となるグラフト(別の血管)をつくり、血液の流れを安定させる術式です。
おもに、心臓血管外科で行われる手術方法で、2~4週間ほどの入院が必要となります。

狭心症の治療薬

狭心症に用いられる治療薬は以下のとおりです。

抗血小板薬

抗血小板薬は、血液を凝固させる血小板の働きを抑制させることで、血液をサラサラにする効果があります。
代表的な薬品は「バイアスピリン」「プラビックス(クロピドグレル)」「エフィエント」などがあり、成人1日1回1錠を服用します。カテーテル治療を行った際には数ヶ月に渡って抗血小板薬を2剤併せて服用するのが一般的です。

β遮断薬

β遮断薬は、心拍数や心筋の収縮を抑えることで、心臓の酸素消費量を減らし狭心症の発作を抑える効果があります。
代表的な薬品は「アーチスト(カルベジロール)」「メインテート(ビソプロロール)」などがあり、アーチストは成人では1日2回食後の服用、メインテートは1日1回食後の服用が一般的です。用量については主治医判断のもとで段階的な増減があります。
また、動脈硬化により血管が狭くなることでおきる労作性狭心症とよばれるタイプの狭心症に効果があると言われていますが、血管が痙攣して狭くなることでおきる狭心症(冠攣縮性狭心症)では使われません。

血管拡張剤・硝酸剤

血管拡張剤は、狭い部分も含め冠動脈を広げることで血液の流れを安定させる効果があります。
代表的な薬品名は1日3回服用の「シグマート(ニコランジル)」、1日2回服用の「アイトロール(硫酸イソソルビド)」などがあります。
頻回の内服が難しい場合には「フランドルテープ(硫酸イソソルビドテープ)」「ニトロダームTTS(ニトログリセリン)」といった貼付剤を使用することもあり、1日に1枚貼りかえるのが一般的です。
狭心症の発作が起きたときには、ニトログリセリンの舌下剤や噴霧剤(ミオコールスプレー)の使用が効果的です。

カルシウム拮抗薬

カルシウム拮抗薬は、血管がけいれんを起こし発症する、冠れん縮性狭心症の第一選択薬として使用されます。「コニール(ベニジピン)」「アダラート(ニフェジピン)」「ヘルベッサー(ジルチアゼム)」などが代表的な薬品名です。
冠攣縮性狭心症の発作予防のために血管拡張剤・硝酸剤と併せて使用されます。

狭心症の手術内容

狭心症の代表的な手術方法を以下でご紹介します。

経皮的冠動脈ステント留置術

経皮的冠動脈ステント留置術とは、細くなった冠動脈を拡張させるため血管にカテーテルを送り込み、病変部にステントを留置することで血管の拡張を保ち血液の流れを安定させる最も一般的な術式です。
ステントには、薬が塗られていないタイプのステント(ベアメタルステント:BMS)と、薬が塗られているタイプのステント(薬剤溶出性ステント:DES)があり、DESのほうが再狭窄のリスクが少ないとされています。
カテーテル治療の入院期間は、比較的体に負担が少ないため2~3日と短いですが、血液が固まることを防ぐ「抗血小板剤」を生涯服用しなければなりません。また、病変により何回か分けて治療をおこなうこともあります。

経皮的バルーン拡張術

経皮的バルーン拡張術は、細くなった冠動脈を拡張させるため血管にバルーン付きのカテーテルを送りこみ、病変部でバルーンを膨らませ血管を拡張させる術式です。
ステントを置くことができる病変では再狭窄のすくないステント留置術が一般的ですが、ステントがおけない場所や、ステント内部が狭窄してしまった場合に行われることがあります。
ステント留置術とあわせて行われることも多く、入院期間は、2~3日です。

冠動脈バイパス術(開胸手術)

冠動脈バイパス術は、他の部位の血管(グラフト)を使用して、詰まった冠動脈の先にバイパス(迂回路)を形成して血液の流れを安定させる術式です。
狭窄の部位や数により、カテーテルでの対応が難しいと判断された場合は冠動脈バイパス術が適用されます。
冠動脈バイパス術で使用されるグラフトは、内胸動脈(LITA)・右胃大網動脈(RGEA)・大伏在静脈(SVG)が一般的で、大伏在静脈を使用する場合は足からグラフトを採取する手術を同時に行う必要があります。
以前までは、人工心臓を使用して心臓を止めて手術を行う「オンオンプ」が一般的でしたが、現在は心臓を動かしたまま手術を行う「オフポンプ」一般的です。
これにより、術後の体の負担が大幅に減少することで早ければ術後10日前後で退院できます。

狭心症の予防法

狭心症の予防法は以下のとおりです。

高血圧の予防・改善

血圧が高いと、血液が流れるさい血管壁に加わる圧力が高くなり血管が傷つきボロボロになってしまうことで狭心症のリスク要因になります。
血圧を下げる方法は、様々ですが自分で出来る一番の予防方法は食生活です。
塩分を控えた食事を心掛け、野菜や果物の積極的な摂取を心掛けましょう。

脂質異常の予防・改善

コレステロールが高いと血液がドロドロになり動脈硬化を促進させることで狭心症のリスク要因となります。
コレステロールは食事でコントロールをする必要があり、脂質の多い食材を控え、食物繊維を含む野菜類を積極的に摂取することが大切です。

喫煙

タバコに含まれるニコチンは交感神経の働きを強めて血管を収縮させる働きがあります。また、一酸化炭素により血中のヘモグロビン量が減少することで心臓の酸素不足が狭心症のリスク要因になることがあります。
ひとりの力では禁煙が難しい場合は、医療機関の禁煙外来などの利用がおすすめです。

「狭心症の治療」についてよくある質問

ここまで狭心症の治療方法を紹介しました。ここでは「狭心症の治療」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

狭心症の治療期間はどのくらいになりますか?

木村 眞樹子木村 眞樹子 医師

治療内容により異なりますが、一般的な経皮的冠動脈ステント留置術の場合は2~3日程度が目安となります。冠動脈バイパス手術が必要になる場合には2~4週間程度の入院期間です。

狭心症は放っておいても勝手に治りますか?

木村 眞樹子木村 眞樹子 医師

残念ながら一度発症した狭心症を医療の力を借りずに治すことは難しいです。そのため、少しでも狭心症の症状を感じた場合は早期に医療機関を受診することをおすすめします。

編集部まとめ

狭心症についてお伝えさせていただきました。
狭心症は日常生活を、気をつけることで予防できるケースが多い疾患です。
ただし、狭心症を発症した場合には自分ひとりで根治させることは難しいため、ただちに循環器内科などの医療機関を受診しましょう。

「狭心症の治療」と関連する病気

「狭心症の治療」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

呼吸器科の病気

これらは、狭心症と似た胸の痛みや苦しさが特徴の疾患です。

「狭心症の治療」と関連する症状

「狭心症の治療」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

狭心症は発症してしまうと自力では治すことが難しいため、疑われる症状を発症した場合には、早めに医療機関を受診して検査を受けましょう。

この記事の監修医師