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「肝臓がんの末期症状」はご存知ですか?余命一ヶ月の症状も医師が解説!

 公開日:2024/10/22
「肝臓がんの末期症状」はご存知ですか?余命一ヶ月の症状も医師が解説!

肝臓がんの末期症状とは?Medical DOC監修医が肝臓がんの末期症状・原因・予防法・早期発見方法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

関口 雅則

監修医師
関口 雅則(医師)

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浜松医科大学医学部を卒業後、初期臨床研修を終了。その後、大学病院や市中病院で消化器内科医としてのキャリアを積み、現在に至る。内視鏡治療、炎症性腸疾患診療、消化管がんの化学療法を専門としている。消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、総合内科専門医。

「肝臓がん」とは?

肝臓がんは、肝臓の細胞にできる悪性腫瘍のことです。特に、肝細胞ががんになったものを肝細胞がんといいます。日本で発生する肝臓がんの9割以上は肝細胞がんなので、一般的には肝臓がんといえば肝細胞がんのことを指します。
今回の記事では、肝臓がんの末期でみられる症状について解説します。

肝臓がんの末期症状

肝臓には、栄養を代謝して体に必要な成分へと変換したり、アルコールなどの有害物質を解毒し排出したりするという働きがあります。肝臓がんが末期になると、肝臓のこのような機能が低下します。すると、以下のような症状が現れます。

むくみや腹水

末期の肝臓がんでは、腹水や全身のむくみが見られます。これは、肝臓で作られるアルブミンというタンパク質が、肝臓の障害によって減少してしまうことが原因です。

黄疸

肝臓の機能が悪化することで、皮膚や白目が黄色くなる黄疸(おうだん)が見られます。これは、肝臓が体内の老廃物を処理できなくなるために起こる症状の一つです。

痛み

肝臓がんが進行すると、お腹の痛みが生じることもあります。また、がんが骨に転移すると、それ自体の痛みや、骨折によって痛みを感じることもあります。

食欲不振・倦怠感

肝臓の機能が低下するため、エネルギーをうまく作ることができなくなります。すると、食欲不振や倦怠感などが強く出ることがあります。また、がんによる栄養状態の悪化も食欲不振の原因となります。

意識障害

肝臓の機能がさらに落ちると、アンモニアなどの有害物質が体内に蓄積し、肝性脳症と呼ばれる意識障害が発生することがあります。患者は、混乱し、意識が低下します。初期には軽度の記憶障害や集中力低下から始まり、進行すると昏睡状態に至ることもあります。

末期症状が現れた肝臓がんはステージいくつ?

末期症状が現れた肝臓がんは、通常ステージ4の段階です。これは、複数の大きな腫瘍が門脈や静脈、胆管といった大切な脈管に及び、リンパ節や他の臓器に転移しているような状態です。この段階では、完治は難しいとされています。
実際に、肝細胞がんのステージ4の患者の5年生存率は4.4%と報告されています。
肝臓がん末期では、多くの場合患者の生活の質を高めるような治療が重要になります。
他の臓器に転移がある場合には、一般的には手術は適応にはなりません。全身化学療法や、がんが転移したことによる痛みなどの症状を抑える放射線治療など、緩和的な治療を行うことが多いです。一方、ステージ4であっても、肝臓以外の臓器に転移がない場合には、肝移植などで余命の延長が望める場合もあります。

肝臓がんの原因

ここでは、肝臓がんの主な原因について解説します。

B型・C型肝炎ウイルス

肝細胞がんの最も一般的な原因は、B型およびC型肝炎ウイルス感染です。これらのウイルスによる慢性的な感染によって、遺伝子変異が起こりがんにつながるのではないかと考えられています。初期には無症状であることが多いですが、進行すると黄疸や腹水、倦怠感などが現れます。感染が疑われる場合には、内科や消化器内科で血液検査を受け、早期発見・治療につなげることが大切です。

多量のアルコール摂取

大量のアルコール摂取は、肝硬変を引き起こす可能性があります。肝硬変は肝臓がんを発症するリスクを高めます。一方で、肝硬変がない、多量のアルコール摂取者にも肝臓がんが発生することがあります。
アルコールの多飲があり、体調不良が続く場合には消化器内科を受診し、禁酒あるいは節酒に気をつけることが大切です。

脂肪性肝疾患

アルコールの摂取に関わらず、肥満や糖尿病を合併する脂肪肝も肝臓がんのリスクを高めることがわかってきています。近年では、脂肪性肝疾患(MASLD;metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)という新たな概念が提唱されています。これは、脂肪肝に、肥満、耐糖能異常、高血圧、高中性脂肪血症、低HDL血症のうち 1つ以上の代謝異常を認める疾患です。健康診断でメタボリック症候群と診断された場合には、食生活の改善や適度な運動が大切です。肝臓がんの予防のみならず、生活習慣病の改善にもつながります。

肝臓がんの検査法

肝臓がんの検査法について解説します。

超音波検査

B型・C型肝炎ウイルス性の慢性肝炎や肝硬変がある場合や、あるいはウイルス感染のない肝硬変がある場合、肝細胞がんの定期的なスクリーニング対象となります。この場合には、3〜6ヶ月間隔での腹部超音波検査を主体としていきます。
超音波検査は、体の表面から器具(プローブ)を当て、超音波を出し、臓器で反射した超音波を画像化して観察します。がんの有無や大きさ、個数、位置などの他、肝臓の形状や腹水の有無も調べることができます。造影剤を用いた超音波検査を行うこともあります。
超音波検査は、通常消化器内科で行います。入院は不要です。

血液検査

血液検査では、肝臓がんに関連する腫瘍マーカーを測定します。 特にAFP(αフェトプロテイン)やPIVKA-II、AFP-L3分画のようなマーカーは、肝臓がんが疑われる場合に重要な指標となります。 肝臓の機能や炎症の程度を確認するために、ASTや、ALT、γ-GPTなどの肝臓機能検査も行われます。これらの検査は一般に外来で行われ、入院は不要です。

CT検査・MRI検査

がんの血流の状態や、リンパ節や他の臓器への転移を調べるために、造影剤を用いたCT検査やMRI検査も有効です。肝細胞がんのリスクが高いと考えられる場合には、可能であればGd-EOB-DTPAという造影剤を用いたMRI検査が推奨されています。こうした画像検査は、消化器内科で行います。通常、入院は不要です。

肝臓がんの治療法

肝臓がんの治療法は、がんの進行度、肝機能の状態、転移の有無、がんの大きさや個数などに基づいて決定されます。

手術

肝臓がんが肝臓の限られた部分に存在し、他の臓器に転移していない場合、手術が選択されることがあります。特に、肝機能が十分に保たれている場合に適用されることが多いです。手術は、一般的に消化器外科で行います。肝臓のがん細胞を含む部分を切除することで治療します。入院期間は患者の状態によって異なりますが、通常は数週間程度です。

ラジオ波焼灼療法(RFA)

手術が難しい場合や、がんが小さい場合には、ラジオ波焼灼療法(RFA)が選択されることがあります。これは、高周波の電流を使ってがん細胞を焼き尽くす治療法です。RFAは、比較的侵襲が少ないため、短期間の入院で実施されることが多く、リハビリの必要性も少ないです。

肝動脈塞栓術(TACE)

肝臓がんが多発している場合や手術が困難な場合には、肝動脈塞栓術(TACE)が用いられることがあります。これは、がんに栄養を送る血管を塞ぎ、がんを縮小させる治療法です。放射線科や消化器内科で行われ、通常は数日の入院が必要です。TACE後には体力回復のためのリハビリが推奨されることがあります。

肝臓がんの予防法・早期発見方法

肝臓がんを予防し、早期に発見するためには、生活習慣の改善や定期的な検診が重要です。以下に、具体的な予防方法と早期発見のためのポイントを解説します。

食事・生活習慣に気をつける

肝臓がんの予防には、まず日々の食事や生活習慣の見直しが効果的です。
アルコールの過剰摂取を避けることが重要であり、肝臓に負担をかけないようにするためには、適度な飲酒が推奨されます。また、肥満や糖尿病は肝臓がんのリスクを高めるため、バランスの取れた食事や定期的な運動を心がけましょう。

定期的な受診と検査

肝臓がんは早期には症状が現れにくいため、定期的な検診が欠かせません。特に、B型・C型肝炎ウイルスに感染している場合や、アルコール性肝疾患を持っている場合は、3〜6ヶ月に一度の超音波検査や腫瘍マーカーの測定が推奨されます。これにより、肝臓がんを早期に発見できる可能性が高まります。

B型・C型肝炎の予防と治療

肝臓がんの主な原因であるB型肝炎ウイルスの予防には、ワクチン接種が効果的です。なおC型肝炎に対するワクチンはないため、感染予防のためには医療施設や注射薬物の使用者などのハイリスク群、性的接触などでのウイルス曝露への機会を減らすことが重要です。また、すでに感染している場合は、適切な抗ウイルス薬による治療が、肝臓がんの発症リスクを大幅に減らすことができます。
定期的な検診と生活習慣の改善を心がけ、気になる症状がある場合は迷わず消化器内科を受診しましょう。早期発見・早期治療が、肝臓がんの予後改善につながります。

「肝臓がんの末期症状」についてよくある質問

ここまで肝臓がんの末期症状などを紹介しました。ここでは「肝臓がんの末期症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

肝臓がん余命一ヶ月の症状について教えてください。

関口 雅則関口 雅則 医師

肝臓がんの末期における、余命が一ヶ月という段階では、体重減少や黄疸、腹水、全身の痒み、むくみ、疲労感、腹痛、下痢などの症状が現れます。また、がんの骨転移などによる痛みも生じます。さらに、肝性脳症という意識障害を起こすこともあります。

編集部まとめ

肝臓がんが進行すると、肝臓の機能が落ちることや、がんの進行・転移によるさまざまな症状が現れます。肝臓がんは進行するまで自覚症状が現れないことも多いです。そのため、生活習慣の改善や定期的な検診による早期発見が重要です。特にB型・C型肝炎ウイルスに対する予防や治療が肝臓がんのリスク軽減に効果的です。

「〇〇」と関連する病気

「〇〇」と関連する病気は★個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器内科科の病気

循環器内科の病気

腎臓内科の病気

呼吸器内科の病気

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整形外科の病気

  • 転移性骨腫瘍

肝臓がんの末期には、こうした病態を伴うこともあります。

「肝臓がんの末期症状」と関連する症状

「肝臓がんの末期症状」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 黄疸
  • 腹水
  • 食欲不振
  • 意識障害(肝性脳症)
  • 骨転移による痛み
  • 呼吸困難

これらの症状は、肝臓がん末期だけでなく他の肝臓疾患やがんの進行によって現れることもあります。症状が気になる場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。

この記事の監修医師