「骨髄異形成症候群」で「食べてはいけないもの」を医師が解説！

骨髄異形成症候群とは？

骨髄異形成症候群（MDS）とは、血液の中にある赤血球・白血球・血小板などの血液細胞を正常な状態で作れなくなる病気です。
血液細胞は骨の中心部にある骨髄で、血液の源となる造血幹細胞から作られます。骨髄異形成症候群は、造血幹細胞に生じた異常が原因と考えられています。一つの病気ではなく、複数の疾患からなる病気の集合体で、 原因不明の後天的血液の病気です。何らかの原因により以下の3つが状態が起こります。

• 血球形態異常（異形成）
• 血球機能異常
• 血液細胞が未熟な血液細胞で成長が止まる

骨髄異形成症候群は中高年層に多くみられ、急性骨髄性白血病への移行や感染、出血などの骨髄不全が危惧されます。
急性骨髄性白血病へ移行する場合を除いては、緩やかに進行していくでしょう。骨髄異形成症候群には以下の2つの特徴があります。

• 赤血球・白血球・血小板の減少
• 血液細胞が骨髄に多い状態

骨髄で血液細胞がうまく作られず、赤血球や白血球などの量が減少します。骨髄の中に未熟な血液細胞がたくさんあるにも関わらず、血液の中には数が少ないのです。
そのため骨髄で作られた血液細胞が、十分に成長できずに死んでしまったり、形が異常でうまく働けなくなったりします。正常な血液細胞の数が減ることで、貧血や出血・感染症を起こしやすくなるでしょう。
一方無症状の方もいるため、健康診断などで発見されるケースも見られます。
　

骨髄異形成症候群で食べてはいけないもの

骨髄異形成症候群では、白血球の減少により摂取する食品に注意が必要です。食品の取り扱いは、基本的に食中毒予防と同じですが、何がよくて何を避けたらよいのかをここで紹介していきます。

コーヒーや緑茶の摂取

コーヒーや緑茶には、抗酸化作用のあるカフェインやポリフェノールが含まれており、一部のがんについてはがん予防効果が報告されています。
コーヒーを1日1杯以上飲む男性の場合に、コーヒーを飲まない方と比べて0.47倍であり、骨髄異形成症候群のリスクが下げられる飲み物です。一方、緑茶に関しては、男女ともにリスクの関連は認められていません。

生もの

白血球の減少している時期では抵抗力が低下しているため、生ものの摂取は控えた方がよいでしょう。
生肉や刺身、生野菜などの生ものは、雑菌が繁殖しやすい食べ物です。生ものや加工されていない食品は感染リスクを伴うため、摂取可能かどうかご自身で判断せずに医師の指示に従いましょう。

菌の繁殖しやすいもの

食品は消費期限を確認して、開封後の長期間での保存は避けましょう。調理した食品は、細菌が繁殖した場合には約2時間で菌の数が多くなるため、調理後すぐに食べましょう。
冷凍食品は、解凍するときに注意が必要です。自然解凍ではなく、電子レンジで短時間解凍して一度で使い切りましょう。再冷凍すると、解凍した後に付着した菌が増える原因になります。

安全検査を通っていないもの

安全検査を通っていない自家製の発酵食品や貝類などは避けましょう。安全検査を通っていない食品は、微生物や有害物、毒性試験などの検査を受けていない状態です。
安全なものもあるかもしれませんが、公的に安全性が確認されていない状態なので、感染リスクを上げてしまうことにつながります。

骨髄異形成症候群の治療

骨髄異形成症候群は、急性骨髄性白血病への移行リスクを低リスク群と高リスク群に分けられ、リスク群によって治療法が異なります。ここでは、骨髄異形成症候群で行われている治療法を紹介します。

免疫抑制療法

免疫抑制療法は、身体の免疫反応を抑える治療法です。すべての患者さんに効果があるとは限らず、初期の骨髄異形成症候群に対して、免疫抑制剤を投与することがあります。

化学療法

抗がん剤投与は高リスク群の患者さんに行われる治療法の一つです。高リスク群は急性骨髄性白血病に転化するリスクが高いため、急性骨髄性白血病への移行予防や異常細胞の増殖抑制が抗がん剤投与の目的です。
高年齢やドナーが見つからない、合併症を有しているなどの理由から、同種造血幹細胞移植を行わない場合に選択できます。
また一部の患者さんには、急性骨髄性白血病への移行予防や生存期間を延ばすために、急性白血病治療の基準に沿った抗がん剤以外の化学療法が選択されることもあります。

支持療法

支持療法は、低リスク群やほかの治療の適応がない場合に行われます。根本的な治療ではなく、出現している症状に対して対症的に行う治療です。
薬剤投与や輸血などで、貧血の改善や完全予防、出血傾向の改善を目的とします。

同種造血幹細胞移植

同種造血幹細胞移植は、ドナーから採取した造血幹細胞を点滴のように患者さんの血管へ注入する治療法です。同種造血幹細胞移植は副作用が強く、患者さんへの負担も大きいですが、唯一治療が見込める方法とされています。
そのため、これまでの研究でも、高リスクと判断された時点で速やかに同種造血幹細胞移植を行うことが望ましいとされています。

骨髄異形成症候群にならないために日常生活で気をつけること

骨髄異形成症候群の発症リスクを少しでも低くするためにも、どのようなことを日頃から気をつければよいのでしょうか。ここからは、日常生活で気をつけることを紹介します。

バランスの取れた食事を心がける

骨髄異形成症候群に限らず、健康を保つためには、バランスの取れた食事が大切です。緑黄色野菜や果物、海藻類などのビタミンやミネラルを積極的に摂りましょう。赤身肉やレバーなどの鉄分が豊富な食品も貧血予防に役立ちます。

有害物質への接触を避ける

日常的に有害物質への接触は避けましょう。特に骨髄異形成症候群の発症リスクがあるガソリンや塗料、接着剤に含まれるベンゼンが発症リスクを高める物質の一つです。
そのほかに、X線などの人工的な放射線もDNAを損傷させ、細胞のがん化を引き起こす可能性があります。