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「胃がんの手術費用」はどれくらい?検査費用も併せて解説!【医師監修】

 公開日:2024/11/24
「胃がんの手術費用」はどれくらい?検査費用も併せて解説!【医師監修】

命を脅かされる印象が強いがんですが、現在ではさまざまな治療法が確立されています。早期に治療を受けられれば発症以前と変わらない生活に戻れる可能性もあり、不治の病の印象も段々となくなっていくことでしょう。

しかし、がん治療には高額な医療費がかかることもあります。場合によっては高額な医療費が治療のハードルとなり、治療を諦めざるを得ない方もいるでしょう。本記事では胃がんの手術や治療にかかる費用と、支援制度について解説していきます。

永井 恒志

監修永井 恒志

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医師、医学博士(東京大学)、東海大学大学院客員准教授。
平成15年金沢医科大学医学部卒。東京大学医学部附属病院内科研修医を経て東京大学大学
院医学系研究科教官時代に大型放射光施設SPring8を利用した多施設共同研究(国立循環器
病研究センター、東海大学ほか8研究機関)をリードし、多数の国際医学雑誌に論文を発表した。
特に免疫細胞であるM1マクロファージの画期的な機能の一端を解明した。現在は腫瘍免疫学の
理論に基づきがんの根絶を目指してがん免疫療法の開発と臨床応用を手掛けている。

胃がんとは?

がんとは腫瘍の一種です。腫瘍には良性か悪性かのほかに、どの組織に発生するかで呼び方が変わります。表皮・消化管・腺組織といった上皮に発生する悪性の腫瘍はがん、上皮以外(骨・筋肉・脂肪組織・血管・リンパ管・神経組織など)にできる悪性の腫瘍を肉腫と呼びます。
胃は上皮細胞に分類されるため胃に発生した悪性腫瘍の名称はがんです。胃がんは症状が出にくいため発見が遅れる傾向にあり、気付いたときにはかなり症状が進行していることも少なくありません。
しかし胃がんが進行することで近くにある大腸や膵臓・横隔膜・肝臓などに転移するリスクも高く、消化器官全体に大きな影響を及ぼし命の危険にも至る疾患です。

胃がんの検査費用

胃がんの診断や精査では下記の検査が用いられます。なお、医療保険適用前(10割)の料金で記載しています。病院によって金額は大きく異なるため、事前に確認しておくことが重要です。

  • 上部内視鏡検査:11,600〜20,000円
  • 注腸検査:5,000〜15,000円
  • 生検・病理検査:約10,000〜28,600円が内視鏡検査にプラスされる
  • CT検査:87,000〜100,000円
  • MRI検査:34,000〜57,000円
  • PET検査:91,000〜117,000円
  • 注腸検査:30,000〜50,000円
  • 審査腹腔鏡:600,000円
  • 腫瘍マーカー検査:2,000〜5,000円

胃の異常を調べるうえで多く適用されるのが内視鏡検査です。口腔や鼻腔からいわゆる胃カメラを挿入し、食道や胃の内部の異常を調べます。
鎮痛剤や鎮静剤を使用する場合は別途300〜2,700円の追加料金がかかります。内視鏡検査で疑わしい細胞が見つかった場合は採取し生検・病理検査にかけることでがん細胞かどうかの診断が可能です。
人間ドックやがん検診コースなどで複数の検査を一度に受ける場合はそれぞれ単独で受けるより料金が安くなることがあります。受診を検討している病院に確認してみましょう。

胃がんの手術・内視鏡治療の費用相場

胃がんの手術にはさまざまな術式があります。がん細胞の浸潤部位・範囲や転移の状況、長時間の手術に耐えられる体力があるかなどで術式を選択することが必要です。胃がんの術式と料金を以下で解説します。
なお、記述している料金は医療保険適用前の金額(10割)です。

胃全摘術

噴門(胃の上側の入口)と幽門(胃の下側の出口)を含む胃全体を切除し、食道と小腸をつなぎ合わせる術式です。1,600,000〜2,000,000円程度かかります。
なお、開腹手術より腹腔鏡手術の方が費用が安くなりますが、それぞれのメリット・デメリットがあるため手術時は主治医と相談となるでしょう。

幽門側胃切除術

噴門部ががん細胞に浸潤されていない場合の一般的な手術方式です。幽門を含めた胃下部約3分の2を切除し、残った胃は十二指腸か小腸とつなぎ合わせます。幽門側胃切除術と後述する幽門保存胃切除術・噴門側胃切除術は、胃切除術という手術の分類になり、違いは切除する部位です。
そのため料金が大きく変わることはなく、下記の二つの術式については料金の記載を省略します。胃切除術の料金は500,000〜650,000円程度です。

幽門保存胃切除術

幽門・噴門から離れた部位にがん細胞がある場合に適用される術式です。噴門・幽門は残して間の部分の胃を切除し、残った胃をつなぎ合わせます。
胃の出入り口を残すため、胃切除による合併症は起こりにくいとされていますがゼロではありません。また、部分的な切除になるため再発のリスクが高く、術後も定期的な内視鏡検査を必要とします。

噴門側胃切除術

胃の上部や食道と胃の境目にがん細胞がある場合に適用される術式です。噴門を含めた胃の上部半分未満を切除します。この術式では食道と残った胃をつなぎ合わせてから間に逆流防止の弁を作る方法と、小腸を食道と胃両方につなぎ合わせ食事の通り道を2つ作る再建方法があります。

再建手術

切除した消化管を、再び機能するようつなぎ合わせる工程を再建手術と呼びます。消化管は口腔から肛門まで1つの管になっていないと機能しません
胃を切除することと、切除した部位を何らかの形で管状に戻すことは必ずセットになっています。したがって再建手術の料金も上記手術料金に含まれています。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

胃以外の臓器やリンパ節への転移がなく、がん細胞が粘膜層で止まっている場合は内視鏡治療が適用となります。EMRはループ状のワイヤーを腫瘍にかけて高圧電流を流す術式です。EMRはワイヤーのサイズの関係で2cm以下のサイズの腫瘍に適用となります。EMRにかかる手術費は250,000円前後です。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

ESDは高周波電流を流せる特殊なメスで腫瘍を切除する術式です。EMRと同じ内視鏡治療となりますが、メスを使用する特性から腫瘍の大きさに制限がないのがEMRとの大きな違いになります。ESDにかかる手術費は570,000円前後です。

胃がんの手術以外の治療の費用相場

がん組織の浸潤範囲が少なかった場合や手術に耐えられる体力がないと判断された場合は、手術が適用されないこともあります。また、手術をする場合でも手術前後にほかの治療法を組み合わせることもあります。

薬物療法

抗がん剤を点滴もしくは内服します。使用する薬剤が先発品か後発品か、保険適用の有無により、大きく金額が変わってくるでしょう。オキサリプラチンという胃がん治療でよく使われる抗がん剤を成人に使用する平均的な量(150mg)点滴投与した場合、一回で14,500円程度かかります。

放射線治療

胃がんで用いる放射線治療は補助的な役割が大きいです。根治目的はもちろん、食物通過不良や痛みなどの症状緩和目的で用いられることがあります。診察や検査に関する費用を除き一回700,000〜1,400,000円程度かかります。

緩和ケア・支持療法

緩和ケア・支持療法とは、がんによる身体的および精神的な痛みや苦痛を和らげるための治療です。身体の痛みに限らず精神的な辛さや社会的な困りごとも支援します。
緩和ケアと聞くと末期の患者さんが受ける治療を想像する方も少なくありませんが、がんと診断されたときから適用される治療です。緩和ケア・支持療法の定義は広く、かかる料金もさまざまですが、緩和ケア病院に1ヶ月入院となった場合にかかる費用は1日51,000円程度です。

胃がんの手術費用についてよくある質問

ここまで胃がんの検査費用・手術費用・治療費用などを紹介しました。ここでは「胃がんの手術費用」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

胃がんの手術費用の支援制度があれば教えてください。

永井 恒志永井 恒志 医師

限度額適用認定・高額療養制度などがあげられます。1ヶ月の治療費が一定金額を超えた場合、超えた分のお金が後から払い戻される制度を高額療養費制度といいます。しかし、後で戻ってくるとはいえ高額な治療費を一度に払えない方もいるでしょう。市役所や区役所で認定証を取得し医療機関の窓口に提出するか、マイナ保険証を提示することで1ヶ月の上限以上に治療費を払う必要がなくなる制度があります。これが限度額適用認定制度です。金額の上限は年齢や所得によって違います。

胃がんの手術で起こりうる合併症を教えてください。

永井 恒志永井 恒志 医師

胃がん手術の合併症を下記に記述します。

  • 術後出血
  • 縫合不全
  • 膵炎・膵液ろう
  • 腹腔内膿瘍
  • 腸閉塞
  • 胆嚢炎
  • 多臓器損傷
  • 吻合部狭窄
  • 逆流性食道炎
  • 食事量減少
  • 消化不全・下痢
  • ダンピング症候群

内蔵の一部を切除することになるため、出血や切除部・切開部のトラブル、周辺臓器の損傷のリスクがあげられます。また胃の摘出術を行った場合、胃の縮小に伴い食事量が減って栄養不足を起こしたり消化不十分で消化器トラブルを起こす可能性があります。胃摘出術で特徴的な症状は、ダンピング症候群です。胃を切除したことにより食物が急速に腸内に流れ込み冷や汗や頻脈・低血糖症状が出現します。ダンピング症候群のリスクがある場合、食事をよく噛んでゆっくり食べる・一回の食事量を減らすなどの対策が必要です。

編集部まとめ

がんは令和4年度の調査で日本で一番多い死因となっており、そのなかでも胃がんでの死亡者数は男性3位・女性5位と決して少なくない割合となっています。

前述のとおり胃がんは発症に気付くのが遅れる傾向にあるため、早期発見には定期的な検診が必要です。

また治療に関しても決して安くないお金が必要となるため、治療法の料金や特性の違い・支援制度について知っておくことで療養費用に関する悩みを減らせるでしょう。

この記事が健康を考える読者様の助けになれば幸いです。

胃がんと関連する病気

「胃がん」と関連する病気は4個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

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ヘリコバクター・ピロリは通称ピロリ菌で有名な細菌の一種です。感染すると、胃炎や胃潰瘍の原因となるほか、胃がんになる可能性が高くなることが報告されています。胃ポリープ・胃潰瘍・慢性胃炎などでは胃の痛み・胃部不快感・胸やけなど、胃がんと似たような症状が起こることがあります。

胃がんと関連する症状

「胃がん」と関連している、似ている症状は9個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 胃の痛み
  • 胃部不快感
  • 嘔気・嘔吐
  • 食欲不振
  • 貧血
  • 食事がつっかえる
  • 体重減少

このような症状が見られたら一度病院で検査を受けましょう。

この記事の監修