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「乳がんにおける放射線治療の期間」はどのくらいか?症状や原因も医師が解説!

 公開日:2026/01/30
「乳がんにおける放射線治療の期間」はどのくらいか?症状や原因も医師が解説!

乳がんの治療にはさまざまな方法がありますが、放射線治療はその一つとして重要な役割を果たします。
本記事では、乳がんの放射線治療について以下の点を中心にご紹介します!

  • ・乳がんの治療法
  • ・乳がんの放射線治療の期間
  • ・乳がんの予後

乳がんの放射線治療について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

乳がんとは?

乳がんとは、乳房の細胞が異常増殖することで形成される悪性腫瘍です。乳房は、乳腺とその周りの脂肪や結合組織から成り、乳腺細胞が癌化することで発生します。乳がんは小葉から生じることもあります。乳房は15〜20の乳腺葉からなり、それぞれが乳管と小葉で構成されています。
乳がんは進行すると周囲の組織を破壊しながら増殖する、またリンパ節や血流を通じて転移する可能性があるなどの特徴があります。

乳がんの症状

乳がんの主な症状は、乳房のしこりです。自己触診で気付くこともあります。その他の症状として、乳房のくぼみ、乳頭や乳輪のただれ、左右の乳房の形の非対称化、乳頭からの分泌物などが挙げられます。
これらの症状が乳がんを示すとは限りませんが、気になる変化がある場合は早めに乳腺専門医の診察を受けることが重要です。定期的な自己触診と専門医による検診を組み合わせることで、早期発見や早期治療につながる可能性が高まります。

乳がんの原因

乳がんの原因は解明されていませんが、いくつかのリスク要因が考えられています。これらの要因には、初経年齢が早いことや閉経年齢が遅いこと、出産歴がないこと、初産年齢が遅いこと、授乳歴がないこと、閉経後の肥満、飲酒習慣、一親等に乳がんの家族歴があること、良性乳腺疾患の既往歴などがあります。
これらの要因の多くは、体内のエストロゲンレベルに影響を与えると考えられています。エストロゲンは性ホルモンの一種で、乳がんの発生や増殖に重要な役割を果たしています。したがって、エストロゲンの影響を受けやすい生活習慣や身体的条件が、乳がんのリスクを高める可能性があるとされています。

乳がんの診断・検査

乳がんの診断・検査は、複数の方法を組み合わせて行われます。

主な検査方法を以下に紹介します。
●視診・触診:医師が目視と触診で乳房の異常を確認します。
●マンモグラフィ:乳房専用のX線検査で、小さな病変や石灰化を発見できます。
●超音波検査:乳房内の病変やリンパ節転移を調べます。
●病理検査:細胞診や組織診で確定診断を行います。
●追加検査:必要に応じてMRI、CT、PET検査などが実施され、がんの広がりや転移を詳しく調べます。

早期発見が治療成績の向上につながるため、定期的な検診が重要です。自覚症状がなくても、マンモグラフィなどの画像診断を含む検診を受けることで、早期段階での発見が可能となります。

乳がんの治療法と治療期間

乳がんの治療にはさまざまな方法があり、個人の状況に応じて選択されます。

外科治療(手術)

乳がんの外科治療は、主に乳房部分切除術と乳房全切除術の2種類があります。乳房部分切除術は、がんとその周囲の正常組織を含めて部分的に切除する方法で、乳房の形状をできるだけ保ちます。
一方、乳房全切除術は乳房全体を切除する方法です。手術の選択は、がんの大きさや位置、患者さんの希望などを考慮して決定されます。
また、リンパ節への転移の有無を確認するため、センチネルリンパ節生検や腋窩リンパ節郭清が行われることもあります。手術時間は2〜3時間程度で、入院期間は1週間前後です。術後は、傷口の回復や合併症の予防のためのケアが必要となります。

放射線治療

乳がんの放射線治療は、主に乳房温存手術後や乳房全切除後に行われ、目に見えない微小ながん細胞を根絶し、再発リスクを低減する目的があります。乳房温存手術後の標準的な治療では、温存した乳房全体に放射線を照射します。従来は1回2グレイで25回、総線量50グレイを5週間かけて行っていましたが、近年では治療期間を短縮した寡分割照射法も増えています。

寡分割照射法では、1回の線量を増やして15〜20回程度で照射を完了します。例えば、1回2.7グレイで16回、総線量43.2グレイを3週間で行う方法があります。寡分割照射法は従来法と同等の効果があり、皮膚炎などの急性有害事象が少ないとされています。

リンパ節転移が多い場合は、鎖骨上窩など周辺のリンパ節領域にも照射することがあります。また、再発リスクが高い患者さんには、がんがあった部位に追加照射(ブースト照射)を行うこともあります。

乳房全切除後の放射線治療は、胸壁や周囲のリンパ節への照射を行い、再発予防を図ります。照射方法は乳房温存手術後と同様ですが、個々の状況に応じて照射範囲や線量が調整されます。

薬物療法

乳がんの薬物療法は、がんの性質や進行度に応じて選択されます。主な種類として、ホルモン療法、化学療法、分子標的療法があります。ホルモン療法は、ホルモン受容体陽性の乳がんに有効で、5年から10年程度の長期投与されることが多いです。
化学療法は、より進行したがんや再発リスクの高い症例に用いられ、4〜6ヵ月程度続きます。HER2陽性乳がんには分子標的薬が使用され、1年間の投与が標準とされています。
薬物療法は単独または組み合わせて行われ、術前や術後など、さまざまな状況で用いられます。

再発・転移治療

乳がんの再発・転移治療は、患者さんの状態や転移部位によって個別化されます。主に薬物療法が中心となり、ホルモン療法、化学療法、分子標的薬などが用いられます。治療の目標は症状緩和と生存期間の延長で、QOLの維持や向上も重視されます。
転移臓器に応じて、放射線療法や手術が併用されることもあります。治療期間は患者さんの状態や治療効果によって異なりますが、長期にわたることが多いです。

乳がんの予後

乳がんの予後は、病期(ステージ)によって大きく異なります。ステージ0からⅠの早期乳がんでは、5年生存率が約90%と高く、予後が良好です。
一方で、ステージⅢやⅣの進行した乳がんでは、5年生存率がそれぞれ約60%と40%以下に低下し、予後が悪化します。しかし、近年の薬物療法の進歩により、ステージⅣの乳がん患者さんの予後は徐々に改善しています。早期発見が生存率を高めるため、定期的な検診が重要です。

乳がんについてよくある質問

ここまで乳がんの治療法や放射線治療の期間などを紹介しました。ここでは「乳がん」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

乳がんのステージを教えてください。

乳がんのステージは、0期から4期まであり、数字が大きくなる程進行していることを意味します。0期は非浸潤がんで、がん細胞が乳管内にとどまっている状態です。1期から3期は浸潤がんで、がんの大きさ、リンパ節転移の有無や程度によって細分化されます。4期はほかの臓器への遠隔転移が進行した状態を指します。
ステージは、腫瘍の大きさ(T)、リンパ節転移の状況(N)、遠隔転移の有無(M)を組み合わせたTNM分類に基づいて決定されます。ステージ分類は、適切な治療方針の決定や予後の予測に重要な役割を果たします。

乳がんのサブタイプを教えてください。

乳がんのサブタイプは、がん細胞の性質に基づいて分類され、治療方針の決定に重要な役割を果たします。主に、ホルモン受容体(エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体)とHER2タンパクの有無、そしてKi67という増殖マーカーの値によって決定されます。
ルミナルA型、ルミナルB型、HER2陽性型、トリプルネガティブ型の4つに分類されます。ルミナル型はホルモン受容体陽性で、A型とB型はKi67の値で区別されます。HER2陽性型はHER2タンパクが過剰発現しており、トリプルネガティブ型はホルモン受容体もHER2も陰性です。各サブタイプによって予後や適切な治療法が異なります。

まとめ

ここまで乳がんの治療についてお伝えしてきました。乳がんの放射線治療についての要点をまとめると以下のとおりです。

  • ・乳がんの治療には外科治療、放射線治療、薬物療法などがあり、個人の状況に応じて選択される
  • ・乳がんの放射線治療は微小ながん細胞を根絶して再発リスクを低減するために行われ、期間は個人で異なる
  • ・ステージ0からⅠの早期乳がんは5年生存率が約90%と予後良好

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乳がんと関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

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具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

乳がんと関連する症状

乳がんと関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

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これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。

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