「慢性リンパ性白血病の治療薬」の種類はご存知ですか?副作用も医師が解説!

メディカルドック監修医が慢性リンパ性白血病治療薬の種類・副作用・その他の治療法などを解説します。

監修医師:
鎌田 百合(医師)
目次 -INDEX-
「慢性リンパ性白血病」とは?
慢性リンパ性白血病は、白血球の一種であるリンパ球が異常に増えてしまう血液のがんです。進行はゆるやかで、症状が出ないことも少なくありません。しかし、進行にともなって正常な血液細胞が減り、だるさや息切れ、発熱などの症状が起こります。また、首やわきの下のリンパ節が腫れたり、肝臓や脾臓が腫れてお腹の圧迫感が起こったりすることもあります。
慢性リンパ性白血病の治療薬の種類
慢性リンパ性白血病の治療は近年大きく進歩しました。従来の抗がん剤に加え、飲み薬を中心とした新しい薬が数多く登場し、治療の選択肢が増えています。ここでは、どのような種類があるかを解説します。
BTK阻害薬
BTK阻害薬は、現在の慢性リンパ性白血病治療の中心となっている薬です。がん細胞が増えるために必要なBTKというタンパク質の働きをブロックすることで、がん細胞の増殖を抑えます。従来の抗がん剤に比べて体への負担が少なく、飲み薬であるため外来に通院しながら治療を続けることができる点が特徴です。代表的な薬には、イブルチニブ、アカラブルチニブがあります。
抗CD20抗体
慢性リンパ性白血病細胞の表面にあるCD20抗原という分子を標的とした薬です。この分子を標的とし、がん細胞を破壊します。点滴で投与される注射薬で、オビヌツズマブ、リツキシマブといった薬があります。特にオビヌツズマブはBTK阻害薬と組み合わせて使用される場合があり、初回の標準治療のひとつとされています。
BCL-2阻害薬
BCL-2阻害薬は、がん細胞がもっている「壊れにくくなる仕組み」を解除し、自然に壊れるよう導く薬です。代表的な薬にベネトクラクスがあり、再発した場合や、最初の治療が効きにくい場合に用いられます。抗CD20抗体であるリツキシマブと組み合わせて投与されます。
化学療法
化学療法は、従来から使われてきた抗がん剤による治療です。フルダラビン、シクロホスファミド、リツキシマブを組み合わせたFCR療法や、ベンダムスチンとリツキシマブを組み合わせたBR療法などがあります。近年では、BTK阻害薬やBCL-2阻害薬など新規治療薬が増えてきて、使用の機会が減っています。
造血幹細胞移植
慢性リンパ性白血病はここまでご紹介した治療薬で治療を行うことが一般的です。しかし、急激に病状が進行し、より悪性度が高いリンパ腫へ変化した場合、造血幹細胞移植が行われることもあります。造血幹細胞移植は、強力な治療で患者さんの白血病細胞を死滅させ、その後健康なドナーからもらった造血幹細胞を体内に移植する治療です。体への負担が強い治療のため、移植をするかどうかは年齢や全身状態などから慎重に検討する必要があります。
慢性リンパ性白血病治療薬の副作用
治療薬にはさまざまなものがありますが、いずれもなんらかの副作用が起こる可能性があり、注意が必要です。出やすい副作用は治療薬の内容によっても異なりますが、事前に知っておくことで早めに対応でき、安心して治療を続けやすくなります。ここでは、おもな副作用と対処法を解説します。
感染症にかかりやすくなる
慢性リンパ性白血病の治療薬は、正常な血液細胞にも影響をおよぼします。感染に対抗するための白血球が減ってしまうと、感染症にかかりやすくなり、かつ重症化してしまうおそれがあります。そのため治療中は、手洗いやうがいなどの感染対策を行いましょう。もし発熱やだるさなどを感じた場合ははやめに主治医に相談をしましょう。
貧血、血小板減少
治療の影響で、白血球と同じように、血液の細胞である赤血球や血小板が減少することがあります。赤血球は体に酸素を運ぶ役割があり、減ると息切れやだるさといった貧血の症状が出やすくなります。また、血小板は血を止める働きがあり、減るとあざができやすくなったり、鼻血が出やすくなったりすることがあります。そのため、治療中は定期的に血液検査を行って数値を確認します。必要に応じて輸血などで補うこともあります。
腫瘍崩壊症候群
薬でがん細胞を破壊するとき、一気に壊れると体内に壊れたがん細胞の成分が血中へ放出され、体にさまざまな症状を起こします。これを腫瘍崩壊症候群といいます。体のさまざまな臓器に悪影響を及ぼし、急性腎不全、不整脈、けいれん、意識消失などが起こることがあります。特に治療の初期に起こることが多いため、状況により入院して慎重に治療を開始します。
不整脈
特にBTK阻害薬で起こりやすい副作用です。不整脈の一種である心房細動が起こりやすいとされています。心房細動では、動悸や息切れ、胸の違和感を認めることがあります。そのため、このような症状が起こった場合は早めに主治医に相談をしましょう。
インフュージョン・リアクション
抗CD20抗体は、点滴をしている最中に、寒気、発熱、息苦しさなどのアレルギー様症状が出現する場合があります。点滴前に予防薬を使うことで対処しますが、発症した場合は点滴を止めて対処します。
慢性リンパ性白血病の治療薬以外の治療法
薬以外の治療法にはどのようなものがあるのでしょうか。ほかに行われることがある代表的な方法を紹介します。
無治療経過観察
慢性リンパ性白血病は、進行がゆるやかなことが多い病気です。そのため、症状がなく血液検査の値も安定している場合は、すぐに治療をはじめない場合があります。この場合、定期的に以下のような診察や検査を行いながら経過をみていき、治療が必要な状況になったらすみやかに治療を開始します。
- 血液検査:貧血、血小板、リンパ球の確認
- 診察:脾臓が腫れていないか、体重減少、疲労、寝汗などの症状がないかを確認
- 画像検査:脾臓が腫れていないかの確認
治療しないと聞くと不安に感じるかもしれませんが、これは、早い段階で治療をしても症状が出てから治療しても患者さんの生存期間に差がないことがわかっているためです。
放射線療法
慢性リンパ性白血病では、リンパ節や脾臓が腫れる場合があります。放射線療法はこの腫れを抑える効果があります。そのため、お腹が張るなどの症状を抑えるのに効果的です。
輸血
治療によって血液の細胞が減る場合があります。血液検査で赤血球や血小板が大きく減っている場合、輸血を行うことがあります。輸血は減ってしまった細胞を点滴で補充し、息切れや出血症状を改善させる治療です。
感染症への対応
慢性リンパ性白血病は感染にかかりやすい病気です。さらに、治療によって免疫がさらに低下するおそれがあり、かかった際に重症になる場合があります。そのため、人混みをなるべく避けたり、こまめな手洗いを行ったりする日常の予防がとても大切です。インフルエンザや肺炎球菌などのワクチン接種についても、主治医と相談して必要なものを受けましょう。もし感染症にかかってしまった場合は、必要に応じて抗菌薬を使用します。
生活の質を保つためのケア
慢性リンパ性白血病は長く付き合う病気のため、日常生活の質を維持するための工夫も大切です。栄養バランスのとれた食事や十分な睡眠を心がけましょう。また、無理はせず、疲れたら横になり体力を回復させることも重要です。不安や悩みがあるときには医療スタッフに相談し、サポートを受けながら自分に合った生活スタイルを見つけていきましょう。
「慢性リンパ性白血病の治療薬」についてよくある質問
ここまで慢性リンパ性白血病の治療薬について紹介しました。ここでは「慢性リンパ性白血病の治療薬」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
慢性リンパ性白血病を発症すると第一選択薬はどんな薬ですか?
鎌田 百合(医師)
現在の標準的な治療法は、BTK阻害薬が中心です。場合によっては抗CD20抗体が併用されることもあります。しかしここまでお伝えしたように治療は複数の種類があり、患者さんの年齢や合併症の有無によって最適な治療が選ばれます。
まとめ
慢性リンパ性白血病は進行がゆるやかで、すぐに治療が必要でない場合も多い病気です。近年はBTK阻害薬という飲み薬を中心とした新しい治療が普及し、外来に通院しながら生活を続けられる方も増えています。副作用には注意が必要ですが、気になることがあれば医師に相談し、適切な治療とサポートを受けながら日常生活を送りましょう。
「慢性リンパ性白血病」と関連する病気
「慢性リンパ性白血病」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
血液の病気
血液系
- 小リンパ球性リンパ腫
- リヒター症候群
- 悪性リンパ腫
循環器系の病気
循環器系
- 心房細動
感染症
慢性リンパ性白血病に対する適切な治療を行っていても、合併症や副作用の症状が出現することがあります。気になる症状があったら早めに病院で相談してください。
「慢性リンパ性白血病」と関連する症状
「慢性リンパ性白血病」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 首やわきのしこり
- だるさ
- 貧血
- 出血
- お腹の張り
慢性リンパ性白血病ではこれらのような症状が現れることがあります。気になる症状があれば、医療機関を受診し相談してください。
参考文献




