「白血病の入院期間」はどれくらいかご存知ですか?入院期間中に気を付けたいことも解説!
白血病にかかった場合、どれくらいの入院期間が必要なのか気になる方もいることでしょう。
白血病は以前は完治率の低い病気でしたが、しっかりとした治療を受けることで完治が期待できます。
本記事では、白血病の治療でどれくらいの入院期間が必要なのか病名ごとに紹介します。
監修医師:
山本 康博(MYメディカルクリニック横浜みなとみらい)
東京大学医学部医学科卒業 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医 日本内科学会認定総合内科専門医
目次 -INDEX-
白血病とは?
白血病は血液のがんです。
骨髄のなかには造血幹細胞と呼ばれる細胞があり、赤血球や白血球、血小板などの血液細胞を生成しているのが特徴です。しかし、造血幹細胞の遺伝子に異常が起こると、細胞内で腫瘍化しがん化します。
がん化によって白血球細胞が増殖し続けると、正常な血液の産生が難しくなります。骨髄部分で発症するのが多いですが、場合によっては体内のほかの部位で発症することも珍しくありません。
白血病にかかると最初のうちは貧血に伴う疲労感・めまい・息切れ・頭痛・発熱などの軽度症状から始まり、徐々に歯肉出血や鼻出血、皮下出血などの症状が出てきます。白血病には急性骨髄性白血病・急性リンパ性白血病・性骨髄性白血病・慢性リンパ性白血病の4種類があり、症状に合わせた適切な治療が必要です。
白血病の入院期間
白血病の入院期間は、がんの種類や症状の進行によって異なります。慢性症状の場合は薬での治療が可能ですが、症状が悪化した場合は入院が必要です。
それぞれの白血病では、どれくらいの入院期間が必要なのかを紹介します。
急性骨髄性白血病の入院期間
急性骨髄性白血病は白血球になる前の未熟な細胞である骨髄芽球で異常が起こり、急速に白血病細胞が増殖する病気です。
異常な白血病細胞の増殖によって正常な血液細胞を作ることが難しくなり、血液細胞の減少によって貧血症状や頭痛などの症状を伴います。
急性骨髄性白血病の場合、約7〜9ヶ月の入院期間が必要です。急性骨髄性白血病に限らず急性型の白血病の場合、完治させるためには寛解導入療法と地固め療法による治療を受けなければなりません。具体的には抗がん剤による寛解導入療法を行い、症状の寛解が確認できたら地固め療法によって白血病細胞を死滅させ根治を目指します。
スムーズに治療が進めば短期間の入院で済みますが、症状が改善されない場合は繰り返し抗がん剤による治療を受けなければなりません。もし化学療法のみで改善が見られない場合は、造血幹細胞移植での治療が行われます。
抗がん剤による治療は身体にかかる負担が大きいので、長期での治療を見込んだ方がよいでしょう。
急性リンパ性白血病の入院期間
急性リンパ性白血病は、白血球の中にあるリンパ球で異常が生じる白血病です。
症状は急性骨髄性白血病と似て激しい頭痛や吐き気・めまい・出血症状・感染症などが生じます。6歳以下の小児がかかりやすいといわれていますが、成人でも発症する可能性はあります。
急性リンパ性白血病を発症した場合は、約8〜12ヶ月の入院が必要です。先ほどの急性骨髄性白血病で紹介したとおり、寛解導入療法と地固め療法で根治を目指します。健康な方であればスムーズに治療が進む場合がありますが、高齢者や基礎疾患を抱えている方だと治療が長期化するでしょう。
慢性骨髄性白血病の入院期間
慢性骨髄性白血病は、白血病と似た症状があるもののゆっくり進行するのが特徴です。
初期の段階では目立つような症状がないため、人によっては気が付かない場合があります。そのため検査を受けない限りは、自力で気が付くのは難しいでしょう。しかし早期発見をすれば通院の治療のみで済む場合があります。
身体への負担も少なく、スムーズに治療が行えるでしょう。しかし治療せずに症状が進行すると徐々に貧血や息切れ、さらに急性転化期に突入すると血小板減少に伴う出血や倦怠感などの症状が出てきます。急性転化期により症状が悪化した場合は、数ヶ月の入院が必要です。
慢性リンパ性白血病の入院期間
慢性リンパ性白血病は、急性リンパ性白血病と症状は似ているものの慢性的に症状が進むのが特徴です。
初期症状のうちは慢性骨髄性白血病と同様に症状が見られず経過観察で治療が行われます。しかし症状が進むにつれて貧血やだるさ・頭痛・血の止まりにくさ・発熱などの症状が出てきます。
重症化すれば、数週間から数ヶ月の入院をしなければなりません。より症状がひどい場合は、薬物療法や放射線による治療が必要です。
白血病で入院が必要な理由
慢性の初期の白血病であれば通院での治療が可能ですが、急性症状の場合は抗がん剤での治療を実施するため入院しなければなりません。
抗がん剤による副作用のリスクはもちろんのこと、感染症発症の可能性もあるため病院にて集学的な治療がなされます。
抗がん剤使用のため
白血病の症状が進行した場合は、抗がん剤による入院治療が必要です。
先ほども紹介したとおり寛解導入療法と地固め療法にて白血病細胞を死滅させ根治を目指します。複雑な治療内容となっているので、病院での管理が徹底されます。
副作用の対応のため
白血病では、ステロイド薬による治療を行うことが多いです。
ステロイド薬を投与すると、血圧の上昇や食欲の急激な増加・糖尿病・感染症の発症など、さまざまな副作用が起こりやすくなります。また抗がん剤によっては重篤な副作用を起こすこともあり、万が一に備えて病院での治療が欠かせません。
免疫力が低下しているため
白血病にかかると、免疫力が低下しやすくなります。
頭痛や発熱・だるさ・喉の痛みなど風邪に似たような症状はもちろんのこと、症状が進むと鼻血や皮膚から出血症状などが現れます。出血してしまうと細菌やウイルスによる感染リスクもあるため、急性症状の場合は即時での入院治療が望ましいです。
感染症の予防と管理のため
白血病で入院が必要な理由は、感染予防のためです。
先ほど紹介したとおり白血病にかかると免疫力が低下するため、細菌やウイルスによる感染リスクがあります。入院期間中は感染症のリスクを避けるべく、マスクや抗菌薬、抗真菌薬などで感染予防を徹底しましょう。
白血病の入院期間中に気を付けたいこと
白血病の入院期間中は抗がん剤による副作用に注意することはもちろんのこと、その他にも注意するべきポイントがあります。
白血病の入院で、どのような点に注意するべきなのか解説します。
バランスの取れた食事を心がける
入院期間中は、バランスの取れた食事をとりましょう。
入院期間中は病院食がメインであるため、ビタミンやミネラル、タンパク質などバランスの取れた食事ができます。しかし抗がん剤の治療に伴い、吐き気や嘔吐などの症状で食欲不振に陥ることは少なくありません。
もし食べられない場合は、無理にお口から入れず点滴から栄養補給してもらいましょう。さらに入院期間中は、生もの・ドライフルーツ・安全検査を通っていない自家製の発酵食品なども避けましょう。
これらの食べ物は細菌や雑菌による感染リスクがあるためです。入院期間中の食事について不明な点があれば、病院の医師に確認しましょう。
感染予防のためにマスクを着用する
白血病を発症すると、免疫力低下に伴い感染症発症のリスクが上がります。
そのため、入院期間中はマスクによる感染予防が欠かせません。またマスクのみならず、手洗いやうがいによる感染予防も必要です。白血病による症状に伴い、出血でマスクが汚れてしまう場合があります。もし汚れてしまった場合は、速やかに新しいマスクに変えましょう。
白血病の入院期間についてよくある質問
ここまで白血病の入院で気をつけるべきポイントや入院期間などを紹介しました。ここでは「白血病の入院期間」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
入院中に外泊はできますか?
山本 康博(医師)
症状や治療内容によっては、外泊が可能です。場合によっては、一時的に退院し自宅で過ごせます。学校に通っている方であれば、治療の合間であれば通学もできます。もし入院期間中でも学習をしたい場合は、院内学級の利用を検討しましょう。
入院期間が長引く場合の原因はなんですか?
山本 康博(医師)
先ほども紹介したとおり白血病を完治させるために、寛解導入療法と地固め療法による治療が施されます。ほとんどの場合は抗がん剤を使った治療を繰り返さなければならないため半年〜1年ほどの入院期間が必要です。また化学療法での副作用や骨髄移植による治療で、さらに入院が長引く可能性もあります。入院生活はストレスを感じやすい場面があるかもしれませんが、白血病完治に向けて頑張りましょう。
編集部まとめ
本記事では、白血病の治療で必要な入院期間中を解説しました。
白血病を完治させるためには、寛解導入療法と地固め療法による治療が必要です。
人によっては抗がん剤を使った治療を繰り返し行わなければならないため、完治には半年〜1年かかります。
少しでも身体への負担を抑えたい場合は、日頃の健康管理と定期検診を受けることが重要です。
いつもとは違う異変を感じたら、早いうちに医療機関に相談しましょう。
白血病と関連する病気
「白血病」と関連する病気は1個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する病気
骨髄異形成症候群は造血幹細胞の中にある骨髄系幹細胞での異常により、血液細胞の成長が止まったり、不自然な形状になったりというような症状が特徴です。血液細胞内にある赤血球や白血球の減少も見られているため、白血病と関わりがあるといわれています。
白血病と関連する症状
「白血病」と関連している、似ている症状は9個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
白血病で見られる症状ですが、ほかの病気でも見られる症状です。上記の症状が継続的に見られる場合は白血病を発症している可能性があるため、速やかに医療機関に受診しましょう。