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「心房細動の原因」はご存知ですか?なりやすい人の特徴も医師が解説!

 更新日:2024/02/16
「心房細動の原因」はご存知ですか?なりやすい人の特徴も医師が解説!

心房細動の原因とは?Medical DOC監修医が心房細動の原因・症状・なりやすい人の特徴・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

「心房細動」とは?

我が国の約100人に1人が心房細動という不整脈を患っていると言われ、心房細動が起こる可能性は加齢に伴って増えることが知られています。不整脈の一種である心房細動は、本来は一定リズムで動いている心房と呼ばれる部分がけいれんするように細かく震え、脈が不規則になる病気です。正常の規則的な脈のリズムではなく、不規則な脈になってしまうことで動悸やめまいなどの自覚症状が出現することもよくあります。今回は、心房細動の主な発症原因、心房細動になりやすい人の特徴、その予防方法などを中心に紹介していきます。

心房細動の主な原因

心臓の病気

心房細動は心臓の病気、特に心筋梗塞や弁膜症といったものが原因で発生することがあります。心筋梗塞は、心臓の血管が詰まることにより心筋に十分な血液が供給されない状態を指し、壊死した心筋にはうまく電気信号が流れないため不整脈を引き起こす原因となることがあります。一方、弁膜症は心臓の弁が正常に機能しない状態を指します。正常に心臓の弁が働かないと、心房や心室と呼ばれる心臓の部屋が大きくなって電気の流れが乱れ、不整脈を起こしやすくなります。胸痛や運動時の息切れなどは心筋梗塞や弁膜症の症状かもしれません。このような症状を自覚した時には早めに循環器内科を受診しましょう。

甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症も心房細動の原因の一つです。甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることにより、体の代謝が活発になりすぎる状態を指します。交感神経が興奮することで心拍数が増加し、心臓に過度の負担がかかります。その結果、心臓の電気的な活動が不安定になり、心房細動を引き起こします。甲状腺が腫れる、眼球が突出している、手の指が震える、食べているのに痩せる、疲れやすくなったなどの症状は甲状腺機能亢進症かもしれません。このような症状に気づいた時は内科(特に内分泌内科)を受診しましょう。

激しい運動

適度な運動は、心房細動発症の原因になるようなことはありませんが、激しい運動は心房細動の原因になりえます。50歳以下の人に限定すれば、週に5~7回運動する人は、週に0回の人に比べ、1.7倍の多さで心房細動を発症したとの研究結果の報告もあります。心房細動は、高強度の運動で誘発されやすいと考えられています。
健康になろうとして、過度な運動をなされる方がいらっしゃいますが、心房細動予防のためには、激しい運動ではなく、適度に運動するほうが望ましいと思われます。

心房細動になりやすい人の特徴

高齢者

加齢に伴って心房細動のリスクは高まります。高齢者では心臓の筋肉や電気回路に老化が生じ、これが不整脈の原因となることがあります。また、高齢者は他の心臓病や高血圧などのリスク要因を抱えていることも多く、これらが心房細動の発症を促進する可能性があります。健康的な生活を送りつつ、定期的な健康診断で早期に心房細動の原因となる病気を発見・治療することが、心房細動のリスクを低減させる上で重要です。

高血圧

高血圧が長期にわたって続くと、心臓への負担が増大し、特に左心房が拡大することがあります。この心房の拡大は、心房細動を引き起こす可能性を高めます。高血圧はその他にも様々な心臓病の原因となるものなので、早期診断・早期治療が大切です。
減塩を心がける、定期的に運動する、野菜・果物を意識的に摂取する、禁煙・節酒を心がけるといった生活習慣の改善により高血圧は改善します。それでも高血圧続く場合は血圧を下げる薬を飲む必要があるため、かかりつけの内科を受診しましょう。

メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームは、内臓肥満と高血圧、高血糖、脂質代謝異常が組み合わさった状態を指し、これらは動脈硬化を引き起こすことで心房細動を含む心臓病や脳卒中などのリスクが高まります。日本ではウエスト周囲径(おへその高さの腹囲)が男性で85cm、女性で90cm を超え、高血圧・高血糖・ 脂質代謝異常の3つのうち、1つ当てはまるとメタボリック症候群予備群、2つに当てはまるとメタボリック症候群と診断されます。
治療に関しては、生活習慣の改善、特に適切な食事と適度な運動を行い、体重を適切な状態にすることが非常に大切です。必要に応じて、高血圧や糖尿病などの薬物治療も行われます。

飲酒・喫煙

喫煙者は非喫煙者と比べて、心房細動の発症リスクが32%増加すると言われています。タバコに含まれるニコチンが心筋にダメージを与えて(線維化を起こして)、心筋に電気がスムーズに流れなくなり、心房細動が起こりやすい状態になるのではないかと言われています。また、アルコールは、その分解産物であるアルデヒドが心筋にダメージを加えます。ダメージが蓄積すると喫煙者と同じように心筋の電気の流れが乱れ、心房細動が起こりやすくなります。禁煙、節酒を心がけ不整脈の起こりにくい身体を目指しましょう。

心房細動を予防する方法

規則正しい生活

心房細動の原因の一つにストレスがあります。身体面、メンタル面どちらのストレスも心房細動を引き起こすため、心と体に負担をかけない規則正しい生活が大切です。バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠を実現し、ストレスをコントロールしましょう。特に、適切な体重管理、禁煙、節度のあるアルコール摂取が効果的です。

薬物療法

心房細動の治療にはいろいろな薬が選択肢として考えられます。一時的に心房細動になる人の場合は、心房細動を正常なリズムに戻す「リズムコントロール」を行います。この時は抗不整脈薬というタイプの薬を使用します。対して、心房細動が長く続いているような方では正常なリズムに戻すのではなく、心房細動による悪影響が出ないように脈の速さを整える「レートコントロール」が行われます。大抵の場合、心房細動により脈が速くなり動悸や胸苦しさが出たり、心機能の低下を引き起こしたりするため、脈を落ち着かせる薬を処方されることが多いです。また、心房細動を起こしている心臓は血栓ができやすくなります。できた血栓が脳血管に飛ぶと重症な脳梗塞を起こす可能性があるため、血栓形成を防ぐための抗凝固薬内服も重要です。

カテーテルアブレーション

カテーテルアブレーションは、心房細動の根本的な治療法の1つです。まず、太ももの付け根から動脈にカテーテル(細い管のようなもの)を入れて心臓まで進めます。そして、異常な電気信号の源である心臓の特定部位を焼灼することで、不整脈を抑制します。この治療は針を刺す部分の局所麻酔を行うのみで全身麻酔はしません。循環器内科の医師が治療を行い、治療時間は2-4時間程度です。

手術

心房細動に対する外科的治療には、メイズ手術というものがあります。心臓に直接アプローチして異常な電気経路を物理的に遮断する方法です。この治療は開胸手術(胸を開く手術)なので、カテーテルアブレーションと比べて大掛かりなものになります。他の外科手術と同時に行われることが多く、心房細動治療だけのために行われることは少なくなってきています。

「心房細動の原因」についてよくある質問

ここまで心房細動の原因などを紹介しました。ここでは「心房細動の原因」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

脱水が原因で心房細動を発症するのでしょうか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

心房細動が起こる要素が揃っている時、脱水によるストレスが最後の一押しとなって心房細動を起こす可能性はありますが、脱水のみで心房細動が発症する可能性は低いです。心房細動になったことがある人に脱水が発生すると、血液が固まりやすくなり脳梗塞などの合併症を起こすリスクがあるため、脱水を避けるようにしましょう。

若い方が心房細動を発症する原因について教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

心房細動は多くの方が発症する可能性のある病気であり、若年層から高齢層まで幅広く発症リスクを持っています。特に、若年で特に心臓の病気が無いのに心房細動が出てしまう場合には、孤立性の心房細動と呼びます。

心房細動が再発するのはどのような原因が考えられますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

心房細動に対するカテーテルアブレーションを行ったとしても、異常な電気回路の部分が残っている場合は、残念ながら心房細動が再発する可能性があります。

編集部まとめ

心房細動は、時に無症状でも脳梗塞などの重大な合併症を引き起こす可能性があります。まず定期的に健康診断を受けて、早期に心房細動を見つけ、治療しましょう。また、動悸などの症状が出た時はがまんせず、早めに医療機関を受診してください。

「心房細動の原因」と関連する病気

「心房細動の原因」と関連する病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

日々の生活で動悸症状などを自覚する際には、心房細動やその他不整脈の可能性がありますので、循環器内科など専門医療機関を受診しましょう。

「心房細動の原因」と関連する症状

「心房細動の原因」と関連している、似ている症状は2個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

普段の日常生活において、動悸や胸部違和感などの症状を自覚する際には、不整脈外来など専門医療機関を受診して相談しましょう。

この記事の監修医師