「期外収縮を疑う3つの自覚症状」はご存知ですか?原因についても医師が解説!
期外収縮の自覚症状とは?Medical DOC監修医が期外収縮の自覚症状・原因・治療法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
「期外収縮」とは?
心臓は1日に約10万回動いているのですが、その中で一回でも乱れたものがあれば、それは不整脈とされています。不整脈そのものは、健康な人でも気が付かないうちに起こっていることがよくあります。不整脈の中でも、特に期外収縮は正常なリズムの中に時々不規則な拍動があらわれるものを指しており、不整脈の中でも最も多く発生するものです。
今回は、期外収縮の症状、原因、治療法などを含めて説明していきます。
期外収縮を疑う自覚症状
期外収縮は自覚症状がないことも多く、健康診断や心臓検診などの場面で初めて期外収縮を指摘されることもまれではありません。また、個人差が大きいため人によって自覚する症状はさまざまです。
脈が飛ぶ
期外収縮は正常な拍動の中、突然ずれたタイミングで心臓が拍動することを指すため、「脈が飛ぶ」という自覚症状は期外収縮そのものに気づいていると言えます。脈は首や手首の動脈に触れていると、よりはっきりわかります。脈が飛んでいるように感じる時、実際に期外収縮が起きているかは心電図で確認します。ただし、医療機関で検査をしているその時にちょうど期外収縮が起こるとは限らないため、24時間装着するホルター心電図で期外収縮をチェックする必要があります。
動悸がする
動悸とは心臓の拍動に不快感や違和感を自覚する状態です。ドキドキドキドキと速く感じるパターンが有名ですが、その他にもドックンドックンと鼓動を強く感じるパターン、ドキッと一瞬胸が詰まるようなパターンなどがあります。単発の期外収縮の場合は、一瞬胸が詰まるように感じることがあるでしょう。
また、期外収縮はその他の不整脈を引き起こしてしまうことがあります。たとえば、心房細動や心房粗動、心室頻拍などを起こすと、脈が速くなることによる動悸を自覚することがあります。心室細動と呼ばれる心臓がピクピクして有効なポンプ機能を果たすことができない不整脈になってしまった場合、もはや血流が止まってしまい大変危険な状態となってしまいます。したがって、危ない不整脈につながる期外収縮の可能性があるか調べることが大切です。不整脈の精査は循環器内科の専門領域ですので、動悸が気になる場合は循環器内科を受診しましょう。
喉が詰まる
心臓はもちろん胸の中にあるため、胸が詰まる感じを自覚することが多いですが、「喉が詰まる感じ」や「一瞬息ができない感じ」がするという症状をおこすこともあります。ただし、喉が詰まる症状はストレスや逆流性食道炎、食道がんなど、その他の原因で起こっている可能性もあるため、症状を繰り返す場合には一旦かかりつけの内科で相談してみましょう。
期外収縮の主な原因
心筋梗塞
心筋梗塞は、心臓に栄養を送る冠動脈が詰まることにより心臓の一部が壊死してしまう病気です。壊死した部分の心臓には電気信号がうまく流れなくなります。すると、心臓の正常な電気活動が乱れ、期外収縮を含む不整脈の原因となるのです。胸痛や突然の息苦しさなどは心筋梗塞を疑う症状なので、症状が出現した時にはすぐに循環器内科を受診しましょう。
心筋梗塞になってすぐの時にも不整脈は発生しますが、心筋梗塞後であっても後遺症として不整脈が続くことがあります。心筋梗塞の経験がある方は、かかりつけの医師の指示に従って定期的に不整脈が起きていないか心電図でチェックしましょう。
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンの過剰分泌により体の代謝が亢進したり、自律神経が乱れる(交感神経が興奮してしまう)病気です。典型的な症状は、甲状腺が腫れる、眼球突出、手の指が震える、汗をかきやすくなる、たくさん食べるのにやせる、イライラする、疲れやすいといったものになります。心臓面では心拍数増加による動悸が出現します。また、交感神経が興奮することで期外収縮を起こしやすくなります。甲状腺機能亢進症の治療には専門的な治療が必要なので、内科(特に内分泌内科)を受診しましょう。
自律神経の乱れ
自律神経は心臓のリズムを調節する重要な役割を担っており、そのバランスが崩れると期外収縮を含むさまざまな不整脈を引き起こす原因となります。ストレスの多い生活、不規則な睡眠、過度のカフェイン摂取などが交感神経を興奮させてしまい、自律神経の乱れを引き起こすことが知られています。適切な睡眠、アルコールやコーヒーの飲み過ぎを避けるといった生活習慣の改善を通して、ストレス管理をしましょう。
すぐに病院へ行くべき「期外収縮の自覚症状」
ここまでは心房細動の症状を紹介してきました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
胸痛や息切れがある場合は、循環器内科へ
時々胸が詰まる感じがする程度であれば様子をみることができる期外収縮かもしれませんが、胸の痛みや圧迫感、息切れの症状があるような場合は心筋梗塞を起こしているか、重症な不整脈を起こしている可能性があります。早めに循環器内科を受診しましょう。うずくまるような強い症状の場合はためらわず救急車を呼びましょう。
受診・予防の目安となる「期外収縮」のセルフチェック法
- ・安静時にも動悸症状がある場合
- ・脈が乱れたような症状がある場合
- ・息切れや倦怠感症状がある場合
期外収縮の治療法
一般的に、期外収縮がみつかったとしても、ほとんどのケースでは治療が不要で経過観察できる場合が比較的多いといえます。日常生活において特記すべき自覚症状も認めることがなく、心機能にも問題ない場合は様子を見ることができます。
薬物療法
症状が強い場合や期外収縮の頻度が多い場合は、異常な電気信号発生の頻度を減らすために抗不整脈薬を使用することがあります。一方で、今現在飲んでいる薬の副作用で期外収縮が発生することもあり、そのような場合には薬の必要性と期外収縮の重症度を天秤にかけ、薬の中止や変更を検討します。
カテーテル治療
カテーテルを用いた治療は、特に症状が重い場合や、薬物療法が効果不十分な場合に検討されます。この治療では、不整脈の発生源となっている心臓内の組織を焼いたり凍結したりすることで異常な電気信号の流れを遮ります。太腿の付け根からカテーテルと呼ばれる細い管を血管に刺して、心臓まで進めて治療を行います。針を刺す部分に局所麻酔を行なう処置で、平均2~4時間程度で終わります。
自律神経を整える
自律神経の乱れは期外収縮の原因となるため、生活習慣の改善は大切です。過度なストレス、不規則な睡眠、過剰なカフェイン摂取などは、交感神経を興奮させ自律神経のバランスを乱すため、ストレス管理、規則正しい生活、適度な運動などを意識しましょう。
「期外収縮の自覚症状」についてよくある質問
ここまで期外収縮の自覚症状などを紹介しました。ここでは「期外収縮の自覚症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
期外収縮の強い症状にはどんなものがありますか?
甲斐沼 孟(医師)
動悸や胸部違和感などの症状が挙げられます。脈拍を測っている途中に脈が飛ぶ、胸がドキドキする、胸がつまるような感じがするなどの自覚症状があらわれることもあります。
ストレスが原因で期外収縮の症状が現れることはありますか?
甲斐沼 孟(医師)
ストレスや過労が契機となって、期外収縮が発生して、動悸などを自覚する場合もあります。日頃からストレス解消方法や発散手段を自分なりに整備して、セルフケア対策を行うようにしましょう。
期外収縮の症状はどれくらいの頻度で連発しますか?
甲斐沼 孟(医師)
期外収縮の頻度は人によって全く異なります。年に数回ドキッとするだけの人もいれば、何連発も続く期外収縮が1日に何度か出る方もいます。
発症原因となる心疾患もなく、頻度も少ない期外収縮は様子を見ても問題ありません。診断で、期外収縮が二連発、三連発と診断される場合も大きな心配はなく、期外収縮の多くは無害ですが、中には心臓の病気が関連している場合もあります。万が一、不快な胸部症状がある場合や、症状がなくても心機能が徐々に低下する際には、積極的に治療介入する必要があります。
編集部まとめ
期外収縮は多くの人が経験する可能性のある不整脈の一種です。それらの症状の背後には、心筋梗塞や弁膜症といったより深刻な心臓疾患が隠れている可能性もあります。
ほとんどの期外収縮は治療を必要としませんが、生活に支障を来たすほどの動悸やめまい、胸痛を経験する場合は、速やかに循環器内科を受診することが大切です。今回の情報が、皆様の健康管理に役立つ一助となれば幸いです。
「期外収縮の自覚症状」と関連する病気
「期外収縮の自覚症状」と関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
循環器内科の病気
- 頻脈性不整脈
- 徐脈性不整脈
心療内科の病気
期外収縮と同様に動悸などの症状を示す疾患として、頻脈性不整脈、徐脈性不整脈、パニック障害などの病気が考えられます。心配であれば、循環器内科や心療内科など専門医療機関を受診して相談しましょう。
「期外収縮の自覚症状」と関連する症状
「期外収縮の自覚症状」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
普段の生活で動悸がする、胸が痛い、胸部違和感などの症状を認める際には、期外収縮や心筋梗塞、狭心症などの病気を疑う必要があります。心配であれば、循環器専門外来など専門医を受診しましょう。