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「小児の白血病」の「初期症状」は?発生原因についても医師が解説!

 公開日:2025/06/01
「小児の白血病」の「初期症状」は?発生原因についても医師が解説!

小児がんのなかでも発生率の高い小児白血病は大人のがん同様、命に関わる重大な病気です。

とはいえ、体調不良をうまく表現できない小さな子どもの場合、ただの風邪と見過ごしてしまう可能性もあります。

普段の体調不良やいつもと違う様子から発覚するケースも多いので、小児白血病の初期症状を詳しく知っておきましょう。

本記事では小児白血病の初期症状を解説します。発生原因や治療方法も紹介するため、最後までお読みいただければ小児白血病への理解を深められるでしょう。

山本 康博

監修医師
山本 康博(MYメディカルクリニック横浜みなとみらい)

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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい院長
東京大学医学部医学科卒業 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医 日本内科学会認定総合内科専門医

白血病とは

白血病とは血液のがんです。白血球など血液細胞ががん化し、身体のなかで無限に増えていきます。このがん細胞が急速に増殖する病気が急性白血病、ゆっくり増殖する病気が慢性白血病です。
小児白血病はほとんどが急性で、がん化した細胞の種類で急性リンパ性白血病と急性骨髄性白血病に分けられます。白血病細胞は身体のなかで増殖し続け、正常な血液の細胞が過度に減少していきます。
正常な白血球が減少すると、感染症にかかりやすくなる・臓器から出血が生じるなどの症状が生じ、最悪の場合は死に至ることもある恐ろしい病気です。

小児の白血病の発生原因

小児白血病の原因は、ほとんどの場合特定できません。ただ、大量の放射線被ばくや一部のウイルス感染で白血病になりやすいことがわかっています。
大人は生活習慣が原因でがんになるケースが多いですが、子どもの場合は生活習慣はまず関係ありません。多くの場合は遺伝子の異常が積み重なることで発症するため、誰しも小児白血病を発症する可能性があります。

小児の白血病の代表的な初期症状

小児白血病は大人のがん同様、初期症状を見極めて速やかに治療を始めることが重要です。とはいえ、小児白血病の初期症状は風邪と区別できないことも多く、それだけで白血病と判断するのは難しいでしょう。
これから紹介する代表的な初期症状が複数当てはまる場合や長く続く場合は、念のため小児科の受診をおすすめします。

発熱

小児白血病の初期症状のひとつが、繰り返す発熱です。がんによる発熱は腫瘍熱と呼ばれます。
腫瘍熱とは、体内で増え続けるがんが原因で発生する症状です。がんの進行により、発熱を引き起こす物質が作られ、発熱が繰り返されます。2週間以上発熱がある場合や、何度も発熱を繰り返す場合には早めに医療機関を受診しましょう。

貧血・倦怠感

白血病では赤血球が十分に作られなくなり、貧血になります。子どもの食欲が減ったり、疲れやすい・不機嫌な状態が続いたりなどの症状が続く場合は、貧血の可能性があるので注意しましょう。
また、赤血球の重要な役割のひとつは、酸素を全身に運ぶことです。そのため、息切れや倦怠感などの症状も見られるようになります。

歯茎からの出血・鼻血・あざ

歯茎からの出血・鼻血・あざができやすいのも白血病の症状です。白血病になると、血小板が十分に作られなくなります。
血小板とは、出血したときに血液を凝固させて止血する細胞です。血小板が減少すると、皮膚や粘膜から出血が生じやすくなるため、鼻血や歯茎からの出血が起きやすくなります。
一度出血すると、血が止まりにくくなるのも特徴です。また、気付かないうちにあざが多く見られる場合も、血液の病気が疑われます。

骨痛

白血病のもうひとつの症状が、手足や腰をはじめとした骨や関節の痛みです。白血病細胞はほかの血液細胞同様、骨のなかにある骨髄内で増殖します。白血病細胞の異常な増殖が、骨痛の原因です。ただし、子どもは成長痛で骨や関節が痛むこともあります。

感染

白血病にかかると、感染症にかかりやすくなるのも特徴です。正常な白血球は、免疫力の役割を担っており、体内に進入した病原体や異物から身体を守っています。
その正常な白血球が減少するため、感染症にかかりやすくなったり、感染症が治りにくかったりなどの症状が見られます。
また、普段ならかからないような感染症にかかってしまうこともあるでしょう。風邪が長引いていると感じたら、速やかな医療機関の受診が大切です。

肝臓・脾臓の腫れ

白血病細胞がほかの組織に広がることで、肝臓や脾臓の腫れが生じることがあります。
外から腹部に触れてみて硬いしこりを感じたり、お腹が膨らんだりしている様子があれば、注意が必要です。子どもは腹部の不快感を上手に言葉にできないことも多いので、異変を感じたら早めに小児科を受診しましょう。

小児の白血病の治療方法

現在の医療では小児白血病の治癒率は70~90%以上で、もはや不治の病ではありません。ここからは小児がかかる急性白血病に対し、具体的にどのような治療が行われるのかを解説していきます。

寛解導入療法

寛解導入療法とは、複数の抗がん剤を用いて白血病細胞を一気に減らす治療方法です。化学療法を何度も繰り返し行って白血病細胞を減らすことで、正常な血液が作られるようにします。
骨髄中の白血病細胞の割合が5%以下の完全寛解の状態にするのが目的です。一般的に寛解導入療法は、入院して最初の5~6週間で行われます。

強化療法

寛解導入療法で減らした白血病細胞を、さらに減らすための治療が強化療法です。寛解導入療法同様、入院した状態で治療が行われます。
寛解導入療法で使用していない薬剤を投与しますが、脊髄腔で注入する髄注療法や点滴による投与を行うこともあります。これは薬剤が届きにくい中枢神経に、白血病細胞が浸潤するのを防ぐための治療方法です。

維持療法

寛解導入療法と強化療法で白血病細胞を減らした状態を維持するための治療が維持療法です。退院後、通いながら治療を行います。
この頃には通学も可能です。飲み薬が中心で、1~2年ほど続ける必要があります。通常は急性リンパ性白血病の場合のみ維持療法を行い、急性骨髄性白血病の場合は維持療法を行いません。

造血幹細胞移植

白血病細胞が増えると正常な血液細胞を作れなくなるため、血液のもとになる造血幹細胞を移植する治療方法です。
細胞の型であるHLA型が一致したドナーから、造血幹細胞を提供してもらい、それを患者さんに移植します。すべての患者さんに行われる治療方法ではなく染色体異常や遺伝子異常がある場合・寛解導入療法と強化療法の反応があまりよくない場合に検討される治療方法です。

小児の白血病の初期症状についてよくある質問

ここまで小児の白血病の初期症状や治療方法などを紹介しました。ここでは「小児の白血病の初期症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

小児と大人で白血病の初期症状に違いはありますか?

山本 康博医師山本 康博(医師)

小児と大人の白血病で、初期症状に大きな違いはありません。白血病の主な初期症状に下記が挙げられます。

  • 発熱
  • 貧血・倦怠感
  • 歯茎や鼻からの出血・あざ
  • 骨痛
  • 感染
  • 肝臓・脾臓の腫れ

ただし、子どもは痛みや不快感をうまく言葉にできないケースも少なくありません。普段より元気がない・ぐったりしているなど、何かおかしいと感じた場合には、記録しておくと病院に行ったときに説明しやすくなります。小児の場合は急性白血病で、慢性白血病になることはまずありません。

急性白血病と慢性白血病では症状の出方に違いはありますか?

山本 康博医師山本 康博(医師)

急性白血病と慢性白血病で、症状の出方は異なります。慢性白血病は病気の進行がゆっくりなので、初期症状は軽く、自覚症状がない場合も少なくありません。全身の倦怠感や微熱、お腹のハリなどが少しずつ出てくるのが慢性白血病の特徴です。

編集部まとめ

今回は小児白血病の初期症状・治療方法を解説しました。

小児白血病の多くは遺伝子の異常が積み重なることで発生するため、誰にでも生じえる病気です。初期症状は普通の風邪と似ているため、区別は難しいですが、普段と違う様子が続く場合には早めに医療機関を受診しましょう。

現在の医療では、小児白血病は適切な治療で治すことができる病気です。治療は楽ではありませんが、化学療法で白血病細胞を減らすことができます。白血病細胞が完全になくなってからも放置せず、通院しながら状態を維持していきましょう。

白血病と関連する病気

「白血病」と関連する病気は4個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

骨髄異形成症候群は、一部が急性骨髄性白血病に移行する可能性がある病気です。また、白血病の原因ウイルスに感染した患者さんの一部で、HTLV-1関連脊髄症を発症するケースがあります。ダウン症候群やファンコニ貧血など特定の遺伝性疾患を抱えていると、白血病のリスクが高くなることがわかっています。

白血病と関連する症状

「白血病」と関連している、似ている症状は6個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 疲れやすさ
  • 出血症状
  • 骨や関節の痛み
  • 脾臓や肝臓の腫れ

白血病の初期症状は風邪の症状と似ているため、症状だけでの判断はできません。複数の症状が見られる場合や、特定の症状が長く続く場合は早めの受診をおすすめします。

この記事の監修医師